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原発再稼動、漂流する「新規制基準」の司法判断 記者の眼 科学を否定する「社会通念」とは? 
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 11 月 14 日 14:22:56: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

原発再稼動、漂流する「新規制基準」の司法判断

記者の眼

科学を否定する「社会通念」とは?
2016年11月14日(月)
寺岡 篤志
 高浜原発3、4号機の再稼働差し止め仮処分訴訟の抗告審が大阪高裁で始まり、原子力規制委員会の新規制基準の是非を巡る司法闘争が本格化している。裁判の行く末を握るのは裁判官が抱く「社会通念」だ。

 10月13日、大阪高裁で関西電力の高浜原子力発電所(福井県高浜町)3、4号機の差し止め仮処分申請に関する抗告審が始まった。福島第1原子力発電所事故以降、差し止め仮処分を認めた決定について高裁が審理するのは初めて。原子力規制委員会の新規制基準の是非をどう判断するかに注目が集まる。本来行政訴訟で争われるべき問題とも言えるが、実際に稼働中の原発を止めた決定の抗告審だけに、その注目度は大きい。


司法判断により再稼働が止められた高浜原発
 大津地裁の山本善彦裁判長は今年3月、差し止め仮処分命令を出した決定において、新規制基準を「公共の安寧の基礎となると考えることをためらわざるを得ない」と批判。7月の異議審決定も同じく山本裁判長が担当し、差し止めを引き続き認めた。

 大津地裁決定は、新規制基準の合理性を証明することまで関電に求めるという高いハードルを課したが、規制委は「実用発電用原子炉に係る新規制基準の考え方について」と題した資料を公表して支援に回っている。「脱原発弁護団全国連絡会」は、大阪高裁の証拠提出期限である12月までに「考え方」に対する反論書を取りまとめ、全国のほかの裁判でも証拠として利用する方針だ。規制委と弁護団の対決の構図がより鮮明になる。

 例えば、それぞれ独立した多層的な対策で事故の発生・拡大を防ぐ「深層防護」の考え方について、弁護団は最終層の「避難計画」に関する審査が行われていない点を問題視する。これに対し、規制委は「考え方」の中で「自治体が策定する避難計画に関し、規制委などがきめ細やかな関与や支援を行っている」と示した。 しかし、原告団は更に「自治体の避難指針は、前段階の防護層である放射性物質の拡散防止が機能する前提で作られている。対策の独立性が重要な深層防護の本来の考え方とは違う」と再反論する考えだ。

「社会通念」の正体

 福島原発事故以降、全国で行われてきた主な裁判の判断は、新規制基準の全肯定か全否定か、両極端に分かれている。ある元裁判官は「原発の安全性について科学的に検証を積み重ねるよりも、社会通念に基づいて結果を先に決め、それに沿った理論を後から考え出しているようだ」と指摘する。

 医療事故訴訟「ルンバ—ル事件」で最高裁は1975年、「訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、(中略)通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りる」として、科学の難関な問題を社会通念に基づいて判断することの正当性を示した。この判断に疑問をもつ法曹関係者も少なくないようだが、新規制基準を巡る裁判には「社会通念」といった言葉が頻出する。この社会通念とは何なのか。

 ある現職裁判官は「一般論として説明するのは非常に困難」とした上で、1957年の「チャタレー事件」の最高裁判決を引用する。わいせつ物と芸術の線引きを社会通念で行うとした判決だ。この中で社会通念を「個々人の認識の集合又はその平均値ではなく、これを越えた集団意識」としている。

 一方、元裁判官で高浜原発裁判の原告側弁護団長である井戸謙一弁護士は「合理的な判断ができる情報と知性を備えた仮想の集団が出す結論」と考える。原発差し止め訴訟の判決に裁判長として参加した経験がある塚原朋一弁護士によると「必ずしも多数決の結果ではなく、裁判官が社会はこうあるべきだと判断した『新しい常識』を社会通念とすることもある」という。別の元裁判官は「地方の裁判所では、地元のマスコミの論調で自身の社会通念が左右されてしまう人も当然いる」とも話す。

 それぞれの解釈は一様ではないが、社会通念が裁判官の個性に左右される可能性があることを感じさせる。規制基準を巡る判断が担当裁判官により両極に分かれる背景が透けて見える。

 弁護団は仮処分を全国で多数立ち上げて再稼働を止める戦略を基本としており「例え大阪高裁で負けたとしても、最高裁に許可抗告は求めない。地裁で実績を積み上げてからでないと、最高裁に行っても敗訴して、後々の裁判で不利になるだけだ」(井戸弁護士)。最高裁の判断が出ない状況がしばらく続くとなれば、寄る辺のない裁判官の「社会通念」が揺れ続ける可能性は大きい。

縮原発の先の議論を

 弁護団は大阪高裁に提出した準備書面の中で「福島原発事故後の5年間の時間の経過は、日本の社会において、電力供給のために原発を運転する必要がないことを白日の下にさらした」などとして「原発必要神話の崩壊」を説いた。

 しかし、原発を止めざるを得ない状況であることを国全体が認めていた事故後の数年間と、政府がエネルギー基本計画の中で原発を「重要なベースロード電源」と位置づけている現状は全く異なる。原発が動かないことを前提とした投資に企業も自治体も踏み切りにくいからだ。特に原発依存度が高かった立地地域の経済は、原発の行方が見通せないことできしみ始めている。このまま一部の司法判断と政府の判断がねじれ続け、エネルギー政策が定まらない状況は好ましくない。

 それならばせめて、折り合いがつく範囲で国や地方、電力会社、企業が未来の議論を深めておくことはできないだろうか。少なくとも、原発依存度を下げる「縮原発」はエネルギー基本計画にも示されていたはずで、原発のその後を語ることがタブー視されるべきではない。地方経済の原発に代わる未来像に加え、環境問題やエネルギー安全保障、廃炉に伴う諸問題も真っ向から捉え、縮原発が実現可能かをいい加減本気で議論しなくてはならない。原発依存の宿痾から抜け出すのが容易でないことは、原発事故後の福島県沿岸地域の現状からも明らかだ。いつ依存度を下げるかという課題は先に置くとしても、縮原発の議論が性急ということはないはずだ。もっとも、縮原発が建前の理想論に過ぎないのならば、より対立を深めることになるかもしれないのだが。


このコラムについて

記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/111000349  

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コメント
 
1. 2016年11月14日 16:49:24 : Uu5QjIY806 : LqJtGB8tuwM[30]
裁判所がどんな判断をしようが、すでに溶け落ちた福島原発の核燃料300トンは、数十万年にわたって放射能を吐き出し続ける。数百年後の歴史に残るだろう。裁判所の正しい判断を待っているうちに滅んだ国がありました、と。

2. 2016年11月14日 17:47:13 : YFk6WM8C8H : rWpNP8IIIAM[2]
原発を稼働させて今後ずっと安全だとする理屈はどこの誰であれ作ることはできない。避難訓練が必要とする時点でもうアウトのはず。

議論を混乱させる詭弁を弄するでない。


3. 2016年11月14日 22:26:57 : K6AfoDXCSM : Kw3ftcdtdcE[6]
社会通念などと寝ぼけたことを言うのは、
すでに起きたことの結果に対する罪の償いとさせてから、
公害で毒の粉がばら撒かれたのにばら撒かれていないと、
嘘の判決を出した裁判官、その嘘を広めた大手マスコミ関係者等を、
未必の故意による殺人(大量虐殺)として無期懲役なり死刑なりにしてから言え!

自国民をどれほど大量虐殺しても大きな顔をして生きていられる連中の言うことを、
基準になんかできるわけない。
すでに起きたことの結果に対して無期懲役なり死刑なりにしてからなら、
話を聞いてやる。


4. 2016年11月15日 11:59:31 : 9QewkUGcqk : 4QXc8C8kgnU[265]
科学などどうでもいい。科学的に危険なものを安全と言い張り絶対事故は起きないと喚き散らす非科学的な奴らが科学を標榜するな。僭越というものである。

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