http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/584.html
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今まで敬遠していた電気自動車(EV)の開発に乗り出したトヨタについてBusiness Journalが
興味深い記事を掲載している[1]。
EV開発は社長直轄の社内ベンチャーで、トヨタ社内から1人、社外から3人の4人が開発を
牽引していくそうだ。
トヨタ色が薄いのは、社内にはアンチEV勢力が多く、思うように開発が進まない懸念が
あるためだという。
あれだけEVに否定的だったトヨタが一転して開発を始めるのは実に不可解なことだ。
米国のZEV規制(後述)が表向きの理由だろうが、ひょっとしたら、政府・原子力ムラから
EVを早急に開発してくれと強い要求があったのではないか。
日本の全原発を停止しても、全く電力不足は起きないことはすでに証明されてしまった。
今後原発推進を正当化するためには、新たな電力需要をつくり出さなければならない。
その一つがリニア新幹線であり、もう一つがEVである。
EVが広く普及すれば電力需要が増え、電力が不足するのでやはり原発が必要ですと
話をもっていくつもりなのだ。
事実、10年以上前から電力会社はEVの実用化・市場拡大をひそかに狙っており、
東電でも原子力担当技術者らが本業から離れてEV開発を進めていた[2]。
そこに福島原発事故が起きて、EVどころではなくなってしまったらしい。
さて原子力ムラが最後の望みを託すEVだが、現状はまことに悲惨な状況である。
日産のEV車リーフは1度の充電で200キロ以上走ると謳っているが、すぐにバッテリーが劣化し、
実際は100キロちょっとしか走らない。とくに寒冷地ではバッテリーの性能が劣化して苦しい。
米国ではこの問題でユーザーが日産を訴えている。
大阪のタクシー会社がリーフを導入したものの、電池の劣化が激しく、ひんぱんに充電が必要で、
暖房も自由に使えず、全く使いものにならなかったそうだ[3]。
日産・カルロス・ゴーン社長の退任が発表されたが、その理由の一つとして、5000億円もの
開発費を投じたリーフが全く売れていないという事実が挙げられている[4]。
トヨタがEVで遅れをとったという指摘もあるが、ライバルもこの体たらくで五十歩百歩である。
トヨタがEVに積極的でなかったのは、EVを実用レベルにもっていくのが非常に困難なことを
よく知っているからである。
トヨタは、バッテリーの電力不足時にガソリン・エンジンを用いるプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)
であるプリウスPHVを発売しているが、これも全く売れていない[5]。
新型プリウスPHVはEV走行モードの航続距離が伸びたとはいえ、まだたったの60キロ。
ガソリン車は1回の給油で1500キロ以上走るのに、これでは全く使いものにならない。
しかも普通のプリウスよりも50万円以上も高い。いったい誰がこんな車を買うのだろうか。
EVは性能、コストともまだガソリン車に遠く及ばないのが現実だ。
テスラのように金持ち向けの高価な遊び車の需要を満たすのがせいぜいだろう。
もちろん技術は日進月歩であるから、いずれはEVも実用に耐えうるレベルに達するだろうが、
少なくとも2−3年内にガソリン車に性能・価格で太刀打ちできるEVが実用化されることは
まずないと見てよい。
そういった状況の中で、米国カリフォルニア州ではより厳しいZEV(Zero Emission Vehicle)規制が
2018年から始まる[6]。
ZEV規制とは簡単に言うと、
「販売台数の何パーセントをEV、FCV(燃料電池車)にしなさい。達成できなければ
罰金を払うか競合他社からクレジット(二酸化炭素排出枠)を買いなさい」
というものだ。
排出枠という言葉一つで、地球温暖化詐欺の連中、すなわち原子力業界がZEV規制でも
暗躍していることがわかるだろう。
カリフォルニアが厳しい規制を導入するのは、ロス・アンジェルスなどの大都市の大気汚染を
軽減するためである。
大気汚染の元凶となっているのは、車の排気ガスに含まれる硫黄酸化物や窒素酸化物である。
ところが、いつの間にか目標が二酸化炭素削減にすり替わっているのだ。
誰の仕業か言うまでもあるまい。
ちなみに、EV車のメーカーであるテスラはクレジットの販売で莫大な金額を稼いでいる[7]。
クレジット収入があるからEV専業のテスラは何とかビジネスを続けられるのだ。
ZEV対策のため各社ともEVやPHEVをラインナップに揃えているが、とても実用レベルに
達しているとは言いがたく、消費者には完全にそっぽを向かれている。
地球温暖化はウソだと喝破しているトランプ大統領の意向も無視できない。
メチャクチャなことを言う彼も地球温暖化に関してはまともである。
ZEV規制はどう見ても時期尚早であり、早晩見直されることになるだろう[8]。
たとえEVが広く普及し電力需要が増えたとしても、原発推進につながる可能性は低い。
カリフォルニア州は州内で唯一稼働しているディアブロ・キャニオン原発の閉鎖を決定した[9]。
電力需要が増えれば、急激に低価格化している再生エネルギー導入が進むだけで、
原発が復活することはまずあり得ない。原子力業界の思惑通りにはいかないだろう。
われわれユーザーは、EVによる電力需要増加を理由にした原発推進には断固反対すべきである。
EVのエネルギー源は再生エネルギーに限るべきであり、そうでなければEVにはっきりノーを
突きつけるべきだ。
EVが普及する前に、すでにゾンビ化した原子力産業が二度と生き返らないよう、力を合わせて
とどめを刺すことが大切である。
(関連情報)
[1] 「トヨタ、心底嫌ったEV開発着手、社内から激烈な反感…非トヨタ人材主導の異常体制
(Business Journal)」 (阿修羅・赤かぶ 2017/2/14)
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/159.html
[2] 「電気自動車から、柏崎稼働に走る姉川尚史常務の思い出」 (院長の独り言 2013/10/2)
http://onodekita.sblo.jp/article/77174089.html
[3] 「運転手たちが明かす「EVタクシーはツライよ」 (週プレNEWS)」 (阿修羅・赤かぶ 2013/2/17)
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/268.html
[4] 「電撃退任の日産・ゴーン社長の知られざる失態…追放した人物に敗北目前、戦略車EV売れず
(BusinessJournal)」 (阿修羅・赤かぶ 2017/2/24)
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/456.html
[5] 「プリウスPHVが売れない…トヨタ、環境車戦略の失敗が決定的か 営業員すら販売避ける
(Business Journal)」 (阿修羅・赤かぶ 2016/4/8)
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/327.html
[6] 「トヨタに逆風カリフォルニア州の排ガス規制/千葉商科大学名誉教授 三橋規宏」
(企業家倶楽部 2016/10/11)
http://kigyoka.com/news/magazine/magazine_20161011.html
[7] 「ZEV規制2018年問題、Tesla以外の対応は」 (日経テクノロジー 2013/9/9)
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130905/301281/
[8] 「電気自動車の販売台数が伸びない米国カリフォルニア州、今年末に『無公害車規制』を修正か」
(Antoblog 2016/9/16)
http://jp.autoblog.com/2016/09/16/carb-rethink-zev-plans-later-this-year/
[9] 「米加州最後の原発閉鎖へ 再生エネに転換 (東京新聞)」 (拙稿 2016/6/22)
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/888.html
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