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福島沖の地震で危険性がクローズアップ
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2017/01/11 脱原発・東電株主運動
11月22日午前5時59分頃、福島県沖を震源とする地震(M7.4)が発生した。この地震の影響で福島第二原発3号機の使用済燃料プール冷却ポンプが停止した。
現在3号機の燃料プールには2360体の使用済燃料が保管されている。その他に184体の交換用未照射燃料があるので、合わせて2544体入っている。
冷却用に水を循環させているが、これが止まるといずれ冷却が出来なくなり、3.11の悪夢がよみがえる。
水の投入が7日止まると、プール水の温度は65度を超えるとされる。10日以上止まると燃料プールは乾上がり、崩壊熱で熔け出すことにもなりかねない。地震でプールが破壊されれば、急激にそれが起きることになる。
停止確認の時間と方法
ポンプの停止確認は、東電の説明では次のようなものだ。
「6時10分頃、3号機使用済燃料プール冷却浄化系ポンプにおいて、スキマーサージタンク水位低警報が発生し同ポンプが停止」した。停止時点で元の水面から2mほど下がっていた。
地震発生からタンク水位低の信号発信まで約10分、また「頃」との記載が気になるところだ。警報発報ならば百分の一秒単位で記録が残る。
ポンプの警報を何時確認したのか、リアルタイムのことなのか、時間差があるのか。規制庁のメールでは「地震に伴う確認を行ったところ、3号機の使用済燃料プール冷却系が停止していることを確認」となっており、東電発表とはやや異なっている。
スキマサージタンクとは、プールに隣接した冷却水を溜めるタンクで、高さが8mほどある。このタンクにはプールを通った冷却水が入り、浄化系を通って戻される。その系統に付けられているポンプが止まった。
警報と同時にポンプを止めたのは、タンクの水がなくなった場合、ポンプが空回りして壊れる可能性があることと、タンクや配管に破損があり漏えいが続く可能性をみているのであろう。
しかしポンプ停止は冷却水の喪失を意味するのだから、別系統のバックアップシステムが稼働してしかるべきである。
なお、ポンプは現場に確認に行った作業員が破損などがないことを確認した上で、約1時間半後の7時47分に復旧している。
警報の原因
スキマサージタンクの水位が低下した原因は、次のように推定されている。
地震に伴ってプールに大きな揺れが伝わり、水面が大きく揺れた。その結果、プールからスキマサージタンクへと水が大量に落下した。この時は水位が上がったはずだ。
さらにプールの水面が跳ね上がる「スロッシング現象」が起きてプール水が溢れ、排水系統に流れた。結果としてプール−スキマサージタンク−配管−ポンプ−浄化装置−配管−熱交換器(原子炉補機冷却系の冷却水で冷やす装置)−配管−と流れる冷却水全体の循環量が減少した。
プールからオーバーフローして落ちてくる水がなくなると、他に水が入る経路を持たないスキマサージタンクの水位は低下する。それを検知してポンプが止まった。プールには他から補給される水がなかったため、停止していた90分ほどで、プール水の水温が29.3度から29.5度に上がったとされる。
電源喪失
この地震により一部の系統で電源が失われ、モニタリングのダストモニターが停止したと報じられている。地震による影響を受けたのは具体的には何処なのかは未だ明らかにされていない。
ダストモニターの停止は放射線量の増大には繋がらないが、系統内に放射性物質が流れても検知できなくなるので、環境や労働者への影響を未然に防止する手段の一つが止まったことになる。これは小さな問題ではない。
小さな揺れでもいくつかの異常が生じた。この10倍の揺れだった3.11では、もっと大規模な破壊が生じた。
70ガルにも満たない揺れでポンプが停止し停電も起きたことをどう考えるのか。3.11から5年8ヶ月も経ってこの体たらくだ。
プールのリスクを甘く見るな
福島第一原発事故後、使用済燃料プールの危険性が大きくクローズアップされた。冷却が継続できなくなると、炉心溶融よりも酷い災害を引き起こすことが初めて認識された。再認識ではない。それまではプールの危険性を見ていなかったのである。
その影響は今も引きずっている。何処の原発もみな、大量の使用済燃料をプールに抱え込んだままだ。本来は3年分程度の容量しか持っていなかったはずなのに、いつのまにか大容量になっていった。福島第一原発6号機のプールは管理容量約1000体に対して、同じ110万kWの福島第二原発は、いずれの号機も2000体前後の管理容量で、倍の規模に拡張されている。
再処理計画が進まず、短期間で再処理工場に搬出することが出来なくなった結果である。
燃料プールに大量の使用済燃料を抱えることで「格納容器の外に巨大なリスク」を置き残す結果になった。
それが3.11の時に4号機使用済燃料プールの危険性として浮上し、最悪の場合は強制避難170km以上、3000万人の広域避難となりかねない事態を生じた。そうならなかったのは偶然の結果と言ってよい。
教訓は、使用済燃料を安全に管理するために、乾式貯蔵と呼ばれる方法で一時貯蔵を進めることだった。水を使う強制冷却は冷却材喪失に耐えられない。
乾式貯蔵方式とは、密封された鋼鉄またはコンクリートとステンレスの容器に水と燃料を詰め込み、熱は金属表面からの空冷で冷やし続ける方法だ。外部に冷却水がなくても冷えるし、動力がなくても冷やせる。ただし、燃料の発熱量を下げておく必要があり、10年以上はプールで強制冷却をしなければならない。
今も津波対策はない
今回の地震でも第一と第二で1.0〜1.6mの津波が観察されており、幸い敷地浸水に至る高さはなかったものの、例えば防潮堤を越える場合は、大規模な放射能放出を引き起こす危険性が高いことも再確認すべきだ。
そのため建屋の密封化や敷地内汚染水の回収が進められているが、進んでいるとは言えない。
敷地を襲う津波の高さは、東電自らの予測でも、東北地方太平洋沖地震を経た今日では、26m(算術平均)または36m(95パーセンタイル)にもなる恐れも否定できない。ところが恒設の防潮堤は、建設予定も無い。
福島第一原発では共用プールに入りきれない4号機などからの燃料を、ドライキャスクによる乾式貯蔵とした。この貯蔵施設がある地点は海抜40mほどで、津波の影響は受けないだろう。しかし全燃料体を乾式貯蔵に移行していないので、プールに残された燃料は依然として、建屋損傷や地震による冷却停止のリスクに晒されている。
第一も第二も、まず使用済燃料の安全確保に最優先で取り組むべきである。(Y)
*脱原発・東電株主運動ニュースNo.261(2016年12月11日発行)より。
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