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三菱重工本社ビル(「Wikipedia」より/Kakidai)
三菱重工、悲願の大型客船受注で底なし巨額損失地獄…受注額の倍、納期過ぎ未完成、撤退必至か
http://biz-journal.jp/2016/02/post_13904.html
2016.02.20 文=編集部 Business Journal
三菱重工業は世界最大のクルーズ客船運航会社、米カーニバル・コーポレーション向けに大型旅客船を2隻建造中だが、その納期が遅れている。
カーニバル傘下のアイーダ・クルーズに納入する2隻は長崎造船所で建造している。2番船の船体部分は完了したが、同時建造している1番船の引き渡しが大幅に遅れている影響で、人員を2番船に割くことができない。
1番船は当初、2015年3月に納入する予定だったが、設計変更や資材調達の難航、内装の仕様変更などで、3回納期を延期した。今月中旬にイタリア当局の最終検査を受けた後、引き渡す。
1番船は今年に入り、船内で段ボールなどが燃える火災が3度起きた。長崎県警大浦署は放火の可能性があるとみて調べている。放火というのは、たとえ被害は軽微でも、より深刻な事態だ。9年ぶりの大型客船の建造は御難続きなのである。
客船事業を造船の柱に
三菱重工は11年、カーニバルから大型客船2隻を受注した。12万4500総トン、3300人乗りという大型船である。アイーダ・クルーズが使う船で、受注額は2隻で1000億円。長崎造船所で建造し、1番船は15年3月、2番船は16年3月に引き渡す予定になっていた。
三菱重工の客船事業は02年10月に、建造中の「ダイヤモンド・プリンセス号」が火災を起こした後、注文が途絶えていた。
中国や韓国に受注を奪われ、三菱重工は10年に貨物運搬船など採算の悪い商船の建造から撤退した。その後は高い技術力を生かし、LNG(液化天然ガス)運搬船や大型客船、艦船などに経営資源を集中してきた。とりわけ客船事業を造船の柱に据え、海外での受注活動を積極的に行ってきた。
カーニバルは16年までにさらに8隻の客船を保有する計画だ。2隻の受注で三菱重工に追加注文の可能性が高まった。当時、「日本で建造できるのは当社だけ」と三菱重工の鼻息は滅法荒かった。だが納期の遅れが相次ぎ、大型客船分野のチャンピオンになる夢は消えた。
■受注額を大幅に上回る特損1800億円超
長崎造船所香焼工場で13年6月、1番船を起工した。だが1年もたたない14年3月、設計変更を繰り返し費用が増加したという理由で、641億円の特別損失を計上すると発表した。同年10月には追加特損398億円、さらに15年5月にも297億円の損失が出ると公表した。
15年3月期連結決算の売上高は前期比19%増の3兆9921億円、営業利益は44%増の2961億円と過去最高を更新した。火力発電所部門を日立製作所と統合したことに伴う売り上げ増が寄与した。しかし、純利益は31%減の1104億円だった。豪華客船事業で特損が膨らんだためだ。
15年9月期中間決算でも310億円の特損を計上した。過去の特損と合わせて累計は1648億円に達した。1番船が納期を再々延期した代償がこれだ。2番船の納入遅れで、さらに損失は膨らむことが確実だ。
三菱重工は2月4日、16年3月期の業績見通しを下方修正した。連結純利益は、それまで1300億円(前期比18%増)を見込んでいたが、一転、18%減の900億円となる。大型客船部門で新たに221億円の特損が発生する。累計損失は5年間で1869億円になる。損失の累計は2隻の受注額の2倍近くに膨らむことになる。
下方修正したとはいえ、売上高は2.7%増の4兆1000億円と初の4兆円台に乗る。営業利益は1.3%増の3000億円と過去最高を更新する見込みだ。
祖業である造船事業は不振のシンボルに変わり果て、客船事業への復帰は高くついた。1、2番船の納入が済めば客船事業から撤退するとみられている。
■不審火の原因を探る
三菱重工長崎造船所では、今年に入って船内で不審火が3回連続して起きた。世界から集まった数千人規模の労働者をゲートで一人ひとりチェックしているが、巨大な船に入ってしまえば、すべてのエリアをカメラで監視するのは不可能だ。「これだけ人数が多いと(火事の)原因究明もできない」との声が挙がり、現場の混乱は終息していない。
02年にも大型客船で火災が発生し、全体の4割が焼失している。その原因は溶接作業の熱だったが、今回は放火で、しかも犯人も動機もわかっていない。1番船がこのような状況で、年末にした2番船の納期も守れる保証はない。再延期すれば損失はさらに増える。
三菱重工は昨年秋、商船事業などを分社化。長崎造船所は実質6つの会社に分かれている。大型客船は三菱重工本体、今後の主力となるガス運搬船は新しくできた会社だ。さらに多数の関連・協力会社がひしめき合っている。
この分社が長崎造船所の一体感を失わせているのではないかとの懸念も生じている。宮永俊一社長の経営力・統率力(ガバナビリティ)が問われている。
(文=編集部)
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