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前回取り上げた福見秀雄、宮川正に続いて、今回は日本医師会会長であった田宮猛雄と731部隊、
福島原発事故とのつながりを見ていこう[1][2][3]。
[経歴] ([4]に加筆)
1889年 大阪府で生まれる。
1915年 東京帝國大学医科大学(現・東京大学医学部)を12月に卒業、伝染病研究所の技手となる。
1918年 伝染病研究所の技官となる。
1924年 医学博士号を取得。論文の題は「脾脱疽感染及び免疫に関する実験的研究」
1927年 東京帝國大学伝染病研究所教授に就任。
1931年 同大学医学部教授となる。衛生学講座を担当。
1944年 伝染病研究所第7代所長に就任。
1945年 同大医学部長に就任。
1948年 日本医学会会長に就任、亡くなるまで務める。
1949年 東京大学を停年退官。名誉教授となる。
1950年 日本医師会会長となり2期務める。
1960年 水俣病研究懇談会(田宮委員会)の委員長となる。
1962年 国立がんセンター初代総長となる。
1963年 日本学士院会員になる。7月11日に胃癌のため死去。墓所は大阪市阿倍野区。正三位、勲一等。
医学者としてこれ以上は望めない輝かしい経歴だが、御用医学者としての業績もまた超一流である。
田宮猛雄といえば、水俣病研究懇談会、通称「田宮委員会」での悪行が有名である。
医師会会長の権威を利用して、腐った魚を喰ったせいだなどという説をでっちあげ、
真の原因である有機水銀説をつぶし、被害を拡大させ新潟での第二水俣病まで引き起こした[5]。
しかし彼は731部隊にも深く関与しており、部隊員とも懇意で、戦後も人体実験をしていたことは
あまり知られていない。
彼の死後、追悼文集が出版されたが、その中で北岡正見、安東洪次、目黒康雄、田嶋嘉雄など
731関係者が勢ぞろいして思い出を語っている[6]。
731部隊マラリア菌研究班に所属していた目黒康雄は、軍医として戦地に送られるところを
田宮の計らいで防疫給水部(731部隊の別名)の職を斡旋してもらったと語っている。
田宮は「徴兵逃れ」をエサに教え子を731部隊へ送り込んでいたのである。
また田宮は731部隊の別働隊でもある北京の1855部隊へ出張していたとも言われている[7]。
田宮は731部隊第2代部隊長・北野政次とも非常に親しく、戦後、北野が東大伝研に現われたとき、
もっとも北野の庇護したのが田宮であった[8]。
また福見秀雄や北岡正見とも一緒に研究をしている[2]。
終戦直後、GHQの軍医が田宮を訪れ、米軍の資金提供を受けて共同研究を始めた[8]。
田宮は英語が流暢で、GHQの信頼も厚かった。
1947年、GHQの命令で厚生省と東大伝研が府中刑務所の受刑者に対し、発疹チフス人体実験をしている。
この件で田宮は北野政次らと深く関与している。
発疹チフス人体実験は北野らが731部隊で行なっており、いわばその"続編"であった。
1952年に新潟大内科の桂重鴻教授らが新潟精神病院で精神病患者149人にツツガムシ病リケッチアを注射し、
8人が死亡、1人が自殺というとんでもない事件(ツツガムシ病人体実験事件)が起きた[9]。
実は米軍の資金援助により田宮が北岡正見らによびかけてツツガムシ病研究グループを組織し、
この人体実験事件を主導したことも判明している[8]。
いくら米軍から無理難題を押しつけられても、731部隊での犯罪を不問にしてもらっているから断れないし、
断るつもりもなかったのだろう。
田宮は731部隊で多くの人間を犠牲にしたことを反省するどころか、戦後も人体実験を続けて得た功績で
着々と出世を続け、ついに医学者として最高のポスト、日本医師会の会長まで登りつめる。
田宮委員会は御用医学者として最後の大仕事であり、大勢の犠牲者を出した。
さすがにこれだけ悪事を重ねると天罰が下るようで、数年後、田宮は末期の胃がんで亡くなった。
手の施しようのない状態だったという。
トップレベルのがん専門医を結集させた国立がんセンターの総長でもあった彼にしては、
無様な死に方であった。
731部隊や水俣病の犠牲者の呪いかもしれない。
数々の凄惨な人体実験に関わってきた悪魔のような人間が、最高のポストである日本医師会
会長の席におさまる。悪夢のような話だが、これが日本の現実なのである。
残念なことに彼の死後も医学の倫理に反する人体実験の伝統は脈々と受け継がれている。
田宮が所長を務めた東大医科学研究所(旧伝染病研究所)や、初代総長となった国立がん研究センター
(旧国立がんセンター)に勤務した上昌広教授は、国立病院では患者の治療よりも研究の成果や
効率が優先され、陸海軍の亡霊がいまだに行き続けていると述べている[10]。
陸海軍というより731部隊の亡霊と言ったほうが正しいだろう。
その上教授も、福島原発事故が起きるや否や、本来ならすぐに避難させなければならない福島の住民を
だましてモルモットにし、白血病のデータを収集して金儲けや出世に利用しようとしている。
やっていることは731部隊と何ら変わりはない。
731部隊の人体実験の責任を追及し、関係者を処罰し医療倫理を正さなかったために、
本人の同意も得ずに人間をモルモット代わりに使う悪しき伝統が現在まで続いているのだ。
新薬や新しい治療法には臨床試験が必ず必要である。それなしには医学の進歩はない。
しかし臨床試験にあたっては、被験者に期待される効果と危険性をきちんと説明して
同意を得なければならない。
正しい判断が出来ない幼児や精神病患者、あるいはノーと言えない若い自衛隊員や受刑者をだまして
実験台にすることは絶対に許されないことだ。
福島も全く同じである。
住民に被ばくの危険性をきちんと伝えず、安全だとだましてモルモット代わりにするとは言語道断である。
これは立派な犯罪である。
ちなみに、田宮家一族は学者が多く、息子は被爆直後の広島で放射線が脳細胞に与えた
ダメージを調べた精神医学者・島薗安雄、孫が著名な宗教学者で、原子力を批判している
島薗進・東大名誉教授である。
島薗進氏は東大理科3類に合格したが、医学界の権威主義や倫理性軽視が問われた
東大医学部紛争の中で苦悩。「生きている意味を含め考え直そう」と宗教学へ進んだという[11]。
紛争中、水俣病被害を拡大させた田宮猛雄も厳しく批判・非難された。
頭脳明晰な島薗氏は、おそらく医学者になっても素晴らしい業績をあげただろうが、
医学界では常に悪名高い祖父の名がつきまとうのに耐えられなかったのだろう。
歴史上の事実をきちんと認識し、あやまりを正し反省しなければ、極悪非道が繰り返され、
いつまでたっても日本はまともな国になれないだろう。
(関連情報)
[1] 「驚愕! ご用意学者をさかのぼると、すぐに731部隊に行き着く」 (拙稿 2014/5/16)
http://www.asyura2.com/14/genpatu38/msg/205.html
[2] 「元予研所長・長崎大学長の福見秀雄は731部隊関係者・CIA工作員で戦後も人体実験を続けた」
(拙稿 2016/8/18)
http://www.asyura2.com/16/genpatu46/msg/324.html
[3] 「東大医学部放射線科・宮川正教授は退官記念講義で731部隊員だったことを曝露・追及された」
(拙稿 2016/12/11)
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/109.html
[4] 「田宮猛雄」 (ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E5%AE%AE%E7%8C%9B%E9%9B%84
[5] 「全く活かされていない水俣病の教訓 -- 環境省の報告書を読んで類似性に唖然!」
(拙稿 2013/4/7)
http://www.asyura2.com/13/genpatu31/msg/199.html
[6] 「田宮猛雄先生を偲ぶ」 (メディカルカルチュア 1964)
[7] 「検証 人体実験 731部隊・ナチ医学」 (小俣和一郎・著 第三文明社 2003)
[8] 「731部隊 細菌戦の医師を追え」 (高杉晋吾・著 徳間書店 1982)より
[9] 「新潟大学におけるツツガムシ病原菌の人体接種問題」 (wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E6%BD%9F%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%83%84%E3%83%84%E3%82%AC%E3%83%A0%E3%82%B7%E7%97%85%E5%8E%9F%E8%8F%8C%E3%81%AE%E4%BA%BA%E4%BD%93%E6%8E%A5%E7%A8%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C
[10] 「国立病院に生き続ける陸海軍の亡霊 (東大医科学研究所・上昌広教授 MRIC)」
(拙稿 2016/11/25)
http://www.asyura2.com/16/genpatu46/msg/837.html
[11] 「宗教学の重鎮 つぶやき人気 島薗進さん 原発・安保・学問の自由・・・」
(黙翁日録・朝日新聞 2015/7/18)
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