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2016年11月8日 週刊ダイヤモンド編集部
東芝が原発の新規建設65基計画に強気の根拠
ダニー・ロデリック(東芝 エネルギーシステムソリューション社社長 ウエスチングハウス会長)インタビュー
東芝の原子力事業は、フラッシュメモリーと並ぶ中核事業だ。2016年3月期に米子会社ウエスチングハウス(WH)ののれん代2500億円の減損損失を計上して出直しを図っている。WH製の原発は米国と中国で計8基を建設中。2030年度までに新規受注65基の目標の根拠は何か。WH会長で、東芝のエネルギーカンパニー社長のダニー・ロデリック氏に聞いた。(「週刊ダイヤモンド」2016年11月12日号特集「東芝 再生の難題」より。「週刊ダイヤモンド」編集部・村井令二)
──WHの原発「AP1000」の新設受注計画は65基という高い目標だが、最初に受注が見込めることになったインドの状況はどうか。
Photo by Reiji Murai
インドの新設6基の交渉はほぼ終わっていて、来年には契約する。その年の後半にはEPC(設計・調達・建設)契約に署名することになる。インドにはさらに6基のサイトが米国ゼネラルエレクトリック(GE)の原発に割り当てられているが、GEはインドの原子力損害賠償法について懸念を表明している。もしもGEが下りた場合は、WHとして興味を持っている。それ以降もインドでは新しい原発開発の計画があるので、さらに建設する機会は出てくる。
──インドの原子力損害賠償法は、原発事故が起きた場合、原発メーカーの賠償責任が追及されるリスクがある。GEが懸念を表明しているなら、WHにとってもリスクではないか。
インドでは、新しく保険制度を作って、不幸にも原発事故が起きた場合のメーカーのリスクをカバーすることになると理解している。最終的にGEがどう判断するかはわからないが、WHとしてはリスクが払しょくされて、インド政府に約束した原子炉は建設できる。
――中国で建設中のAP1000の4基の運転開始は公表されていないが、いつ頃になるのか。その後の中国市場の新設受注の見通しはどうか。
中国では初のAP1000を三門と海陽の2か所で計4基建設しているが、そのうち三門1号機の運転開始は間近。現在、運転試験を行っていて、数ヵ月以内には燃料の装荷を始める。三門1号機の運転開始が始まれば、その4ヵ月遅れて海陽1号機の運転が始まる。つまり、中国ではこの1年で2基のAP1000が立ち上がる。そして、今現在、中国政府が選定している新規原発のサイトの初期作業も進んでいるようなので、政府がゴーサインを出せば、これから数年は毎年8基程度の新設が見込めるだろう。
米国の原発市場は
今後20年で120基と想定
――米国でもAP1000を4基建設中。その後の受注の見通しはどうか。
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建設中の4基は2020年までに完成する。今現在、全米で99基の原発が稼働(10月稼働の1基を除く)していて、今後老朽化が進む。そして、米国にはCO2の削減計画もあるので、火力発電所をリプレイスする場合も、CO2を排出しない原発のオプションにする必要が出てくるのではないか。それを踏まえると、今後20年の米国の原発新設の市場は120基くらいと想定される。(世界首位の)WHは、その50%くらいは受注できて当然だが、保守的に30—35%と計算したら、40基前後はとれることになる。
――東芝が2014年に買収した英国の電力会社ニュージェネレーション(ニュージェン)は2018年末までに認可を得て、原発建設の投資判断をする予定になっているが、変更はないか。
英国は新政権になって、ニュージェンの原発建設資金について何か別のアイデアがあるようだ。日本政府と英国政府が話し合いをしている最中だと理解している。今後、われわれは英国新政権の原発への期待を見極めて、適切な投資判断をしていくことになる。
――新設65基の受注計画は、東芝の計画では保守的に45基として見積もっている。45基は達成できるか。
世界最大の原発市場は中国。それとインドの2ヵ国だけで計画はかなりカバーされるだろう。米国でも新しいサイト選定が行われて、プロジェクトは前進していく。他にも、メキシコで話が進んでいるし、トルコでも最大4基の受注ができると考えている。
――東芝は、今年5月にはWHののれん代の減損損失を計上した。65基の新設受注計画は見直しの必要はないのか。
東芝が行ったWHの減損に関しては、WHの新設計画とは直接の関係はない。計画は2〜3年前にWHの中で立てたものだが、世界中の原子炉の半分がWHの技術をもとに作られているという事実をベースに計画した。その当時から計画は変えていないが、何年経っても変わらない事実は、既設の原発の寿命はいずれ必ず訪れるということ。そして気候変動の問題に対処する際、再生可能エネルギーだけではカバーできないので、原発でリプレイスしなければ、CO2を排出して環境負荷は増えていってしまう。計画は、そうした考えに基づいて導き出した。
原発の稼働停止で
燃料業界の苦境は続く
――米フリーポートの液化加工契約は、2019年から20年にわたって年間220万トンの調達義務がある。東芝は液化天然ガス(LNG)の販売先を確保して利益が出せるのか。
今はLNGの買い手を探して小さい顧客の積み上げをしている。確かに、天然ガスの市場は、この数年で変わってしまって、(原油価格が下がって競合する米国産LNG販売にとっては)バッドニュースなのは確かだが、今後もまたどうなるかわからない。LNGを世界中の顧客に提供して、東芝製の発電機器も販売するビジネスは成り立つ。
――LNG販売の経験のない東芝にとってかなりリスクのある事業だが、権益の売却は考えていないか。
われわれは資産投資と考えているので、買いたい方がいれば売ることも検討したい。しかし、今現在はLNGを売ることで利益が出せると考えているので、その方向で動いている。ガスの価格はボラティリティが高いのでオーバーコミットはしない方がいいが、LNGの事業は、われわれの原子力、火力、水力、地熱の発電機器のポートフォリオの中のヘッジと位置付けている。
――国内の原発事業では、東芝、日立、三菱重工の燃料会社を統合する話が出ている。
噂に関してはコメントしないが、一般論では、原発の稼働停止で燃料業界はみんな赤字で厳しい。これから10年くらいはこの状況が続きそうだ。日本政府としては、雇用や技術に関わるので、この業界を維持したいという大きな気持ちはあると思う。赤字を出しているという意味で、色々なオプションは検討すべきだろう。
――原発燃料会社だけではなく、日本の原子炉メーカーの統合はどうか。
これも多くはコメントすべきではないので一般論。ストレスの掛かっている産業はどんな産業でも、そうしたことが検討されるのは、合理的なアプローチではないか。日本の原子力産業の課題は競争力をつけていくことだ。そのためにできることがあれば何でもしていきたい。
http://diamond.jp/articles/-/107047
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