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黒田バズーカ3の成否を占う国内景気指標が発表
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20160205-00103521-shikiho-nb
会社四季報オンライン 2016/2/5 19:41 新見 未来
日銀は1月29日、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入へ動いた。が、一時的な円安・金利低下効果はあっても、設備投資資金需要や海外景気の好転が伴わなければ、銀行貸出の増加や、輸出増など、実際の効果には限界がある。今後の展開を占ううえでも重要な、国内景気を把握するための経済指標が、2月15〜18日には発表が相次ぐ。
■ GDP、機械受注、通関貿易統計の読み方
15日には2015年10〜12月のGDP1次速報(QE)が発表される。GDPは(1)家計、(2)企業、(3)政府、(4)海外の各部門が、国内で生産された財・サービスを購入するために支出したお金の合計を意味する。それが増えれば、金回りが良くなり、日本の景気は良い。それぞれは、(1)消費と住宅投資、(2)設備投資と在庫投資、(3)公的支出、(4)輸出(輸出から輸入を引いた純輸出)の各需要に対応しており、需要項目別の動きがわかる。
GDP統計を見ると、日本経済の姿を詳細に分析できるが、問題の1つは修正幅が大きい点だ。15日に発表されるQEは、3月8日に発表予定の2次速報で修正される。3月1日発表の法人企業統計をもとに、設備投資や在庫投資の動きが修正されるためだ。前回の7〜9月GDPは、QE段階では前期比マイナス0.2%だったが、2次速報でプラス0.3%に上方修正された。景気は総じて足踏み状態を続けているとみられるが、大幅な修正は景気の方向性を読みづらくする。
もう1つの問題は、速報値とは言え、あくまで過去の動きでしかない点だ。特に今回は、世界の株式市場が大きく動揺した年明け以降の景気の動きを織り込めていない。
そこで注目したいのは、まず17日に発表される機械受注統計だ。これで企業の設備投資については、足元の動きを把握できる。主要な機械メーカー280社が企業の設備投資に伴い、受注した額の合計だが、ここには産業機械、原動機、工作機械、電子・通信機械、道路・鉄道車両、航空機、船舶などの機械がすべて含まれる。設備投資は、受注から実際に機械を納入するまで時間がかかることから、機械受注は設備投資の先行指標とされる。
船舶・電力の受注は景気との連動性が薄く、不規則な動きをするため、特に船舶・電力を除く民需ベースの数字が重視される。それは15年9月、10月と増加した後、11月は大幅に減少した。今回発表される12月実績と、内閣府が企業のヒアリングを集計した1〜3月見通しが、持ち直すかどうかが焦点だ。
さらに、18日に発表される、1月の通関貿易統計にも注目したい。通関貿易統計は日本と外国との商品取引の集計で、国内企業が海外へ商品を売るのが輸出、海外から商品を買うのが輸入、輸出から輸入を差し引いたものが貿易収支になる。
中でも輸出の動きがポイントだが、これは輸出の増減が国内メーカーの生産や売上高の増減につながるほか、海外経済の動向を推測することにつながるためだ。日本の輸出は海外景気との連動性が強く、輸出が増えている地域の景気は良いと考えられる。
15年末にかけて日本の輸出数量は欧州向けが増加し、アジア向けが横ばい、米国向けが減少した。パリ同時多発テロなどの問題にもかかわらず欧州景気は意外に良好で、米国景気は思ったほど良くないのかもしれない。今回発表される統計は、年明け以降の各地域の景気動向を示唆すると考えられる。
■ ささやかれるマイナス成長転落のリスク
足踏み状態を続けているとみられる景気だが、一連の発表では、下振れリスクが表面化するおそれがある。
懸念されるのは、10〜12月GDPが再びマイナス成長となる不安だ。理由はGDPの6割以上を占める個人消費の不振にある。
内閣府が毎月、公表する消費総合指数と、12月の家計調査の動きをみると、10〜12月の消費の落ち込みは明らかだ(図1参照)。労働者全体でみた場合、1人当たり賃金はほとんど横ばいだが、人手不足のため雇用者数は年率2%超の勢いで伸びている。このため雇用者所得の総額も前年比2%以上のペースで増加しているものの、消費は低迷が続いており、消費者の節約志向が続いていることがわかる。
これはそもそも、所得が増えていないのに消費を増やし過ぎた反動だといえる。可処分所得に対する、貯蓄純増分の比率を表す家計貯蓄率は、13年度はマイナス1.3%、14年度はプラス0.1%とゼロ近辺を推移している。米国の貯蓄率(15年12月5.5%)と比べても、日本の貯蓄率の低さは歴然としている。
消費低迷のもう1つの原因は、円安で食品価格などが上昇している点を挙げられる。消費支出全体に占める食費の割合(エンゲル係数)は2005年まで低下傾向だったが、その後は上昇へ転じた。それ自体、家計に余裕がなくなっていることを示すが、そうした状況で、円安によって食品が値上がりしたことは、家計の負担を倍加させたようだ。
今春闘も15年以上に、賃上げは期待しにくい。当面、家計の財布のヒモが緩むことは期待しにくく、消費の低迷は続きそうだ。
■ 国内設備投資は牽引役になれるか?
年明け以降の世界的な株式市場の動揺は、さらに海外景気へ悪影響を及ぼすおそれがある。実際、1月の中国、米国の製造業景気指数はそれぞれ景気判断の分かれ目である50を下回った。そうした海外景気の悪化は、今回発表される1月の通関貿易統計の輸出の動きにも表れる可能性がある。そして輸出の落ち込みは、日本の景気の足を引っ張るだろう。
そうしたなかで、景気の下支え役に期待されるのは設備投資だ。企業は、長期的に需要が先細りになるとみられる国内の増産投資は消極的で、海外での投資に注力しているが、国内も設備の老朽化が進んでいるため、更新投資は不可欠だ。
企業のキャッシュフローに占める設備投資の比率は5割程度まで低下しているが、法人企業統計で最近の設備投資とキャッシュフローの伸びを比較すると、双方とも年率1割程度の増加テンポが続き、増加基調が加速していることがわかる。
日銀短観の15年度大企業設備投資計画も、前年比10.8%増と2桁増加を見込んでおり、計画通りに実行されれば設備投資の増加傾向は続くはずだ。建設関連の設備投資の先行指標と考えられる建設受注は、15年4〜12月は前年同期比11.7%増加した。今回発表される機械受注統計はそれを確かめる意味で重要だ。
期待通りに機械受注統計が上向きであれば、株式市場では設備投資関連銘柄が有望視されることになる。工作機械関連は中国向け受注が落ち込み、在庫調整の最中にあるため避けたいが、建設受注が好調なゼネコン、また機械の中でも、東京エレクトロンや旭ダイヤモンド工業など、受注や生産が拡大している半導体製造装置や機械工具などのメーカーに注目したい。
一方、仮に設備投資も下振れる場合は、景気全体が悪化に向かうおそれを否定できない。その際、夏の参院選を控えて、景気と株価の動きへ敏感にならざるを得ない安倍政権が今後、打ち出せる手段としては、消費税率引き上げの再延期なども含めた追加景気対策だ。
ゼネコンはそうした視点でも有力な投資対象だといえる。5月のサミット後、消費税率引き上げの再延期を掲げて衆院を解散し、衆参同時選挙に臨むというシナリオも、現実味を帯びてくる。
新見未来(にいみ・みらい)/大手シンクタンクに在籍する気鋭のエコノミスト。マクロ経済のわかりやすい解説には定評がある。今後2週間の注目スケジュールと、重要な経済指標の活用法を隔週金曜日にお届けする。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
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