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イエレンFRB議長の議会証言と円高
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52774611.html
2016年02月11日 在野のアナリスト
イエレンFRB議長の議会証言がハト派的とみなされ、欧州市場で円が対ドルで一時、110円をつけています。幾つも示唆的な内容も語っているため、かいつまみながら具体的に考えてみたいと思います。ハト派な部分として、利上げのスケジュールを聞かれ「金融政策は予め決められたコースを辿るものではない」とし、景気見通しや雇用、インフレの目標達成をめざすことが、金融政策を決めると述べました。つまり世界の混乱を鑑みれば、もう利上げできない、と市場が受け止めた。米経済の成長は急減速していない、としますが、見られた段階で漸次利上げを先送りになるだろう、という予想が今は支配的です。
議会が気にしたのは、米国も利下げすべきでは? マイナス金利は? の2点です。イエレン氏は利下げは否定したものの、必要になったらやる、とフリーハンドを示しました。マイナス金利に関しては用意周到な計画づくりはする、ただ法的な問題や、米経済の仕組みにおいてマイナス金利が可能かどうかを、予め検討しておくという意味だとします。政策手段としてもっておく、となりますが、利下げやマイナス金利への言及で、必然的にハト派的な流れとなっています。
また、米財政における債務状況は、何年かは持続可能だけれど、高齢化に伴って持続不可能にみえる。として議会への対処を促しました。日本より対GDPの債務比率の低い米国が、将来は持続不可能と述べているのですから、日本とて同じ、どころか益々日本は深刻化します。しかも移民や難民の受け入れで、未だに少子高齢化の波が襲っていない米国で、すでに議論されているのに、すでに少子高齢化を迎え、さらに将来は悪化する日本では対応の検討すらされていません。
またFRBが半期に一度、議会に提出する金融政策報告書には、ちょっと驚くべきことが書かれています。『米資産価格の急落で、より健全な形で評価されるようになった』 つまりリスク性の高い資産が高値を形成し、市場を歪めていた。FRBは米国でバブルが生じていると考えていたことが、報告書には書かれているのです。逆に今、市場が混乱しているのはバブルのプチ崩壊であり、経済全体については大して影響はない、と今のところFRBは考えている、ということになります。
ただこれは昨年末まで、年初からの混乱は含まれません。どの程度がFRBが『過去30年の予想株価収益率の平均』かは、はっきりと示されていない。恐らくその水準を下抜けば、もう利上げはできず、利下げに向かう。通貨安競争を意識すればマイナス金利も、となるのでしょう。実際、FRBは利上げに伴い、超過準備金に0.5%の付利を行っています。その理由として、FRBが得る利子収入が過大で、この付利を行う能力がなければ「FRBはかなり性急にバランスシートを大幅に縮小」と述べます。これを簡便にすれば「FRBが本来市場に流れるはずの国債の利子を吸いとってしまったら、経済が悪化するでしょ?」となります。同じように、バランスシートを拡大する日銀は、金融機関に流れるはずだった国債の利子を日銀に集中させ、尚且つマイナス金利をかけ、積み上げの阻止を狙っている。同じ中央銀行ですが、考えることはかなりの差があるといった状況です。
円が安全通貨だから、という発想自体は、今や少し変更が必要なのでしょう。今回は米国の金融政策の方向性の変化と、欧州の金融機関に不透明感が生じた、そのダブルで異常な水準にあった円安が是正され始めた、というのが実態です。FRBが指摘しているように、昨年までに何らかのバブルが生じていた、というなら、そこには円安も含まれていた。米国が本気でドル高退治に動けば、まず円など耐え切れなかったのであって、それがここに来て一気にでてきてしまった印象です。
日本にはバブルの認識もないですが、米国が直面するドル高による景気減速に対応するための、ドル高退治。これが今起きているなら、日本政府にも対応はできない。それを見透かしてのドル安、円高なら、安全通貨というより、残念通貨としての円高と考えた方がよいのでしょうね。
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