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バターは本当に不足してるのか…なぜ価格バカ高く?管理機構は巨額差益
http://biz-journal.jp/2016/01/post_13543.html
2016.01.31 文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役 Business Journal
1月に開催された政府の規制改革会議の作業部会で、バターの品不足が議題になったそうです。報道によればローソンの原材料仕入れ担当者は「乳業メーカーからのバターの供給量は昨年の8割に制約されている」と話したそうです。つまり、バターは需要の8割しか供給されておらず、品不足だというのです。
その一方で、バターの数量を実質的に管理する農畜産業振興機構(ALIC)によれば、昨年12月はスーパーでのバターの品切れがなかったそうです。一昨年の大幅なバター不足を反省して今年は6月に前倒しで輸入枠を増やしたことで、徐々に需給が改善し、12月には小売店店頭でのバター不足は解消されたという主張です。
バターは不足しているのか? それとも不足していないのか?
規制緩和を訴えかける側は不足していると主張し、政府側は不足していないと主張していて、真っ向から対立しています。
ただこの論争、経済学の簡単な知識を使うと、すぐにどちらが正しいのかがわかります。大学1年生向けのミクロ経済学の教科書に書いてある知識ですぐにわかることです。それを解説してみましょう。
■供給制限により起こる2つの事象
まず背景を簡単におさらいしておきますと、現在、我が国では実質的にバターの数量管理が行われています。かなり以前から国内の生産者、つまり乳牛を育てていらっしゃる農家の方々が減少しており、現在では国内需要分のバターが国内生産だけでは賄えない状況になっています。
一方で、世界を見渡すとバター価格は下落気味で、輸入しようとすれば安値でバターを輸入することができます。しかし、国内に安値のバターが入ってくると国内の生産者がさらに打撃を受けるということで、ALICを通さなければバターは輸入できないことになっています。このようにバターは現在、国による数量管理が行われている商品なのです。
さて計画経済がうまくいって需要通りの数量管理が行われれば、国が数量管理をしていてもバターは不足しないはずですが、旧ソビエトに代表される共産主義経済下の計画経済は、過去にうまくいったことがありません。計画経済は市場経済と違ってうまく均衡点に落ち着くことは難しいので、たいがいは供給不足ないしは供給過剰に陥ります。
そしてバターの場合は、計画する側が「国内の生産者に打撃を与えない」ことを目的においている関係上、どうしても少なめに輸入数量を設定しがちになるはずです。
ここまでは事実というよりは、疑いとして「そうなりがちだ」という話をしているだけです。ローソンの担当者がおっしゃる「供給が8割」というほうが、政府の言う「供給不足は解消されている」という言い分よりも正しく思えるという話です。
しかし、経済学を使うと、この疑いが間違いではない証拠が見つかります。経済学の教科書によれば、需要よりも少なく供給制限が行われていると、以下の2つの事象が起きます。
(1)消費者が購入する価格が市場価格よりも高くなる
(2)生産者が売る価格と消費者が買う価格が開いて、その間に数量の管理の利権を持っている人が得られる「ウェッジ」と呼ばれる利益が出現する
もしバターにこの2つの現象が起きていれば、政府がなんと言おうとバターの供給不足が起きていることになります。
■やっぱりバターは不足してる?
では、実際はどうでしょうか?
私の近所のスーパーに行くと、バターは確かに棚に並んでいます。あいかわらず「おひとり様、ひとつまで」と注意書きが掲示されていますが、かつてのようにバターがまったく買えないわけではありません。
ところが、「よつ葉バター」(よつ葉乳業)のパッケージを手にとると、一箱388円(税込)と以前よりはずいぶん高い気がします。いや、それ以上に何か軽い気がしてパッケージを眺めてみると、いつのまにかバター1箱の数量は150グラム入りになっています。
「確か、以前は1箱200グラムだった」と思って計算し直すと、もし200グラムなら1箱517円ということになります。つまり、バターの価格は以前よりもずいぶん値上がりしているのです。経済学の教科書にある(1)は、その通り現実に起きていることがわかります。
では、(2)はどうでしょうか。
新聞報道によれば政府が昨年10月までに緊急輸入をしたバターについての入札結果がわかっています。それによれば、緊急輸入したバターをALICが商社から購入した平均価格は200グラムあたり120円。このバター、同時入札で乳業会社に販売しているのですが、その価格が200グラムあたり278円。
この278円というのは、国内の卸売価格より1割ほど高いそうです。いずれにしても、乳業会社がこの仕入れ価格でバターをパッケージにして販売し、その小売価格が我が家の近所では517円になっているということです。
ここでのポイントは、ALICがバターの輸入価格として商社に支払った金額と、バターを乳業会社に販売した卸売価格の間に158円の差益があるということです。新聞報道によれば、ALICはこの緊急輸入で40億円の差益を得ているそうです。
これが経済学の教科書に書いてある(2)のウェッジという差益です。
つまり供給量をコントロールしている機構に巨額の差益が発生しているということは、経済学の教科書通り「供給不足が発生していることが証明されている」のです。供給不足の下では、バターの小売価格は上がり、一部の消費者はバターをあきらめてバター風味のマーガリンに切り替えたり、一部のお菓子業者はバターを使わないお菓子を生産するようになります。
そして、高いバターを買える人だけが供給不足でつり上がった価格のバターを買っているという状況が起きます。
いかがでしょうか、みなさんの実感通りではないでしょうか。
やっぱりバターは不足しているのです。
(文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)
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