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低所得者は「我慢」が不得意?なぜ喫煙率高く、食事は米・パン偏重?
http://biz-journal.jp/2016/02/post_13907.html
2016.02.22 文=森井隆二郎/A4studio Business Journal
昨年12月に厚生労働省が発表した、2014年の「国民健康・栄養調査」。世帯の所得が低いほど米やパンなど穀類の摂取量が増え、野菜や肉の摂取量は減少、さらに低所得者は喫煙や健康診断未受診の割合が高い、などの内容が話題を呼んだ。
そして、厚労省の「所得が低い人は、栄養バランスの良い食事を摂る余裕がなくなっているのではないか。食事の内容を見直すなど、健康への関心を高めてほしい」というコメントに対して、インターネット上では「お金がないから見直せないんだ」「やれるものならやっている」と非難の声が殺到した。低所得層からすれば、あまりに一方的な感覚を覚えたのかもしれない。
実際の数値を見ながら、考察してみたい(便宜上、世帯所得200万円未満を低所得、200万円以上600万円未満を中所得、600万円以上を高所得と定義する)。1日平均の穀類摂取量を調べると、低所得の男性535グラム、女性372グラムに対して、高所得は男性494グラム、女性352グラムと、特に男性に開きがある。
野菜摂取量はどうだろうか。低所得の男性253グラム、女性271グラムのところ、高所得は男性322グラム、女性313グラムとなっている。男女共に穀類とは逆転現象が起きており、数値の開きも大きくなっている。肉類も同様で、低所得、中所得、高所得の順に摂取量が少ない。
●低所得者は野菜や肉を買えない?
こうした偏りは、何に起因するものなのだろうか。食事にかかる手間やコストの関係を探るため、家計の見直し相談センターを経営して数々の世帯をサポートしている、生活デザイン株式会社代表取締役・藤川太氏に聞いた。
「所得の低い人は、どうしても偏った食事になりがちですが、それは手間の問題ではないと思います。日本だけではなく、海外もそうなのですが、例えば野菜や肉類は穀類よりも高額です。単価が高いため、低所得者の食事は、お米やパンといった高カロリーな炭水化物系ばかりになってしまうのです。この傾向は、総務省統計局の発表する『家計調査年報』でも確認できます」(藤川氏)
つまり、低所得者の人々の食事は“質より量”になりがちということか。では、彼らに「もっと野菜で栄養を摂らなければ」「肉でエネルギー補給を」といった危機感はないのだろうか。
「最近は、サラダバーや焼肉の食べ放題のようなサービスを、リーズナブルな価格で実施している飲食店が人気を博しています。やはり、『野菜や肉を摂らなければ』という意識は、多くの人の中にあるのでしょう。そういった店が人気を集めるのは、『たまにしかない来店機会に、肉や野菜をたくさん摂りたい』という意識が働いているからだと思います。ただ、栄養は“食い溜め”ができないため、効果的な対策とは言いがたい部分もあります」(同)
自分の食生活の乱れは自分が一番わかっており、時には改善に動くものだ。しかし、常日頃から気にかける経済的・精神的な余裕があるかといえば、それは難しいだろう。
「余裕はないと思います。実際、私も若い頃はかなり無理してお金を貯めようとしたことがありましたが、いわゆるコンビニ弁当を買う時は大盛りのパスタを選ぶなど、“安くておなかがいっぱいになるもの”を優先していました」(同)
●なぜ低所得者は、お金がかかるたばこをやめられないのか
では、年々値上がりしているたばこに関してはどうだろうか。
喫煙者の割合を見ると、低所得の男性35.4%、女性15.3%となっている。一方、高所得は男性29.2%、女性5.6%だ。今や“お金がかかる嗜好品”の代表格ともいえるたばこだが、男女共に低所得者のほうが喫煙率が高い。男性は約6%の差だが、女性に至っては3倍近くの開きが生じている。低所得者のほうがたばこを嗜む傾向にあるのは、なぜなのだろうか。
「これについては、一概に言うことはできませんが、あえていえば『所得が低いからたばこを吸う』わけではなく、『たばこを吸う人は所得が低い傾向にある』のだと思います。というのも、喫煙は習慣性のもので、やめるには我慢が必要ですよね。
『マシュマロ・テスト』という、子供時代の自制心と将来の平均所得の関連性を調査した有名な実験をご存じでしょうか。これは、実験者の大人が『このマシュマロは君のものだけど、私が外出して戻ってくるまで食べずにいれば、もうひとつマシュマロをあげるよ』と子供に伝え、我慢できるかどうかを見るという実験です。そして、我慢できた子のほうが、成人してからの所得が高いという研究結果が出ています。
つまり、ある目標に向かってきちんと自己管理ができる人は、比較的所得が高いということがいえます。食事でもダイエットでもそうですが、たばこを吸う人の側面のひとつとして“我慢すること”が不得意であるといえ、その一面は、効率的に仕事の成果を上げることの弊害になっているとも考えられます」(同)
●目の前に欲望に負けてしまう低所得者
また、藤川氏は、低所得者について「目の前の欲望にお金を費やしてしまったがゆえに、将来の成功を逃している部分が大きい」とも指摘する。
「所得の高い人というのは、今の欲望よりも将来の成功を取ります。例えば、友達と遊びたくても、今は将来のためにコツコツ勉強する。たばこを吸ったりお酒を飲んだりしたくても、そのお金を体のメンテナンスや将来の利益のために使う。
『目の前にある欲望を我慢して、将来のために投資する』というサイクルをつくることがポイントで、その意識を持たない限り、『お金がないから○○できない』という悪循環が止まることはありません。
将来に向けた投資が成果となって表れ、お金が入ってくる流れをつくることができれば、その時はたばこだって自由に吸えるでしょう。しかし、面白いことに、その時には『もう、たばこを吸わなくても平気になっていた』という人が意外と多いのです。『これを手放すのは嫌だ』と思っていたものが、成功をつかんだ頃には、なんでもないものになっている。これは、よくあるケースです。
ただ、そもそも今回の厚労省の報告は、『卵が先か、鶏が先か』のような議論です。『こういうことができないから低所得だ』『低所得だからこうだ』というのは、両方とも言える部分があるため、もっと切り分けて考える必要があると思います」(同)
食事、嗜好品、健康……今の自分は何を取捨選択し、どんな未来につなげたいのかを見つめ直すことが大切なのかもしれない。
(文=森井隆二郎/A4studio)
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