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日本郵政グループ3社の上場後初となる6月開催予定の株主総会は早くも大荒れの予感?(会場のさいたまスーパーアリーナ、写真:tsuch/PIXTA〈ピクスタ〉)
日銀のマイナス金利で潰された郵政3社の株主
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20160203-00103183-shikiho-nb
会社四季報オンライン 2016/2/3 19:36 岡村 友哉
サプライズ演出という意味では、先週末の日銀の追加緩和のタイミングは絶妙だった。追加緩和期待でいえば、昨年10月末の会合時が一番高かった。今回は事前のエコノミスト調査でも7人に1人が予想している程度。その意味で驚きだし、(量的では効かないことを悟ったのか)バズーカと呼ばれる量的な規模拡大ではなくマイナス金利導入に踏み切ったのも驚き。“3次元”という表現を使って紹介していたのも、ある意味驚きだ……。
市場へのインパクトもあった。今年に入り円買いにポジションを傾け始めていた投機筋を早々に潰す、あるいは株先物売りに傾いていた海外ヘッジファンドの動きを潰すという点でも影響はあったし実際、「リスクオン」復活ののろしが上がったのは間違いないところ。
ただ、一緒に潰してしまった投資家もいる。今回、金利低下ネガティブ業種として銀行株が連日驚くほど売られている。その中に、これまで上場していなかった日本郵政 <6178> 、ゆうちょ銀行 <7182> 、かんぽ生命保険 <7181> の郵政3社が含まれるからシャレにならない。1日にはそろって上場来安値を更新し、ゆうちょ銀行に至っては公開価格も下回った。
業界挙げて、郵政3社の新規株式公開(IPO)で新しい口座の開設が進み、新しいおカネが入ってくると歓迎したのはつい3カ月前のこと。「株って3カ月持ったらこんなに損するの?」「資産株って聞いたんだけど……」というのが、今の街の声ではないだろうか。
それでなくても裾野が広がらない証券業界にとって願ってもないチャンスだったIPOのはずだが、これでいいのだろうか? 今年6月にはさいたまスーパーアリーナで初の株主総会を開催予定である。このままいけばアリーナはどうなるのだろうか。
株安・円高の流れを断ち切ることにも意義はあるのだが、日本の投資家のセンチメントに働きかけるタイミングとしては絶妙でないといえる根拠もある。「バズーカ1」を放った2013年4月に「2年で2%」と連呼していたことを思えば、今ごろテーパリングが議論されていてもおかしくないわけだ。
それが今回、物価目標の達成時期を2017年度前半にまた先送り。それゆえ、「今度こそ3次元で目標達成する!」との本気度を示す意味のアナウンス効果は十分あるのだが、その本気度に日本の個人投資家が乗るかどうかでいえば微妙なのだ。
■ 信用買い残減少が示唆するものは
個人は日本の株式市場で一定のシェアを持つが、その売買は7割弱が「信用取引」での約定になっている。その信用取引の買い残高を見ると衝撃的な状況にあるのが、まさに今である。2市場の信用買い残高を見ればすぐにわかる。ちなみに、信用買い残や裁定買い残を金額ベースで示す記事もよく見るが、これは無視していい。こういった「株価掛ける株数」で計算するものは、株価が上がっていれば金額も大きくなるのは当たり前(下がればそれだけで小さくなる)。株数で見ないと実勢はさっぱりわからない。
その二市場の信用買い残(株数)は先週公表された1月22日時点のデータで「37.03億株」となっている。これは、昨年来で最低である。では、いつ以来の少なさか? といえば……12年12月末時点(33.57億株)以来の少なさなのである。直近3年で最低。つまりは、アベノミクス相場の初期にUターンしているわけだ。
この3年間のピークは14年1月最終週の51.80億株。そこから減り続けている信用買い残こそが、個人投資家の日本株に対するセンチメント悪化そのもののはずである。今年に入って信用買い残は減少し続けている。つまり、含み損に耐え切れず、塩漬け株を手放したということである(16年1月22日時点の信用評価損益率はアベノミクス以降の最低水準であるマイナス16.63%)。
信用買い残の整理が進むなか、市場に対する期待(“まだ上がるんじゃないか”とのセンチメント)が残っていれば、株価が下げているわけだから“逆張り”での新規信用買いも出てくるはず。ただ、現実的には新規買いよりも塩漬け株の処分が圧倒的に多いのである。
そういう意味では、マイナス金利導入のサプライズは、個人投資家から見ると「もう売った後だし……」という意味で驚くほどシラケさせた話なのではないかとも思うのである。本来であればテーパリングの話が出始めてもおかしくないタイミングで、日銀は3次元化した。一方で、日本の個人投資家は、アベノミクス相場に同調して買った株に対するテーパリングを粛々と進めるという“方向性の違い”が生じているのだ。
冷めた日本の投資家のセンチメントを引き戻すのは大変なことだと思われる。レンジでチンして温め直した弁当と、できたての弁当ではどっちがおいしいですかね? みたいな単純な問答と似ている状況だろう、今は……。
(おしまい)
※株式コメンテーター・岡村友哉
株式市場の日々の動向を経済番組で解説。大手証券会社を経て、投資情報会社フィスコへ。その後独立し、現在に至る。フィスコではIPO・新興株市場担当として、IPO企業約400社のレポートを作成し、「初値予想」を投資家向けに提供していた。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
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