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水との闘いなお 凍土壁 効果は「限定的」
福島第1原子力発電所の事故以来、政府と東京電力を悩ませてきたのが汚染水対策だ。東京五輪が開かれる2020年中には問題を収束するとの目標を掲げるが、「水との闘い」に終着点は見えない。
「カン、カン、カン」。原発敷地の南側、4号機近くに約1.2メートル掘られた穴の中。地面をハンマーでたたくとコンクリートのような音が響いた。これが、345億円の国費を投じて造った汚染水対策の切り札「凍土壁」だ。
福島第1原発では日々、原子炉の核燃料を冷やす水がセシウムなどを含む汚染水となる。原子炉建屋や隣のタービン建屋に流れ込む地下水もある。この地下水の流入を防ぎ汚染水の増加を抑えることが、対策の重要課題の一つだ。
凍土壁は2つの建屋を取り囲むように地下30メートルの地盤を凍らせる。全長は1.5キロメートル。氷の壁で地下水の流れを遮断する試みで、汚染水の抜本的な対策として期待された。
東電は16年3月に凍土壁を稼働。まず地下水の下流側にあたる海側の凍結を中心に進め、同年10月に「凍結完了」と発表した。周囲の地盤の温度が全て氷点下に下がったのが根拠だ。温度は十分に下がり、一部では氷の壁も確認できた。だが、稼働から1年近くたっても期待されたほどの効果は表れていない。
効果を測る目安となるのは凍土壁の海側に流れる地下水の量だ。従来は1日約300トンの流入があった。東電は凍土壁によって70トンに減らす想定だったが、現状は約130トンで推移する。原子力規制委員会は昨年末、凍土壁の効果を「限定的」と評価した。
福島第1原発の海側地下にはケーブルや配管を収めるトンネルが複数あり、この周辺から水が抜け出ていると東電は推定する。ただ地表近くの状態はともかく、水の抜け道は直接確認できていない。
現在、凍土壁の山側5カ所は凍らせないで壁を開けた状態にしている。東電は1カ所を残して凍結し、夏前にはすべて凍結したい考えだが、どこまで効果が上がるかは実施してみないと分からない。
では、どのように地下水対策にめどをつけるのか。重要性を増すのが「サブドレン」と呼ぶ建屋近くにある井戸でのくみ上げだ。サブドレンは汚染水対策として15年秋に本格運用を始めた。建屋への地下水の流入を1日100トン引き下げた実績もある設備で、東電は今秋までにこの井戸のくみ上げ能力を倍増させる。
別の問題も待ち構える。原子炉建屋などに約7万トンたまる汚染水をどうするかだ。東電と規制委は建屋内の汚染水の処理方法を議論中で、現在は原子炉の冷却水を減らす作業などを進める。原発の敷地には約1000基ものタンクが所狭しと並ぶ。中身は汚染水を浄化した水だが「トリチウム」と呼ぶ放射性物質は除ききれない。この水の行き先も未定のままだ。
[日経新聞2月18日朝刊P.32]
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