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家事労働は「ブラック」な仕事?(イメージ写真)
人格否定されて年収300万円…家事労働は「ブラック」な仕事?〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160207-00000006-sasahi-life
AERA 2016年2月15日号より抜粋
家事に育児に地域活動。内閣府は専業主婦が担うこの無償労働を年間304.1万円相当と評価した。ときに人格まで否定されてこの金額……。心身ともに疲弊しているという主婦の現状とは。
日曜日。今日も自称イクメンの夫(35)が企画した「お出かけ」がある。早起きして作るお弁当は、いなりずしに卵焼き、から揚げなどなど。出発までに洗濯と掃除も済ませたい。
「休日もパパが育児に協力的でうらやましいとママ友は言いますが、ちょっと違うんですよね」
そう話す女性(35)は専業主婦。毎日朝から晩まで、幼稚園年長の長男と2歳の長女の育児や家事に追われる。週末のレジャーの目的地は車で1時間ほどかかる行楽地が中心。行きの運転手は夫だが、渋滞で倍以上の時間がかかる帰路は女性が運転する。遊び疲れ、ランチビールで酔った夫は助手席で熟睡だ。
一方、女性は帰宅後も、子どもをお風呂に入れて、洗濯物をたたんで……。彼女は言う。
「365日、ずっと家事と育児。スタバでゆっくり本を読みながらラテを飲んでみたい……」
有休はもちろん給与もなし。それでも「家族を愛しているなら当たり前」という価値観に縛られて続けられる家事労働の条件は、ときにブラック企業を上回る残酷さなのだ。
パート勤務の女性(42)も、度重なる夫の発言にいら立ちを隠せない。昨春、長女の小学校入学を機に塾の受付の仕事を始めた。家事との両立は想像以上に疲れるが、夕食の品数が少ないと夫はすぐに「これだけ?」。もう一品、慌てて作る。副菜2品以上が合格ラインだ。
女性は出産前まで料理教室で講師のバイトをしていたほどの腕前で、夫は外食嫌いだ。
「家族で映画館に行って盛り上がったとしても、夫の『で、今日、夕飯なに?』という定番のセリフを聞くと、一気に冷める。最近は殺意すら感じます」
極め付きは、女性が家事の大変さを訴えたときに、東大卒の夫が返したこのセリフ。
「じゃあ、君が僕みたいに外で働いて、同じだけ稼げるの?」
何も言い返せなかった。
「『それって“モラハラ”だよ』って職場で言われて、気が楽になりました。非は夫にありますよね」
言葉や態度で相手の心を傷つける精神的暴力をモラルハラスメントと言う。司法統計によると婚姻関係事件の申し立ての動機(妻)は、「精神的に虐待する」、つまりモラハラが24.3%で3番目に多い(2014年度)。
会社員の女性(43)も7年前にモラハラ夫と離婚。フルタイムの仕事と1歳児の育児にヘトヘトだった当時、深夜帰宅の夫に夜食を用意して起きていることを強いられた。
「彼は『家族の中で自分が一番えらいし、一番正しい』という人。謝らなければ正座させられて延々と説教です。とにかく寝たくて必死に謝りました」
ちょうど会社でリストラが激しくなって、辞めるも残るも地獄の状況だった。そんな会社が天国と思えるほど、家庭がつらかったと女性は言う。弁護士に相談していたときに、運よく(?)夫が浮気してくれて、離婚することができた。いまは経験者の立場から知人の相談に乗ることもある。
「モラハラをする相手の性格を変えようと思っても、疲弊するだけ。金銭的な理由などで離婚できないなら、家庭内でも可能な限り関係性を絶って自衛するしかないですよ」
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