http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/308.html
Tweet |
黒田日銀の奮闘も虚しいほどに、世界経済の底なし沼化は進んでいる
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47794
2016年02月06日(土) 歳川 隆雄「ニュースの深層」 現代ビジネス
■深刻な問題は、別のところにある
1月29日、日本銀行(黒田東彦総裁)が「マイナス金利政策」導入に踏み切った。この点についての大手メディア側の反応・評価を見る上で参考になるコラムが2つあった。
1つ目は、『朝日新聞』(2月3日付朝刊)の「経済気象台」(社外執筆者が無署名で書く)である。
「<前略>『デフレ脱却のためには何でもする』という総裁の言葉にウソはないことを世界中が確信した。海外投資家は、安倍政権がコーポレートガバナンスの強化を進めている点は評価している。ところが、『やはり日本は変わらない。国が圧力をかけ、ゾンビ企業を延命させる』という見方が広がり出した。<後略>」
世界の投資家が「黒田サプライズ」のマイナス金利導入を評価したとしても、そして「中央銀行の歴史上で最強の枠組み」(3日の黒田総裁講演)と自負しても、それは「世界的な金融市場の動揺に立ち向かうことは容易でないという現実を改めて印象づけている」と書いた2つ目の『日本経済新聞』(同4日付夕刊)の「日銀ウォッチ」(佐伯遼記者)はかなり厳しい評価である。
前者の『朝日』記事にある「ゾンビ企業」とは言うまでもなく、いま台湾の鴻海精密工業(郭台銘会長)の傘下に収まるのかどうかで注目を集めているシャープ(高橋興三社長)のことである。
政府系ファンドである産業革新機構(会長・志賀俊之元日産副会長)が示した支援計画(3000億円出資、シャープ現経営陣総退陣、主力銀行は事実上の債権放棄)と比べても、鴻海側のそれは、@7000億円拠出A現経営陣続投B主力銀行に負担を求めない―というものであり、当然ながらシャープ側は鴻海傘下入りを選択するはずだ。
従って、『朝日』コラムで指摘された海外投資家が不安材料として挙げる「日本は変わらない」の一例は排除できる。そしてそれは「経済政策の司令塔を務めていた甘利明・経済財政担当相の辞任で、アベノミクスの先行きに不安感が増大した」ことも一応解消できたことを意味する。
深刻な問題は別なところになる。黒田総裁が「越えることが不可能と思われていた『金利のゼロ制約』の壁は、日本銀行の知恵と実践の中で、乗り越えられようとしています。追加緩和の手段に限りはありません。中央銀行は今後とも、金融政策手段のイノベーションに取り組んで行きます」と言い切ったものの、その後、日経平均株価は続落し、5日の終値は1万6819円59銭で引けた。
たとえ黒田日銀が奮闘しても、現下の底なし沼状態の原油安(1バレル30ドル割れ)、中国経済減速・上海株安、新興資源国経済の失速(ロシアやブラジル)、米国経済の先行き不透明感など、まさに怒涛の世界的リスクオフ相場には太刀打ちできないのだ。
■シルバー民主主義の見直しが急務
こうした負の連鎖の中で、安倍晋三政権は何が求められているのか。日銀による末体験ゾーンに足を踏み入れることになった金融政策ではあったが、ある種の限界もまた認めざるを得ない状況にいま日本はある。
そこでやはり登場するのが「変わらない日本」からの脱却である。日銀総裁として初めてマイナス金利導入に踏み込んだ黒田総裁に倣って、安倍首相もまた提唱した「新・三本の矢」の一つである、歴代首相として初めて公約した人口政策(希望出生率1.8実現の少子化対策)に踏み込まなければならないのだ。
米経済学者ポール・クルーグマン氏が指摘する「成長の源は需要である」を喚起する必要がある。かつて筆者は本コラムで「第1子に対する子育て支援として1000万円を供出すれば、5兆円の予算で新生児が約50万人増える」と、かなり荒っぽい提言を記した。そして大きな反響を呼んだ。要は、「シルバー民主主義」の見直しである。高齢者ではなく若者世代への手厚い支援策が必要なのだ。
と同時に、岩盤規制への改革のドリルなど成長戦略を柱とした本格的な経済総合対策をブチ上げることが求められている。でなければ、まさに「外患」による円高デフレが再燃し、株価低迷によってアベノミクスは「失敗」の烙印を押されることになる。海外投資家は注意深く事の成り行きを見ているのだ。「買い」か「売り」かを、判断するために。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民105掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。