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アップルの店舗(撮影=編集部)
アップル、繁栄終焉の兆候…アマゾン、ネット通販企業の枠出て「アップル超え」目前
http://biz-journal.jp/2016/02/post_13776.html
2016.02.14 文=大西宏/ビジネスラボ代表取締役 Business Journal
イノベーションを起こして時代をリードしてきた企業といえば、どの企業が思い浮かびますか?
たとえばアップルは、2012年6月末にはじめて時価総額で世界のトップに浮上し、それ以降は13年の一時を除くと首位を独走してきたことからも、市場から「時代をリードする企業」だと評価されているといえるのではないでしょうか。ちなみに15年3月以降は2位がグーグル(現在は持株会社アルファベット)、3位がマイクロソフトと、ITの世界3強がランキング上位を独占しているのはまさに現代を反映しています。しかし、まだ結論づけるのは早計ですが、アップルが時代のリーダーである時代は、終焉が近づいている兆候が見え始めています。そして注目すべきは、アマゾンの成長です。
■疑問符がつき始めたアップルの成長力
アップルの15年第4四半期(7〜9月)決算は、7四半期連続の増収増益となり、アップルの歴史の中で最も輝かしい年で終わるはずでした。
ティム・クックCEO(最高経営責任者)が決算に関する電話会見で、「我々はこれから、iPhone 6s/6s Plus、Apple Watch、iPad Pro、Apple TVといった過去最強の製品ラインアップとともに年末商戦を迎える」と自信たっぷりに語り、またiPhoneが中国市場で成功を収め、再びアップルの快進撃が始まったように見えたのですが、株価はその直後に急落します。
以下グラフはアップルの15年各月末の時価総額推移を示したものですが、世界トップであることには変わりなくとも、時価総額は減少し続けています。
アップルの時価総額は15年4月末の7,506億ドル(約88.4兆円)をピークに、12月末には5,869億ドル(約68.9兆円)となり、8カ月で19.5兆円、およそ20%強が消えてしまったのです。なぜ好調なアップルの時価総額が下がるという事態が起こったのでしょうか。
アップルの成長に疑問符がつき始めたのです。同社の売上高のうち、iPhoneのそれが60%を超えており、スマートフォン事業への依存度が極めて高くなっています。15年にそのスマートフォン市場に異変が起こります。市場そのものの成長に急ブレーキがかかったのです。市場が成熟し、飽和状態を迎えた兆候が表れ始めたのです。
iPhoneに代わって成長を牽引するはずだったiPadも、前年割れとなってしまいます。Apple WatchやApple TVは顧客をアップルのブランドに囲い込むことには役立っても、売上高が約515億ドル(約6兆1973億5000万円)、純利益が約111億ドル(約1兆3357億4000万円)のアップルの成長を牽引するほどの潜在力はありません。
気がつくと、アップルの次の時代の成長を支える事業が見当たらないのです。スマートフォンを成長エンジンにしようとするとシェアをとっていかなければならず、かなりの無理が生じます。実際15年10〜12月決算で、売上高が前年同期の1.7%増、iPhoneも販売台数が7,500万台で、前年同期比0.4%増にとどまり、07年の初代の発売以来、最も低い伸び率でした。
アップルにとって次の時代を支える事業として考えられるもののひとつに、電気自動車が挙げられます。「Project Titan」の名の下に、すくなくとも600名のエンジニアを採用して開発体制を整えているのは公然の秘密で、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、19年の出荷を目指して開発を加速させているともいわれています。
しかし、Apple Carはまだ姿を見せておらず、海のものとも山のものともわかりません。自動車でも、現在のように製造をアウトソーシングできるのか、サービス体制はどうするのかといった疑問もあるでしょうし、またグーグルのGoogle Carが、米カリフォルニア州が発表した自動走行車に関するガイドラインで、運転資格のある人が乗って運転できる状態でなければならないとされ、ゼロからの計画見直しが迫られたように、イノベーションを持ち込もうとしても、思わぬ落とし穴がないとも限りません。自動車のOSで優位なポジションを獲得するといっても、何で収益を得るのかも不透明です。
■アマゾン、「成長はしても利益がでない企業」から脱皮
そんななかで今、勢いづき始めた企業といえば、なんといってもアマゾン・ドット・コムかもしれません。アマゾンといえばインターネット通販企業のイメージが強いです。ビジネスモデルが異なるので単純には比較できませんが、流通総額ではすでに中国のアリババに抜かれています。
これまでアマゾンは1995年のサービス開始以来売上を伸ばしてきたものの、営業利益率でみればピークは04年の6%強で、その後は営業利益率が低下し続けてきました。そして、12年は大規模な物流投資を行ったために赤字を計上。また、14年もスマートフォン事業の失敗が響いて2億4,100万ドルの赤字決算となります。成長は持続するものの利益がでない企業、それがアマゾンでした。
ところが15年の第1四半期決算報告から、アマゾンは06年にスタートさせたAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)事業の業績を初めて発表します。
それは、アマゾンへの市場の評価を一変させます。株価と時価総額のランキングも上昇し、15年1月には36位だったのが、11月、12月は6位にまでランクアップします。それだけ市場から注目され評価されたのです。
以下グラフはアマゾンとアリババ、世界最大の小売業ウォルマートの時価総額ランキングの推移です。アマゾンはアリババとウォルマートを抜きましたが、それはもはやアマゾンがネット通販企業の域を超えたという評価を受けた証左です。
IT業界でAWSの存在はよく知られていますが、一般的にはまだ広く認知されていません。AWSは主に企業向けのサービスだからです。AWSそのものがエンド・ユーザーに姿を見せることはありません。
AWSはアマゾンの持つサーバーやソフトなどのインフラ、あるいはプラットフォームを利用し、そこにシステムを構築するためのサービスです。たとえば定額動画ストリーミングでは世界最大のユーザー数を持つNetflixも、AWSを利用しています。しかし、NetflixのユーザーからはAWSの姿が見えることもありません。
現在、ITインフラを自社で保有するかたちから、アマゾンのようにクラウドサービスを提供する企業のインフラを利用するかたちへ急速に移行しています。なぜなら、そのほうが運用経費も安く、また必要に応じてサーバーのキャパシティなども簡単にグレードアップすることができ無駄がないからです。
その急成長し始めた市場で、アマゾンはダントツのトップです。各社のクラウド・インフラサービスの四半期売上をみると、マイクロソフト、グーグル、IBM、セールスフォース・ドットコムを合わせても、AWSの売上には届きません。
日本でも、丸紅をはじめ、リクルート、ファーストリテイリングなどの錚々たる企業がAWS利用に切り替え始めています。おそらく今後はAWSが先行し、死活をかけてマイクロソフトがそれを追う展開になってくるものと思われます。
アマゾンは成長を牽引する事業だけでなく、高収益を支える成長事業を手にしたのです。しかもそのインフラやプラットフォームを利用する企業が集まり、新しい経済圏を形成し始めたのです。
以下のグラフは、アマゾンのAWS事業の営業利益と北米、海外を含めたEコマース事業の営業利益の四半期推移ですが、それを端的に物語っています。
■アップルを超える日
アマゾンの挑戦はAWSだけではありません。音楽ストリーミングと動画ストリーミングの2つを、アマゾンのプライム会員になれば無料で利用できるサービスを開始しました。動画ストリーミングサービスでは、Netflix同様に自社のオリジナルドラマまで提供し始めています。15年にプライムの会員数は前年比51%増加していますが、こういった投資が効を奏しているのでしょう。
アップルは、音楽ストリーミングで著しい成長を遂げてきたSpotifyとは対照的に、iTunesの音楽ダウンロード販売が伸び悩んできたことから、音楽ストリーミングサービスのApple Musicを昨年スタートさせました。音楽はスタートできたのですが、Apple TVを発売したものの、当初目論んでいた動画配信サービスは今のところスタートできないままです。
これまでEコマースで培ってきたITインフラの運用技術を資源として活用し、成長と収益の新たなエンジンを得て、さらに音楽や動画コンテンツ配信とネット通販事業の顧客囲い込みの相乗効果を追求し始めたアマゾン。そんな同社がアップルを超える日は、アップルが次の成長エンジンを見つけないかぎり、そう遠くないかもしれません。
(文=大西宏/ビジネスラボ代表取締役)
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