http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/208.html
Tweet |
違法状態放置の民泊、警察「沈黙」の不気味さ…一気に規制強化で起こる「事態」
http://biz-journal.jp/2016/02/post_13603.html
2016.02.03 文=榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト Business Journal
民泊をめぐる動きが加速している。各種報道によると、まず2015年度中に政省令を改正して簡易宿所としての民泊を認める方向らしい。ここでは「延床面積33平方メートル以上」という規定を緩和して、ワンルームマンションでも営業を可能とする。その後、16年度中に旅館業法などの法令を整備して、民泊の規制を緩和する方針だと伝えられる。
一方、東京都の大田区では1月29日より民泊条例が施行された。こちらは周辺住民への説明や「6泊7日以上」などの規制が設けられている。分譲マンションの場合は、管理組合の意向を確認した文書の提出も義務付けられるようだ。大田区に続く大阪府などの自治体の動きも伝えられている。また、京王電鉄や大京穴吹不動産、アパなど民泊参入の動きを見せる企業も出てきた。
ありていにいってしまうと、それぞれの動きが錯綜して統一した方向が見えてこない。政府の中でも一定の規制を設けたい国土交通省・厚生労働省サイドと、緩和の方向を模索している規制改革会議との間で、微妙な温度差があるようだ。
この問題は喫緊を要する。すでに何十万戸もの住宅で、事実上旅館業法に違反している民泊が行われているからだ。ここで早急に一定のルールを定めて大きな流れをつくっておかないと、混乱するばかりではないか。それに、法があってもなきものがごとき状態を放置するのは、法治国家としてよろしくない。
■警察庁の動き
なぜかあまり動きが伝えられないのが警察庁だ。
15年11月に、京都市内右京区で大規模に民泊を行っていた業者が旅館業法違反で摘発された。この事件は大きく報道されたが、その後警察庁が民泊に対する規制緩和について、なんらかの意向を持っているのかが、よくわからない。これは不思議な状態である。
旅館業法で定める旅館やホテルに関するさまざまな規制は、宿泊者の安全を守るという目的が第一であろうが、実際には治安維持のために必要な部分もある。例えば、宿泊者名簿の記載義務と提出義務。現状、警察官は裁判所の令状はもちろん、捜査関係事項照会書の交付を行うことなくホテル等の宿泊者名簿を閲覧できる。これについて、個人情報保護法は適用されないとされる(H26.12.19健衛発1219第2号通知文書)。
ところが現状の民泊では、警察は「誰がどこに泊まっているのか」ということが把握できない。テロリストや振り込め詐欺グループ、あるいは反社会勢力が民泊を利用して犯罪行為を画策しても、これを予防することに困難をきたす状態なのだ。
警察庁が、こうした状態がさらに深まることを、指をくわえて眺めているとは思えない。当然、宿泊者名簿記載の義務化やその自由閲覧を求めてくるはずだが、そういった動きが伝えられないから不思議なのだ。
警察庁は、民泊で大きな事件が起こるのを待っているのではないだろうか。民泊で利用された住宅で大きな犯罪が行われたり、テロの拠点になり、そこで世間の大きな注目を浴びたところで、「民泊は怖い」という世論を煽って一気に規制を強化する――。こういうシナリオだ。
ただ、民泊が犯罪の温床になるのは避けるべきなので、そういう方向に進んだとしても致し方ないだろう。今後の警察庁の動きを見守りたい。
■保険
もうひとつ、民泊をめぐる動きの中で注目すべきバックヤードは「保険」である。
まず、現行では民泊で事故が起こった場合にそれをカバーするための保険制度がほとんど整っていない。住戸内の備品を持ち去られたり、損壊された場合の補償である。
民泊マッチングサイトの最大手であるAirbnbでは、ホストはゲストの利用要請を拒否できるシステムになっている。そこで危険なにおいのする利用者を排除できるので事故は起こりえない、と解釈するのは少し楽観的すぎるかもしれない。恐らく、見えないところで事故はたくさん起こっているはずだ。それがどのように解決されるのか、あるいはホストが泣き寝入りしているのかは、今のところよく見えない。
政府の規制緩和によって、民泊が晴れて合法となれば、当然このリスクをカバーする保険商品が登場するはずだ。保険料金はリスク算定の方法にもよるだろうが、利用料金の数パーセント程度だろうか。
民泊の経済規模は、将来的に10兆円になるとも想定されている。その3%が保険料になるとすれば、損害保険業界は3000億円の新たなマーケットを獲得することになる。どの企業が最初に参入するのかにも注目される。ファーストペンギンになれば、この3000億円の大半を獲得できるかもしれないからだ。
■規制強化の可能性
最後に、現在の民泊の拡大と定着には、法規制の緩和以外にいくつか大きなハードルがあることも想定しておくべきだ。
まず、現在の民泊は基本的にホテル・旅館業界とそれほど競合していない。その理由は、今のホテル・旅館業界は空前のインバウンド需要に沸いている。客室は過去最高とみなせるほどの稼働率で推移しており、東京や大阪の狭いビジネスホテルが1泊3万円もするという状態が、それを象徴している。だから、彼らは今のところ民泊に目くじらを立てている暇がないのだ。
ところが、この状況は場合によって一変する。日本にインバウンドが大挙して押し寄せるようになったのは、円安と中国経済の急拡大が主因。逆に言うと、この2つの要素がなくなれば、インバウンドは大幅減になるかもしれない。
次に、現在のところ、20年の東京オリンピックに向けて急ピッチでホテルの建設が進んでいる。ここ数年で客室数が大幅に増える見通しだ。そして、20年の9月には東京オリンピックは終わる。その後、ホテルの需要はどうなるのか。
現在の民泊規制緩和の動きは、20年までの緊急避難的な措置になるかもしれない。その後、ホテル・旅館業界が政府を突き上げると、再び規制が強まることも考えられる。さらに警察庁は、基本的に民泊の拡大を望まないだろう。
ただ、「民泊を行う住戸はすべて『民泊安全運営機構』に登録した上で、1戸につき年間1万円の登録料を支払う」「民泊経営者は年に1回、同機構の講習を受講する」といった義務化がなされ、この民泊安全運営機構に該当する組織が警察庁の天下り団体にでもなれば、話は別だろう。
(文=榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民105掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。