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キヤノン本社(「Wikipedia」より/上野)
キヤノン老害・御手洗会長、同郷人優遇し20年権力保持の異常経営…成長鈍化の要因か
http://biz-journal.jp/2016/02/post_13838.html
2016.02.17 文=編集部 Business Journal
1月は各分野で大手企業の社長交代発表が相次いだ。経営体制を刷新する企業もあれば、実力者がトップとして引き続き影響力を維持する企業もある。
キヤノン、社長後継者は同郷人
キヤノンは3月30日付で社長兼最高執行責任者(COO)に専務の真栄田雅也氏が昇格する。会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)の御手洗冨士夫氏は会長兼CEOとして引き続きグループ全体を統括するため、実態として御手洗氏が実権を握る構図は変わらない。
御手洗氏は1995年に社長、2006年に会長となった。10年に経団連会長を退任後、経営の第一線に返り咲き、12年から社長を兼務してきた。
最初の社長時代の御手洗氏はキヤノンを日本有数の高収益企業に変貌させた。しかし、12年に御手洗氏が社長に復帰した後のキヤノンの業績は足踏み状態となった。成長をけん引したデジタルカメラはカメラ機能付きのスマートフォン(スマホ)の急速な普及に押されて、成長が鈍化した。
16年12月期から始まる中期経営計画では企業向け事業の強化を掲げる。監視カメラや商業印刷といった新規事業へ注力し、成長を軌道に戻したいとしている。
真栄田氏は1975年に九州大学工学部を卒業後、キヤノンに入社した。技術者として祖業のカメラ畑を歩いた。2000年代にはカメラ事業を指揮する立場となり、フイルムカメラからの買い替えが進んでいたデジタルカメラに注力。デジカメをドル箱に育てた。
御手洗氏は「クローニー・キャピタリスト」(縁故資本主義の経営者)と呼ばれる。同氏の社内人脈は故郷の大分県佐伯市の人脈と重なる。そもそも、御手洗氏が経営改革に成功したのは、「しがらみ」と無縁だったからだ。23年間米国に駐在していたため、親分子分や貸し借りの人間関係に煩わされることなく、ビジネスで合理主義を貫き通すことができた。この利点の裏返しともいえるが、損得を度外視して御手洗氏のために汗を流す人間が社内にいないのだ。
06年、後任社長に据えた内田恒二氏は佐伯鶴城高校の後輩だ。御手洗氏は大学受験のため佐伯鶴城高校から東京・小山台高校に転校している。財界活動に専念している間に実権を奪われないように、同郷で息のかかった内田氏を社長に選んだといわれている。
今回、社長に引き上げた真栄田氏も同郷だ。真栄田氏の出身地、宮崎県延岡市は大分県佐伯市の隣町で、通勤・通学地域は同じだ。
新中期経営計画の5年間、御手洗氏はトップであり続けることになる。社長の椅子は確かに譲ったが、85歳までトップを続けると宣言したようなものだ。これでは、キヤノンが成長軌道に戻る保証はどこにもない。
■LIXILグループ、「プロ経営者」を解任
LIXILグループは「プロ経営者」として注目された社長兼CEOの藤森義明氏が16年6月に退任する。後任に工具通販大手、MonotaRO(モノタロウ)会長の瀬戸欣哉氏を充てる。
取締役会議長で指名委員会委員である潮田洋一郎氏が社長交代を決めた。潮田氏はLIXILの前身のひとつであるトステムの創業家出身。潮田氏が米ゼネラル・エレクトリック(GE)出身の藤森氏を三顧の礼をもって社長に迎えた経緯がある。
藤森氏は潮田氏が目標に掲げた売上高3兆円を達成するため、グローバル展開を進めた。しかし子会社にした独グローエ傘下の中国企業ジョウユウの不正会計が発覚し、600億円を超す特別損失を計上した。海外M&A(合併・買収)に通暁しているはずの「プロ経営者」の大失態だった。
潮田氏が藤森氏の後任に選んだ瀬戸氏は、藤森氏と共通点が多い。2人とも米国仕込みの経営手法を取る。
瀬戸氏は東京大学経済学部卒で住友商事の出身。米ダートマス大学でMBA(経営学修士)を取得した。インターネットビジネスの勃興期に、工具のネット通販というニュービジネスを立ち上げた。2000年10月、住友商事と米資材会社グレンジャーの合弁会社、住商グレンジャー(現モノタロウ)の設立に参画。社内ベンチャー企業の社長を務めた。06年、東証マザーズに上場(09年、東証1部に指定替え)。09年住商が全株を売却し、グレンジャー・インターナショナルが47.84%の株式を持つ親会社になった。グレンジャー・ジャパンも4.8%を保有しており、過半数を握る。瀬戸氏は12年から会長を務めている。
潮田氏が瀬戸氏に白羽の矢を立てたのは、モノタロウが11年に立ち上げた建材販売会社にLIXILが出資した際、「(瀬戸氏から)強いインプレッション(印象)を受けた」からだという。
瀬戸氏は社長交代の会見で藤森氏のM&A路線を否定した。「(藤森氏とは)違うやり方でやる」と言い切り、藤森氏が掲げた売上高3兆円の目標にも「固執しない」と断言した。新事業を立ち上げ、国内回帰を図るとしている。
「ガバナンス(企業統治)というのは、トップを辞めさせる(ことができる)かどうかだ」
これは潮田氏の言である。トップの選任・解任を決めるのが自分の仕事だと言っているのだ。潮田氏は藤森氏を社長に招いた。だが、業績は低迷し、お眼鏡に適わなかった。そこで、今度は瀬戸氏に乗り換えたのだ。LIXILの今後の成長は、“キングメーカー”潮田氏の経営者の力量を見極める“眼力”にかかっている。
■脱創業家を進める牧野フライス製作所
牧野フライス製作所は取締役の井上真一氏が6月22日付で社長に昇格する。創業家で社長の牧野二郎氏は会長などの役職には就かず、退任する。31年間、カリスマとして同社を牽引してきた牧野氏から大幅に若返る。
井上氏は92年、北海道大学大学院修了、牧野フライス製作所に入社。14年に取締役。航空機向けマシニングセンタ開発部隊のエースだ。「好奇心が強く、なんでも受け入れる。伸び代が大きい」と牧野氏は高く評価した。開発畑が長かった井上氏を昨年、営業本部長に据え、経営全般を見る目を養わせた。
井上氏は現在49歳なので、10年後でも59歳だ。長期政権になる可能性が高い。中長期の視点でユーザーとの関係を強化する。
若返りにほど遠いNEC
日本電気(NEC)は16年4月から始まる新中期経営計画を期にトップが交代する。4月1日付で副社長の新野隆氏が社長兼CEOに昇格する。社長の遠藤信博氏は代表権を持つ会長に就く。
新野氏は77年京都大学工学部を卒業してNECに入社。大学時代は京大アメフト部の黄金期で、新野氏は守備の要だった。卒業後は、アメフトから離れたが、今でもアメフトの話になるとエンドレスになるといわれている。
新野氏は入社以来、金融向けソリューション(システムの問題解決)に携った。工学部卒だが営業一筋。最高戦略責任者(CSO)として新中期経営計画を立案し、この中経を実行するために社長に昇格した。
社長の遠藤とは1つ違いの同世代。若返りとはほど遠い。「電電ファミリー」の長兄と呼ばれたNECは、次兄の富士通に抜かれつつある。業績は悪く、NECの16年3月決算の4〜12月期の営業利益は182億6500万円で前年同期比48.7%減、経常利益は152億円、58.1%減となった。最終利益は3億4200万円と同98.5%減。業績悪化から1月29日の株価は一時、303円(38円安)と14年5月27日以来の低い水準に崩落した。
若返りが急務だったはずだが、遠藤氏が権力を維持するために、予定調和的な人事となった。
■海外M&Aの失敗で会長が引責退任
キリンホールディングス(HD)のトップの退任は、海外M&Aの失敗の責任を取ったものだ。
会長の三宅占二氏が3月末で退任する。社外取締役を増員し、三宅氏が務めていた取締役会の議長職も社外取締役に委ねることで、外部の視点によるガバナンス体制を強化する。
キリンHDは11年、ブラジル第2のビール会社、スキンカリオール(現ブラジルキリン)を3000億円で買収した。ブラジルのビール市場は世界首位のアンハイザー・ブッシュ・インべブ(ベルギー)の牙城で、価格競争に完敗した。
キリンHDは15年12月期連結決算でスキンカリオールの取得によって生じたのれん代の減損など1140億円を特別損失として計上。最終損益は560億円の赤字となり、上場以来初の赤字に転落する見通しだ。
スキンカリオールを買収した当時のキリンHDの社長が三宅氏だった。失敗に終わった海外M&Aの責任を取ってツメ腹を切らされた。
(文=編集部)
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