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北京の株価ボード前で(写真:ロイター)
日本株急落を「中国経済低迷」のせいにするな 真の原因の追及なしに株価回復はない
http://toyokeizai.net/articles/-/102088
2016年01月31日 リチャード・カッツ :本誌特約記者(在ニューヨーク) 東洋経済
原文はこちらhttp://toyokeizai.net/articles/-/102045
日本で2016年の年明けから続く株式相場の下落について、報道機関や金融機関の多くは、中国の景気減速が背景だとの受け止め方をしている。しかし、その経済学的な根拠はほとんどない。背景にあるのは日本の低成長であり、収入の伸び悩みに起因する消費の停滞である。実際、2015年11月まで3カ月間の実質消費支出は、1年前のそれと変わっていない。
確かに中国経済の減速に影響を受けている日本企業は多い。たとえばトヨタ自動車やパナソニックは中国での自動車や家電製品の消費拡大を見込み、中国国内に工場を建設してきた。そうした企業の株価が下落していることは事実だ。
しかし、それは日本のGDP(国内総生産)に大きく影響を与えるものではない。中国の景気が減速し、日本から中国への輸出が激減すれば別だが、そうはなっていない。15年11月までの3カ月間、日本の海外向け実質輸出は前年同期比3・8%減で、同期間の中国への輸出は同3・5%減と、全体からすると大差は無かった。
■製品自体がダメだと円安効果も限定的
疑問として浮かぶのは、過去3年間で3割以上も円安に振れていながら、日本の海外輸出が中国向けに限らず、なぜ依然として停滞しているのかという点だ。答えは単純に日本企業の競争力低下にある。
コンピュータやスマートフォンなどの市場で、国際競争力を持つ日本製品は今や見当たらない。1993年時点で先進工業国の海外輸出のうち、日本は12%のシェアを有していたが、現在は6%にまで半減した。一方で米国のそれは16%と、1993年時点と変わっていない。
仮に中国の景気減速が本当に日本の成長の問題における主因であるなら、中国のGDP伸び率と日本からの輸入に強い相関関係が確認できるはずだ。しかし、ここ数年を見ると、実際それほどの相関関係はない。
ではなぜ、中国が景気減速しても、日本の輸出はさほど悪影響を受けないのか。その答えは、日本から中国への輸出で最も大きな部分を占めるのが、中国が輸出する製品の材料や部品だという事実にある。
実際、過去20年間の日本から中国への輸出品と、中国から米国への輸出品は、約7割が関連しているといわれる。日本の輸出全体に占める米国向けの割合は1990年には33%だったが、2015年には20%まで縮小した。このため多くの人は、日本経済の対米依存度が低下したと考えている。
■中国のせいにするのは簡単だが
しかし、日本が米国に販売するものの多くは、「日本製」のラベルが貼られたコンテナに入れられて直接届けられるのではない。そうではなく、まず中国に送られてその後組み立てられ、「中国製」と銘打った製品の一部として米国に届けられるのだ。
典型例は、米アップルのアイフォーンに搭載されている東芝製のフラッシュメモリだろう。アイフォーンは台湾企業のフォックスコンが中国で組み立てを行い、米国に輸出しているからだ。
日本の株価低迷を中国のせいにするのは好都合かもしれないが、それは単に自国が必要な手段を講じることができなかった代わりの理由づけをしているに過ぎない。問題解決の第一歩は、真の原因を特定することなのだ。
(週刊東洋経済1月30日号)
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