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上場の日本郵政3社、株価崩壊始まる…投資家は多額損、崩れる成長シナリオ(Business Journal)
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/409.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 2 月 10 日 00:34:40: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

              ゆうちょ銀行本社(「Wikipedia」より/Rs1421)


上場の日本郵政3社、株価崩壊始まる…投資家は多額損、崩れる成長シナリオ
http://biz-journal.jp/2016/02/post_13725.html
2016.02.10 文=編集部 Business Journal


 2月1日の東京株式市場は日経平均株価が大幅続伸した半面、銀行株が大きく下落した。1月29日に日本銀行がマイナス金利の導入を決めたことにより、収益の悪化が懸念されたためだ。

 2月1日の終値で見た下落率は、3メガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループが5.46%安、三井住友フィナンシャルグループが7.61%安、みずほフィナンシャルグループが5.88%安となった。さらに日本郵政グループのゆうちょ銀行は8.02%安ともっとも大きく値を下げた。

 ゆうちょ銀行はその後も下げ続け、2月3日には一時1296円と上場来の安値をつけ、売り出し価格の1450円を大きく下回った。ちなみに、上場して初めてついた株価(初値)は1680円である。

 日本郵政グループの日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社は、昨年11月4日に華々しく上場した。1987年のNTT以来の大型上場だ。当初は個人を中心に人気を集め、グループ中核のゆうちょ銀行の株価は11月5日、1823円の高値をつけた。

 しかし、年明けからの波乱相場に翻弄され株価は下落している。日銀が決めたマイナス金利が大きな逆風になると判断され、株価は安値を更新した。昨年11月5日の高値から2月3日の安値までに、2兆3715億円の時価総額が消えた勘定になる。

■国債での運用が中心

 ゆうちょ銀行株が下落したのは、法人・個人向けの貸し出しが原則認められず、国債での運用比率が高いことに起因する。マイナス金利導入で国債利回りが大きく低下し、利ザヤの縮小による収益減を懸念して売りが広がった。

 ゆうちょ銀行は、もともと国債を引き受ける政府系の金融機関である。東日本大震災の復興財源を確保するために株式を上場した。上場すれば、当然のことながら収益力の向上と成長が求められる。そこで高い利回りが見込める金融商品に資金を振り向け、国債の運用を減らしてきた。

 ゆうちょ銀行の佐護勝紀副社長は、ゴールドマン・サックス証券副会長を経て15年6月にゆうちょ銀行へ入り、現在は運用部門を統括する。佐護氏が外債や株式への分散投資を進めた。その結果、2015年9月末の国債保有残高は92兆7736億円となり、前年9月末比で24兆1077億円減少した。運用資産全体に占める国債の比率は45.25%だ。14年9月末時点では57.44%だったことに比べると、確かに国債の運用比率は低下しているが、それでも高い。

 マイナス金利による利ザヤの縮小が経常利益に与える影響は、メガバンクの4倍に達すると試算する金融アナリストもいる。

 ゆうちょ銀行の貯金金利も9日に引き下げられた。日本全国にくまなく店舗があるゆうちょ銀行が金利を下げると、貯金している多くの人に広く影響が及ぶ。出し入れしやすい、一般の銀行の普通預金にあたる「通常貯金」の金利は0.03%から0.02%となった。1カ月〜4年の定期貯金の金利も0.035〜0.05%だったのが0.025%に引き下げられる。

 以前は大手銀行よりも高く設定されていたが、マイナス金利導入の影響を受け、3メガバンクと同一水準になる。つまり、ゆうちょ銀行に預けたほうが得という状況がなくなるのだ。

 保有する国債のうち、満期まで1年以内のものが13兆円と国債全体の14%を占める。再び国債に投資すると現在より低い利回りになる。ゆうちょ銀行も国債に投資せずに日銀の当座預金に預けると、マイナス金利で0.1%の手数料を取られることになる。利ザヤの縮小は避けられない。

■わずか3カ月で初値割れ

 郵政グループ3社は株式公開に当たって野村證券を中心とする大幹事団が形成された。地方の小さな証券会社まで加わりオールジャパン体制で上場を支えた。「郵便局を運営するグループの株式が公開される」ということで個人投資家が殺到、活況を呈した。株式市場になじみがなかった初心者を株式市場に呼び込む役割を果たしたわけだ。

 だが、ゆうちょ銀行株はマイナス金利の悪影響をモロに受け、2月3日に1296円まで下落。初値1680円、公開価格1450円を大きく割り込み、投資した全員が含み損を抱える状況に陥った。

 NTT株の悪夢を思い出させる出来事だ。NTT上場では、第一次売出として、政府保有の株式が119.7万円で売却された。上場日の87年2月9日には売買が成立せず、2月10日に160万円の初値を付けた。NTT株は人気が高く、4月22日には318万円の最高値を記録した。初値の160万円を割り込むのは2年後の89年3月のことだった。

 ところが、ゆうちょ銀行はわずか3カ月で初値も公開価格も割り込んだ。あまりに早すぎる崩落ぶりである。

■日本郵政、かんぽ生命保険も上場来安値を更新

 日本郵政は2月8日には上場来安値の1381円まで売り込まれ、上場初日につけた初値1631円はおろか公開価格の1400円すら下回った。日本郵政の上場来高値は1999円だから、下落率は30%を超えた。

 3社の中では市場からの資金の吸収が最も少なかったかんぽ生命保険も、2月8日に2280円の上場来安値に沈んだ。

 政府は郵政3社の株式売却資金、総額4兆円を東日本大震災の復興財源に充てる計画だ。昨年11月の上場時に得た資金は1兆4362億円。持ち株会社の日本郵政の西室泰三社長は「できるだけ早く、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式の追加売却をしたい」と言っている。追加売却する分については、資金の使途の縛りがないので「大型M&A(合併・買収)に使いたい」との思惑があるようだ。追加の株式売却には多くの視線が注がれるだろう。

 ゆうちょ銀行は銀行株の中でもっともマイナス金利の影響が大きい銘柄といわれている。持ち株会社の日本郵政が公開価格を下回ったダメージは大きい。西室社長のシナリオ通りには事が進まない可能性が高い。

(文=編集部)

 

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