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溶融燃料 厳しい現実
ロボ調査に難題続出
東京電力福島第1原子力発電所事故からもうすぐ6年となる。津波で電源が失われ、炉心溶融(メルトダウン)を起こした1〜3号機の周りには現在、大型クレーンが立ち並ぶ。廃炉に向けた作業は順調に進んでいるようにみえるものの、溶け落ちた核燃料の詳細はつかめないままだ。廃炉作業で最難関である溶融燃料取り出しは見通せない状況で、計画通り今後30〜40年で廃炉が完了するのだろうか。
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東京電力は16日午前8時ごろ、福島第1原子力発電所2号機の格納容器内にサソリ型ロボットを投入した。6年前の事故で発生した溶融燃料(デブリ)を調べるためだ。ロボットは国際廃炉研究開発機構(IRID)と東芝が開発した。頭と尾にあたる位置にそれぞれカメラを備える。ロボットの底に取り付けた回転ベルトでほふく前進するように慎重に走行し、圧力容器の底をカメラで見上げるように観測する計画だった。
ところが、もくろみは外れた。ロボットは圧力容器の底へ向かう7.2メートルのレール上を走行中、堆積物に行く手を阻まれてしまった。走行用の回転ベルトのうち、片側が機能しなくなり、調査開始地点から2〜3メートル進んだ地点で動けなくなった。
東電はロボットにつながるケーブルを引っ張り、堆積物が少ない場所まで戻すといった試行錯誤を続けたが、最後は完全に走行不能に陥った。東電は調査を断念し、操作ケーブルを切断したロボットはレール上に残った。
得られた情報はレール付近の放射線量や温度にとどまり、肝心の溶融燃料を捉えることはできなかった。調査後の記者会見では、ロボット投入は失敗ではないかとの質問が記者から相次いだ。これに対し、岡村祐一原子力・立地本部長代理は「われわれは失敗とは認識していない。格納容器内の情報が得られたことは世界初の快挙といっていい」と繰り返した。
ロボット投入前に実施したカメラ調査により、これまで推測するしかなかった格納容器内部の具体的な情報が一部得られたことは確かだ。東電が今月2日に公開した2号機の画像では、原子炉の下にある作業用足場の金属格子に1メートル四方の穴が開いているのが分かった。
足場は道路の側溝にはめられている蓋と同じ鉄格子が敷かれている。放射線量の高い過酷な環境にも耐えられるように分厚く頑丈に作ってあるが、公開された画像では鉄格子が曲がって足場に穴が開き、原形をとどめていなかった。
格子の表面には黒っぽい物体が絡みつき、中には格子の間を埋めているような場所もある。東電は「融点が1500度の鉄でできた足場が曲がっている。溶融燃料が落下して穴を開けた可能性がある」と説明。断定は避けながらも、溶融燃料の可能性が高いとの見方を示した。
画像公開の翌日、福島第1原発を訪れた。2号機と同じ構造で、事故の影響が比較的少なかった5号機内に入り、カメラ調査を追体験した。格納容器の内部は2人が並んで歩けないほどの狭さで、さまざまな配管や機器が配置されている。頭上の配管に何度かヘルメットをぶつけたほどだ。
2号機の画像と同じ角度で、圧力容器の底部の鉄格子も確認した。整然と敷かれた鉄格子と、公開された無残な鉄格子が同一のものだったとは信じがたかった。
2号機の調査が計画通りに進まなかったことは今後の調査にも影を落としそうだ。政府と東電は1、3号機でも調査ロボットを入れ、その結果を踏まえて夏までに溶融燃料の取り出し方針も決める計画だ。だが、格納容器内の水位が高いなど、調査環境は2号機より厳しい。成果が得られなければ、2021年中に溶融燃料の取り出しに着手するという工程は、見直さざるを得ない。
[日経新聞2月18日朝刊P.33]
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