★阿修羅♪ > 経世済民105 > 775.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
マイナス金利の導入で株式市場に何が起きるのか 「債券の株式化」が進みバリュエーションが上昇(JBpress)
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/775.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 2 月 22 日 10:52:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

          日銀のマイナス政策金利は株式市場にどのような影響を与えるのか?


マイナス金利の導入で株式市場に何が起きるのか 「債券の株式化」が進みバリュエーションが上昇
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46113
2016.2.22 重見 吉徳 JBpress


 日銀は2月16日にマイナス金利政策を開始した。株は買いか売りか。買いである。


 もちろん「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」が、実体経済や企業業績に与える好影響はほとんどないと考えている。そう考える理由をいくつか挙げてみる。


 国内経済を考えると、サービス業については、まずはマイナス金利による金融機関の業績も気がかりなところだが、その他に目を転じると、既に労働市場やオフィス、ホテル、旅客輸送など「完全雇用」の状態にある。円安で海外からの観光客がさらに増えるとしても、それにすぐに対応できるような容量がない。


 一方の製造業については、在庫が積み上がりもあって未稼働が残っているが、その要因は国内主体の耐久消費財に対する需要の構造的な低迷と一巡の両方、そして海外景気の弱さによる外需低迷のためであろう。金融緩和はこれらに対処するためのものではない。


 また、問題の根幹の1つは中国にある。日銀の金融緩和によって、中国の過剰な生産能力を埋められるわけではない。むしろ逆に、円安・ユーロ安は、コインの表と裏を考えれば、ドル高・人民元高であり、米国や中国の生産をクラウドアウトして(締め出して)しまう。皮肉にも、円安・人民元高が投資・輸出主導の「古い中国」をさらに窮地に追い込むことで、消費やサービスへの構造転換を促し「新しい中国」の実現を引き寄せるかもしれないが、それは「創造的破壊」、つまりはハードランディングの厳しい状況が続くことを意味する。


 2014年10月末の量的・質的金融緩和第2弾(QQE2)以降に日本株が上がったのも、最近になって日本株がQQE2前の水準まで戻ったのも、どちらもQQE2のためである。円安により株価は短期的に上昇するが、水面下では米中景気を窮地に追いやっている。そしてやがて中国の景気鈍化が目に見えるようになってくると株価が下がる。



日経平均株価 出所:日本経済新聞社、Bloomberg、JPモルガン・アセット・マネジメント


 ただし、冷静に考えるべき点がいくつかあると感じている。特に、最近の急速な円高の進行やリスク回避傾向の高まりについてである。これらに関して、日銀のマイナス金利導入がトリガーを引いた(きっかけになった)との声が聞かれる。政策の手詰まり感がかえって露わになったという論点である。


 上で述べたように、たとえ政策の効果は限定的であるとしても、難所に果敢に対応しようとする日銀の積極的な姿勢は、金融市場で評価されていると考えられる。そうでなければ、既に1年以上も前から、マイナス金利を導入し、マイナス幅を拡大させている欧州諸国の金融市場が、それぞれの政策変更のタイミングで、大幅な通貨上昇や株価の暴落に見舞われているはずである。そうした状況は生じていないことを考えれば、整合性が取れない。


 実際には、日銀の積極的な姿勢というプラスの材料が、米国や中国の景気鈍化懸念というマイナスの材料に押し流されてしまったと考えるほうが自然だろう。金融政策は、実体経済が進む角度を調整する程度のものであり、まして世界ナンバー1と2の経済大国の景気鈍化懸念を日銀の金融政策がひっくり返せるはずもない(だから、何もしないでいいというわけではない)。


 もう1つ、円高の進行は、ドル安や人民元安を示唆する。上で述べたように、結局のところ為替は「行って来い」である。したがって、円高は当座、日本の株価を押し下げるが、その裏側で、米国や中国は金融環境が緩和されるため、これらの諸国の景気回復が期待される。それは間違いなく日本株にとってはプラスである。


■実体経済の低成長に伴う「株式の債券化」


 では、なぜマイナス金利で、株は買いなのか。


 今後の株式市場の動向について筆者が考えているのは、実体経済の低成長に伴う「株式の債券化」である。マイナス金利の導入は「株式の債券化」を促進する可能性がある。そして、この見立てが正しければ、株式のバリュエーションは上昇する。


 労働力人口の鈍化や資本蓄積によって低成長の見通しが強まると、


・企業は投資・収益機会を見出せず、企業による投資は鈍化する。
⇒ 結果的に、企業がリスクを取る機会が減る(=金融機関や投資家が拠出した負債や資本がリスクに晒される機会が減る)。


・経済のパイ(規模)の拡大が鈍化する中で、企業はマージンの拡大によって収益の伸びを確保すべく、M&A(企業の合併・買収)を行う。
⇒ 結果的に、企業間の競争が減る。


・企業の投資・収益機会が減ったり、IT(情報技術)などの投資のソフト化が進んだり、企業間の競争が減ることで、企業の資本(バランスシート)に対する需要が減る。
⇒ 企業は配当や自社株買いを通じ、資本を株主に返還する。世界的に見て、株式(エクイティ)の供給が減る。


 よりシンプルには、次のとおりである。


・企業によるリスクテイクと企業間の競争が減り、利益は安定する(大きく成長することもない)。


・利益の安定と株主還元(配当や自社株買い)の増加で、株式投資がもたらすキャッシュフローは安定する。


・株式(エクイティ)の供給が減り、株式への超過需要が発生する。


 総合すると、


・株式は債券の色彩を帯び、日々の価格変動を含むリスクは低下する


・株式のリスクが低下するならば、株式の期待リターンも低下する


と考えられる。


 米国を見ると、S&P500に採用されている企業の配当と自社株買いを合わせた利回りは5%で安定している。その安定感は、あたかも企業から「我々は、利益についてはさほどコミット(約束)をできませんが、キャッシュの利回りにはコミットしていますよ」とのメッセージが発せられているかのようである。こうした状況は今後、「低成長先進国」の日本の株式市場でも広がっていくと考えるほうが自然だろう。



S&P500の配当・自社株買い利回り 出所:Standard & Poors、JPモルガン・アセット・マネジメント データは2015年12月31日時点で取得可能な最新のものを掲載。


■現在の株式のバリュエーションは債券と比較して割安


 ここで期待リターンについて簡単におさらいしておこう。


 債券の期待リターンは利回りである(便宜的に、利息 / 債券価格と表す)。


 一方で、株式の期待リターンは(1)益回り(=予想利益 / 株価)に相当する。この益回りの逆数は、(2)株価収益率(PER=株価 / 予想利益)である。


 (1)の逆数が、(2)である。ここから、先にも述べたように、「株式のリスクが低下することで、株式の期待リターンも低下する=(1)益回りも低下する」と、その逆数である株式のバリュエーション=(2)PERは上昇することが確認できる。


 低成長が招く資本の還元や利益の安定から生じる「株式の債券化」とは、株式のリスクが低下し(債券のリスクに近づき)、リスクの低下に合わせるように(1)株式の期待リターンも低下するような状態である。株式は(今まで考えられてきたよりもリスクが低くなるわけだから)現在の水準よりも買われることになる。それは、(2)バリュエーションの上昇を示唆する。


 実体経済の低成長と「株式の債券化」という将来を見通すと、現在の株式のバリュエーションは、少なくとも債券と比較すれば、相対的に割安に留まっている可能性がある。米国市場を見ると、S&P500指数の益回りと10年国債利回りは過去に比べれば、乖離が広がっている(過去に比べれば、益回りが国債利回りを大きく上回っている)。



米国の株式益回りと10年国債利回り 出所:Standard & Poors、Bloomberg、JPモルガン・アセット・マネジメント


 仮に、現在が「債券バブルのために金利が低過ぎる」と考えれば、債券は売られ、金利が上昇することで、株式益回りと債券利回りの乖離は調整されるだろう。一方で、低成長と低インフレ率が低金利を正当化するならば、債券が売られるのではなく、反対に株式が買われ、株式のバリュエーションが上昇する(益回り=期待リターンは低下する)ことで、両者の乖離は調整されると考えられる。


 実体経済の低成長が期待される中でのPERの上昇は一見するとバブルのようにも思えるが、低成長期待を反映する株式(エクイティ)の減少と益回り(期待リターン)の低下と考えれば、バブルとは真逆の現象と言える。


 マイナス金利の導入による金融機関の競争激化と融資金利の低下は、世界の企業で見られるトレンドと同様に、企業の負債調達によるM&Aや株主還元(配当や自社株買い)を下支えし、「株式の債券化」が進むと共に、実体経済の低成長は自己強化されるだろう。


 以上は、筆者の非常に大胆な予想である。この予想が正しいとすれば、株式は債券に比べて相対的には「買い」と考えられる。


 またこのとき、株式と金利の相関関係は長年続いた「業績相場」(金利上昇・株上昇もしくは金利低下・株下落)から、再び1990年代までに見られたような「金融相場」(金利上昇・株下落もしくは金利低下・株上昇)に戻る可能性がある。なぜならば、株価の変動に占める金利(割引率)の役割が大きくなるためである。


(*)投資対象および銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、必ずご自身の判断でなさるようにお願いします。本記事の情報に基づく損害について株式会社日本ビジネスプレスは一切の責任を負いません。


 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民105掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民105掲示板  
次へ