Column | 2016年 02月 5日 14:22 JST 関連トピックス: トップニュース コラム:金融政策はミステリーゾーンに突入 Swaha Pattanaik 日本は、マイナス金利導入国のサークルに新たに加わるが、超緩和的な金融政策の実績という点では最も長い歴史を持つ。1995年後半から主要政策金利は0.5%を超えたことがない。 過去20年が示しているのは、こうしたパラダイムが、市場に備わった警戒信号を発する機能、とりわけリセッション(景気後退)が迫っていると投資家に注意を促す機能をいかに損なっているかである。 この早期警報システムとは、残存期間別の債券利回りを示すイールドカーブ(利回り曲線)だ。通常は償還(満期)までの期間が長ければ長いほど利回りは高くなる。つまり、右肩上がりの曲線となる。これは投資家が、経済成長はインフレを生み、金利上昇を促すと期待するためだ。投資家は、インフレに伴う債券価格下落(金利上昇)リスクの見返りを求める。 しかし、長期金利が短期金利より低くなる、いわゆるイールドカーブの逆転現象が起きる場合は、投資家が金利低下を期待しており、近くリセッション入りする可能性が十分あることを示している。イールドカーブによるこうした悲観的予想が実現するまで多少の遅れはあるものの、シグナルは通常かなり信頼できるものだ。 超低金利は、イールドカーブからその有用性を取り上げることになりかねない。1995年以降の日本では、リセッション前に、長期債の利回りが短期債の利回りより低くなったことはない。もちろん、これには長期にわたるディスインフレ(物価上昇率の鈍化)もしくはデフレ、そして少子高齢化など、日本独特の状況が関係している。米国の場合はこの両方とも当てはまらない。 とはいえ、米国でもイールドカーブの逆転は今後、そう簡単には起きないかもしれない。政策金利が金融危機以前をはるかに下回る水準でピークを迎えることになれば、政策金利サイクルの頂点で投資家が長期債を買い増すインセンティブは薄れる。そうした取引は従来、イールドカーブの終点に下押し圧力を加えた。 また、投資家は資金を長期間貸し出すリスクに対して、ある一定以上の最小限の見返りを求めるようになるかもしれない。故に、政策金利がゼロ近辺やマイナスになると、長期金利が短期金利より低くなることはそう簡単には起こらないだろう。 日本が示しているように、金利が相当低い場合、かつて有益だった市場の指標は異なる動きをし始めるのだ。 (ロンドン 29日 ロイターBREAKINGVIEWS) http://jp.reuters.com/article/column-monetary-policy-idJPKCN0VB068?sp=true 黒田総裁は為替を「非常に意識」、日米欧とも通貨高回避−内海元財務官 2016/02/05 13:33 JST (ブルームバーグ):日本銀行によるマイナス金利政策の導入は1ドル=130円を割り込むほどの円安・ドル高にはつながらない−。元財務官の内海孚氏は、日米欧の中央銀行が自国経済を冷やす大幅な通貨高の回避を念頭に金融政策を運営しているため、円だけが安くなる可能性は低いと言う。 内海氏(81)は2日のインタビューで、今年のドル・円相場は120−125円が中心で、円安方向へ「限界的」「象徴的」に動く程度との見方を示した。「今後1年程度を展望すると、日銀は出口が全く視野に入ってこない。緩和を強めることはあっても、弱める可能性はない」と指摘。一方、米国は今年4回の利上げは「国際情勢も考慮すると難しいが、経済の状況から見て少なくとも1−2回はやるだろう」と説明した。 3大通貨をつかさどる中銀は為替操作を意図しないが、「非常に為替を意識した金融政策を採っているのは間違いない」と、内海氏は言う。米国が利上げ開始を昨年12月まで遅らせたのも、黒田東彦総裁が追加緩和したのも「当然そういうことは認識している」と言う。ユーロ圏も域内経済の停滞を考えると「ユーロが強いと認識していただろう」とみている。 マイナス金利を導入した1月29日の記者会見で、黒田総裁は、円高阻止を狙った政策ではないと述べている。日銀が物価目標の早期実現に「強くコミットし、必要な措置は何でもやる」姿勢が、「インフレ期待の形成に影響を及ぼす」と言う。2月4日の衆院予算委員会でも、為替をターゲットに金融政策運営は行わないと話した。 日銀の異次元緩和などを背景に、円は対ドルで、昨年6月に約13年ぶり安値となる125円86銭まで下落した。ユーロは欧州中央銀行(ECB)が14年6月にマイナス金利を導入したことなどを受けて、昨年3月には対ドルで約12年ぶり安値を付けた。その後のドル・円とユーロ・ドルは、それぞれ1ドル=120円と1ユーロ=1.10ドルを挟んで一進一退となっている。 東海東京フィナンシャル・ホールディングスのグローバル・アドバイザリー・ボードの議長を務める内海氏は、3大通貨の関係は結果的に安定しており「戦争ではない」と指摘。日米欧の中銀には自国通貨の独歩高を避けて妥当な水準を保つ意図があり、互いに均衡状態を意識しながら「微妙な舵取りをしている」と言い、自身が対米交渉の最前線で奔走した「プラザ合意」当時にはなかった現象だと言う。 円高にマイナス金利 内海氏は1983年から86年までワシントンの日本大使館で大蔵省(現財務省)出身の公使を務め、日米円・ドル委員会やドル高是正で米英独仏と合意した85年9月のプラザ合意などをめぐり、米財務省との実務交渉を担当。過度なドル安に歯止めをかける87年2月のルーブル合意時には国際金融局長、89年から91年まで財務官を務めた。黒田総裁は内海氏の5代後の財務官だった。 内海氏はマイナス金利の導入が市場心理の改善を通じ、企業の信頼感に対して「少なくとも何もしないことによる悪影響は避けた」と評価する。先進国では「金融緩和が物価よりも成長の観点から不可欠になってしまっている」と指摘した上で、米国も金融政策の「正常化を図っているが、周りが良くないので慎重にやっている」と話した。 米連邦公開市場委員会(FOMC)は先週の声明で、政策金利の引き上げ見通しを維持する一方で、世界の経済・金融情勢を注視すると表明した。ニューヨーク連銀のダドリー総裁はマーケット・ニュース・インターナショナル(MNI)とのインタビューで、「昨年12月に比べ、金融状況は大幅に引き締まっている」とし、こうした状況が3月のFOMCまで続けば「金融政策の決定に当たって、考慮しなければならないだろう」と語った。 金融政策の影響を受けやすい2年物の市場金利は、米国債利回りが3日に0.67%と昨年10月下旬以来の水準に低下。日本国債利回りは日銀のマイナス金利導入を受けてマイナス0.195%と過去最低を更新している。 日銀は国債保有増を年80兆円のペースで進め、ETFやJ−REITの買い入れも含む量的・質的緩和をマイナス金利の導入と併用していく方針だ。 メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、マイナス金利は為替相場への影響が大きいと指摘。「円高にはマイナス金利の拡大で対応し、株安にはETFを増やす」追加緩和が可能とみている。ただ、為替相場は原油安や中国経済への懸念など次第の面が大きく「日本の要因だけでは流れを変えられない」と言う。 ブルームバーグが市場関係者から集計した円相場の年末予想(中央値)では、対ドルが123円程度、対ユーロが130円程度と見込まれている。 ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)のシニア市場ストラテジスト、マンスール・モヒウディン氏(シンガポール在勤)は「全ての中銀は金融政策を決める際に為替相場を注視する必要がある」と指摘。投資家にとって重要なのは日欧などの追加緩和が大幅な通貨安をもたらす力をいつ失うかだと語った。 日本の一番の弱み 内海氏は中国当局には人民元相場を切り下げる意図はなく、むしろ大規模な資本流出を止めようと「一生懸命やっている」と指摘。このままでは、「流動性のある外貨準備がどの程度持つか」が焦点になりかねないと読む。中国が深刻な状況に陥ると、3大通貨では円が最も影響を受けやすいと分析し、日本売りになれば「円安・債券安・株安のトリプル安が一気に来る」とみている。 内海氏によると、日本の一番の弱みは財政と高齢化。国の一般会計歳出の3分の1を社会保障関連費が占めており、「払い手の労働人口は減り、受け手の高齢者は増えていく」と言う。費用は幅広い層で分担する必要があるため、消費増税は避けられないと説く。黒田総裁が進める金融緩和も財政健全化という前提が崩れると「脆弱(ぜいじゃく)にならざるを得ない」とし、高成長を当てにした財政再建計画は「一種の幻想だ」と指摘する。 国債・借入金・国庫短期証券を合わせた国の債務残高は、今年度末に1087.3兆円に達する見通しだ。国際通貨基金(IMF)は日本の政府債務残高が今年、名目国内総生産の247.8%に達すると予測。少なくとも20年の251.7%までは最悪を更新し続けると見込む。 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、総人口は08年に1億2808万人と最高を記録した後、東京オリンピックを開催する20年には1億2410万人に減る。15−64歳の生産年齢人口はその後の10年間で568万人も減り、全体の58.1%に低下。65歳以上は73万人増えて31.6%に上昇する。総人口は48年には1億人を割り込む見通しだ。 安倍政権は、15年10月に実施する予定だった消費税率10%への引き上げを、17年4月に延期している。リーマンショックや大震災のような重大事態が生じない限り、再延期はしない方針だ。内海氏は、仮に再び先送りすれば「日本国債は当然、格下げになる。深刻な事態へのトリガーになる可能性が十分ある」とみている。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 野沢茂樹 snozawa1@bloomberg.net; Tokyo Chikako Mogi cmogi@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:崎浜秀磨 ksakihama@bloomberg.net 青木 勝, 山中英典 更新日時: 2016/02/05 13:33 JST FRB、今は市場を救えない By JUSTIN LAHART 2016 年 2 月 5 日 15:23 JST 投資家は米連邦準備制度理事会(FRB)が3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送るのはほぼ間違いないとみている。ただ、FRBが利上げを見送ると実際に発表するだけで、世界市場の緊張緩和に大いに役立つかもしれない。 とはいえ、それを実践するのは簡単ではなさそうだ。 今年は新興国の苦境や国際商品(コモディティー)価格の下落、世界的な債務増大、ドル高といった要因が負の連鎖を引き起こし、金融市場を揺るがしている。危惧されるのは、こうした連鎖が米国に波及することだ。 そうなれば、FRBが現時点で低すぎるとみているインフレ率は一段と低下し、経済成長は圧迫されるだろう。ブレイナード理事やニューヨーク連銀のダドリー総裁といった政策担当者が最近、今後の見通しについて警告を発していることから、先物市場は足元でFRBが3月のFOMCで利上げする確率を10%しか織り込んでいない。 こうした状況であっても、ごくわずかながらFRBが3月に利上げする可能性があることは重大なテールリスク(確率は低いが、発生すると大きな影響が生じるリスク)となっている。 そのため、FRBのイエレン議長が来週行う半期に1度の議会証言で3月の利上げを否定すれば、投資家はほっと一息つけるだろう。FRB、日本銀行、欧州中央銀行(ECB)の政策が乖離(かいり)する可能性が後退すれば、ドルが最近の上げ幅を縮めるといったことも起こるかもしれない。そうなれば、ドル建て債務の返済に苦しんでいる世界中の借り手の負担は和らぐ。 問題もある。この場合、FRBが3月に利上げしても支障はないと実際に考えるほど市場環境が改善するかもしれないからだ。3月のFOMCまでに発表される米経済指標がまずまずの内容だった場合はなおさらだ。もっとも、この時点までに利上げする可能性を否定しているため、FRBは利上げに踏み切りづらいと感じるだろう。 それ以上に重要なのは、政策担当者らがこの1年余り、金利判断はあくまで「指標次第」だと繰り返してきたことだ。3月のFOMCまで丸1カ月ある状況で政策据え置きを明確に示唆すれば、指標次第と言い続けて来た行為が茶番と化すだろう。 それゆえ、FRBは市場の緊張を一時的に和らげるような発言を行うかもしれないが、それがかえって問題の種をまくことにもなりかねない。 最終的に、FRBはいわゆる口先介入を行い、声明や講演を通じて3月に利上げはないと強く示唆することを余儀なくされるかも知れない。それと同時に、追加利上げする可能性も完全には排除しないだろう。 今は政策担当者と投資家のどちらにとっても理想的な状況ではない。だが、もうそれで我慢するしかないのかもしれない。 関連記事 米FRB特集 http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-LZ827_0107YE_M_20160107104706.jpg
英中銀、利上げ支持票ゼロに ENLARGE イングランド銀行のカーニー総裁 PHOTO: BLOOMBERG NEWS By RICHARD BARLEY 2016 年 2 月 5 日 14:36 JST そして(利上げしたい人は)誰もいなくなった。 英中銀イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)は4日、全会一致で政策金利の0.5%への据え置きを決めた。MPC議事録によると、前月まで6カ月連続で利上げを主張していたマカファーティー委員も賛成に回った。低金利政策はさらに長期化しそうだ。 これまでにはいったん利上げに転じておきながら方針撤回を余儀なくされた中銀もいくつかあった。イングランド銀行の場合、そこまで至ったことはまだ一度もないが、水面下では同じようなパターンをたどってきた。2011年には3人のMPC委員が利上げに賛成票を投じ、やがてユーロ圏危機の深刻化に伴い利上げの声は立ち消えとなった。2014年に利上げを求めた2人の委員は原油価格が急落すると据え置き支持に転向した。今回は、一人でタカ派寄りの論調を展開してきたマカファーティー委員を横目に、インフレがなかなか上向かないことから利上げ機運は後退ぎみだ。 カーニー総裁は4日、市場に織り込まれた金利見通しに沿えばインフレ率はそのうち中銀目標の2%を超えるとの見方を示した。言い換えると、市場は低金利が長く続くとみているということだ。 一方、市場は中銀が利上げを企てることはないと考えていることが分かってきた。 ENLARGE 英国の失業率 世界金融市場のボラティリティー(変動率)の上昇や新興国に混乱が生じる恐れなど、海外発のリスクが浮上している。カーニー総裁は4日、失業率が大幅に低下するなど、内需を追い風に国内の景気回復が依然順調であることをしきりに強調しようとした。だがその一方で、イングランド銀行は政策声明と同時に発表した四半期インフレ報告で、英国経済の2016年の成長率予想を2.5%から2.2%に下方修正した。 中銀間では、政策判断において先走ったり遅れを取ったりすることで不利な立場に立たされることがないようけん制し合っているという様相が濃くなってきた。イングランド銀行の場合、最もはっきりとした目先の問題は、キャメロン首相が2017年末までの実施を公約している欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票だ。海外材料としては、米国、中国、日本、ユーロ圏の政策判断が情勢に影響するだろう。 イングランド銀行にとって金利面でぎりぎりの綱渡りが続くことは間違いない。だが、市場はそれだけにとらわれることなくもっと広い視野に立って手掛かりを探すべきだ。 関連記事 ? 英中銀、全会一致で政策金利据え置き−成長見通しは下方修正 ? 英中銀、利上げへの長き道のり 英独中銀、決済機関への「ストレステスト」開始 By KATY BURNE 2016 年 2 月 5 日 15:42 JST 更新
英国とドイツの中央銀行は、銀行の破綻で一部決済機関にどれほどの負荷がかかるかを知るための試験を今週開始した。 金融システム改革の中心に安全網の配備を据えた規制が危機後に導入された後、これら決済機関をストレステスト(健全性審査)にかけること、また経営難に陥った銀行への公的資金注入に関する条件に関する審議は、多くの規制当局者にとっての最重要課題となっている。米連邦準備制度理事会(FRB)は、どのような条件が公的金融支援において有用なのかについて、公的な立場表明を行っていない。 事情を知る複数の関係者によると、英イングランド銀行、ドイツ連邦銀行、ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)は4日、銀行が破綻したとの想定に基づくシミュレーションを、ロンドン証券取引所(LSE)グループ傘下の決済機関LCHクリアネットが展開するスワップクリアと、ドイツ取引所傘下のユーレックス・クリアリングで開始した。 世界経済の減速や金利の低下を背景に、大手銀行の株価は今年に入って欧州と米国の両方で大幅に値下がりし、大手行の健全性に対する投資家の警戒があらためて浮き彫りになっている。ロンドン市場に上場する英バークレイズは年初来20%余りの下げを記録しているほか、フランクフルト市場でもドイツ銀行が30%ほど値下がりしている。 関係者らによると、こうしたシミュレーションが二つの決済機関で同時に行われるのも、中銀の主導で行われるのも今回が初めて。 LCHやユーレックスなどの決済機関は、ある参加者がデフォルト(債務不履行)した場合にその取引相手が確実に返済を受けられるよう取りはからうことで市場全体への混乱波及を防ぐ役割を担う。20カ国・地域(G20)諸国は2009年9月のサミット(首脳会議)において、数百兆ドル規模の店頭デリバティブ(金融派生商品)取引に中央清算機関を通じた決済を義務付けることで合意した。 アナリストらは現在、中央清算機関の利用を増やすと次回危機が到来した場合に混乱などの影響を増幅しかねないと懸念している。各国の中央銀行は決済機関の体制強化に動き、銀行を対象に行っているストレステストを決済機関にも導入することを決めた。一方、万が一の場合の金融支援を約束すると、アナリストが警告しているように「モラルハザード(倫理観の欠如)」を引き起こして決済機関が過度のリスクを取る恐れがあるため、緊急融資制度などは設けていない。決済機関が資金難に陥った場合、救済資金として最初に使われるのは同機関の利用者である会員銀行の資本だ。 米国では、経営危機に陥った決済機関をFRBがいつ支援するかははっきりしていない。2008年秋に資金に窮した米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)を公的資金で救済した経緯もあり、これは政治が深く絡む問題だ。 トロント証券取引所を運営するTMXグループの元最高経営責任者(CEO)で、米商品先物取引委員会(CFTC)の市場リスク諮問グループ小委員会の委員長を務めるトーマス・クロート氏によると、決済機関が返済能力を維持している間はFRBから流動性を得られるようにしてほしい、というのが米金融機関の意向だという。 FRBは市場混乱時に決済機関へ流動性を供給する方法や時期を公表していない。2010年成立の金融規制改革法(ドッド・フランク法)によれば、FRBが決済機関に融資を行うことができるのは「異常事態か緊急事態の場合のみ」で、しかも一定の条件を満たし、銀行からの借り入れなど自力での資金調達が不発に終わった場合に限られる。 昨年、FRBと証券取引委員会(SEC)はレポ取引の大手決済機関に対し、会員銀行などから新たに500億ドルの信用枠を供与してもらうことで財務基盤を強化するよう要請し始めたが、会員の中小金融機関から、負担を求められるならレポ取引をやめざるを得ないと反対の声が上がった。 ハーバード大学法科大学院教授で同大学国際金融システムプログラムディレクターのハル・スコット氏によると、ECB、イングランド銀行、日本銀行、FRBの中で最後の貸し手としての力が最も弱いのはFRBで、危機後のドッド・フランク法で新しい規制が導入されたことが弱さの一因だ。 保守系シンクタンク、ヘリテージ財団で金融規制を専門とするノーバート・ミシェル研究員は、FRBが融資できる対象を決済機関まで広げれば、「次に金融危機が起きたときの影響は、直近の危機が銀行・証券業界にもたらしてきた影響よりもはるかに大きなものになる可能性がある」とみる。 決済機関や商品取引所を運営する米インターコンチネンタル・エクスチェンジ(ICE)幹部のケビン・マッククリア氏は昨年11月、CFTCの公聴会で、「(資金を確保する上で)米国債の最善の売却先はFRBだと思う。借り入れは気が進まないが、通常業務の一環としてではなく資金難などの緊急時に限り(中略)われわれも(FRBの)窓口貸出を利用できるようにすべきだ」と述べた。 関連記事 英銀ストレステスト、全行合格も株主還元は期待できず 旨み増す最近の代金決済事業 http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-ML305_ukherd_G_20160204102226.jpg 1月の米雇用統計、5つの注目点 ENLARGE 1月の米雇用統計は非農業部門就業者数が前月比18万5000人増、失業率は横ばいの5%と予想されている PHOTO: ANDREW CABALLERO-REYNOLDS/AFP/GETTY IMAGES By HARRIET TORRY 2016 年 2 月 5 日 15:36 JST 米雇用市場は2015年に一段と堅調さを増し、年間の雇用の伸びは1999年以降で2番目に大きかった。16年に入ってもその勢いが続いたかは、米労働省が東部時間5日午前8時半(日本時間同日午後10時半)に発表する1月の雇用統計で明らかになる。エコノミスト予想では非農業部門就業者数が前月比18万5000人増、失業率は横ばいの5%と予想されている。以下に五つの注目点を挙げる。 1.雇用増加ペース ENLARGE 米雇用者数の前月比増加幅(3カ月移動平均、単位:千人) 15年12月は前月比29万2000人増と力強いペースで雇用が伸びたが、1月は18万5000人増への減速が見込まれている。昨年12月に政策金利を引き上げた米連邦準備制度理事会(FRB)は今年さらに利上げする意向を示しており、今回の雇用統計は当局にとり大きな意味合いを持つ。複数のFRB当局者がここ数日、世界的な不透明感とエネルギー価格の下落に直面した米経済の安定性に懐疑的な見方を示していたが、結果が軟調ならそうした懸念がいっそう強まるだろう。一方、雇用市場の引き締まりが続いていることを示す強い統計となれば、FRBは次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げを前向きに検討するかもしれない。ただし、次回FOMCは3月のため、追加利上げの時期を議論する前に政策当局者が解釈すべき雇用統計の発表がもう1回ある。 2.金融市場の混乱 年明けの株式市場は目も当てられないものだった。それでも1月の消費者信頼感指数は昨年10月以来の高水準に上昇し、米国の消費者が今のところ金融市場の混乱をやりすごしている様子を示唆した。新興国経済の急減速が米国に波及しかねないとの懸念が強まる中、世界的な市場変動の高まりで米企業が雇用をためらったかどうか、1月の雇用統計で見てとれるかもしれない。 3.賃金上昇率 ENLARGE 平均賃金の前年比上昇率(青:時給、薄い青:週給) 今回の景気拡大局面では賃金上昇率が長いこと上向かず、雇用市場のスラック(余剰資源)が続いていることがうかがえる。12月は堅調な雇用増を維持したにもかかわらず、平均時給は前月比0.01ドル減少した。今週の雇用統計は、賃金が上向くかどうかのさらなる手掛かりとなるだろう。もう一つ注目すべきは失業率だ。12月は大幅な雇用増にもかかわらず失業率が5%から下がらなかった。今年最初の月の失業率がこの心理的な節目の水準を下回れば、米経済の回復は一段と鮮明になる。 4.異常気象の影響 ENLARGE 大雪に見舞われたニューヨーク PHOTO: KENA BETANCUR/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES エコノミストらは、12月に暖冬で建設部門の雇用が伸びたことから、1月の統計が大きくぶれる可能性があると警告する(1月は米東海岸が豪雪に見舞われ学校や政府機関が閉鎖、一部企業も営業を停止したが、こちらは統計の締め切り後だった)。1月の厳しい寒さが雇用にどう影響したか糸口がつかめるかも知れない。 5.業種別の変化 1月の業種別の雇用の伸びからは、米経済で起こっている変化が見て取れるかもしれない。米サプライ管理協会(ISM)が発表した1月の製造業景況指数は国内製造業の活動が4カ月連続で縮小したことを示し、ドル高と輸入品価格の下落が打撃となる中、製造業の雇用情勢を懸念する声が高まった。また、昨年の原油安でエネルギー企業の業績は大幅に悪化した。非製造業景況指数も1-3月期の減速兆候を示しており、サービス部門の雇用に影響する恐れがある。 関連記事 ? 1月の米雇用統計、気になる製造業低迷 ? 米製造業の減速、どこまで懸念すべきか ? FRBが直面する謎−雇用堅調でも成長減速 http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-MA222_DECJOB_M_20160108090517.jpg http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-MA219_DECJOB_M_20160108090333.jpg 1月の米雇用統計、気になる製造業低迷 ENLARGE 5日は米雇用統計が発表されるが、気になるのは製造業の落ち込みだ。 PHOTO: TY WRIGHT/BLOOMBERG NEWS By STEVEN RUSSOLILLO 2016 年 2 月 5 日 14:49 JST 2016年の幕開けは大荒れとなったが、米労働市場の力強さは投資家にとってわずかな好材料の一つとなっている。ただ、これも長続きはしないかもしれない。 5日発表される1月の米雇用統計はまずまずの内容となりそうだが、この数カ月のような強さは見られないだろう。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が実施したエコノミスト調査によると、1月の非農業部門就業者数は18万5000人増が予想されている。過去1年間の平均は22万1000人増だった。 労働市場に影を落としているのは、経済成長の減速と製造業の低迷だ。過去の例で見ると、こうした状況は今後の雇用改善が望み薄であることを示唆している。米サプライ管理協会(ISM)が1日発表した1月の製造業景況指数は、4カ月連続で活動の拡大と縮小の境目にあたる50を下回った。 一般的に言って、縮小を示す数値が1カ月か2カ月出ただけなら気にしなくてもいいだろう。だが、4カ月連続したとなれば、より深刻な状況が迫っていると思った方がいい。 過去30年間にISM指数が4カ月以上連続で50以下を示した例は6回あった。いずれの場合も、その後の1年間に雇用の伸びは鈍化している。 ENLARGE ISM製造業景況指数の推移 THE WALL STREET JOURNAL 1989年春の場合、それまで1年間にわたり非農業部門就業者数が月平均25万5000人増加していた。しかし同年春に製造業の低迷と雇用増の鈍化が始まり、1990年代初めにはリセッション(景気後退)に陥った。 最終的にリセッションとならなかった場合でも、こうしたパターン自体は見られる。90年代半ば、月平均の就業者数は約30万人増を維持していたが、ISM指数が低下し始めた95年5月以降の1年間は平均17万5000人増に減少した。ただ、その後は回復に向かった。2003年も同様のパターンが繰り返された。 足元ではISM指数の低下に加え、新規失業保険申請件数も増加傾向を示し、多くの地域で製造業の雇用指標が弱含んでいる。また、言うまでもないが、昨年10-12月期の米経済成長率も大きく鈍化した。 雇用の減速は、緩やかなものにとどまりそうだ。ただ、金融市場はそれ以上に事態が悪化する可能性を織り込んでいる。株価は年初から急落し、10年物米国債利回りは今週、10カ月ぶり低水準まで低下した。 5日の雇用統計が弱い内容なら、こうした不安はさらに拡大するだろう。 関連記事 ? FRB副議長、失業率の想定以上の低下を容認 ? 米製造業の減速、どこまで懸念すべきか ? FRBが直面する謎−雇用堅調でも成長減速 http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-ML439_TAPE02_M_20160204133714.jpg Business | 2016年 02月 5日 15:00 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス アングル:中国企業を覆う「金欠病」、在庫増と売掛金回収難も [東莞市/香港 5日 ロイター] - 「売上高は虚栄心、利益は正気、しかし現金は現実」という格言が真実であれば、中国企業の多くは今、現実に直面していると言えるだろう。
ロイターが中国企業1200社の運転資金を分析したところ、手元現金が一段と乏しくなっていることが分かった。中国経済が25年ぶり低成長に落ち込む中で売れ残り在庫が膨らんでいる上、売掛金の回収にかかる日数が伸び、支払ってもらっていない請求書が山をなしている。 KPMGチャイナのパートナー、ファーガル・パワー氏は、中国企業の大半は好況時に市場シェアと売上高を伸ばすことを優先させた、と指摘。その結果「中国は運転資金の管理が甘い」という。 ロイターの調査は、上海・深セン上場企業のうち時価総額が5億ドルを超える全企業を網羅している。それによると、売掛金の回収にかかる日数は平均で、2011年の37日から、現在では59日に伸びた。 業種別では、エネルギーが24日から80日、工業は61日から94日、情報技術(IT)が76日から112日と伸びが特に大きい。 三菱東京UFJ銀行のアナリスト、クリフ・タン氏は「工業セクターではここ数年、売掛金の増加ペースが売上高の伸び率を上回っている。データからはこれが根強い問題であることが分かる」と述べた。 「問題が深刻化しているサインは、怪しげなシャドーバンク商品が登場していることだ」という。手元現金に困った企業が、伝統的な銀行融資を受けることが難しいため、こうした商品に手を出すのだという。 <春節後に失業者急増の恐れ> サン・グローバル・インベストメンツのサジブ・シャー最高投資責任者(CIO)は「多くの中国企業では、需要の急減に見舞われている」と指摘。「在庫が積み上がってるのに加えて、顧客は支払期間延長などの優遇を要求しており、売掛金が膨らむのは当たり前」と話す。 売上高に占める在庫の比率は、工業セクターでは22.7%から26.5%に上昇し、ハイテクは20.9%から23.7%に上昇した。 現金に困った企業は臨時契約の労働者への依存を強めている。東莞市の人材紹介業者は、企業は正社員への給料支払いを維持できなくなっている、と指摘。工業地帯である珠江デルタの工場に紹介する労働者の80%が今や臨時雇用であり、1年前の70%から増加した、という。 地元のある工場オーナーは、来週から始まる春節(旧正月)後に、失業者が急増する可能性があると話している。中国の工場は通常、春節に合わせて2週間程度休むが「労働者は休暇後、職を見つけられないかもしれない。質の低い工場は生き残ることが難しい」などと語った。 (James Pomfret記者、Umesh Desai記者 翻訳:吉川彩 編集:吉瀬邦彦) http://jp.reuters.com/article/china-companies-cashflow-idJPKCN0VE0DO?sp=true Business | 2016年 02月 5日 08:07 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 中国はハードランディングの回避可能=IMF専務理事
[ワシントン 4日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、中国が国有企業改革を続け、市場主導かつ明確な為替政策をとれば「ハードランディング」を回避できるとの見解を示した。 専務理事はオンラインでの会見で、鈍化した持続的な成長に中国経済が移行することが影響して、原油・コモディティ輸出国への圧迫が続くとし、IMFなど国際機関による支援への需要が高まると指摘。その上で新興市場国向けの資金支援ツールの拡充を用意したいとの意向を示した。 中国経済の移行は困難で市場の動揺につながるとも述べ、国際的な金融の安全網が「強固でいかなる状況に直面しても直ちに利用できるようにする必要がある」と語った。 専務理事はこれに先立つメリーランド大学での講演で、原油などコモディティ価格の低迷は当面続く見通しとし、一連の予防的な融資制度の拡充を検討するとの方針を明らかにした。 「予防的な融資制度をより強く大きくし、安全網の規模を拡大することが考えられる」とし、「IMFは今後数カ月、加盟国とともにこうした国際金融システムに関する問題を検討する」と述べた。 ラガルド専務理事は先進国に対しては、金融緩和政策やインフラ投資などを通じて成長押し上げを促す一方、新興国はコモディティ以外の収入を増やし、一段と柔軟な為替政策を許容することが支援となるとの考えを示した。 中国経済をめぐっては、輸出・投資依存から内需・サービスけん引型への移行を目指す経済のリバランスが、より持続可能な成長へとつながると指摘。 ただ短期的には景気減速の影響が貿易やコモディティ需要の減退を通じて波及し、金融市場によって増幅されるとの見方を示した。 http://jp.reuters.com/article/imf-lagarde-idJPKCN0VD2PL
NY原油(4日):反落、供給超過を嫌気−ドル安織り込み済みとの声 2016/02/05 05:45 JST 記事をメールで送信 記事を印刷する 共有/ブックマーク ShareGoogleチェックTwitterシェア (ブルームバーグ):4日のニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が反落。原油は一時、ブルームバーグ・ドル・スポット指数の下落を好感して4.1%上昇する場面もあったが、約80年ぶり高水準に積み上がった米在庫の影響の方が大きかった。 エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は「需給ファンダメンタルズが圧倒的に弱い環境で、ドルにできることにも限度がある」と話す。「ドル安はすでに織り込んでしまったようだ」と続けた。 ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物3月限は前日比56セント(1.73%)安い1バレル=31.72ドルで終了。前日には8%急騰していた。ロンドンICEのブレント4月限は58セント(1.7%)下げて34.46ドル。 原題:Crude Falls as Global Oil Supply Glut Outweighs Dollar Weakness(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Mark Shenk mshenk1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: James Herron jherron9@bloomberg.net; David Marino dmarino4@bloomberg.net Grant Smith 更新日時: 2016/02/05 05:45 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O21IIJSYF01T01.html クリーブランド連銀総裁:FRB経済見通しの大幅変更は時期尚早 (1) 2016/02/05 08:29 JST (ブルームバーグ):クリーブランド連銀のメスター総裁は4日、世界経済の成長見通し悪化に伴う金融市場の混乱の後でも、米経済が緩やかな利上げを正当化すると引き続き予想していることを明らかにした。 同総裁はニューヨークでの講演で、最近の情勢が「見通しに若干のリスク」を与えているとしながらも、予想を「大幅に変更するのは時期尚早だ」と発言。「株式相場のより急ペースかつ持続的な下落がリスクテークの一段と広範で持続的な後退につながり、見通しに悪影響が及ぶ可能性はあるが、これまでのところ、こうした事態は見られない」と語った。 メスター総裁は今年、連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を持つ。この日、同総裁に先立ちダラス連銀のカプラン総裁は、当局者らが3月のFOMCで金利についてどのような決定を下すのか判断するのは時期尚早だと述べていた。 メスター総裁は「さらなる反証が見られない限り、エネルギーと製造業部門が引き続き振るわない中でも米経済は最近の市場混乱とソフトパッチ(軟化局面)を乗り切って、緩やかな成長の基盤を再び固めると私は予想する」とし、「私の現在の見解は金利が徐々に、より正常な水準へと上昇するのを正当化するように経済情勢は推移するだろうというものだ」と説明した。 原題:Mester Says Premature for Fed to Materially Change Outlook (1)(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Matthew Boesler mboesler1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Carlos Torres ctorres2@bloomberg.net 更新日時: 2016/02/05 08:29 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O21MXJ6S972W01.html
米大統領、バレル10ドルの石油課税提案へ−17年度予算教書で (1) 2016/02/05 08:31 JST (ブルームバーグ):オバマ米大統領は2017年度(16年10月−17年9月)の予算教書で、石油へのバレル当たり10ドルの課税を提案する。ただ、上下両院ともに共和党が多数を占める議会では冷淡な反応が予想される。 税収は輸送分野や温暖化対策に充てられる。今回の提案はオバマ大統領の環境問題への取り組みに対する信任を高め、任期最終年に気候変動問題に関する対策を精力的に推進するという大統領の意思を示すためにまとめられたようだ。 ホワイトハウスは4日、「石油に課税することで、石油への依存度引き下げに向けた民間部門のイノベーションと将来の動力源であるクリーンエネルギー技術への投資を促す明らかなインセンティブが生まれる」との声明を発表した。 米石油業界は提案に直ちに反対を表明した。 原題:Obama $10-Per-Barrel Oil Tax Seen Landing With Thud in Congress(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先: Washington Justin Sink jsink1@bloomberg.net;ワシントン Jennifer A. Dlouhy jdlouhy1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Jon Morgan jmorgan97@bloomberg.net Mark Shenk 更新日時: 2016/02/05 08:31 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O21LR66S972901.html
日本株は4日続落へ、円高勢い止まらず業績懸念−輸出、金融中心売り 2016/02/05 08:00 JST (ブルームバーグ):5日の東京株式相場は4日続落する見込み。為替市場で円高の勢いが止まらず、企業業績への悪影響が警戒される。自動車や電機など輸出関連、金利低下やマイナス金利政策による収益押し下げ懸念が強い銀行など金融株中心に幅広く下げそうだ。東芝やイビデン、ネットワンシステムズといった業績失望銘柄も安くなる。 野村証券投資情報部の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「これまでは米国景気が回復している中、そのペースが期待ほどではないとの見方があったが、現在は米景気が下向きになってきたとの懸念が市場に出ているのかもしれない」と指摘。「日銀はやるべきことはやったが、日銀だけでできることには限界があった」と言う。 米シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物(円建て)の4日清算値は1万6815円と、大阪取引所の通常取引終値(1万7070円)に比べ255円安だった。 4日のニューヨーク為替市場ではユーロと円が上昇。双方とも中央銀行が為替にとって下げ材料となる方針を足元で示したが、反応は限られている。円は対ドルで一時116円53銭と、1月21日以来のドル安・円高水準に振れた。日銀の企業短期経済観測調査(短観、昨年12月調査)によると、大企業・製造業の15年度下期の想定為替レートは1ドル=118円。 4日の米国債市場では10年債利回りが低下。ブルームバーグがアナリストやストラテジストを対象に実施した調査では、今回の引き締めサイクルにおける政策金利の最高水準の予測は2.875%と、昨年7月調査の3.375%から下方修正された。米金利予想の低下に伴い、為替市場では日本株のマイナス要因となる円高圧力がかかりやすい。 また、4日に発表された国内決算では、東芝が2016年3月期純損失見通しを7100億円とし、昨年12月時点の予想5500億円から下方修正した。パソコン市場などの減速で16年3月期の営業利益計画を下方修正したイビデン、16年3月期業績計画を減額したネットワン、16年3月期営業損益計画を黒字から赤字に下方修正したミツミ電機など業績失望銘柄は下げる公算が大きい。 米国では5日に1月の雇用統計が発表される。市場予想では、非農業部門の雇用者数は前月比で19万人増、失業率は5.0%。12月は29万2000人増、5.0%だった。「雇用統計を確認しないと米金融政策が見えない」と若生氏は言い、売り一巡後は為替の動向をにらみながら、様子見ムードの広がりを予想している。 米主要株価指数の4日終値は、S&P500種株価指数が0.2%高の1915.45、ダウ工業株30種平均が79.92ドル(0.5%)上げて16416.58ドル。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 長谷川敏郎 thasegawa6@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net 院去信太郎 更新日時: 2016/02/05 08:00 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O21OJR6K50Y001.html
債券上昇か、夜間取引の流れ引き継ぐとの見方−超長期に出遅れ感 (1) 2016/02/05 08:01 JST (ブルームバーグ):債券相場は上昇が予想されている。前日の米国債相場が上昇したことに加え、夜間取引で先物が最高値を更新するなど堅調に推移した流れを引き継ぎ、買いが先行する見通し。市場参加者からは、超長期ゾーンに出遅れ感があるとの見方が出ている。 5日の長期国債先物市場で中心限月3月物は151円台前半での推移が予想されている。夜間取引では一時150円09銭まで上昇し、過去最高値を更新。結局は4日の日中終値に比べて14銭高の151円06銭で終えた。 東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、米国など「他市場はフォロー」と指摘。「地合いは予想以上に強いようだ。今日の相場は堅調」と予想する。「超長期ゾーンに出遅れ感があろう」と言う。 現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の341回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値0.055%を下回っての推移が見込まれている。佐野氏は今日の予想レンジを0.035−0.055%とし、3日に記録した過去最低水準の0.045%を下回る可能性があるとの見方を示している。 4日の米国債相場は上昇。米10年債利回りは前日比5ベーシスポイント(bp)低下の1.84%程度で引けた。先週の米週間新規失業保険申請件数が増えたことなどが手がかりとなった。一方、米国株相場は小幅続伸。S&P500種株価指数は前日比0.2%高で引けた。 日銀国債買い入れ 日銀は今日午前10時10分の金融調節で、今月3回目となる長期国債買い入れオペを通知する可能性がある。 みずほ証券の辻宏樹マーケットアナリストは、「今日は日銀による国債買い入れオペが行われる公算が大きいこともあり、債券相場の支援材料は多い」と指摘。ただ、「夜間取引の流れを受けて堅調なスタートになる公算は大きいものの、その後は高値警戒感から相場の上昇余地は限定的なものになるだろう」と言う。 前日の国内債市場では新発5年債利回りがマイナス0.155%に低下し、過去最低を付けた。新発2年債と10年債利回りは3日に最低を更新しており、超長期ゾーンだけが1日の水準を下回っていない。 DIAMアセットマネジメントの山崎信人上席ファンドマネジャーは、超長期について、「9日の30年債入札や16日の20年債入札を控えた水準調整をしながら、徐々にフラット化の方向に向かうと考えている」と話した。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 池田祐美 yikeda4@bloomberg.net;東京 山中英典 h.y@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:崎浜秀磨 ksakihama@bloomberg.net 山中英典 更新日時: 2016/02/05 08:01 JST NY外為:ユーロと円が上昇、日欧中銀の政策バズーカは不発弾に (1) 2016/02/05 07:49 JST (ブルームバーグ):4日のニューヨーク外国為替市場でユーロと円が上昇。欧州中央銀行(ECB)と日本銀行は為替相場にとっては弱材料となる追加緩和の可能性を示唆したものの、トレーダーの反応は冷ややかだ。 ユーロは週間ベースで2011年以降で最大の値上がり。円は約6年ぶりの大幅上昇となっている。ドラギECB総裁はインフレを押し上げるためさらに行動する用意があることをあらためて表明しており、日銀の黒田東彦総裁はマイナス金利をさらに拡大する可能性に対し、否定しなかった。 中国の減速が世界に波及するとの懸念が強まっており、追加緩和の兆候が出ている。この懸念を背景に経常収支が黒字の日本とユーロ圏は安全逃避先としての投資妙味が高まっている。米国では世界的に不透明感がある中で金融政策を引き締めることはできないとして、米国の利上げ見通しは後退している。 オッペンハイマーファンズのグローバル・マルチアセット・グループのマネーマネジャー、アレッシオ・デロンジス氏は「中央銀行は壁に当たっている」と述べ、「日銀にせよECBにせよ、金融政策が金融市場、特に外為市場の方向を左右するとは考えられない」と続けた。 ニューヨーク時間午後5時現在、ユーロは対ドルで1ユーロ=1.1209ドル。週間ベースでは3.5%上昇した。円は週間で3.6%上昇。先週の日銀金融政策会合後に下げた分をすべて取り戻した。 欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、16年のインフレ率見通しを0.5%と、昨年11月予想時の1%から下方修正した。インフレ率はECBが目標とする2%弱を下回る水準にとどまっている。 先物市場動向によると、トレーダーは連邦公開市場委員会(FOMC)による年内利上げの確率を50%以下とみている。 ニューヨーク連銀のダドリー総裁は3日、マーケット・ニュース・インターナショナル(MNI)とのインタビューで、金融状況は昨年12月に比べ「著しく引き締まった」と述べた。また、フィッシャー副議長は「一連の動向が金融状況を継続的に引き締めることになった場合、世界的な景気減速が示唆される可能性があり、そうなれば米国の成長やインフレにも影響を及ぼすであろう」と述べた。 原題:Policy Bazookas Misfire as Euro, Yen Up Most Since at Least 2011(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Rachel Evans revans43@bloomberg.net;エディンバラ Lukanyo Mnyanda lmnyanda@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: David Goodman dgoodman28@bloomberg.net Manisha Jha 更新日時: 2016/02/05 07:49 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O21KMHSYF01T01.html 米利上げは年内にある−2015年「債券王」PIMCOシュナイダー氏 2016/02/05 03:11 JST (ブルームバーグ):パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のジェローム・シュナイダー氏は、米金融当局による年内利上げシナリオを債券トレーダーは捨てるべきではないと述べた。同氏が運用する主要ファンドの昨年のリターンは同業者のファンドを上回り、「債券王」に選ばれている。 シュナイダー氏らは米国の経済成長が安定して推移し、賃金の伸びも加速するとの見通しから、米連邦公開市場委員会(FOMC)が年内に2回以上は利上げするとみている。一方、先物トレーダーらの間では先行き見通しが暗くなっており、年内の利上げはないとの見方が強まっている。FOMC当局者らが昨年12月に示した予測では、今年の利上げ回数は4回だった。 シュナイダー氏は4日、ブルームバーグラジオのインタビューで、「市場は米当局が間違っているという方向に賭けている」と述べた上で、同氏らはそうした市場とFOMCのそれぞれ予測の「中間ぐらいになるのではないかと思っている」と付け加えた。 計1800億ドル(約21兆円)規模の短期資産運用を監督するシュナイダー氏は、マネーマーケットのボラティリティ上昇に備えるべきだと呼び掛けた。世界的に金融環境が悪化しFOMCが金融政策は経済データ次第と言明する中で、トレーダーは金利見通しの調整を続ける必要があるとしている。 ブルームバーグがまとめたデータによれば、シュナイダー氏が携わる「ショート・ターム・ファンド」(137億ドル)の2015年のリターンは約1.4%。競合するファンドのリターンは平均で横ばいだった。米モーニングスターは先週、同氏と同氏が率いるチームを同年最高の債券ファンドに選んだ。ただ今年に入ってからのリターンは約0.7%のマイナスとなっており、同業者ファンドのうち約90%を下回る。 原題:Pimco’s Schneider, Bond King of 2015, Sees Fed Hikes This Year(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Liz Capo McCormick emccormick7@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Boris Korby bkorby1@bloomberg.net John Gittelsohn, Michael McKee 更新日時: 2016/02/05 03:11 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2189USYF01S01.html 米労働生産性:第4四半期は約2年ぶり大幅マイナス−労働コスト上昇 2016/02/05 00:06 JST
(ブルームバーグ):2015年10−12月(第4四半期)の米労働生産性はここ2年近くで最大の落ち込みとなった。労働コストは上昇した。 米労働省が4日発表した第4四半期の非農業部門労働生産性指数 (速報値)は前期比年率3%低下した。これは2014年1−3月(第1四半期)以来最大のマイナス。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は2%低下だった。第3四半期は2.1%上昇(従来発表は2.2%上昇)に修正された。 労働生産性指数は、15年通年では0.6%上昇した。 ソシエテ・ジェネラルのシニア米国エコノミスト、ブライアン・ジョーンズ氏(ニューヨーク在勤)は「生産性は基本的に沈滞している」とし、それはつまり「生産を拡大するためには労働者を増やし続ける必要がある」ことを意味すると指摘した。 第4四半期の単位労働コスト指数 (単位当たりの生産に要する労働コスト)は4.5%上昇と、1年ぶりの大幅な伸び。市場予想の中央値は4.3%上昇だった。15年通年では労働コストは2.4%上昇と、07年以来の大幅な伸び。 第4四半期のインフレ調整後の実質ベースでの時間当たり給与は1.1%上昇(前期は2.5%上昇)。15年通年では2.8%上昇と、2000年以降で最大の伸び。 統計の詳細は表をご覧ください。 原題:U.S. Productivity Falls Most Since Early 2014, Labor Costs Jump(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Victoria Stilwell vstilwell1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Vince Golle vgolle@bloomberg.net; Carlos Torres ctorres2@bloomberg.net 更新日時: 2016/02/05 00:06 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O211QK6JIJVC01.html Business | 2016年 02月 5日 05:31 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 米12月製造業受注2.9%減、1年ぶり大幅マイナス
[ワシントン 4日 ロイター] - 米商務省が4日発表した昨年12月の製造業受注は前月比2.9%減と、2014年12月以来1年ぶりの大幅な落ち込みとなった。ドル高や世界需要の弱含みが製造業の重しとなり続けていることを示した。市場予想は2.8%減だった。 11月の数字は当初発表の0.2%減から0.7%減へ下方修正された。15年通年では6.6%減った。 ドルは米国の主要な貿易相手国の通貨に対して14年6月以来22.2%値上がりしている。原油価格は、供給過剰や、中国などの新興国市場の成長鈍化に伴いここ18カ月間で約70%下落している。そのほか、在庫の積み上がりや、原油安に直面するエネルギー企業の投資削減も、米経済の約12%を占める製造業の足かせとなっている。 ただ、製造業の落ち込みは底入れに近づいているかもしれない。ドル高や世界需要の弱含みは引き続き課題となるかもしれないが、1日に発表された1月の米製造業景気指数は、拡大・悪化の分岐点を4カ月連続で下回りながらも新規受注が持ち直したことで前月からは上昇した。 製造業受注の内訳は、耐久財(トースターから航空機器など3年以上もつモノ)が5.0%減った。先月発表された速報値は5.1%減だった。 輸送機器は航空機受注の減少を反映して12.6%減った。自動車・同部品は1.4%増えた。 民間設備投資の先行指標となるコア資本財(資本財から国防関連と航空機を除く)の受注は4.3%減だった。 国内総生産(GDP)で企業の設備投資の計算に使われるコア資本財の出荷は0.2%増と、速報値の0.2%減からプラスへ転じた。 在庫は0.2%増と6カ月ぶりにプラスに転じた。在庫解消の動きが後退したことは製造業にとって良い兆しだが、出荷に対する在庫の比率は1.38と、11月の1.35から伸び、高過ぎる水準にある。 受注残高は0.5%減と、3カ月ぶりのマイナスとなった。 http://jp.reuters.com/article/dec-us-factory-orders-idJPKCN0VD2PF
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