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日経平均17000円の攻防(GLOBAL EYE)
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/259.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 2 月 04 日 16:14:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

日経平均17000円の攻防
http://www.globaleye-world.com/2016/02/269.html
By globaleye | 2016.02.04 15:56  GLOBAL EYE


日経平均は17,000円の攻防となり、終値は146円安の17,044円とかろうじて17,000円台を守っていますが、ほぼ日銀のマイナス金利導入による上昇分を「吐き出した」ことになります。

円相場は117円台に戻っており、完全に「行って来い」状態になっています。

黒田総裁は更なるマイマス金利拡大も辞さないとしていますが、日銀総裁が市場と「喧嘩」を始めたともいえ、今後市場が日銀を無視して暴れまわることになるかも知れません。

そうなれば株式市場、為替市場は大荒れになり、いくら金融緩和をしましても日銀の狙いと反対方向に市場が動き、黒田総裁解任を目指して市場が結託することもあり得ます。

市場からすれば黒田総裁解任等の話がでるだけで大暴れできますし、実際に日銀と市場が「戦」を始めれば、日銀は勝ち目はありません。

株価は今は何とか16,000円〜17,000円が防衛ラインとなっているようで、ETFを買いまくり何とかこの水準を維持するようにするでしょうが、人工的な株価維持は成功した試しがなく買い支え失敗となりPKOを止めれば日経平均は15,000円以下に急落していくことになり、日銀と公的年金に膨大な損が出ます。

3月末までは何とか日経平均で16,000円〜17,000円を維持するでしょうが、世界情勢はそれを許すでしょうか?

明日はトヨタの決算発表があり金曜日でもありこれを買い手がかりにするでしょうが、既報のフェラリー株の急落もあり安心はできません。


 

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1. 2016年2月05日 00:58:14 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[222]
「弱気相場」入り日本株、平均脱出期間は7カ月半−バブル崩壊後14回
2016/02/05 00:00 JST

    (ブルームバーグ):高値からの下落率が2割を超え、2年ぶりにいわゆる「弱気相場」入りした日本株。過去の経験則では、一度入ると脱出までには平均で7カ月半かかっており、今回のケースではさえない展開が夏場まで続く可能性がある。
日経平均株価は1月20日の取引で前日比3.7%安の1万6416円まで下落、昨年6月24日に付けた1996年12月以来の高値2万868円からの下落率が20%を上回った。弱気相場からの脱出には、反対に安値からの上昇率が20%を超す必要があり、今回は1月21日安値の1万6017円を起点にすると1万9220円。バブル相場崩壊の90年以降では、弱気入りはこれまで14回、ブルームバーグの調べで平均調整期間は7カ月半だった。経験則に従えば、8月30日が一つの目安だ。
株価水準面では、弱気相場入りからさらに平均で18%下落する結果が得られた。今回のケースでは1万3461円に相当、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まった13年9月の水準に逆戻りすることになる。15年6月高値からの調整率は35%に及ぶ。
セゾン投信運用部の瀬下哲雄ポートフォリオマネジャーは、「景気は良くないが、日米欧の金融緩和によって株価は押し上げられてきた。こういう緩和は永遠に続かないと皆が思っていた」と言う。1月以降の株安の根底には米国の利上げがあるとし、「夢から覚めるときがくると思うと、投資家心理は下向きになる」と指摘した。
過去の弱気相場の継続期間で最長は、97年1月から99年3月までの533営業日。この間、タイ・バーツの暴落を引き金にアジア通貨危機が起こり、日本では北海道拓殖銀行や三洋証券、山一証券が次々破綻、日本長期信用銀行と日本債券信用銀行が国有化されるなどデフレスパイラルの中で金融システム不安が市場を揺さぶった。
半面、最短はリーマン・ショックを受け鋭角的に下げた後の09年2月からの22営業日。これに、リーマン・ブラザーズ破綻直後の08年9月18日から10月29日までの27営業日が続く。08年のケースでは、弱気入り後に日経平均がさらに38%下げ、自律反発も起きやすかった。
セゾン投信の瀬下氏は、「過去の弱気相場入り後の調整期間はばらつきがある。嫌な予感がするのは、今回は日欧の緩和政策方針に株価が反応していないことだ」と話す。日本銀行が1月29日に国内初のマイナス金利政策を導入、その後に株価上昇が続かなかったのは金融政策の手詰まり感を表しているとし、「副作用のある政策に『黒田日銀』に対する市場の信認も落ちた。長い調整シナリオも頭に入れておかなければならない」と警戒感を示す。
弱気後の2割以上下落は6回
一方、株価が弱気相場入り後にさらに2割以上下落したケースは6回ある。リーマン破綻直後の38%をはじめ、バブル相場崩壊の第1ステージである90年3月からは34%、第2ステージの91年8月からは33%下げた。対照的に弱気後の調整が軽度だったケースは、前回13年6月のゼロ、10年8月からの2%下落、93年11月の4%下落などが挙げられる。
LGTキャピタル・パートナーズの熊田幹夫グローバルストラテジスト(香港在勤)は、「1月のボラティリティはファンダメンタルズに基づいたものではなかったが、さらにボラティリティが激しくなれば、投資家心理にダメージを与えることがある」と指摘。こうした状況下で、「中央銀行の政策や素晴らしい経済指標が今後出ない限り、今の投資家心理を変えることは難しいかもしれない」と予想した。
セゾン投信の瀬下氏は、経験則で株価の方向性を知ることは難しいが、値幅に関しては経験則が当てはまるとみている。同氏によると、1年間の世界の株価変動率の1標準偏差は20%、2標準偏差は40%。日経平均の昨年末値1万9033円を起点とした1月安値はマイナス16%の水準で、1標準偏差の中にある。「年間で40%の変動は投資家として想定しておく範囲。マーケットは将来の予想で変動するもので、それだけ動くものだ」と述べた。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 長谷川敏郎 thasegawa6@bloomberg.net;東京 Yuji Nakamura ynakamura56@bloomberg.net;東京 Jeff Sutherland jsutherlan13@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net 院去信太郎
更新日時: 2016/02/05 00:00 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O1YUHW6K50XS01.html


米労働生産性:第4四半期は約2年ぶり大幅マイナス−労働コスト上昇
2016/02/05 00:06 JST

  (ブルームバーグ):2015年10−12月(第4四半期)の米労働生産性はここ2年近くで最大の落ち込みとなった。労働コストは上昇した。
米労働省が4日発表した第4四半期の非農業部門労働生産性指数 (速報値)は前期比年率3%低下した。これは2014年1−3月(第1四半期)以来最大のマイナス。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は2%低下だった。第3四半期は2.1%上昇(従来発表は2.2%上昇)に修正された。
労働生産性指数は、15年通年では0.6%上昇した。 
ソシエテ・ジェネラルのシニア米国エコノミスト、ブライアン・ジョーンズ氏(ニューヨーク在勤)は「生産性は基本的に沈滞している」とし、それはつまり「生産を拡大するためには労働者を増やし続ける必要がある」ことを意味すると指摘した。
第4四半期の単位労働コスト指数 (単位当たりの生産に要する労働コスト)は4.5%上昇と、1年ぶりの大幅な伸び。市場予想の中央値は4.3%上昇だった。15年通年では労働コストは2.4%上昇と、07年以来の大幅な伸び。
第4四半期のインフレ調整後の実質ベースでの時間当たり給与は1.1%上昇(前期は2.5%上昇)。15年通年では2.8%上昇と、2000年以降で最大の伸び。
統計の詳細は表をご覧ください。 
原題:U.S. Productivity Falls Most Since Early 2014, Labor Costs Jump(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Victoria Stilwell vstilwell1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Vince Golle vgolle@bloomberg.net; Carlos Torres ctorres2@bloomberg.net
更新日時: 2016/02/05 00:06 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O211QK6JIJVC01.html


米週間新規失業保険申請件数:8000件増の28.5万件、市場予想27.8万件
2016/02/04 22:34 JST

  (ブルームバーグ):  エコノミスト47人の予想レンジは26万5000−29万5000件だった。* 統計表
原題:U.S. Weekly Jobless Claims Rose 8k to 285k; Est. 278k(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Jordan Yadoo jyadoo@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Alex Tanzi atanzi@bloomberg.net; Kristy Scheuble kmckeaney@bloomberg.net
更新日時: 2016/02/04 22:34 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O20YZ0SYF01W01.html


ECB、低インフレとの闘い継続=ドラギ総裁
By TOM FAIRLESS AND TODD BUELL
2016 年 2 月 4 日 20:14 JST

 【フランクフルト】欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は4日、低インフレとの闘いの継続を主張した。

 ドラギ総裁は、世界の経済には現在、インフレの抑制で「共謀している」複数の要因があるものの、常にそうした状態になるとは限らないと話した。

 「これらの要因のためインフレ目標の達成が一段と遅くなるかもしれない。だが、こうした要因が恒久的な低インフレに必ずつながるとする理由はない」と述べた。

 ドラギ総裁は「世界的なショックが長引いているときでも、中期的な物価の安定を決定付けるのは依然として金融政策だ」と説明した。

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 その上で「目標達成の意志があれば、手段は存在するという確証を十分に得た」とし、「ECBやその他の中銀が証明してきた通り、政策金利の下限はゼロではない」と続けた。

 ECBに加え、日本やスイス、デンマーク、スウェーデンの中銀が既にマイナス金利を導入している。一部のエコノミストは、ECBが次回の政策理事会で預金金利を現在のマイナス0.3%からさらに引き下げる可能性があるとみている。

関連記事

ユーロ圏の物価上昇、「目に見えて弱い」=ECB総裁
各国中銀が緩和加速−日銀マイナス金利導入

ECB、謙虚かつ慎重な姿勢が必要=メルシュ専務理事

By TOM FAIRLESS
2016 年 2 月 4 日 23:48 JST

 欧州中央銀行(ECB)のメルシュ専務理事は4日、他のECB理事会メンバーに対し、ユーロ圏の経済成長の促進を模索する上で「謙虚」かつ「慎重」な姿勢を求めた。

 メルシュ専務理事はチューリヒでの講演で、中央銀行が経済の真の状態を「理解するには限界がある」点を強調した。理由として潜在的な成長力を測定する難しさやデジタル経済への移行を挙げた。

 中央銀行が経済のかじを取れるという期待は「適切ではなくなってきている」と述べた。

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 ドラギECB総裁は1月、次回3月の定例理事会で現在の量的緩和策を「再点検し、見直しを図る可能性もある」と述べていた。

 メルシュ専務理事は「政策担当者が責任を全うするためには謙虚な判断と慎重な行動が必須の前提条件になるだろう」との考えを示した。


英中銀総裁、経済の回復力に自信−世界情勢の影響指摘も

By JASON DOUGLAS AND PAUL HANNON
2016 年 2 月 5 日 00:17 JST

 英イングランド銀行(中央銀行)のカーニー総裁は4日の記者会見で、「世界で最も経済開放度の高い国の一つとして、英国は厳しい世界情勢と金融市場の長引く混乱の影響を免れない」と指摘した。

 同行の金融政策委員会(MPC)はこの日発表した四半期インフレ報告で、世界経済の見通しの暗さを懸念し、英国経済の今年と来年の成長率見通しを下方修正していた。

 だがカーニー総裁は「われわれの継続的かつ安定した成長は過去7年に築いた回復力に支えられている」と述べた。

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 今後の利上げ経路をめぐる投資家の期待は「十分な引き締め」見通しになっていないとし、年内の利上げ開始にまだ可能性があることを示唆した。

 英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票も、今年イングランド銀を待ち受けるリスクの一つだ。

 イングランド銀は国民投票をめぐる不透明感について、実体経済に影響している兆候はほとんど無いようだとしつつ、このところのポンド安の要因になっている可能性もあると指摘した。

 カーニー総裁は、国民投票という不確実要素にもかかわらず消費者信頼感と企業景況感が引き続き「好調」だとの見方を示した。投票前後に金融市場に動揺が広がった場合に備え、危機管理計画を策定したことも明らかにしたが、詳細には触れなかった。

英中銀:全会一致で据え置き決定、低インフレで利上げ主張消える (2)
2016/02/04 23:07 JST

    (ブルームバーグ):イングランド銀行(英中央銀行)は4日、政策金利据え置きを発表した。同時に公表された金融政策委員会(MPC)の議事録によると、決定は全会一致だった。中銀は四半期物価報告も公表。成長率とインフレ率予想を下方修正し、低金利が続くことを示唆した。
政策金利は過去最低の0.5%で据え置いた。9人のMPCメンバー全員が据え置きを支持。全会一致は昨年7月以来だった。インフレ率は今年いっぱい1%未満にとどまると予想。低インフレ見通しを受けてイアン・マカファティー委員も前回までの利上げ主張を撤回した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想で同氏の方向転換を言い当てたのは25人中3人のみだった。
議事録によると「MPCは予想の中心シナリオに対するリスクが短期的に若干下向きだと判断した。低インフレがさらに長期化する可能性を考慮した」という。「実際の低インフレは引き続き目先の賃金上昇圧力の高まりを抑えるだろう」との見解も示した。
当局者らは、新興国の経済成長が「近年に比べて遅いペースとなる」公算が大きく、世界経済へのリスクは「下振れ方向だ」との認識も明らかにした。
物価報告によれば、インフレ率は2年以内に中銀目標の2%を超える見込み。また、当局者らは3年間の予測期間内に利上げがある「可能性は半分以上」とみている。
今回の報告で、英中銀は来年1−3月(第1四半期)のインフレ率予想を1.2%と昨年11月時点で見込んだ1.5%から引き下げた。その後徐々に加速し18年第1四半期には2.1%、その1年後は2.2%になると予想した。今年の賃金の伸び率も3%と、前回予想の3.75%から下方修正した。
今年の国内総生産(GDP)成長率見通しも引き下げ、2.2%(従来予想2.5%)とした。17年と18年はそれぞれ2.4%と2.5%と予想した。
これらの予測は17年7−12月(下期)中の0.25ポイント利上げと、18年7−9月(第3四半期)の0.25ポイント追加利上げを前提としている。
マカファティー委員は昨年8月から今年1月まで0.25ポイントの利上げを主張してきた。議事録によると「MPCメンバーの1人は低インフレの長期化で賃金の伸びペースが当面、従来の想定よりも緩慢になると考えた。従って、インフレ上振れリスクの顕在化は幾分遅れる公算が大きく、直ちに金融政策を引き締める必要はなくなった」と判断したという。
カーニー総裁は一連の発表後に記者会見し「世界で最も開かれた経済の一つである英国は、世界の厳しい環境や金融市場の混乱継続による影響を受けざるを得ない」と述べ、それが理由でインフレ圧力が後退したと指摘した。
次の動きについてはMPC全員が利上げだと考えていると発言。マイナス金利を導入する可能性は検討せず、MPCの議論は利上げ時期に集中していると明らかにした。ただ、「金利については適切な時期に適切な行動をとる」と述べ、利上げ時期の見通しを示すことは避けた。
原題:BOE Unanimously Holds Rate as Low Inflation Forces Vote Switch(抜粋) Carney Says Inflation Pressures Fading as Global Risks Build(抜粋) Carney Says Whole MPC Thinks Next Rate Move Will Be Up(抜粋) Carney Says MPC Didn’t Discuss Possibility of Negative Rates(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Scott Hamilton shamilton8@bloomberg.net;ロンドン Jill Ward jward98@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Paul Gordon pgordon6@bloomberg.net Mark Evans
更新日時: 2016/02/04 23:07 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O20YOJ6KLVRI01.html

ロンドン外為:ポンドが全面安−英中銀が全会一致で政策金利を維持
2016/02/04 21:29 JST

    (ブルームバーグ):ロンドン時間4日午後の外国為替市場でポンドが下落した。イングランド銀行(英中央銀行)の金融政策委員会(MPC)でマカファティー委員が過去6カ月続けた利上げ主張を取り下げ、全会一致で政策金利据え置きが決定していたことが明らかになった。
ポンドは主要16通貨に対し全面安。この日公表されたMPC議事録によると、英中銀は9対0で政策金利を過去最低の0.5%に据え置いた。
ロンドン時間午後0時2分現在、ポンドは対ドルで0.2%安の1ポンド=1.4579ドル。前日は1.3%上げたものの、1月21日には2009年以来の安値となる1.4080ドルまで下げていた。 ユーロに対しては0.8%安の1ユーロ=76.67ペンスで取引されている。
原題:Pound Drops as BOE Votes Unanimously to Hold Rates at Record Low(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Anchalee Worrachate aworrachate@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: David Goodman dgoodman28@bloomberg.net
更新日時: 2016/02/04 21:29 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O20VG76S972F01.html


Business | 2016年 02月 4日 21:22 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
訂正:焦点:日銀が得た多彩な緩和手段、秘密裏に進んだマイナス金利への準備

[東京 3日 ロイター] - 日銀が切った「マイナス金利」のカードは、市場の意表を突いて、株安・円高の流れを止めた。最も効果が出たのは、市場が「限界」と感じていた「緩和手段」が豊富にあることを示した点だ。

それにより、投機筋の「円買い」を強くけん制する力を獲得したとも言える。その秘密裡に進んだ準備の裏側を探った。

<黒田総裁の帰国直後に固まった方向性>

日銀の黒田東彦総裁は1月22日、スイス・ダボスで開催されている世界経済フォーラムの年次総会「ダボス会議」に参加するため、あわただしく東京・日本橋本石町の日銀本店をあとにした。

複数の関係筋によると、黒田総裁はその直前、現行の量的・質的金融緩和(QQE)の継続を前提に「追加緩和の案を用意するように」と事務方に指示した。

24日(訂正)に帰国した黒田総裁は、休む間もなく事務方から追加緩和のオプションを聞く会合を持つ。そこで提示されたのは「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」だった。総裁は、これによって追加緩和の障害となっていた政策打ち止め感も払しょくできると判断。28、29日の金融政策決定会合で提案することが固まったもようだ。

<先行した欧州各国との意見交換>

その間、事務方の準備作業は水面下で着々と進んだが、政府サイドでその動きを察知した関係者はいなかった。ある政府関係者は、日銀金融政策決定会合が開催される直前の27日夜、日銀の動きについて「今回はやらないとみている」と言い切っていた。

密かに進められた日銀の事前準備の一つに、マイナス金利を先行して導入したスイス、スウェーデン、デンマークなどにおける実態チェックがあった。

複数の関係筋によると、日銀はこれら3カ国と欧州中銀(ECB)を含めた複数の中銀と、マイナス金利政策を実行に移した場合に発生が予想される様々な現象について、かなり突っ込んだ意見交換を行った。

<地銀危機を封印した3段階の階層構造>

その成果の一つが、当座預金を3段階に分ける階層構造の導入だ。当座預金残高の全てにマイナス0.1%の利率を適用すると、金融機関の経営に負担がかかるため、これまでに積んだ分はプラス0.1%を維持した。

スイスなどは2階層となっているが、金融仲介機能を弱めることに配慮し、日銀は3階層とすることを決断した。ここで日銀が配慮したのは、地域金融機関の動向だったとみられる。

地域金融機関の当座預金残高は、所用準備額を除くと約20兆円で、QQE)が始まって以降3倍に膨らんでいるが、昨年6月以降は横ばいで推移している。つまり、この基調が今後も継続するなら、地域金融機関全体として負担が急増し、金融システム不安が地方から起きるというリスクを配慮したということだ。

<市場の目安になったスイスなどの先行例>

また、先行事例を研究した結果は、早速、日銀にとってプラスになる現象を生んだ。29日に発表した「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入という発表文のページ1の脚注に、スイスでは0.75%、スウェーデンでは1.1%、デンマークでは0.65%とマイナス金利の先行例を明記した。

その結果、市場の一部では「今後、追加緩和をする場合、マイナス金利を深くするのだろう。そのメドは、先行して実施しているケースが参考になる」(外資系証券の関係者)との思惑が台頭。中には「マイナス金利に限界はない」(外資系銀の関係者)との声まで出てくるようになった。

直前までくすぶっていた「日銀の緩和手段は、完全に制約されている」(国内大手銀関係者)とのムードを払しょくした。

<従来型QQEに立ちはだかった市場の制約論>

従来のQQEからマイナス金利付きQQEに、緩和政策の「立てつけ」を変更したのはなぜか──。

複数の関係筋によると、日銀は従来のQQEを維持し、資産買い入れ額を80兆円から100兆円方向に増額しても、直ちに「制約」状況に直面するとは認識していなかった。

しかし、日銀のQQEをシニカルに眺めている海外の投機筋だけでなく、これまで日銀に国債を売却し、QQEの中核であるマネタリーベースの拡大に協力してきた国内大手銀の中にまで「QQEは限界に接近している」(別の国内大手銀関係者)と言い始め、市場心理は「日銀に限界」という見方に傾きつつあった。

そうした中で買い取り資産の増額を打ち出しても、「限界」が意識されると、「100単位」の効果が期待されても、現実には「70単位」程度かそれ以下の効果しか出ない展開も予想される。

<投機筋が懸念する日銀の多彩な緩和策>

マイナス金利付きを導入すれば、スイスの0.75%までできると市場が判断するなら、あと数回は追加できると多くの市場関係者が連想する。さらに昨年12月に決めた補完措置を駆使すれば、量の拡張も1回だけと即断できなくなる。

質の面では、ETF(上場投資信託)の増額も想定でき、これらを組み合わせれば、相当に多彩な選択肢が出来上がったことになる。

複数の関係筋によると、この「多彩な選択肢」の獲得こそ、今回の政策対応の最大の眼目の一つであるという。

実際、先の外資系証券の関係者は、日銀がたくさんの「武器」を手にした結果、「ドル/円JPY=EBSで115円を割り込めば、日銀は放置せずに追加緩和を実行してくるとの観測が多くなった。緩和前と比べ、円高方向の壁が厚くなった」と指摘する。

その意味で、今回の追加緩和は、円高─株安─企業心理の冷え込み─賃上げ・設備投資の意欲減退─デフレマインドの復活、という「逆戻りシナリオ」をとりあえず抑え込んだと言える。日銀の戦術は、短期的に成功した格好だ。

<金融機関の収益低下>

ただ、手放しで喜べない要素も少なからずある。一つは、イールドカーブが一段と押し下げられ、金融機関の収益力が先細る構図が鮮明になったことだ。

黒田総裁が1月29日の会見で指摘したように、デフレに戻れば金融機関の経営は危機に直面する。そうさせないための政策選択ではあるが、長期化すれば、地域金融機関など経営体力の弱いところから、足元がおぼつかなくなるリスクが高まる。

石原伸晃・経済再生相は2日の定例会見で、知人の地銀頭取らから、マイナス金利が経営に及ぼす副作用については聞いている、と明言した。

また、ある金融関係者は、当座預金金利をマイナスにしても、預金金利や貸出金利がマイナス金利になる可能性は小さいと指摘。「為替・株式市場以外の実体経済への波及効果は極めて乏しい。今後、国債市場と実体経済の分断がますます激しくなる」と断言する。

一方、10年の国債金利までマイナスになると、預金手数料など「顧客にコストを転嫁せざるをえない」(国内銀行関係者)との空気も金融界にはあるという。

<政府の財政規律弛緩リスク>

先の金融関係者は、別のリスクも指摘する。国債金利の低下によって、政府の資金調達コストは確実に低下する。一方、大規模な国債買い入れを続けていく日銀の買い取り価格は上昇。「これは日銀から政府への所得移転を意味する。実質的な財政ファイナンスにさらに近づくことになる」と予想する。

別の金融関係者も「今でさえ、ばらまきと言える政策を取っている政府が、赤字国債の増発という誘惑に負けて、財政規律が一段と崩れることが最大の懸念材料だ」と指摘する。

さらに市場が注目するのは、3月米利上げの行方だ。もし見送りとなった場合、世界経済の唯一のエンジンである米経済への懸念が表面化し、リスクオフ心理に戻る展開も予想される。

実際、原油価格が下落基調に戻る兆しを見せると、3日の米株市場が急落。4日の日経平均.N225は一時、前日比600円を超す下落となり、リスクオフに神経質な市場の最近の特徴を見せた。

今のところ、ドル/円は119円台で推移しているものの、10日に予定されているイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の米議会証言の内容次第では、市場がリスクオフへの傾斜を強めるリスクが存在する。

その時にマイナス0.1%で持ちこたえることができるのかどうか。日銀の新スキームの真価が、そう遠くない時期に問われる可能性はかなりの確率でありそうだ。

*3日に配信した以下の記事で、4段落目の「26日に帰国」を「24日」に訂正し、その段落の内容を再構成しました。

(伊藤純夫 竹本能文 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/boj-rate-minus-idJPKCN0VC0PN?sp=true



【第102回】 2016年2月4日 山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
銀行がマイナス金利で融資リスク拡大に走る危うさ
金融政策が、更なる異次元に踏み込んだ。とうとうマイナス金利。金融政策決定会合の評決は6対5だった。提案した黒田総裁ら正副総裁の3票を除くと審議委員の投票は3対5で反対が多かった。日銀捨て身の強硬策である。議事録はまだ公開されていないが、反対理由は想像できる。「効かない」「危ない」という疑念が示されたのだろう。 
なぜ金利をマイナスにするのか。日銀の狙いは「ブタ積み崩し」である。 
業界用語で恐縮だが「ブタ積み」とは、銀行が日銀に設けている当座預金に積まれた200兆円を超える「日銀マネー」のことだ。異次元緩和が効かないのは「ブタ積み」が障害になっている。 
マイナス金利と聞くと、難しい専門的な政策に思われるが、やっていることは簡単だ。 
「ブタ積み」が増えるのは当座預金に金利が付いているからだ。金利をマイナスすれば預金への「罰金」だ。「罰金」を払うぐらいなら銀行は預金を取り崩す、という政策である。日銀は、なぜ「ブタ積み」を減らしたいのか、説明しよう。
異次元緩和で市中には11兆円
残る201兆円が「ブタ積み」に
アベノミクス第一の矢は、「異次元の金融緩和」だった。異次元とは、やったことのないモーレツな金融緩和という意味だ。2013年4月に就任した黒田総裁は「ベースマネーの供給量を通常の倍にする」と発表し、世間を驚かせた。 
ベースマネーは日銀が発行する通貨のことだ。経済の血液が二倍になったら、なにが起こるのか。大変なことが始まるぞ、というのが大方の反応で、円安が始まった。流通する通貨が倍になれば通貨価値は半分になる、というのが経済学の教えるところだ。円安で大企業の儲けは膨らみ、株価が上がった。 
ベースマネーを増やすのは、インフレを起こすためだった。これからはインフレだ、と人々が考えれ、手持ちのカネを早く使おうと消費や設備投資が増えるはずだった。ところがインフレは起こらず、消費も投資も盛り上がっていない。 
黒田総裁は2年後(2015年4月)には消費者物価を2%上昇させる、と宣言したがインフレ率はほぼ0%。「アベノミクスは失敗」とされる根拠が「インフレは起きなかった」ことだ。 
通貨を倍にしたのになぜインフレが起きなかったのか。実は、世の中にマネーは出回っていない。 
「アベノミクスでカネはじゃぶじゃぶになると聞いたが、オレのところには、ちっとも来ていない」
そんなふうによく言われるが、これは当たっている。世の中に出回るカネは、この3年ほとんど増えていない。 
日本銀行の統計によると、2013年4月、国内に出回っている日銀券(通貨)は83兆円だった。それが現在(2月2日)は94兆円。11兆円増えた。その間、日銀が発行したベースマネーは212兆円もある。これはどういうことか。 
「212兆円の通貨供給を行った結果、市中に出回った通貨は11兆円だった」と日銀では説明する。
残る201兆円はどこに消えた? 
「ブタ積み」である。日銀に設けた金融機関の当座預金に積みあがっているのだ。
日銀の営業報告によると黒田緩和が始まる直前2012年4月は58兆円だった当座預金の残高は、現在259兆円に膨れ上がっていう。201兆円も増えている。 
銀行の当座預金とは、庶民に置き換えれば、我々が銀行に設け入出金を管理する決済口座のようなものだ。日銀は銀行の銀行だから、銀行間の決済は日銀口座で行われる。 
黒田緩和の開始で、日銀は銀行から国債を買い上げるようになった。支払いには日銀券(ベースマネー)が使われる。毎月、兆円単位のカネが銀行に注がれる。銀行にとって日銀マネーは飯のタネのはずだった。貸出に回して利ザヤを稼ぐのが銀行の商売だ。 
銀行の当座預金に日銀がカネを流せば、市場に出回る通貨が増えビジネスは活気づく、というのが金融論のイロハである。 
ところがこの循環が働いていない。当座預金に目詰まりが起き、日銀からカネが出て行かない。 
給与が振り込まれても浪費せず銀行に預けたまま、という恵まれた人がたまにいる。この場合は銀行が、貯蓄を貸し出しや資金運用に回すので、「死蔵」にはならない。 
ところが銀行の場合は違う。日銀の当座預金に預けるカネは、日銀が何かに使う、ということはなく、ただ空しく眠っている。だから「ブタ積み」といわれる。 
銀行が「ブタ積み」に
マネーを眠らせる二つの理由
飯のタネであるマネーを銀行はどうして「ブタ積み」にするのか。理由は二つある。 
融資する先がない。金利を載せて貸したい。しかし借り手が見つからない。景気が悪い。資金需要がない。 
安倍首相は「もはやデフレではない」「史上最高益を実現する企業は増えている」「税収が上がった」「有効求人倍率はリーマンショックの前の水準に戻った」と言う。しかし、銀行は融資先が見当たらない。 
「業績が好調な大企業は内部留保が厚く、融資はもうけっこうという。貸してくれという中小企業は少なくないが、財務を見ると貸せない。商売は広げたいのだが、国内の資金需要は力強さに欠ける」
メガバンクのトップはそう嘆く。日銀からしこたま注がれた「飯のタネ」は冷蔵庫に入ったままだ。 
当座預金が積みあがるのは、もう一つの理由がある。金利である。当座預金には年率0.1%ほどの金利が付く。日銀は利息を付けてブタ積みを置かせている。 
日銀に預けておけば、わずかだが金利が付く。0.1%でも「ゼロ金利時代」の現状では、悪い金利ではない。1兆円のブタ積みは年間10億円の利息を生む。 
「ブタ積み」がある限り、カネは日銀の外に出て行かない。ならばマイナス金利をつけて利息を徴収すれば、さっさと出てゆくだろう、というのが今回の政策だ。
マイナス金利は0.1%だが、すべての当座預金に課せられるものではない。細々した専門的な規定はここでは触れないが、プラスとマイナスの逆転で、銀行にとっては当座預金が「コスト要因」へと変化する。 
では銀行はどうする。引き出して現金にすればゼロ金利だが、保管に経費がかかり、現金の扱いは事故も生きやすい。貸出に回せば問題ないが、貸し先がないから困っている。 
「出すに出せず、日銀に置いたまま銀行の収益を圧迫することになりかねない」。金融界からそんな見方が出ている。
アメリカの肩代わりで
日欧が演出する「金融相場」の怖さ
証券界は歓迎だ。日経平均はマイナス金利に反応して急騰した。証券市場にカネが回ってくると見たからだ。 
東京市場に限らず、世界の株式市場は「金融相場」といわれる。日本だけでない。マイナス金利は欧州中央銀行(ECB)が一昨年6月から実施している。アメリカもリーマンショックを機に大胆な金融緩和を続けている。マネーを市場に潤沢に供給し景気を煽る、というのが先進国に共通する政策だ。あふれ出た資金が証券市場に流れ株価を押し上げる、という「不況下の株高」を演出してきた。 
市場は、企業業績より中央銀行の政策に神経を注ぐ。アメリカではFRBによる量的緩和の打ち切り、ゼロ金利解除などの観測が株価を乱高下させている。流入するカネが膨らむか細るかで市場は一喜一憂する。 
博打場のような証券市場に企業や投資ファンドがすがり、政府までも株価を意識した政策に明け暮れる。金融資本主義の病は深まるばかりだ。 
黒田総裁が踏み切ったマイナス金利は、安倍政権への応援でもある。年初から下落している証券市場にカンフル剤を射った。だが、アベノミクスの失敗を上塗りする「毒食わば皿まで」にならないか。劇薬にはリスクが伴う。 
金利を少しばかり下げても景気はよくならないのはこの3年間で実証積みだ。 
円安で輸出企業を儲けさせても、国内での投資は拡大しないこともわかった。 
大企業を儲けさせれば下々に恩恵が行き渡る、という「トリクルダウン」は起きなかった。 
アベノミクスが津々浦々に恩恵をもたらさないのは、時間がかかるから、ではなく、構造に問題があるからだ。 
「黒田頼り」を諦めた安倍政権は力点が変わった。市場原理に見切りをつけたのか、賃上げや設備投資を財界に命ずる「圧力政治」へと舵を切った。黙っていては好循環は起きないと考えたようだ。「600兆円GDP」「希望出生率1.8」などとカネやタイコを囃したて、古典的なバラマキで政策の失敗を糊塗しようとしている。
最後の頼りが株価だ。中国を始めとする新興国経済の失速は今年の波乱要因だ。アメリカが金融引き締めに向かえば、過剰流動性といわれる世界のマネーが変調する恐れがある。 
アメリカが引いた後、収縮するマネーをECBと日銀で補い、混乱を緩和する、というのが今年の流れだ。「ブタ積み崩し」はその流れで始まった。 
あまりに長く続く低金利は
必ずいびつな金融を引き起こす
市場は敏感に反応した。株価だけでなく、債券市場も動いた。マイナス金利は、日銀と銀行という内輪の金利だが、市場で決まる長期金利にも波及した。0.05%だった10年の金利が0.045%に下がった。 
史上最低を更新し「もう限界」と見られていた長期金利の低下が、また一段と下がった。影響を受けて年1.25%だった10年物固定の住宅ローンが1.15%に下がった。 
1000万円の受託ローンの利息が年1万円安くなる、ということだ。住宅建設に追い風になるというが、3000万円借りれば年3万円、月に3000円弱の恩恵をもたらす利下げが、どれほど新規購入を増やすのだろうか。 
もう金利は十分に緩和されている。更なる利下げがもたらすインパクトは知れている。 
マイナス金利で銀行に融資圧力が高まるだろう。「融資先を探して来い」という指示が支店に飛び交うだろう。だが、わずかばかりの利下げで開ける市場がどこにあるか。 
資金を必要とするベンチャー企業や中小企業は少なくない。問題は企業の財務力だけではないだろう。現状は厳しくても将来性のある企業を見つける眼力が銀行にないことが問題なのだ。 
バブル崩壊後、銀行は不良債権の処理に明け暮れた。これはダメ、あれは不適格とマイナスの烙印を押すことに審査能力が注がれた。経営者がリストラに励むのと同様、切ることに重きを置いた銀行の審査が、小さくても明日につながる「商売のタネ」を育てる力を消耗させた、といわれる。 
マイナス金利の到来で、貸出拡大を迫られる銀行では「リスクを取れ」といわれるようになるだろう。慣れないリスクを銀行員がとった時、何が起きたのか。30年前起きたのバブル経済は「銀行のリスクテイク」から起きた。 
「ブタ積み崩し」は、何をもたらすのか。銀行経営者が動かなければ、収益悪化が進むだけだろう。耐えきれず融資拡大を無理に進めば、資金は投機に流れるだろう。資金需要があるのは株や債権などの博打場だからだ。見かけは颯爽とた金融マンが売り歩く危ない商品、高度な金融技術を駆使し外見から分からない化け物のような金融商品が生み出されている。低金利が長く続くと、必ずいびつな金融が起こる、というのがこれまでの経験だ。
世界の金融はいよいよ危険水域に入った。 
http://diamond.jp/articles/-/85642

日銀のマイナス金利がフィンテックを加速!?施策の“先輩”欧州で起きていること
• 菅野 泰夫
>>バックナンバー
2016年2月5日(金)
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 2016年1月29日、日本銀行は原油安や中国経済の失速により世界経済の先行き不安が高まっていることなどを理由に、金融政策決定会合でマイナス金利の導入を決定した。既に欧州では、ユーロ圏、スイス、デンマーク、スウェーデンがマイナス金利導入に踏み切っており、英中央銀行のイングランド銀行でも一時導入を検討するなど、各中銀の金融政策ツールとして認識されつつある。
 欧州では、量的緩和での購入対象が限られる中、日銀は今後、マイナス金利が政策ツールの中心となるとの評価が一般的だ。一方、元々、欧州各国が金融危機や債務危機からの回復を目指してマイナス金利を導入したことと比較して、日銀は(量的緩和の拡大後に)低成長からの脱却手段としてマイナス金利の実施に至った背景には否定的な意見もある。
 日銀はマイナス金利が適用される範囲を限定するため、当座預金に適用する金利を3階層 にした。階層構造は欧州のマイナス金利導入国でも一般的であり、例えば、スイスでは、1000万スイスフランを上回る当座預金残高に対してマイナス金利を適用する2層式を採用している。デンマークでも同様に、各市中銀行に当座預金限度額が設定されており、それを超える部分にマイナス金利が適用される(小規模銀行は125百万クローネ以上:2016年1月時点)。
図表1 欧州のマイナス金利導入国の政策金利

(出所)各国中央銀行のWebサイトより大和総研作成

[画像のクリックで拡大表示]

欧州ではマイナス金利を契機にフィンテックが加速
 マイナス金利の導入を受けて、欧州では、顧客の預金口座からマイナス金利分のコストを徴収する(預金を預けると利子が取られる)ケースが徐々に増加している。欧州の市中銀行はマイナス金利のコストを一部転嫁させ始めていたが、その多くが法人預金や富裕層の大口預金に限られていた。ただし経営体力が弱い小規模な銀行は、マイナス金利の負担に耐えられなくなり、小口リテール顧客に対してもマイナス金利の導入(利子の徴収)を開始したケースが報告されている。
 象徴的なのがスイスの銀行Alternative Bank Schweizで、スイスの銀行では初めて、2016年から小口リテール口座でマイナス0.125%のマイナス金利(10万フラン以上の現金はマイナス0.75%)を導入すると発表した。既にスイスでは、政策金利がマイナス0.75%に達しており、他国と比較してもマイナス幅が拡大しているため、収益に苦戦する小規模行は背に腹は代えられない状況からの判断といえよう。
 一方、良い意味でのマイナス金利の副作用として、金融と情報技術を融合したフィンテックの開発速度向上が挙げられる。真にグローバルでデジタルな銀行決済システムへの移行はこれからであるものの、マイナス金利を導入した欧州各国はフィンテックの活用により伝統的な融資業務や銀行決済システムのコスト削減に大きく舵を切っていることは興味深い。
 フィンテックの本質は、低コストで預金者、借り手、投資家など資金を必要としている人をダイレクトにつなぐことを可能とさせる点にある。Santander InnoVentures(スペインSantander銀行のフィンテック企業投資のベンチャーファンド)は、セトルメント、規制対応、グローバル決済の分野でブロックチェーンを活用することで最大年間200億ドルのコスト削減につながると指摘している。
 例えば、住宅ローン金利などは窓口対応などで一定のコストがかかる業務であり、貸出金利は下方硬直的となりマイナス金利の恩恵を被れない。フィンテックによる技術革新でさらに、融資審査のコストを低減できるならば、マイナス金利導入の恩恵を受けた借入金利の低下や、預金の利子負担回避は可能となる。
>>次ページマイナス金利で現金不要論が勃発
 日本の金融業界は証券業界におけるインターネット取引で大きな技術革新はあったものの、伝統的な銀行システムにおいて、他業種における米Airbnbや米Uberのようなかつてない技術革新の波を経験したことはない。マイナス金利の導入を決めた中央銀行が、頑ななまでに決済システムの安定性を求めるため、市中銀行にコストのかかる既存システムの継続利用を余儀なくさせることは愚の骨頂ともいえる。
 欧州各国では、金融仲介機関としての特権を享受してきた銀行に対し、規制による参入障壁を徐々に緩和するなど、マイナス金利が当局の重い腰を挙げさせたきっかけの一つとされる。
マイナス金利で現金不要論が勃発
 さらにマイナス金利の副作用として欧州で議論されているのが、現金不要論である。英イングランド銀行のハルディーン氏 は、2015年9月、米連銀の利上げが見送られた翌日の演説で、マイナス金利適用後の(銀行預金の利子搾取を回避するための)タンス預金に備え、現金廃止の可能性を示唆している。また、紙幣の廃止後の(ビットコインの様な)デジタル通貨の導入なども提唱しているのも興味深い。いずれにせよコスト削減という意味ではポジティブな考え方ともいえる。
 ただし、現状の“超低”貸出金利の状況を考慮すると、マイナス金利が日本でどの程度効果があるか疑問視されていることも確かだ。マイナス金利導入は、貸出マージンの縮小により銀行の収益確保をさらに困難にさせる事態を招く。ECB(欧州中央銀行)の定例理事会(2015年12月)の議事録にも、各行が低下した利鞘を取り戻すために、むしろ貸出の引き締めにつながる可能性があるなどのマイナス金利の懸念が指摘されている。
 さらに2015年12月のECBのマイナス金利幅の拡大(マイナス0.2%→マイナス0.3%)に続く日銀のマイナス金利の導入から、各国の中央銀行が通貨安競争に乗り出しつつあるといっても過言ではない。
 仮に中国が人民元の切り下げを実施したとなると、3月に追加緩和を示唆したECBがさらなるマイナス金利幅の拡大を図ることも予想され 、市場の悪循環を誘うことは想像に難くない。また欧銀の多くは、マイナス金利が適用される預金を移動させるにしても、コストが高過ぎて実現できずにいる。量的緩和を同時に実施しているため、預金を国債に置き換える代替策も限られ、結果的にマイナス金利のコストを自行内で吸収せざるを得ない状況となっている。
 たとえ貸出増加につながったとしても、マイナス金利分のコストを顧客から全て回収できる訳ではなく、むしろ資金利鞘が低下し収益力が落ちる場合も多々ある。また依然、マイナス金利と量的緩和の両立については意見が分かれており、否定的な見解を示す識者も少なくない。未だに欧銀はマイナス金利分のコストを顧客から回収しきれていないのが現状といったところだ。
 邦銀はATM使用料等で預金引出時に手数料を徴収するなど実務的には既にマイナス金利を導入しているとの指摘も多い。日本においても今回のマイナス金利を契機に、最も成長性がある分野の一つとしてフィンテックによるコスト削減がさらに加速することが期待される。マイナス金利導入のアナウンスと同時に、収益確保に苦戦する銀行セクターに期待できるか否かは、これからの邦銀のフィンテックの取り込み次第といえよう。
(本コラムの詳細はこちらをご覧下さい)。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/185821/020300001/?P=2&mds

マイナス金利は黒田総裁の「戦略なき撤退」日銀は「出口戦略」を考えるとき
2016.2.5(金) 池田 信夫

?日本銀行は先週の金融政策決定会合で、マイナス金利を決めた。といっても一般の銀行預金の金利がマイナスになるわけではなく、銀行が日銀に預けている当座預金の一部に適用されるだけだ。

?この「サプライズ」で株価は大きく上がり、円も一時は1ドル=120円台になったが、4日にはマイナス金利前の水準に戻った。この政策転換は、黒田総裁が「量的・質的緩和」から撤退し、金利を中心とする普通の金融政策に戻ったことを意味するが、その後の戦略は見えない。日銀は一体どこへ行くのだろうか?

「期待」に働きかける政策からの撤退

?まず「マイナス金利」の意味をはっきりさせておこう。これは下の図のように、日銀が市中銀行に対して発行した日銀券のうち、銀行が日銀に預けている当座預金の金利のうち「政策金利残高」の部分の金利をマイナス0.1%にする(手数料を取る)だけで、一般の預金者には関係ない。

マイナス金利の意味(日銀)
?ただしこのマイナス金利の部分は当面、10兆円程度といわれているので、その0.1%でも100億円だ。地方金融機関にとってはかなりの負担だが、それを顧客に転嫁するのは難しい。ATM(現金自動預払機)の手数料はマイナス金利のようなものだから、当面は一般預金者には影響はないだろう。

?しかしこれは日銀にとっては大転換だ。黒田総裁が2013年4月に「2年でマネタリーベースを2倍にしてインフレ率を2%にする」と宣言したとき、市場は大きく反応した。しかしこういうインフレ期待に働きかける政策には、疑問をもつ経済学者が(私を含めて)多かった。

?ゼロ金利になっているということは、お金の供給が需要を絶対的に上回っているということだから、それ以上供給を増やしても需要は増えない。したがって銀行貸し出しも増えない。そういう状態で黒田氏が「私はピーターパンだから空を飛べる」といっても、できないことを期待する人はいない。

?これは理論的に分かっているだけでなく、2000年代前半の日銀の量的緩和に効果がなかったことで、実証的にも決着がついていた。同じことを黒田氏がやっても、奇蹟は起こらなかったのだ。違うのはマネタリーベースが350兆円を超え、そのうち300兆円以上が国債になったことだ。

?しかし日銀の指標とする物価上昇率(コアCPI)は、ゼロ近辺だ。この最大の原因は原油安である。皮肉なことに、日銀が全力をあげた量的緩和より原油価格のほうが物価に大きな影響を与えたのだ。おかげでインフレ目標は2017年4月以降と、当初の予定から2年以上も先送りされたが、実現する見通しはない。

ケインズが推奨したマイナス金利

?マイナス金利は、日銀の発明ではない。これを最初に提唱したのはケインズである。彼は『一般理論』の第23章でこう書いた。

何より必要なのは金利を下げることで、これを実現するには、貨幣にも他の実物在庫と同じような保有費用を持たせることだ、というのがゲゼルの指摘である。ここから彼は有名な印紙つき紙幣という有名な処方箋を考えた。これはアーヴィング・フィッシャー教授からもお墨付きをもらった。この提案によれば、紙幣は毎月、印紙を貼らないと価値が保てず、その印紙は郵便局で買えるというものだ。

?もちろんこれは冗談だが、ケインズもフィッシャーも賛成したことから分かるように、理論的には正しい。金利が望ましい水準(自然利子率)より高いときは中銀が金利を下げればいいが、自然利子率がマイナスになってしまったときは金利をゼロ以下にはできない。そこで紙幣に印紙を貼らせてマイナス金利にするわけだ。

?現実には莫大な事務コストがかかるので「印紙つき貨幣」は冗談だったが、今は電子的にマイナス金利にできるので、中銀と銀行の間なら可能だ。すでにECB(欧州中央銀行)など、ヨーロッパの中銀も採用している。

?問題は、その効果がほとんどないことだ。日銀当座預金をマイナス金利にしても、0.1%程度なら預金を引き出して金庫に入れるより安全なので、資金移動はほとんどないだろう。これをマイナス1%ぐらいにすれば、銀行は当座預金を引き出して国債を買うだろう。

?企業への貸し出しに回る可能性はほとんどない。なぜならそんな有利な融資先があるのなら、とっくに貸し出しているからだ。いま問題なのは資金需要がないことだから、金利をいくら下げても需要は増えない。

日銀の出番は終わった

?もう黒田総裁も分かったと思うが、問題は「デフレ」でも「インフレ期待」でもなく、企業の資金需要なのだ。アメリカのように金融システムが毀損しても、有望な融資先がたくさんあれば金利は上がり、インフレになる。日本は人口減少や高齢化で需要が減るから、企業があまり国内に投資しないのだ。

?この問題を解決するのは、金融政策の役割ではない。もっとも簡単な方法は、政府が資金需要を作り出す財政政策だが、これは一時的なもので、予算を使い切ったら終わりだ。本質的な解決策は資本収益率や労働生産性を上げ、潜在成長率を上げるしかない。

?資本市場については粉飾決算をするような企業は市場から退場させ、企業買収・売却で再編成を進め、労働市場については解雇を実質的に禁止している労働基準法を改正し、金銭的な補償で解雇できるようにすることだ。これらは多くの経済学者が提言しているが、安倍首相は手をつけようとしない。

?だめになる大組織には、共通点がある。やるべきことはみんな分かっているが、全員一致でないと意思決定ができないので、利害の対立する問題は先送りする。金融政策のような誰も反対しない手直しでお茶を濁しているうちに、取り返しのつかないことになる――それが東芝やシャープで起こり、安倍政権でも起こっていることだ。

?要するに、もう日銀の出番は終わったのだ。民主党政権の「アンチビジネス」の政策でうんざりしていた企業や株主に期待をもたせた「偽薬効果」は、もう終わった。あとは政府が「痛みをともなう」改革をするしかない。黒田総裁も量的緩和からソフトランディングする「出口戦略」を真剣に考えるときだ。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45996


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