Business | 2016年 02月 15日 17:01 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 焦点:米主要企業は減収減益傾向、雇用悪化につながる恐れも [ニューヨーク 12日 ロイター] - 米企業の決算発表が進むにつれ、全体の利益見通しが改善するのがこれまでの一般的な傾向だったが、今回は異なるようだ。アナリストらは2016年上期の売上高・利益見通しを相変わらず引き下げている。 トムソン・ロイターのデータによると、15年第3・四半期に始まったS&P総合500種採用銘柄の減益傾向は1年間に及ぶ見通しだ。株式投資家にとって小さな問題ではない。S&P総合500種は昨年末以降で約9%値を下げている。 米国の成長率見通しが軟化し、企業の投資計画が一段の後退を余儀なくされ、雇用環境も悪化する可能性がある。 <投資拡大余力に疑問> 利益低迷は商品安を受けてエネルギーや原材料セクターが中心となっているが、その他のセクターも堅調からは程遠い。S&P総合500種を構成する全10セクターで第1・四半期見通しが悪化している。 シノバス・トラスト・カンパニー(アトランタ)のシニアポートフォリオマネジャー、ダニエル・モーガン氏は「利益の面ではわれわれは正しい方向に向かっていない」と指摘する。 軟調な売上高も投資家の懸念だ。大半の企業がアナリスト予想を下回っている。 これまでに公表された四半期決算で失望が大きかったのは、アップル(AAPL.O)の売上高が予想割れしたことだ。 S&P総合500種採用企業の売上高は第4・四半期に3.4%減少すると見込まれている。減収は4四半期連続で、企業の投資拡大余力に疑問が投げかけられている。 独立系調査会社アーニングス・スカウトの創業者、ニック・ライヒ氏は「私のキャリアの中で、雇用が拡大しながらS&P総合500種採用企業が減収となっている事態を見たことがない。雇用改善の継続性には疑問がある」と述べた。 <エネルギーセクター打撃大きく> 利益の面では大半の企業が見通しを上回っているものの、目覚ましい業績というわけではない。 公表済み決算および決算見通しによると、S&P総合500種採用企業の第4・四半期利益は前年同期比4.0%減少する見通し。決算を発表した企業は全体の約75%に達している。 これは期初の見通しである3.7%減を下回っているほか、1カ月前の見通しである4.2%減とそれほど変わらない水準。利益見通しは通常、企業の決算発表が進展するにつれて改善する傾向があるにもかかわらずだ。 第1・四半期についてみると、全10セクターのうち、7セクターは減益決算となる見込み。中でもエネルギーセクターは前年比89.4%の減益で、この2カ月未満で減益幅見通しは2倍以上に膨らんだ。 確かに、一部のストラテジストは株式市場は売られ過ぎであり、ファンダメンタルズが無視されているとの指摘もある。 RBCキャピタル・マーケッツのアナリストは、多くのS&P総合500種採用企業、特に一般消費財、ハイテク、ヘルスケアセクターの企業では利益見通しおよび株価のこの3カ月における落差が大きいとした上で、一定の買い機会を提供していると指摘する。 一方、株価は割安に見えるかもしれないが、利益環境を眺めれば投資家が株式市場に戻ってくるような理由はほとんどないとの声もある。 S&P総合500種採用企業の予想株価収益率(PER)は15.2倍。年初の16.9倍から低下した。 (Caroline Valetkevitch記者 翻訳:川上健一 編集:加藤京子) http://jp.reuters.com/article/usa-results-stocks-idJPKCN0VO0OE FX Forum | 2016年 02月 15日 18:01 JST 関連トピックス: トップニュース コラム:株反発は本物か、リスクオフ転換の鍵=岩下真理氏 BY 岩下真理 SMBCフレンド証券 チーフマーケットエコノミスト
[東京 15日] - 日銀のマイナス金利導入から2週間。為替市場では、リスク回避の円高から米国不安・米利上げ観測後退のドル安に変貌しながら、ドル円は11日に一時110円台に突入した。日銀の奇策で円高を阻止したのはわずか2日、先週は11円程度の円高進行を招いてしまった。 その後、12日発表の米1月小売売上高が市場予想を上回ると、米国経済に対する過度な悲観論は和らぎ、週明けには114円近辺まで戻している。一方、日経平均の12日終値は1万5000円割れまで急落。経済最優先を掲げる安倍政権にとって、2014年10月のハロウィーン緩和前の水準まで株価が急落したことに、危機感は強まっているだろう。 12日、安倍首相は黒田日銀総裁、浅川財務官と会談した。週明けの日経平均は、米株反発の流れと政策期待もあって1万6000円台回復と大幅上昇したが、日本だけで何ができるかだ。それでも日本は今年、主要7カ国(G7)議長国であり、この危機対応でリーダーシップを示すチャンス到来とも言えるが、実際にはどれだけ米国と中国に働きかけられるかだろう。 筆者が考える処方箋は、まず中国が景気対策として具体的な財政出動を発表すること、加えて人民元を安定化させる意向を強く示すことだ。さらに、日米欧中銀が行動の伴った協調姿勢を明確に示すことも必要だろう。 報道によると、20カ国・地域(G20)の協議では新興国の資本流出への対応が焦点になる見通しだ。黒田総裁が、1月のダボス会議で個人的見解として「中国の資本規制が為替相場の管理に役立つ可能性がある」と発言したのも、一案の提言だったことがうかがえる。 一方、周人民銀総裁は直近のインタビュー記事で、元売りをけん制しつつ外貨準備で相場を支える余地があると示唆。G20会合では、金融市場の混乱に対して協調姿勢は確認されようが、先進国と新興国との利害が一致しない面も多く、この会合で市場が期待するような具体策が示されることは難しいだろう。 昨年9月のアンカラG20会合時も、根本的な解決に向けて、米中にボールが投げられた格好だった。他方、中央銀行サイドでは、すでにドラギ欧州中銀(ECB)総裁は3月緩和の可能性を示唆しており、物価見通しの下方修正に伴ってマイナス金利のさらなる引き下げに踏み切る可能性は高い。日銀も危機的な状況であれば、追加緩和を辞さないはずだ。 米連邦準備理事会(FRB)は、昨年12月時点での年4回の利上げペースの見直しを、3月発表の新たなドットチャートなどで示すと予想する。その一連の流れにおいて、何らかの協調姿勢を示す工夫が求められよう。 <日本経済は持ち直すのか> 15日朝に発表された日本の10―12月期実質国内総生産(GDP)1次速報は、前期比マイナス0.4%、年率マイナス1.4%と2四半期ぶりのマイナスとなり、市場予想平均の年率マイナス1.2%からやや下振れた。 一部予測にあった年率マイナス2.0%台まで落ち込まずに済んだが、中身を見ると解せない部分がいくつかある。最大の下押し要因は個人消費(寄与度マイナス0.5%)であり、次に輸出(同マイナス0.2%)も足を引っ張った。その一方で押し上げたのは、輸入減少(同プラス0.3%)と設備投資(同プラス0.2%)だ。 筆者は関連統計から、輸出はプラス、設備投資はマイナスを見込んでいたので、この2項目の動きは予想外だった。前者は日銀の実質輸出入と真逆の動きであり、為替換算時のズレがあるにせよ、多少なりとも季節調整の歪みがあるのかもしれない。 後者は各種設備投資計画の強さとは整合的とはいえ、資本財や建設財出荷の動きと大きく異なり、ソフトウェア投資の押し上げが読み切れなかった部分もありそうだ。3月1日発表の10―12月期法人企業統計の数字次第で、同月8日発表のGDP2次速報では多少の修正があるだろう。 今回、個人消費は前期比マイナス0.8%と、7―9月期同プラス0.4%から大幅マイナスに転じた。暖冬の影響もあって衣服とガソリンが落ち込み、テレビも低迷したようだ。雇用者報酬の前年同期比は実質プラス1.8%と3期連続のプラスでプラス幅も拡大。毎月勤労統計が示す鈍さよりも所得環境の改善を物語っている。だが、所得面の後押しがあっても、天候要因や先行き不安に伴う節約志向が強ければ、消費は低迷する。 同じ10―12月期実質GDPの前期比年率の伸びは、速報値で米国がプラス0.7%、ユーロ圏がプラス1.1%だ。日本のマイナス1.4%はかなり弱い。それでも10―12月期は過去の数字であり、重要なのは1―3月期以降に持ち直していけるかだ。 10日発表のESPフォーキャストの2月調査(回答期間は1月27日から2月3日)では、予測平均で10―12月期の落ち込み(前期比年率マイナス0.76%)から1―3月は持ち直す姿(同プラス1.44%)が示されている。過去20年間、5回ある閏年の1―3月期はいずれも年率プラス2%以上の高成長となっている。今年も1―3月期の生産計画が強めスタートであり、その後、自動車関連工場の火災で下振れやむなしだが、10―12月期の反動増は期待できる。 ただし、懸念されるのは、年明け以降の海外経済の先行き不透明感および急速な円高・株安進行が、企業行動や消費に悪影響を及ぼさないかだろう。 <必要なのは政府と日銀の合わせ技> 日本発の悲観論にならないため、今後、政府の対応として考え得る対策はまず為替介入だ。11年には、8月4日と、10月31日から11月4日に、日銀の追加緩和とセットで為替介入が実施された(後者の為替介入は10月27日の追加緩和後の週明け以降に実施)。ドル円の当時の水準(75円程度)に比べ、現水準はまだ耐久力があるようにも見えるが、調整スピードの速さに危機感は強まっている。 次に考え得る対策は、5月の伊勢志摩サミットの前に肉付けをするとしている成長戦略の具体化、補正予算の編成、消費増税(17年4月)の先送りだろう。財政再建を進める上で消費増税先送りは将来世代への負担先送りにすぎず、避けたいものの、最後は政治決断となる。 2月3日の黒田総裁の講演で、最後の決め台詞は「できることは何でもやる」だった。日銀のマイナス金利導入の失敗は、金融機関の収益減少懸念がもたらす銀行株下落という波及経路の悪影響を甘く見ていたこと、欧米の信用面にも不安を広げてしまったことだ。マクロ面の効果はかなり時間が必要であり、マインド面にもマイナス作用となりかねず、市場はあっという間にダメ出しをした状況だ。 よって、日銀の次なる追加策としては、すぐにマイナス金利を深堀りしていくよりも、昨年12月の補完措置を活用する形で、再び量で攻める国債買い入れの増額(実弾20兆円)や、銀行保有株の売却再開の延期などを決定した方が得策だろう。 そもそも、量とマイナス金利の両立は難しいと筆者は考えており、量的・質的金融緩和(QQE)の枠組み自体を変えないのなら、当面はこれ以上、マイナス金利に触らないという勇気ある決断も必要ではないか。すでに緊急の金融政策決定会合の観測も出始めているが、日銀の独走では一過性で終わる可能性が高い。 やる以上はムダ撃ちにならないよう、政府との合わせ技(為替介入、経済対策とのポリシーミックス)やG7の国際協調の一環として行うなど、効果的なタイミングと組み合わせ手段を検討すべきだろう。 *岩下真理氏は、SMBCフレンド証券のチーフマーケットエコノミスト。三井住友銀行の市場部門で15年間、日本経済、円金利担当のエコノミストを経験。2006年1月から証券会社に出向。大和証券SMBC、SMBC日興証券を経て、13年10月より現職。 *本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら) *本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。 http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-mari-iwashita-idJPKCN0VO0OF?sp=true ドラギ発言にかつてほど効果期待できずとの見方も−15日に議会証言 2016/02/15 14:36 JST (ブルームバーグ):ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁はかつて、刺激策が差し迫っているとほのめかすだけで金融市場を望む方向に動かすことができた。同総裁に今もこうした能力があるかどうか、投資家は週明けに知ることになる。 ドラギ総裁は15日、欧州議会で2時間にわたり証言する。3月のECB政策委員会で総裁がどう動くかを示唆するだけではなく、世界の金融当局に経済成長や金融セクターへの信頼感を高めさせる能力があるかどうかを示すものにもなりそうだ。先週は銀行株が売られ、世界の株式相場の指標は2013年以来の安値を付けた。 世界的なリセッション(景気後退)懸念で米金融当局が今年の利上げの道筋について見直しを迫られる中、ドラギ総裁らECB当局者は、ユーロ圏を再びデフレ圏へと向かわせる恐れがある原油安とユーロ高に対処している。しかしマイナス金利政策と資産購入の負の側面が一段と明らかになる中で、ドラギ総裁が落とす政策に関するヒントは以前ほど熱狂的な歓迎を受けない可能性がある。 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの欧州チーフエコノミスト、ジル・モエック氏(ロンドン在勤)は、「現在は中銀にとって非常にまとまりのない状況だ」と指摘。「市場は中銀に対し多くを求め、行動を要求しながらも、この行動が決定的なものになるとは思っていないようだ」と説明した。 ドラギ総裁はブリュッセル時間15日午後3時(日本時間同午後11時)に証言を開始。その後、欧州議員らとの質疑応答がある。 原題:Draghi’s Knack for Market Turnarounds on Review as Doubt Grows(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:フランクフルト Jeff Black jblack25@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Paul Gordon pgordon6@bloomberg.net Emma Charlton 更新日時: 2016/02/15 14:36 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2KK0U6KLVR801.html Business | 2016年 02月 15日 14:20 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 焦点:市場動揺封じへG20連携、資本規制も 効果には疑問 [東京 15日 ロイター] - 政府は、金融資本市場での過度な動揺を封じるため、各国との政策協調に向けた調整に入った。中国・上海で26、27日に開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の場で、為替や原油市場の動向に加え、資本規制などのテーマが広く議題となる見通しだ。しかし、G20声明が採択されても実際にどう行動できるかは手探りの状況で、失望を招けばかえって事態を悪化させかねない。
<単独での為替介入は期待薄> 緊張感をもって市場を注視していく――。麻生太郎財務相は12日の記者会見でこう述べ、月末のG20開催に向け、各国との政策協調を検討する考えを示した。背景には荒い値動きを続ける円相場への危機感がある。 円相場は11日のロンドン外国為替市場で一時1ドル=110円台と、14年10月以来のドル安/円高水準を付けた。世界経済への不安から金融市場が緊迫し、円は対ドルで2月に入って10円超上昇。リーマン・ショック後の08年10月以来の変動幅となっても、なお動揺は収まっていない。 多くの輸出企業が想定している115円より円高での推移が続けば、国内企業の収益悪化を招き、株価をさらに押し下げる要因となりかねない。 政府関係者のひとりは「世界的なリスクオフ(危機回避)の中では、単独で為替介入しても意味がない。原油市場での投機的な動きを含め、(G20で)認識を共有できるかが焦点になる」と指摘する。 <振れ増幅ならG7で対応も> 市場の振れが今後も増幅するようなら先進7カ国(G7)で連携を取り、G20会合を待たず、動揺を封じる手立てを講じる公算が大きい。別の政府関係者は「あらゆる選択肢を排除しない」としており、状況に応じて新興国の資本流出への対応も含め、各国に働きかけたい考えだ。 ギリシャ債務危機で世界的な株安に見舞われた2011年10月のG20では、世界的な金融危機封じに向け、欧州に迅速な行動を求める共同声明を採択した。しかし、市場の疑心暗鬼はその後も払しょくできず、対応の遅れを指摘する声が広がった。 日米欧の金融政策の方向性が異なる現状で、実効性を伴う協調策を打ち出せるか。政府の意向とは裏腹に「リスク回避の流れが反転するのかは微妙。失望を招けばかえって不安を増幅するだけ」(大手銀行関係者)との見方も、なお根強い。 (梅川崇、梶本哲史 編集:山口貴也) http://jp.reuters.com/article/japan-preg-idJPKCN0VO0DJ
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