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シャープのロゴ
シャープ、危機下で何も決断できない最悪の経営者…国、税金でゾンビ企業延命の愚策
http://biz-journal.jp/2016/02/post_13849.html
2016.02.18 文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント Business Journal
シャープ再建のパートナーは台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業となるのか、官民ファンド・産業革新機構(以下、機構)となるのか――。2月29日までにシャープは鴻海の提案に答えを出すとしているが、高橋興三社長が率いるシャープの経営陣は本当に答えを出せるのか、私は疑っている。
1月末段階でシャープへの出資者として有力だったのは機構だった。機構は3000億円規模の出資をする代わりに、シャープに多額の融資を行っているみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行に対して債権の一部放棄を要求していた。また、現経営陣に対しても退陣を求めて、社員のリストラも必要だとしていた。
シャープの液晶部門を機構が出資するジャパンディスプレイに統合することにより、技術の海外流出を防ぐという大義名分を掲げた機構案が有利と見られていた。
■オーナー経営者とサラリーマン社長
風向きを変えたのは、1月30日に鴻海の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長がシャープ本社を訪問して、大胆な提案をしたことだった。6000億円とも7000億円ともいわれる支援提案をし、これにより銀行の債権放棄は要請しない、とした。またリストラや経営陣の退陣も求めないとした(のちに「40歳以下の社員の雇用は守る」と後退)。
2月4日に開いた2015年度第3四半期決算の記者会見で、高橋社長は鴻海案を前向きに取り上げ「(鴻海案にが)一番リソースを掛けて検討している」と、一定の評価を見せた。
これを受けて、郭董事長は急遽再来日を果たし、2月5日にはシャープ本社で出資交渉を行った。8時間以上に及んだ交渉直後、郭董事長は記者団に「交渉は9割乗り越えた。あとは法的な問題だけだ」と合意は時間の問題だとして、合意文書で郭董事長と高橋社長がサインした部分まで示して自信を見せた。
ところが、その1時間後にシャープは「鴻海に優先交渉権を与えた事実はなく、2月29日まで交渉を続けるという合意をしただけだ」という発表を行った。これは、台湾人が大切にする「面子」を真っ向から潰すようなことだ。
2月5日の郭董事長とのサシの交渉で、高橋社長が最終決定を出せなかったことは理解できる。シャープは上場している株式会社なので、このような重大事案について取締役会での議決を経なければ、その場で高橋社長が結論を示すことは許されないからだ。
しかし、状況を考えてみれば、年商15兆円規模を誇る世界有数の企業グループの総帥が1週間の間に2度も来社し、機構が提案していた支援策よりも大幅に有利な案を示したのだ。「提案を感謝して、真摯に検討し前向きな結論を目指したい」というような対応が、なぜ取れなかったのか。
さらに2月12日にシャープは臨時取締役会を開き、機構とも出資など支援策の受け入れに向けた本格的な交渉に入ることを決めた。
鴻海と機構との間で高橋経営陣は右顧左眄(うこさべん)しているとしか思えない。婚約希望者をじらしているかぐや姫はそのうち月に上ってしまった。
2月5日のその時点で結論はおろか、方向も示すことができなかった高橋社長を含むシャープの経営陣が、2月29日までにきっぱりとした決断を出せるのか、大いに見ものである。シャープが今回もし鴻海を取り逃がしたら、高橋社長は「2016年ワースト経営者」の有力候補となる。現にその候補資格を有していると、多くの識者が見ているのではないか。
■官民ファンドは手を引くべき
機構側がこの期に及んでまだ意欲を示しているのが不可解だ。機構案では、液晶部門のジャパンディスプレイとの統合に加え、家電事業は東芝の家電事業と統合するなど、シャープを解体して電機業界再編の目玉にする意向だ。それを機構側では「われわれが入れる資金は、成長投資にしか使わない」(志賀俊之会長兼CEO)としているが、統合により設備過剰の弱者連合になるなど、ダイナミックな成長は期待できない。
さらに、機構が出資するカネの色合いが問題となる。つまり、それはもとを正せば税金ではないか、という点だ。成長企業の育成という使命を掲げて設立された機構が、公的資金を使ってゾンビ企業を永らえさせるのが正しいことなのか。
機構案では、さらにシャープに貸し越している2銀行に多額の債権放棄を求めている。銀行といえども一事業会社だ。放漫経営を続けて苦境に陥った事業会社を救済するのに、なぜ銀行という民間金融機関が大きな損害を受けなければならないのか。「そんなことは必要がない」とする鴻海が出てきた以上、機構が従来のスキームを通そうとすることはまったく説得力がない。志賀会長は「引き下がったわけではない」としていると伝えられるが、お引き取りをいただいたほうがよい。
■三洋電機が来た道
シャープの業容の推移を見ていると、三洋電機の栄枯盛衰を思い出す。三洋は一時年商2兆円、従業員数10万人規模を誇った。それが11年にパナソニックの子会社として吸収され、今では社名も残っていない。シャープも機構案ではいずれ切り刻まれ、事業ごとに別の会社と統合され、名前も残らなくなったであろう。一方、鴻海の支援を受け入れれば、社名やブランドは残るだろうが台湾企業となる。三洋の白物家電部門が中国ハイアールに吸収されたのと同じ構図だ。
私は15年2月の別の連載「展望!ビジネス戦略」で「赤字転落のシャープ、17年までに消滅の危機」とした。そのなかで、高橋社長のことを「心もとない高橋社長のリーダーシップ」とも酷評した。三洋電機も思い起こせば、解体消滅したときにはジャーナリスト上がりの「けったいな」女性社長が登板して、力を発揮することができなかった。高橋社長も「シャープのけったいな企業文化を変える」として立ちすくんで来てしまったままだ。軽井沢事故の教訓は、「バスが曲がり角に差し掛かったときに不適な運転手が搭乗していると恐ろしい」ということだった。シャープも大転倒しないことを祈る。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)
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