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国債先物が高値更新、長期金利は一時過去最低0.050%(ロイター)
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/155.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 2 月 01 日 12:38:25: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

2月1日、国債先物中心限月3月限は前営業日比18銭高の150円60銭と続伸して午前の取引を終えた。写真は都内の日銀本店。1月撮影(2016年 ロイター/YUYA SHINO)


国債先物が高値更新、長期金利は一時過去最低0.050%
http://jp.reuters.com/article/jp-bond-boj-idJPKCN0VA1B1
2016年 02月 1日 12:08 JST


[東京 1日 ロイター] - 国債先物中心限月3月限は前営業日比18銭高の150円60銭と続伸して午前の取引を終えた。日銀のマイナス金利導入決定を受けて、金利が一段と低下するとの思惑から買いが先行し、一時150円78銭と最高値を更新した。

日銀は国債買い入れを通告したが、市場の一部で予想されていた超長期ゾーンが対象とならなかったことで、失望売りを誘う場面があった。

現物市場は、超長期ゾーンを中心に利回りが低下。20年超長期国債利回りは一時前営業日比7.5bp低い0.740%と2003年6月11日に付けた過去最低0.745%を下回った。30年超長期国債利回りも同8bp低い0.985%と2013年4月5日となる1%割れとなった。

10年最長期国債利回り(長期金利)は一時4.5bp低い0.050%と前週末の過去最低(0.095%)を更新後、0.060%に低下幅を縮めて前引け。

 

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1. 2016年2月01日 15:46:32 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[223]
各国中銀が緩和加速−日銀マイナス金利導入
日本銀行の黒田東彦総裁は1月29日、マイナス金利を導入し、市場を驚かせた PHOTO: REUTERS
By ANJANI TRIVEDI,ELEANOR WARNOCK AND GREG IP
2016 年 2 月 1 日 13:49 JST

 各国中央銀行による総力戦とも言える景気てこ入れ策は新たな領域に突入し、世界的な経済成長低迷や市場混乱を背景に金融政策の重要性と限界が浮き彫りとなった。

 日本銀行は1月29日の金融政策決定会合でマイナス金利の導入を決めた。欧州ではいくつかの中銀がすでに政策金利をマイナスに引き下げているが、日銀の黒田東彦総裁はかねてマイナス金利政策採用の可能性を否定していた。日銀の決定に先立ち、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が21日の政策理事会後の記者会見で、3月会合での追加緩和の可能性を示唆したほか、米連邦準備制度理事会(FRB)は27日公表した連邦公開市場委員会(FOMC)政策声明で、市場の混乱と海外諸国の脆弱(ぜいじゃく)な経済成長についてあらためて懸念を示した。

 1カ月にわたり大荒れだった金融市場はこうした中銀の景気支援策を受けてようやく落ち着きを取り戻した。だが、米国株は1月29日に上昇したものの、月間ベースでは1月としては2009年以来の大幅な下落率を記録。また、広範囲でドル高が進んだ。相場変動の大きさは、米国など一部の国が危機時の政策から脱却できるとの期待が広がりつつも、投資家の心理がまだ弱いことを浮かび上がらせた。

 米商務省が前週末29日に公表した2015年10-12月期の国内総生産(GDP)は、輸出や設備投資の落ち込みで前期比年率0.7%増にとどまった。これにより、FRBの追加利上げの時期が一層不透明になった。

上から:米国の実質国内総生産(GDP)成長率、個人消費増減率(青)、純輸出増減率(赤) ENLARGE
上から:米国の実質国内総生産(GDP)成長率、個人消費増減率(青)、純輸出増減率(赤)
 ECBの追加緩和示唆に続いて日銀がマイナス金利の導入を発表したことが好感され、29日は世界的に株高が進んだ。同日の東京市場では、日経平均株価が乱高下の末に前日比2.80%高で取引を終え、10年物国債利回りは過去最低を更新した。また、ダウ工業株30種平均は同2.47%高、上海総合指数は3.09%高、欧州主要企業600社で構成するStoxx600指数は2.20%高でそれぞれ同日の取引を終えた。

 この日の株高をよそに、一部の投資家は中銀による緩和措置の影響が持続するのか依然として懐疑的だった。ウェドブッシュ証券の株式部門責任者、イアン・ワイナー氏は「人々は中銀政策の効果がますます薄れてきたとの思いを強めている」と述べた。

 日銀が一部の超過準備へのマイナス0.1%の金利適用を決めたことは、低迷する景気のてこ入れに中銀がどれほど尽力しなければならないかをあらためて示した。20年に及ぶデフレと低成長からの脱却を図るため、日銀は3年にわたり積極的な緩和政策を実施してきた。日銀は現在、長期国債の保有残高を年間約80兆円増やすペースで買い入れを行っている。80兆円は日本経済の5分の1に相当する規模だ。

 だがインフレ率は日銀の目標とする2%をはるかに下回る水準で推移しており、景気には再び減速兆候が現れている。

 日銀のマイナス金利導入の決定は為替市場に大きな影響を及ぼし、円はドルに対し2.2%も下落した。他の通貨についてもどこかの中銀1行が政策を緩和しただけで容易に相場が動きかねないことがはっきりした。

 日銀とECBによる持続的な政策緩和を背景にドル高が進行する中、年内の段階的な利上げを目指すFRBの政策運営は難しくなりそうだ。16通貨のバスケットに対するドルの価値を示すドル指数は前週、約13年ぶりの高水準をつけた。

 中国からハンガリーに至るまで、インフレ加速と景気活性化を狙って非伝統的な金融政策を導入した国は多いが、政策効果はどこも同じように不完全だ。ユーロ圏では、ECBが2014年に一部の銀行準備にマイナス金利を設定したものの、前週末29日に公表された1月の総合消費者物価指数(HCPI)は前年同月比で0.4%上昇と、ECBの目標に遠く及ばなかった。

 とはいえ、ユーロ圏ではマイナス金利の導入にもかかわらずこれまでのところ、マネー・マーケット・ファンド(MMF)の閉鎖や清算、預金への大量の資金流入などの現象ははっきりとは見られておらず、中銀がさらに政策を強化する上で黄信号は点灯していないとみて良さそうだ。

左:世界全体に占めるマイナス金利導入国のGDP比率、右:中銀の預金金利 ENLARGE
左:世界全体に占めるマイナス金利導入国のGDP比率、右:中銀の預金金利
 マイナス金利がどこまで下がれば、預金コストを避けるために現金保有へ転向するインセンティブが生じるのだろうか。これは誰にも分からないことだが、おそらくデンマーク国立銀行(中央銀行)が課しているマイナス0.75%やスウェーデン国立銀行(リクスバンク、中央銀行)のマイナス1.1%よりもさらに低い水準と考えられる。現時点で個人向けの預金にマイナス金利を適用している銀行はほんの一握りだ。

 これまでのところマイナス金利には大きな影響力があることが判明している。特に通貨安によるインフレ・輸出押し上げ効果が目立つ。この場合、他国にいくらか悪影響が及ぶが、影響を受けた国も政策緩和で対応することが多い。

 シティグループは1月29日付の顧客向けリポートで、欧州中央銀行(ECB)とリクスバンク、デンマーク中銀が今後数カ月で政策金利をさらに引き下げると予想し、「マクロ経済情勢が現在の想定よりも一段と悪化した場合には」カナダ銀行(中央銀行)、オーストラリア準備銀行(中央銀行)、ノルウェー中央銀行、さらには中国人民銀行(中央銀行)さえも追加利下げする可能性があると指摘した。

 エコノミストや政策当局者の一部では、投資拡大や民間部門の景況感改善に向けた改革が伴わない限り、金融緩和は長期的な経済成長にはつながらないとの意見もある。だが、改革の実行は困難で長引く傾向があり、社会不安の原因になることも多い。

 スイスでこのほど開かれた世界経済フォーラム(ダボス会議)に出席したインド中銀のラジャン総裁はパネル討議で、「多くの中銀がアクセルを踏み込み、さまざまな金融政策を積極的に展開しているが、われわれが実際にこれまで大きな恩恵を受けているかは定かではない」と語った。

 世界的に経済成長見通しの下方修正が相次ぎ、金融市場が安定しない中、すでに金融政策の境界を越えつつある中銀にとって状況はいっそう厳しさを増している。

 スカンジナビスカ・エンシルダ銀行(SEB)のアジア戦略部門責任者、シアン・ヨコタ氏は「(中銀の)政策余地は無くなりつつある」と言う。

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FRBの言葉を投資家はどう受け止めるべきか
By AMEY STONE
2016 年 2 月 1 日 15:08 JST
 1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、表面上は何事もなかったかのようだった。FOMC委員らはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を12月に採用した0.25%?0.50%の水準に据え置き、27日の短い声明で、労働市場は強くなったが昨年暮れに経済成長は減速したと指摘した。FOMCは次にどうするかを決める前に、世界の経済動向を注視すると述べた。

 かなり面白みのない声明とも言えるが、市場の反応は違ったものだった。債券投資家は、連邦準備制度理事会(FRB)が2016年に4回利上げする計画を撤回する公算大とみて一息ついた。

 大手投資会社ブラックロックのグローバル債券最高投資責任者(CIO)、リック・リーダー氏は「政策を変更しないという意味では、難しいことを見事に成し遂げたと思うが、同時に世界の金融情勢に目配りすると世の中に警鐘を発している」と指摘した。米国債価格は上昇(利回りは低下)し、29日には日本銀行が予想外にマイナス金利を導入したこともあり、指標銘柄の10年債利回りは昨年4月以降では最低の1.92%ちょうどまで下がった。

 株式投資家は、同じような平静さを示さなかった。FRBが成長減速と世界経済への懸念に言及したことにおびえ、次回3月のFOMCで利上げしないと明言しなかったことに失望した。成長が減速する中、それでもFRBが利上げする可能性があるとの考えに警戒感を抱いた。ダウ工業株30種平均は27日、前日比222.77ドル下落した。

 このような不安定な動きが示す通り、FRBの文言を解析することは決して簡単ではない。ドイツ銀行のチーフエコノミスト、トーステン・スロク氏は「一言一句の精査にかなりの時間を費やした」と言う。同行の分析チームはFRBの声明を「コンピュータ化した言語学手法」を用いて解析した。スロク氏によれば、「これらの言葉は結果的に誰もがかなり困惑するもの」で、株式市場の反応とは裏腹に、1月のFOMC声明は金融危機以降では最もハト派的なものだった。

 投資家に大きな意味を持つ三つの言葉をみると、FRBの最新声明に対する市場の大きな反応が説明できる。

−「均衡」:12月の政策声明でFRBは、おおむね肯定的な経済見通しに対するリスクは「均衡している」と述べた。だが1月はこの表現を使わず、代わりに事態が「リスクのつり合い」にどう影響するかを検討するとした。「この不可解で暗号化された(ような)言葉で、彼ら(FRB)は選択肢を残しているのだ」とスロク氏は言う。だが市場はこの単純な言葉の置き換えを、事態がどう展開するかFRBは実際のところ確信がないという意味だと心配なこととして受け止めたのだ。

−「注視」:FRBは1月の声明で「世界と金融経済の動向を注視する」として市場を震え上がらせた。これは、深い意味はなく単に言葉通りのことだったようだ。FRBの言い回しにはよくあることではないか。だが投資家は、何かFRBが本当に理解していないことが、おそらく中国関連で起きているということかもしれないと解釈したのだ、とスロク氏は指摘した。

−「一時的」:この表現は、エネルギー価格下落がインフレに及ぼす影響の文脈においてFRBがよく用いるものだ。1月の声明では「エネルギー(価格)下落の一時的影響」としている。FRB当局は石油価格がまもなく上向くと考えているようにも聞こえるが、実際のところは、原油相場はまず14年末に急落したので、前年比でみると16年の石油価格はそれほど劇的な動きにはならないという単純な事実を表しているのだ。

 次回3月のFOMCまでまだ6週間あり、それまでに分析すべき経済指標とFRB当局者の発言はまだたくさんある。FRBのイエレン議長は来週、議会証言を行う。全米連邦信用組合協会のチーフエコノミスト、カート・ロング氏は、FRBが次にどう行動するかを予想するのは時期尚早だとして、「いまから3月までの間にはいろいろ起きる可能性がある」と語った。


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米経済、3%成長の期待薄れる
By GENE EPSTEIN
2016 年 2 月 1 日 14:31 JST
 応援するチームが負け越してシーズンを終えるたびに「来年こそは」と言うプロ野球ファンならば、29日に発表された2015年10-12月期のほとんどないに等しいような国内総生産(GDP)成長率に対して「今年後半こそ、2%からそれ以上の成長になるはずだ」と言ったかもしれない。だが、今シーズン、米経済が3%以上成長して勝ち越す見込みは薄い。

 10-12月期の個人消費と住宅投資は、堅調なファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を裏付けにまずまず良好だった。これで米経済がマイナス成長に向かうとの懸念は十分落ち着くはずだ。かの経済学者ポール・サミュエルソンがかつて「株式市場は過去5回のリセッション(景気後退)を9回予想した」と皮肉ったことを思い出してほしい。

 だが、2016年に3%成長するには、GDPの他の要素が積極的に寄与することが求められるが、そうした状況は間近に迫ってはいないようだ。個人消費と住宅投資も、もっと好転する必要があるが、これもそうなりそうではない。

 一方、全体の状況は素晴らしいものではない。実質GDP成長率は、7-9月期の年率2.0%から10-12月期には同0.7%に減速した。前年同期比での通年の伸びは1.8%で、14年の2.5%から低下した。1.8%は12年の1.3%に次ぐ低水準だ。

 まず、10-12月期の0.7%成長における悪材料からみてみよう。ドル高と世界経済の低迷から予想される通り、輸出が落ち込み、全体の成長を削り取った。ドル高は当然ながら他国の通貨に換算した米国の輸出を割高にし、そのために需要を抑える。だが、輸入品は安くなり、やはり当然、輸入は増えた。GDP統計のゆがみも、全体の成長を低くした。

 ゆがみが少なかったのは、資本投資からのマイナス要因だ。設備や機材、在庫に対する投資は全て減少した。投資面での個人消費の増加に対する正常な反応は、10-12月期に実質個人消費支出(PCE)の伸びが減速したこともあって、これまでのところ実現していない。PCEの伸びは年率換算2.2%で、この景気拡大期の平均にほぼ等しかった。通年では平均を上回る2.6%だったが、それでも良好なファンダメンタルズから予想された水準には届かなかった。

 エネルギー価格の値下がりで家計は大幅に節約した。15年の実質可処分所得は06年以降で最高の3.5%増となった。だが、この棚ぼた的な所得増を財やサービスで消費する代わりに、消費者はその資金をため込んでいる。個人貯蓄率は上昇しており、この傾向が続くならば、長期的に良い兆しだ。ニューヨーク・タイムズ紙は先ごろ1面記事で、人々の資金配分を一番理解しているのはマクロ経済学者だと言わんばかりに、消費者の貯蓄性向が高まったことを嘆いた。

 だが、人間そのものの性向として、今年の個人消費はおそらく最近の3%以上の成長傾向を再開するだろうし、その場合でも貯蓄に回す資金は残るはずだ。住宅市場の堅調さがその見通しを確認する上で役立つ。居住用住宅投資は、年間を通しての新築および中古住宅販売の伸びに押し上げられ、10-12月期に年率8.1%増加した。

 16年に、この景気回復期の平均程度にあたる2%以上の成長となるには、あまり努力を要しないだろう。問題は米経済がその低調なマンネリ状態から抜け出せるかどうかだ。

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10-12月期の米GDPが低調だったことについて、エネルギー開発・生産の鈍化が大きな重しになったとの見方も PHOTO: GETTY IMAGES
By HARRIET TORRY
2016 年 2 月 1 日 12:06 JST

 米商務省が1月29日発表した2015年10-12月期の国内総生産(GDP)は前期比年率換算で0.7%増と低調だった。世界的な景気減速と金融市場の混乱を受け、米経済の勢いも陰りつつあることが示唆された。エコノミストの見方は以下の通り。

−PNCフィナンシャルのガス・フォーチャー氏

 経済成長は10-12月期に減速した。在庫、貿易、そして現在も続くエネルギー開発・生産の鈍化が大きな重しとなった。ただ、個人消費と住宅市場は、着実な雇用増と賃金上昇、低金利に支えられて堅調さを保ち、今後も経済全体の成長を主導するとみられる。

−MFRのジョシュア・シャピロ氏

 弱い四半期だった。在庫の伸び鈍化がGDPを再び大きく押し下げた。また、個人消費支出(PCE)価格指数の前年比上昇率も米連邦準備制度理事会(FRB)が目標とする2%を大幅に下回ったままだった。今後もインフレ統計は、エネルギーや他の国際商品(コモディティー)価格の下落、ドル高による輸入物価の下落によって抑制され続けるだろう。このため、FRBはインフレ率が上昇するとの見方を維持するだろうが、こうした見通しは現実の動きによって先送りされ続けるだろう。

−ITGインベストメント・リサーチのスティーブ・ブリッツ氏

 10-12月期のGDP統計は、米経済のある大きな部門の景気の押し上げが不十分で、(連邦公開市場委員会=FOMCの)12月時点の政策金利の経路予想を支えるほど強くなかったことを示した。今やGDP統計の弱い部分であったエネルギーと輸出、在庫過剰に自動車部門も追加できよう。自動車生産は全体の成長率を0.58ポイント下押しした。しかも最近の株安による悪影響が個人消費や設備投資に出始めるのはこれからだ。

−クレディ・スイスのダナ・サポルタ氏

 (7-9月期から10-12月期に)成長が減速したのは、主にPCE価格指数の低下と非住宅設備投資、輸出、州・地方政府支出の減少を反映したものだ。全体の成長率が低かったことで、10-12月期に予想以上の底堅さを見せた個人消費がかすんでしまっている。

−カリフォルニア州立大学のスン・ウォン・ソン教授

 15年の10-12月期は経済のエンジンがほぼ完全に止まってしまった。経済成長を下押しした大きな要因の一つはGDPの約70%を占める個人消費だ。雇用の堅調な伸び、ガソリン安、輸入物価の下落など、消費が伸びる理由はいくらでもあった。だが消費者は慎重で、むしろ貯蓄を増やしてしまった。例年にない温暖な天候も響き、特に被服費と光熱費に影響が出た。FRBは今年、まずは経済成長が健全な上昇軌道に乗っていることを確認し、それから利上げという展開を望むだろう。

−アムハースト・ピアポント証券のスティーブン・スタンレー氏

 今回の統計の主要テーマは家計部門と企業部門が全く対照的だったことだ。家計部門が好調を維持したのに対し、企業支出は低調だった。個人消費は1-3月期に再び加速するはずだ。企業投資も、活発とまではいかなくとも、10-12月期ほど弱くないだろう。在庫からの下押し圧力も弱まるはずだ。

−バークレイズのジェシー・ハーウィッツ氏

 (GDP成長率が)当社の予想をやや上回ったのは主に消費と住宅投資に原因がある。これは家計部門と景気循環全体の強さにとって好ましいシグナルだとみている。消費のうち耐久財消費の力強い成長は、消費部門が堅調を維持しているとの当社の自信を裏付けるものだ。さらに住宅投資は8.1%増と、当社の予想を大幅に上回った。高額商品の購入が予想以上に伸びたこともあり、個人消費後退への懸念は和らぐはずだ。1-3月期の成長率は2.5%に回復すると予想する。内需の改善や、在庫および純輸出の下押し効果低減が寄与するだろう。

−全米小売業協会(NRF)のジャック・クラインヘンズ氏

 0.7%成長というGDPの結果に大きな驚きはない。エネルギー安、ドル高、世界経済成長の減速が米国の経済活動に影響を及ぼしていたためだ。最も重要な年末商戦期に消費者が年央より支出を削減したことは小売業の売上高から明らかだ。新年を迎える中でこれが「減速バンプ」となり、低い「出発点」となったが、消費者心理は衰えていない。建設、貿易、在庫(統計)は昨年10-12月期よりもさらに弱くなっているかもしれない。1-3月期はこの影響が続く恐れがある。

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米国で若い大卒者の収入が急増=NY地区連銀リポート

By JOSH ZUMBRUN
2016 年 1 月 31 日 09:42 JST

 米国で若い大卒者の雇用環境が急速に改善している。

 ニューヨーク地区連銀が新たに発表したリポートによると、学位を取得した22歳から27歳までの労働者の収入はここ10年以上で最高水準にあり、失業率は急低下している。

 このデータから、大学を卒業してもコーヒーショップで働くしかないという景気後退期後のイメージが払しょくされつつあることが分かる。同時に、学位を持つものと持たざるものの差が拡大している現状も浮かび上った。

 最近まで、大卒者と学位を持たない労働者の収入は共に減少していた。この流れが変わり、大卒者の収入が急激に増加したため、学位を持たない労働者との格差が拡大した。

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12月の米雇用統計、エコノミストはこうみる
優秀なIT人材はフリーランス市場で探せ
 ニューヨーク連銀のシニアエコノミスト、リチャード・デイツ氏は、金融危機後の大不況のあと、大学を卒業しても仕事に就けないかもしれないとの懸念が広がり、人々は「大学の学位に価値があるか」確信が持てなくなったと話す。

 今回のデータをまとめたのはデイツ氏と同僚のジェイソン・アベル氏。ニューヨーク連銀は大学がもたらす恩恵が失われ始めたのかという疑問について答えを出すため、今後、定期的にこのデータを発表する。

 最新のデータを見る限り、少なくとも今のところはそのような心配はしなくていい。2015年に22歳から27歳の学位取得者が稼いだ年収は中央値で4万3000ドル(約520万円)となり、前年から3000ドル以上増えた。これは03年以降の最高で、若い大卒者にとって労働市場は過去最高に近い水準にまで改善したことが分かる。就職に有利な学位を持つ若い大卒者の給与はさらに増加した。若い大卒者の上位25%の年収は少なくとも6万ドルだ。

 若い大卒者の失業率は10年には7%を超えていたが、昨年9月には4.9%にまで低下。一方、米国全体の失業率は5.3%で、学位を持たない若者の失業率は10%だった。

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 ニューヨーク連銀のデータによると、専攻分野別の収入では、上位10位のうち8つは技術系で、化学エンジニアが年収7万ドル(中央値)でトップだった。

 これに対し、収入が少ない専攻分野の一部は失業率も最も高かった。人類学、マスメディア、環境研究などがそうで、失業率は8%を超え、年収の中央値は約3万ドルだった。

 大学が行う卒業生の調査は新卒者が対象だが、大学を卒業してキャリアが定まるまでは通常、しばらく時間がかかる。ニューヨーク連銀の調査では22歳から27歳までを調査対象とした。

 データはインフレ調整済みだが、多くの大卒者が抱える学生ローンの負担は考慮していない。教育資金の支払い能力を調査する非営利団体「プロジェクト・オン・スチューデント・デット」のデータによると、大卒者のおよそ70%が卒業時にローンを抱えており、1人当たりの負債額は平均で約2万9000ドルに上る。

 ジョージタウン大学の教育・労働力センターのディレクター、アンソニー・カーナバレ氏はこうした負担について、大きいものの、大卒者が就職して手にする高い収入に比べれば小さいとみる。カーナバレ氏の推計によると、平均的な大卒者の生涯収入は平均的な高卒者より100万ドル多い。大学院の学位を持つ人の多くは一生の間にさらに300万ドル多く稼ぐ。

 ニューヨーク連銀のデータでは、労働者が大学の学位が必要な分野で働いているかどうかも調査した。労働者のうちおよそ44%は大学の学位が必ずしも必要のない職業に就いている一方、大卒者で低賃金の仕事に就いている人の割合は14%弱だった。この割合は10年以降、約1ポイント低下した。
http://si.wsj.net/public/resources/images/NA-CI794_GRADS_16U_20160129182109.jpg

サンフランシスコ、スーパーボウル前にホームレス対策

ホームレスの権利擁護団体によると、サンフランシスコ市はホームレスをスーパーボウルが予定されている地域から新たな保護施設に移そうとしているという PHOTO: DAVID PAUL MORRIS/BLOOMBERG NEWS

By ARIAN CAMPO-FLORES, CAMERON MCWHIRTER AND ALEJANDRO LAZO
2016 年 2 月 1 日 08:33 JST

 【サンフランシスコ】テクノロジーブームを背景にサンフランシスコベイエリアでは一部地域がおしゃれに生まれ変わりつつある。以前は決して上品とは言えなかった地域に経済的に恵まれた人々がやって来て買い物をしたり暮らしたりするようになり、以前からその地域に住み着いていたホームレスをめぐって摩擦が生じている。

 この地域では7日、プロアメリカンフットボールリーグ(NFL)の50回目の優勝決定戦「スーパーボウル50」が開催され、推定で100万人に上るとみられるアメフトファンが、ホームレスが多く暮らす地域に足を踏み入れることになる。

 ホームレスの権利擁護団体によると、同市はホームレスをイベントが予定されている地域の目立つ場所から新たな保護施設に移そうとしているという。一方、市長室はそのような計画はないと否定している。

 米国の幾つかの都市の中心部では、ホームレスの多い荒廃した地域や活気のない地域がにぎわいをみせるようになり、自治体はこれらの地域に住みついたホームレスの対策に乗り出している。この問題を研究するセントラルフロリダ大学の社会学教授ジェームズ・ライト氏は緊張が「全米で」高まっていると話す。


2010年以降のホームレス数は全国レベルでは減少しているが一部の都市では増加している

 米住宅都市開発省のデータによると、2015年の米国全体のホームレスの数は56万4708人で、2010年の63万7077人からおよそ11%減少した。ただ、いくつかの都市では増加が続いており、ニューヨークでは約42%増の7万5323人、シアトルでは12%増えて1万0122人となった。このデータには保護施設で生活するなど保護を受けているホームレスと、道端で寝起きするなど保護を受けていないホームレスの両方が含まれている。

 自治体の職員は新たな住民からホームレスに対処するように突き上げられているが、保護されていないホームレスの権利擁護団体によると、市は十分な支援をしないままホームレスを人の目に付くところから排除しようとするだけの場合がほとんどだという。

 「ホームレスをなくす全国同盟」のトップ、ナン・ローマン氏によると、ホームレス問題はここ数年、激しい論争の的となっており、政党を問わずさまざまな都市の市長を悩ませているという。ニューヨークやロサンゼルスの市長はホームレス問題を優先課題の1つに挙げている。ポートランドとシアトルは緊急事態を宣言した。

ジョージア州アトランタ中心地にあるホームレス保護施設 PHOTO: MELISSA GOLDEN FOR THE WALL STREET JOURNAL

 専門家はホームレスの増加につながる要因は多岐にわたると指摘する。ハーバード大学の住宅研究共同センターが昨年行った研究では、一部地域の地価が上昇し、収入が家賃の上昇に追いつかないことや、手ごろな価格の住宅の需要が供給を大きく上回っているという問題が浮き彫りになった。

 この研究によると、手ごろな価格の住宅が不足する理由は低コスト住宅を建設しても開発業者が十分な利益を上げられないことや、手ごろな価格の住宅の建設を補助するプログラムへの連邦予算の割り当ての減少にある。退役軍人や長期間ホームレス状態にある人など特定のグループについて恒久的な住宅を確保するために連邦、州、自治体の各レベルが用意した支援プログラムは、全国的にホームレスの数を減少させてきたと専門家はみている。

 ジョージア州アトランタでは別の対立も起きている。問題となっているのは、建設ブームが起きている市の中心部にある4階建てのホームレス保護施設だ。カシム・リード市長はこの保護施設が麻薬や病気、犯罪を引き寄せており、ホームレス支援には役立っていないと主張、施設を閉鎖すると明言している。

 保護施設の役員によると、リード市長は企業経営者たちからの強い要請で市のメーンストリートであるピーチツリー通り沿いの高級化しつつある地域からホームレスを追い出そうとしているという。役員の1人であるチャールズ・ステフェンさんは「彼らは私たちが死んでいなくなってほしいと思っている」と話す。保護施設の支持派は施設がアトランタで最も助けを必要としている人たちの役に立っており、ホームレスが公共交通機関などのサービスを利用できるように市の中心部で運営を続ける必要があると主張している。

 一方で、企業経営者は規模の大きい保護施設は閉鎖して、サービスの提供に重点を置いた小規模の保護施設にシフトすべきと考えている。地元の経済団体「セントラル・アトランタ・プログレス」のA・J・ロビンソン会長は「大きな施設への支持はない」と語った。

 施設を1997年から運営する「メトロ・アトランタ・タスクフォース・フォー・ザ・ホームレス」はなんとしても運営を続けたい意向で、対立は複数の裁判に発展した。

 最近、数百人のホームレスがこの保護施設や施設近くの路上に集まった。歩道には衣類や食べ物が大量に散らばっていた。薬物依存やうつが原因で何年もホームレスだというロドニー・クイゼンベリーさん(53)は、保護施設を「単に閉鎖すればいいという話ではない」と言う。

 リード市長は必要があれば土地収用権を行使してでも施設を閉鎖するつもりだ。同市長は自分を止められるのは裁判所の命令だけ、「判事が私にノーと言わなければならない」と語った。

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ドル・円は121円台前半、日銀マイナス金利導入で底堅い−米指標注目
2016/02/01 14:13 JST

    (ブルームバーグ):1日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=121円台前半で推移。前週末に日本銀行によるマイナス金利導入を受けてドル高・円安が進んだ流れを引き継ぎ、ドルが底堅い展開となっている。
午後2時8分現在のドル・円相場は121円27銭前後で推移。朝方に付けた121円49銭から一121円04銭まで水準を切り下げたが、その後は値を戻している。一方で、中国株が下落していることから、リスク選好に伴う円売りが加速する状況とはなっていない。
あおぞら銀行市場商品部部長の諸我晃氏は、リスクオフの時に円高リスクが意識されたものの、日銀の予想外のマイナス金利導入で投機筋の円買いポジションも解消され、「円高の方に行きづらい」と指摘。半面、「米景気も強い回復ではないので、緩やかな円安傾向が続き、落ち着きどころを探る展開」と言う。
前週末の海外市場では日銀のマイナス金利導入を好感して欧米株が上昇。リスク選好の動きからドル・円相場は一時121円69銭と昨年12月18日以来の円安値を付けた。
1日の東京市場では日銀の追加緩和を受けた株高・債券高の流れが続いている。日経平均株価は一時300円超上げており、債券市場では2年債から20年債までの利回りが過去最低を更新している。
一方、中国株は下落。中国国家統計局と中国物流購買連合会がこの日発表した1月の製造業購買担当者指数(PMI)は49.4と、前月の49.7から低下した。6カ月連続の活動縮小となり、市場予想(49.6)を下回った。一方、その後発表された1月の財新製造業PMI指数は48.4と前月の48.2から改善し、市場予想の48.1を上回った。
上田ハーロー外貨保証金事業部の山内俊哉氏は、日銀のマイナス金利導入はリスクオフだった市場マインドの変化に寄与したが、「3段階金利の導入による効果については即効性や実効性の面で疑問視する見方も多く、リスクオフの原因となる原油価格や中国景気の動向に戻っていく」と予想。この日は米国でも1月の供給管理協会(ISM)製造業景況指数の発表があり、「日銀3次元異次元緩和の効果継続は中・米景況感次第」と指摘していた。
ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査の予想中央値によると、1日発表の1月の米ISM製造業景況指数は48.5と前月の48.0から改善が見込まれている。また、週末5日発表の1月の米雇用統計については、非農業部門雇用者数の伸びが前月比19万人増と昨年12月の29万2000人増を下回ると予想されている。
ソシエテ・ジェネラル銀行東京支店の鈴木恭輔為替資金営業部長は、「マイナス金利の影響そのものの評価が定まっていないこともあり、円ショートに転じて積み上げるのは、円単体ではまだ難しい」と指摘。その上で、「原油価格の持続的な回復などのリスクセンチメントの改善や、週末の米雇用統計などを受けて米3月利上げ期待が回復すれば、ドル・円は上昇圧力が増すだろう」とし、その場合は123円台を試すとみている。
ユーロ・円相場は前週末に1ユーロ=132円32銭と昨年12月29日以来の水準まで円安が進行。週明けの取引でも131円台前半から半ばで円が上値重く推移している。また、欧州中央銀行(ECB)による緩和強化期待からユーロ・ドル相場は前週末に一時1ユーロ=1.0810ドルと4営業日ぶりの水準までユーロ安・ドル高が進んだが、週明けは1.08ドル台前半から半ばでユーロが底堅く推移している。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O1U9QE6JTSEB01.html


Business | 2016年 02月 1日 13:29 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
MMFや中期国債ファンドの申込停止相次ぐ、日銀マイナス金利で

[東京 1日 ロイター] - 日本の投信会社が相次いで、中期国債ファンドやMMF(マネー・マネージメント・ファンド)などの購入申し込みを停止している。日銀がマイナス金利の導入を決定したことで金利が急低下しており、安定的な運用に支障が出る可能性があるとしている。

三菱UFJ国際投信は1日、中期国債ファンド、三菱UFJ キャッシュ・ファンド、フリー・ファイナンシャル・ファンド、国際のMMF、S─MMFの5ファンドの購入申し込みを2日から停止すると発表した。

三井住友アセットマネジメントも同日、三井住友MMFおよびマネー・アルファ・オープンの購入申し込みをきょうから停止すると発表。大和証券投資信託委託もきょうから中期国債ファンド、フリーファイナンシャルファンド、ダイワMMFの3ファンドの購入申し込みを停止した。

3社いずれも、日銀が1月29日にマイナス金利の導入を決定したことを受け、安全性の高いMMFなどの運用に支障をきたす恐れがあるためとしている。申し込み再開のめどは立っていない。解約受け付けは通常通り行っている。
http://jp.reuters.com/article/mmf-boj-idJPKCN0VA1DT



EU、英国の離脱問題で新たなジレンマに
急きょブリュッセルを訪問し、ユンケル欧州委員長らと会談した英国のキャメロン首相(1月29日) PHOTO: YVES HERMAN/REUTERS
By SIMON NIXON
2016 年 2 月 1 日 11:47 JST

 英国の欧州連合(EU)からの離脱問題をめぐる交渉で、トゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)は今週中に、EU加盟条件の見直しを求める英国に提示する妥協案の概要を盛り込んだ書簡をEU各国首脳に送付する見通しだ。妥協案はかなり小規模で技術的なものになりそうだが、時期的には極めて重要なものとなる。今後数週間で決定されることは、EUの将来にとって大きな意味を持つ可能性が高いからだ。

 英国からみれば、トゥスク氏の書簡と、それを受けたEUとの交渉の妥結時に最も重要な目標ははっきりしている。英国のキャメロン首相にとっては、英国がのEU加盟に対する冷笑的な態度を撤回するのに十分な内容である必要がある。キャメロン氏は、2017年末までに実施すると表明している英国のEU離脱「ブレグジット」の是非を問う国民投票で、残留を訴えることを明確にしている。与党・保守党や有権者の動向は残留に大きく傾いているようだ。先週発表された2件の世論調査では、残留「支持」が「離脱」を18〜19ポイント上回った。保守党内では現在「離脱」を支持しそうな議員は330人中最大で50人にとどまっている。離脱派議員の数は、最大150人に及ぶとの見方もあった。

 一方、離脱派は誰をリーダーとするかで意見が一致せず、EU加盟継続の代替案でもまとまっていない。離脱派の主張は、EUの単一市場へのアクセスという利点は享受するものの、EU予算の分担や人の移動の自由など義務の履行は回避しようというものだが、そうした議論の多くが成り立たないことが露呈してきている。また、多くのエコノミストは、ポンド急落など英国のEU離脱の経済的なリスクを警告しており、それは最近のポンドの動きによっても裏打ちされている。

 それでも、キャメロン氏はEU残留のキャンペーンを開始する前に、EUとの交渉で政治的な勝利を挙げたと見られる必要がある。キャメロン氏は英国に流入する他のEU加盟国からの移民の社会保障の一部を、最初の4年間制限する案を移民抑制策として提示している。だが、これでは国籍により異なる課税額を課すことになり、明らかにEU加盟国市民の間の非差別原則に違反するものである。それでも、同氏は自らの提案に近い妥協案を得られなければ、反動から国民投票で離脱派に逆転されるのではないかと懸念している。

 EU加盟国はどこも、英国の離脱を望んでいない。英国が離脱すれば、EUの安定と安全保障にとって破壊的な影響をもたらすとの見方で一致している。各国でナショナリスト政党やポピュリスト政党が勢いづき、非ユーロ圏のEU加盟国の加盟継続をめぐって疑念が生じるだろう。他方、キャメロン氏が重要な政治的勝利を手にしたと主張するようになっても、EUの政治不安がなくなることはない。その他の加盟国も、自国をEUの共通ルールの例外とするよう求める誘惑にかられるからだ。

 キャメロン氏が国民投票を行いたいとしている6月までに、交渉の行き詰まりが打開される保証はない。1つのオプションは、英国が移民に対して社会保障を規制するのを、緊急時に限って暫定措置として認め、恒久的な解決策をEUルール改正の中で見出すかどうかについてはあいまいにするというものだ。ただ、妥協案についてはEU加盟28カ国全てが同意する必要があり、中小国がどう反応するかは誰にも分からない。

 一部のEU加盟国は、英国との合意に当たって、加盟国からそれぞれの国の事情に合わせた一方的な要求が出てくるリスクをなくす方策を徹底して検討する必要があると訴え始めている。EUは主権国家の連合体であり、その存続は共通ルールを尊重できるかどうかにかかっている。しかし、最近の難民危機への対応ミスや経済失政の例を見ても、EU各国は自国ではどうにもならない他の加盟国から波及するリスクにさらされていることが明らかになってきた。

 英国のEU離脱をめぐる議論は、こうした構造的問題の解決に有効な答えを見出すことの難しさを際立たせている。EU加盟国が他の加盟国が引き起こすリスクを懸念するのは当然だ。その懸念に対処する方法を見出せない限り、国家として解決策を講じる権利を要求するのはキャメロン氏だけではないだろう。

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バークレイズが貴金属業務から撤退、世界的リストラの一環か−関係者
2016/02/01 13:22 JST

    (ブルームバーグ):英銀バークレイズは商品価格の下落に伴う損失を最小限にするため、トレーディングとリサーチを含む貴金属業務から撤退する計画だ。非公開情報であることを理由に、事情を直接知る関係者の1人が匿名を条件に明らかにした。
事情に詳しい複数の関係者が先に語ったところでは、バークレイズは全世界で1200人を削減し、アジア各地の証券業務から撤退する方針。価値保存のための投資対象として金を敬遠する動きが進む中で、金相場は2011年に付けた過去最高値から40%余り下落している。バークレイズは貴金属業務からの撤退に関するコメントを控えている。この動きについては、プラッツが先に伝えていた。
原題:Barclays Said to Extend Cutbacks by Exiting Precious Metals(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O1UNJA6TTDS001.html


英HSBC:今年の雇用と報酬を凍結−6060億円の経費節減の一環 (2)
2016/02/01 14:07 JST

    (ブルームバーグ):英銀HSBCホールディングスは、2017年末までに最大50億ドル(約6060億円)のコスト削減を実現する計画の一環として、今年の雇用と報酬を現状のまま凍結する方針だ。同行の広報担当者が1月31日に確認した。
雇用と報酬を凍結する方針を説明する内部文書が29日に行員に送られたと、同行のジリアン・ジェームズ氏が電子メールで配布した発表資料で明らかにした。同氏は「投資家向けの最新情報で示した通り、当行は17年末までに大幅なコスト削減の実現を目指している」と説明した。
HSBCのスチュアート・ガリバー最高経営責任者(CEO)は、コンプライアンス(法令順守)関連コストが上昇する中で、収益改善のために赤字部門の閉鎖と人員削減によって肥大化したグローバルネットワークを縮小する3カ年計画を昨年6月に公表した。スイス銀行2位のクレディ・スイス・グループやドイツ銀行も資本規制の強化に対応するため、数千人規模の人員削減に動いている。
HSBCの今回の動きについてはロイター通信が先に伝えていた。
国泰君安証券の曹柱アナリスト(深?在勤)は雇用と報酬の凍結について、「営業経費を抑制するHSBCの動きに沿ったものだ。HSBCも他のグローバルバンクと同じように、世界的な景気減速と資産の質の悪化の影響を免れることはできない」と指摘した。
HSBCはブラジル部門の売却に続き、トルコ部門の買い手も探している。事情に詳しい複数の関係者によれば、利益のより期待できる市場に集中する戦略の一環として、レバノン業務の見直しも行っており、同国から撤退する可能性がある。関係者が昨年11月時点で語ったところでは、インドのプライベートバンキング部門についても閉鎖の方向に動いている。
HSBCは、英国からアジアに本店を移転するかどうかをめぐる最新の状況を2月22日に公表する。大口株主の一角、資産運用会社アバディーン・アセット・マネジメントのマーティン・ギルバートCEOは、1月のブルームバーグとのテレビインタビューで、移転に伴う莫大な物流コストを理由にHSBCは引き続きロンドンにとどまる可能性が高いとの見方を示した。
原題:HSBC to Freeze Hiring, Salaries in 2016 Amid Cost Reductions (2)(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O1U9G36TTDS101.html



長期金利が過去最低更新、マイナス金利導入余波−オペ結果強めとの声
2016/02/01 13:05 JST

    (ブルームバーグ):債券相場は上昇。長期金利をはじめ2年から20年の新発債利回りが過去最低を更新している。日本銀行が前週末の金融政策決定会合で、マイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入を決定したことを受けて買いが優勢だ。
1日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の341回債利回りは、日本相互証券が公表した前週末午後3時時点の参照値より3ベーシスポイント(bp)低下の0.065%と、前週末に記録した過去最低の0.09%を下回って開始。一時0.05%まで低下したが、午後に入ると0.065%に戻している。
BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジストは、「マイナス金利導入直後とあって、まだ水準感が定まっておらず、それを探っている状況。目先はあすの10年債入札と日銀買い入れオペの組み合わせが試金石になる」と指摘。「イールドカーブは手前のゾーンは、今後の追加緩和もあり得るものの、2年債や5年債の下限を探りつつ、金利収益を考えると超長期債に買いの手が伸びていく」と言う。ただ、「これだけ金利が下がってくると、生保も円債回帰しにくくなり、外債投資を続けざるを得ない面も出てくる」との見方も示した。
2年物の361回債利回りはマイナス0.16%、5年物の126回債利回りはマイナス0.10%、20年物の155回債利回りは0.74%まで下げ、いずれも新発債として過去最低を更新。新発30年物の49回債利回りは一時0.985%と2013年以来の1%割れとなり、その後は1.00%に戻している。
三菱UFJ信託銀行資金為替部商品課の鈴木秀雄課長は、日銀のマイナス金利導入の影響がどの程度か見えづらい中で、「どこまで金利が低下できるのか水準感を探っているような状況」と言い、「2年債利回りは付利のマイナス0.1%を割れているが、5年債利回りのマイナス0.1%を買えるのか見極めが必要だろう」と分析。その上で、「イールドカーブは10−20年のところで大きく立っており、超長期は相対的な魅力が高い」と話した。
長期国債先物市場で中心限月の3月物は、前週末比33銭高の150円75銭で取引を開始。一時は150円78銭と、前週末に記録した過去最高値150円70銭を上回った。午後は150円台半ばでもみ合いとなっている。
日銀は1月29日の決定会合で、マイナス金利による追加緩和に踏み切ることを5対4の賛成多数で決めた。これまでの量的・質的金融緩和に加え、当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を適用するなど金利でも金融緩和を進める。
日銀買い入れオペ
日銀が今日実施した今月1回目の長期国債の買い入れオペ(総額8900億円)の結果によると、残存期間1年以下と3年超5年以下の応札倍率が前回から低下した一方、1年超3年以下はやや上昇した。SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジストは、オペ結果について市場実勢に比べて強めと指摘し、「特に1−3年が強かった」と話した。
財務省は2日午前、10年利付国債の価格競争入札を実施する。表面利率(クーポン)は前回の0.3%と据え置きとなり、前回の341回債のリオープン発行となる見通し。発行予定額は前回債と同額の2兆4000億円程度となる。
三菱UFJ信託銀の鈴木氏は、10年債入札について、「基本的には業者中心の入札になるとみられるが、どの水準で入札されるのか、そして、翌日に行われるとみられる日銀オペの状況など、ワンセットで見極める必要がありそうだ」と言う。  
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O1PE9F6JIJUQ01.html

Business | 2016年 02月 1日 12:08 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
国債先物が高値更新、長期金利は一時過去最低0.050%

[東京 1日 ロイター] - 国債先物中心限月3月限は前営業日比18銭高の150円60銭と続伸して午前の取引を終えた。日銀のマイナス金利導入決定を受けて、金利が一段と低下するとの思惑から買いが先行し、一時150円78銭と最高値を更新した。

日銀は国債買い入れを通告したが、市場の一部で予想されていた超長期ゾーンが対象とならなかったことで、失望売りを誘う場面があった。

現物市場は、超長期ゾーンを中心に利回りが低下。20年超長期国債利回りは一時前営業日比7.5bp低い0.740%と2003年6月11日に付けた過去最低0.745%を下回った。30年超長期国債利回りも同8bp低い0.985%と2013年4月5日となる1%割れとなった。

10年最長期国債利回り(長期金利)は一時4.5bp低い0.050%と前週末の過去最低(0.095%)を更新後、0.060%に低下幅を縮めて前引け。
http://jp.reuters.com/article/jp-bond-boj-idJPKCN0VA1B1

日本株連騰、円安と過剰流動性、好決算評価−輸出や通信、不動産上げ
2016/02/01 12:00 JST
    (ブルームバーグ):1日午前の東京株式相場は連騰。日本銀行のマイナス金利導入を受けた為替市場での円安進行を好感、資金流動性の増加を見込む買いが幅広い業種に入った。電機など輸出関連、不動産やその他金融株の上げが目立ち、電機では好決算が評価されたソニー、村田製作所が急騰。四半期営業増益と自社株買い実施のNTTドコモなど情報・通信株も高い。
TOPIXの午前終値は前週末比30.04ポイント(2.1%)高の1462.11、日経平均株価は315円23銭(1.8%)高の1万7833円53銭。
水戸証券投資顧問部の酒井一ファンドマネージャーは、日銀の「黒田総裁がアクションを起こし、輸出企業の業績懸念が和らいだ。米アップル業績に関連して先週売られた精密・電子部品株を含め、買い戻しの材料となっている」と言う。その上で、「日経平均1万6000円水準に黒田ラインというものができ、日本株の下値不安は払拭(ふっしょく)された」とみていた。
前週末の為替市場では円が主要通貨に対し下落。金融機関が保有する日銀の当座預金に0.1%のマイナス金利を適用することを日銀が決め、円売り材料になったほか、通貨押し下げで恩恵を受ける国の中央銀行が緩和策を拡大させるとの見方が強まった。ドル・円は一時1ドル=121円69銭まで円安が進行、東京株式市場の29日終値時点は120円60銭だった。きょう午前は121円10ー40銭付近で推移した。
29日の米10年債利回りは終値で昨年4月以来の水準に低下し、ドイツやベルギー、フランスの国債利回りも過去最低を記録。同日は日本の10年債利回りも0.1%割れと最低となった、半面、東証1部配当利回りは1.69%だった。岡三証券グローバル金融調査部の平川昇二チーフエクイティストラテジストは、「日本株は日銀による流動性相場の第3ラウンドが始まった」とし、「債券のイールドが下がるということは、株のイールドも下がる」と指摘。世界経済の成長力が低く、期待インフレ率が低下する中、「年金など運用者の中で債券から株式へゆっくり資金が流れるだろう」との見方を示す。
国内では企業決算の発表が本格化し、前週末は400社以上と2015年10−12月決算発表のピーク日だった。10−12月期営業利益が市場予想を大幅に上回ったソニーやドコモ、4−12月営業利益が大幅増益だった村田製が急騰。TOPIXの押し上げ寄与度で3社は上位に並んだ。
大和証券投資戦略部の高橋和宏株式ストラテジストは、今後も日銀がマイナス金利を深めていく可能性があることを考えれば、当面のドル・円相場は「120円台を維持しながら、昨年12月からリスクオフ(回避)になる前の為替水準が考えられる」と予想。決算については「鉄鋼や市況関連、中国向けの設備投資関連は明らかに下方修正要因になっている。電機はまちまちだが、予想の範囲で悲観的までにはなっていない。内需は比較的堅調」と分析した。
一方、中国国家統計局と中国物流購買連合会がきょう午前に発表した中国の1月製造業購買担当者指数(PMI)は49.4だった。市場予想は49.6。中国上海総合指数は0.2%安で始まった後もマイナス圏で推移するが、午前の日本株への影響は限定的だ。
東証1部33業種はその他金融、通信、不動産、電機、証券・商品先物取引、建設、電気・ガス、ガラス・土石製品、機械など30業種が上昇。マイナス金利導入が収益面で悪影響を及ぼすとみられた銀行、保険のほか、空運の3業種は下落。東証1部の売買高は18億3218万株、売買代金は1兆9417億円。値上がり銘柄数は1601、値下がりは287。
売買代金上位では三井不動産やNTT、オリックス、東京海上ホールディングス、KDDI、アイフル、味の素が高く、新日鉄住金との連携強化の検討事実が判明した日新製鋼、決算上振れの資生堂は急伸。半面、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループのメガバンク3行、第一生命保険やゆうちょ銀行、あおぞら銀行が下げ、日本航空、JR西日本も安い。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 長谷川敏郎 thasegawa6@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net 院去信太郎
更新日時: 2016/02/01 12:00 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O1U9QC6K50XS01.html


Business | 2016年 02月 1日 11:49 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
前場の日経平均は大幅続伸、投資家心理の改善続く

[東京 1日 ロイター] - 前場の東京株式市場で、日経平均株価は前営業日比315円23銭高の1万7833円53銭と大幅に続伸した。日銀による予想外のマイナス金利導入が海外市場でも好感され、前週末の欧米株式市場は軒並み大幅高。為替が1ドル121円台と円安に進んだこともあり、朝方から輸出株や金利敏感株などを中心に買いが先行した。

取引時間中に発表された中国経済指標に目立った改善は見られなかったものの、ネガティブな反応は出なかった。日経平均は前引けにかけて上げ幅を拡大させ、高値引けとなった。

前場の東証1部売買代金は1.9兆円と膨らんだ。マイナス金利の悪影響が懸念される銀行株が売られ、相場の重しとなったが、利益確定売りをこなして上値を試す展開となた。市場では「日銀のマイナス金利導入による投資家心理の改善が続いている。高水準の売買高が先高期待を示している」(岡三オンライン証券チーフストラテジストの伊藤嘉洋氏)との声が出ていた。

東証1部の騰落数は、値上がり1601銘柄に対し、値下がりが287銘柄、変わらずが45銘柄だった。
http://jp.reuters.com/article/tokyo-s-idJPKCN0VA1AJ



市場の魔術師、黒田総裁−帽子から出したウサギはマイナス金利 (1)
2016/02/01 10:49 JST

    (ブルームバーグ):日本銀行は金融政策のウサギ穴をさらに深く進んでいる。
日銀は1月29日の金融政策決定会合で当座預金への付利をマイナスに引き下げることを決定し、市場の意表を突く形でマイナス金利導入国に仲間入りした。金融機関は日銀に預ける当座預金の一部について金利を支払う必要が生じる。中銀当局者の間で以前は考えられなかったマイナス金利策は現在、スウェーデンとデンマーク、スイスの中銀と欧州中央銀行(ECB)が銀行融資と企業投資の促進を狙って採用している。

黒田東彦総裁による今回の大胆な措置は、数十年にわたる経済の停滞に終止符を打ちたいという意欲の大きさの表れだ。2013年の就任以来、黒田総裁は既に積極的量的緩和プログラムで債券などの資産を買い取り、日銀のバランスシートは経済規模の約4分の3に拡大。そうした中で円は対ドルで20%余り値下がりした。
黒田総裁の大胆な金融政策は、日本をデフレの泥沼から脱却させインフレ率を2%に押し上げることを意図したものだ。安倍晋三首相が掲げる経済政策の下、日銀の政策は積極的な財政拡大と経済再生への取り組みと同時進行してきた。
日銀は自らの役割を果たしてきているが、安倍首相率いる与党はそれに後れを取っている。2014年のタイミングの悪い増税で日本経済はリセッション(景気後退)に陥った。インフレ率はなお緩慢で、実際デフレのリスクもくすぶる。輸出は期待外れで個人消費は弱く、企業の投資は不十分だ。日本の7−9月(第3四半期)国内総生産(GDP)は年率1%増だった。

ソシエテ・ジェネラルのアジア太平洋チーフエコノミスト、クラウス・バーダー氏(香港在勤)は「日本では何も順調に進んでいない。だから日銀に圧力が高まっていた」と指摘。2月16日からの準備預金積み期間から適用するマイナス金利について「大きな効果があるかと聞かれれば疑問があるが、日銀がただ傍観しているわけではことを示すものだ。実際上よりも象徴的な意味において、かなり大きなステップだ」と指摘した。

僅差の決定

量的・質的緩和(QQE)に0.1%のマイナス金利を組み合わせる追加緩和は、賛成が5人、反対が4人と僅差の決定だった。日本株市場では、日銀決定を受けてTOPIXは当初3.1%上昇。その後に値を消す場面もあったが、結局は2.9%高で終了した。

黒田総裁が打ち出した新たな戦略は邦銀に悪影響を及ぼす恐れもあるだけに、その効果をめぐってアナリストの見方はまちまちだ。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は、実体経済にどの程度好影響を与えるのか不透明だと指摘。金融機関にとって日銀に預けた当座預金の金利は収益源だが、今後当てにできなくなると付け加えた。

DBS銀行のチーフエコノミスト、デービッド・カーボン氏(シンガポール在勤)は、20年にわたり停滞気味の経済に必要なのは政府主導の深くて痛みを伴う構造改革だと指摘し、「金融政策が全ての重責を背負うことはできない。0.1%のマイナス金利はあまり効果がないだろう」と語った。

原題:BOJ Market Magician Kuroda Pulls Yet Another Rabbit From His Hat(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O1U92V6KLVRJ01.html



FX Forum | 2016年 02月 1日 08:02 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:マイナス金利が招く円売りの賞味期限=佐々木融氏
JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長
[東京 31日] - 日銀は1月29日午後12時38分頃、マイナス金利を導入することを発表した。一部の市場参加者同様、筆者も今年後半には超過準備に対する付利を0.1%から0.05%程度まで引き下げる可能性もあるかもしれないと思い始めていたが、このタイミングで、かつ一気にマイナス金利まで引き下げたのは予想外であり、驚きだった。

これまでの日銀の金融政策は、購入する資産の量とその内容にフォーカスするものだったが、今後はこれに金利が再び加わることになる。日銀の金融政策は明らかに新しい段階に入り始めたと言えるだろう。

マイナス金利の市場や経済に与える効果を分析・議論する前に、市場参加者の1人として指摘しておきたいことがある。それは、情報漏れがあったと考えられることだ。日銀がマイナス金利導入を発表する10分程度前に日本経済新聞電子版が「日銀、マイナス金利導入を議論」と報じている。日銀の金融政策はこれまでもたびたび事前に報道されることがあったが、先進国の中央銀行でこのようなことが頻繁に起こるところは他にない。日銀はこうした情報漏れが2度と起こらないよう、しっかりとした情報管理体制を整えるべきだろう。

日銀は先進国の中央銀行の中で唯一、政策発表の時間を決めていない。その理由は、政策発表の時間を決めると、実際の決定から発表までの時間が長くなってしまうことがあり、その間に情報漏れが起こる可能性があるからだ、という話を聞いたことがある。そこまでしても情報漏れが起こるのはどういうことなのだろうか。

ちなみに、日銀はこれまでウェブサイト上で政策発表の時間を分単位で公表してきた。もっとも、今回から発表時間の公表も止めている。「フェアディスクロージャー(公平な情報開示)」という世の中の流れに対して、日銀が逆行していると感じるのは筆者だけだろうか。

<11月にマイナス0.5%まで再引き下げか>

さて、マイナス金利導入の市場や経済に与える影響だが、複雑な要素が絡み合うため判断が難しい。特に銀行収益の悪化が最終的にどのように市場や経済に影響するかの判断によって、マイナス金利のインパクトに対する予想は異なったものになりそうだ。

ただ、円相場に対する影響としては、筆者がこれまで予想していた円高進行ペースを遅くさせる可能性はあるが、基本的な方向感に影響は与えないと考えている。場合によっては、しばらくは狭いレンジ内での動きが続くが、年後半になって一気に円高が加速するというリスクもあるかもしれない。

まず、マイナス0.1%という金利は、銀行が日銀に預けている当座預金の一部にかけられることになるわけだが、その部分はそれほど大きくならないと考えられる。日銀の発表によれば、当座預金は3つに分けられ、そのうちかなりの部分(基礎残高)には引き続きプラス0.1%の金利が適用され、残りの一部(マクロ加算残高)にはゼロ%が適用される。そして、最後の残った部分(政策金利残高)にマイナス0.1%の金利が適用されることになる。

2つ目のマクロ加算残高は、最初の基礎残高に掛目をかけて算出する部分もあり、結果的にマイナス0.1%の金利が適用される部分は、日銀がある程度柔軟に決めていくことになりそうだ。したがって、当初は過度に銀行収益を圧迫することにはならないかもしれない。東証銀行業株価指数は、先週金曜日のマイナス金利発表後、一時前日比7%程度下落したが、その後は反発し、前日比2%の下落でとどまっている。

しかし、銀行収益に与えるネガティブインパクトは当座預金のマイナス金利部分だけではない。市場金利が低下することにより、銀行収益がじわじわと悪化していく可能性はある。

また、今回日銀が発表した政策は、ダイレクトにマイナス金利を課す当座預金を制限する結果、日銀が追加利下げを行いやすい構造となっている。実際、当社のエコノミストは、日銀が今年11月に再び追加緩和を行い、日銀当座預金の政策金利残高に対する金利をマイナス0.5%まで引き下げると予想している。この結果、市場金利はさらに低下することが予想され、そうなれば一段と銀行収益を圧迫することになるだろう。先行きの収益減少が予想される中で、銀行が積極的にリスクを取ることは考えづらい。

銀行がマイナス金利を課されても、それを個人や企業の預金に付け替える、つまり個人や企業の預金にマイナス金利が課される可能性は低い。すでにマイナス金利が導入されている欧州の事例を見ても、ごく一部の例を除いて、金利はプラスを維持したままだ。

プラスが維持されるとの前提で、かつそれを預金者が信じるなら、現在平均して0.02%の普通預金金利には下げ余地が少ない。そうだとすると、今回の金融政策変更を受けて個人や企業が預金を動かすインセンティブはほとんどない。

ただ、預金者がマイナス金利を課されるのではないかと心配する可能性は考えられる。銀行の場合、マイナス金利を避けるために日銀当座預金から現金を引き出して、現金のまま保有しようとするとペナルティが課されるが、個人や企業は、マイナス金利が課せられて預金が目減りすると考えたら、預金を引き出すという行動に出るかもしれない。

もっとも、銀行はそうした動きが出ると困るため、預金者に対してマイナス金利が課されることはないと理解を求めるだろう。預金者がそれを信じるなら、前述の通り、結果的には今回の金融政策変更の影響はないということになる(結果的には銀行がマイナスを飲み込むので、銀行収益のマイナス要因にはなる)。

一方、貸し出し金利がそれなりに下がれば、マクロ経済に好影響を与える可能性は考えられる。銀行が新規に長期資金を貸し出す場合の平均約定金利は、昨年前半に0.8%台まで低下したが、後半には1%近辺まで上昇している。これが再び下がり始めれば、借り入れ需要は増えるだろう。ただ、収益が圧迫される銀行が果たしてどこまで金利を下げられるかは不透明である。

では、実質金利の低下がマクロ経済全般に好影響を与える可能性はどうか。この点でも、少なくとも当初は名目金利の下げ余地が小さいため、どこまで実質金利が低下するかは不透明だ。今後原油価格の下落や円安効果の剥落で、日本のコアインフレ率(除く生鮮食品)は0.2―0.3%ポイントほど低下することが予想される。一方、例えば日本の10年国債利回りはすでに先週金曜日に0.12%ほど低下し0.1%となっているが、一時的にマイナス金利に落ち込むことを想定しても、ここからの低下幅は0.1%程度だ。実質金利が現状から大きく低下するのは難しいと考えられる。

<リスクは利食いの円買い戻し増加>

日銀は今回、実質国内総生産(GDP)の伸び率が前期比年率プラス1.0%(7―9月期)と潜在成長率を大きく上回り、エネルギー・生鮮食品を除いたインフレ率が前年比1.3%上昇、ドル円相場がピークから10%も下落していない中で、マイナス金利を導入した。

日経平均株価は一時ピークから20%程度下落したが、それは英国やカナダでも同じことだ。今回の措置により、市場が日銀に追加緩和を期待するバーはかなり下げられたことになる。日銀は、市場が催促するたびに金利をさらに引き下げていかなければならなくなるだろう。

中央銀行が市場に振り回されて金融政策を行い続けることは明らかに経済にとってマイナスである。さらに、黒田日銀総裁は直前までマイナス金利は検討していないと述べていた。金融政策変更に関して嘘をつくことが良いか悪いかの議論はさておき、日銀に対する市場の期待は強まりやすくなったことは確かだ。今後、何を言っても、「結局は何かやってくれるのではないか」との期待は高まる。日銀はそうした市場主導で高まっていく期待に最後まで付き合うか、どこかで大きく市場を失望させるかのどちらかを選び続けなければならない。

円相場に対する影響としては、まず金利差縮小が考えられるが、このところ他の主要国金利も、グローバル経済の悪化を見越して低下基調にある。そのため、例えば先週1週間の2年スワップ金利の動きを見ると、円金利が0.1%ポイントと最も大きく低下しているが、米ドル金利も0.096%ポイント低下と、四捨五入すれば同じ程度の低下幅となっている。

10年国債利回りもほぼ同じような状況で、日本国債利回りは0.14%ポイント低下したが、米国債利回りも0.13%ポイント低下、ドイツや英国の国債利回りは日本国債よりも大きく低下している。金利差縮小はあまり期待できない。

それ以外の円相場への影響としては、日銀の金融政策に対する投機的な円売りが増えるということだろう。したがって、当面は円の上値が抑えられることになると考えられる。

もっとも、円を取り巻く環境はすでに大きく変わっている。経常黒字から来る円買いは大幅に増加。また、国内投資家はこれまでに外貨建て資産を大きく積み上げていることから、ここからさらに投資が増加する可能性は低い。むしろリスクは利食いの円買い戻しの増加だろう。

さらに、国内企業は海外留保利益を大きく積み上げていると思われる。3月末に向けて円が下落したところをとらえて、海外で積み上げた資金を日本に還流させる可能性がある。投機的な円売りによって、しばらく円の上値は抑えられるが、いずれは実需の円買いが勝り、どこかの時点で急速な円の買い戻しが発生する可能性にも注意が必要だろう。

*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-torusasaki-idJPKCN0V9087?sp=true


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