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(回答先: 原発事故廃炉費用の託送料への転嫁案に批判や不満(オルタナ) 投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 12 月 02 日 13:17:35)
新電力に低コスト電気 石炭や原子力、大手が供給
福島賠償を共同負担
経済産業省は電力自由化で参入した新電力が石炭火力や原子力など発電コストの安い電気を調達できるようにする。電力大手が新電力の需要の3割相当を提供し、代わりに東京電力福島第1原子力発電所事故の賠償費用のうち3兆円程度を大手と新電力の共同負担に切り替える。賠償による新電力の料金上昇を抑え、大手との競争を促す。
電力市場の競争促進や原発事故の処理費用の負担を話し合う経産省の有識者会議で来週にも決める。必要に応じて関連法や省令などを改正する。
石炭火力や原子力などコストが低く発電量が天気や時間帯に左右されないベースロード電源を日本卸電力取引所に放出することを2020年度をめどに義務づける。いま大手が取引所に出すのは石油火力などコストの高い電気が中心で、割安な電気は自社の小売部門に流している。
1キロワット時あたりの発電コストは原子力が約10円、石炭火力は約12円、石油火力は30円を超える。
300社以上の新電力のなかには自前の発電所のない事業者も多い。取引所に調達を頼るが、安い電気が手に入らず対等な競争が難しかった。
新電力の需要の3割にあたる量を発電コスト以下で放出してもらう。現在は石炭火力の発電量が多いが、再稼働が進めば原発の電気も出てくる。新電力はオークションで電気を買い付ける。
福島第1原発事故の賠償費用はこれまでの想定の5.4兆円を上回る8兆円ほどに膨らむ。東京電力ホールディングスを中心に関西電力や中部電力などほかの大手も一緒に負担してきたが、今後は3兆円程度を新電力との共同負担に変える。
賠償費用は大手が11年の事故後から拠出しているが、共同負担の3兆円は事故に備えてそれ以前に積み立てておくべきだった金額との位置づけだ。全ての電気利用者が大手と契約して原発の電気を使っていた時代の費用をこれから回収するため、新電力も含む全ユーザー(原発のない沖縄は除く)に負担を求める。
具体的には大手と新電力の双方が負担する送電線の利用料に賠償費用を上乗せする。全国の電気の販売量に占める新電力の比率は8%。利用料はおおむね販売量に応じて払うため、新電力の負担は数千億円になりそうだ。福島第1原発以外の全国の原発の廃炉費用の一部も送電線利用料に上乗せする方針で、新電力に100億円単位の追加負担になる。
新電力が費用をすべて小売料金に転嫁すれば、家庭の電気料金を1カ月あたり数円から数十円押し上げる要因になる。
経産省は「安価な電気を調達できるようになるメリットのほうが費用負担よりも大きい」(幹部)とみている。本格的な価格競争が起きれば、大手も含めた料金の引き下げにつながる。大手と新電力の損得のバランスを取りながら、賠償と競争を同時に進める。
[日経新聞12月3日朝刊P.1]
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