http://www.asyura2.com/16/genpatu46/msg/687.html
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SAPIO2016年9月号に戦後史家の有馬哲夫氏が、正力松太郎が日本初の原発導入のいきさつについて
書いているので引用しよう。
「正力松太郎を操ったCIA局員の人生」 (NEWSポストセブン 2016/9/2)
http://www.news-postseven.com/archives/20160902_438114.html
http://www.excite.co.jp/News/world_g/20160902/Postseven_438114.html
「戦後史家・有馬哲夫氏が新たに公開された機密文書から戦後秘史を読み解く『SAPIO』の連載。今回は、「原発の父」こと正力松太郎氏を操ったCIA職員について有馬氏が綴る。
(中略)
この後2年にわたって朝日新聞はもちろんのこと、広島に本拠を置く中国新聞まで読売新聞の顰に倣って原子力平和利用推進キャンペーンを張った。当のメディアが意識していようといまいと、これは強力な親米化プロパガンダとして働いた。
しかし、CIAは、これだけ正力を利用しながらも、原発を与えることはなかった。日本が核武装することを恐れたからだ。正力はイギリスからそれを輸入しなければならなかった。
一方、正力もさるもので、アメリカの反対をはねのけて導入したコルダーホール型原発は、プルトニュウム(原爆の原料)生産が主で、発電が従というものだった。実は正力と産業界のトップは、これを足掛かりに原発と核兵器を生産し、輸出することを目指していたのだ。今日この目標の半分が実現をみている。正力(そして本シリーズの日本人主人公)は、ただ利用されて終わる男ではなかった。 (以下略)」
最初から正力が兵器プルトニウム生産を目的として原発導入をすすめていたという指摘はその通りだろう[1]。
このコルダーホール型原発、正しくは黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉(マグノックス炉)という名称だが、
天然ウランを燃料、黒鉛を減速材に使い炭酸ガスで冷却する原子炉で、主目的は兵器級プルトニウム生産で
あり、発電は副次的なものであった[2][3]。
日本が最初の原発の導入を検討していた1956年当時、まだ米国の軽水炉は建設中で実績がなく、
英国のコールダーホールはすでに発電を行なっていたのでそれを導入した、というのが通説である[4][5]。
しかしコールダーホール型原子炉は大きいわりに発電量が小さく効率が悪く、発電用としては
軽水炉のほうがはるかに有利かつ有望であることは当時から明らかであった。
少し待って軽水炉を導入せずに、コールダーホール型を導入したのはプルトニウム生産が目的だったからだ。
この点は有馬哲夫氏の指摘は正しいと思う。
しかし正力が米国の反対を押しのけて英国から無理やりこの原子炉を導入したという主張は間違いだろう。
正力はCIAのスパイであった。
A級戦犯に指定されたにもかかわらず無罪放免になったのは、米国のスパイになることを受け入れたからだろう。
同じくA級戦犯だった安倍晋三の祖父、岸信介や笹川良一と同じである。
そんな正力が御主人様の米国の意向に逆らって勝手に英国から原発を買えるわけがない。
米国の承認を得て英国の原子炉を導入したことは確実である。
正力は日本に原発を導入するにあたり、プルトニウム生産を条件にし、米国はそれを認めた。
そして、まずそれに適したコールダーホール型の原子炉を英国から導入し、その後は各電力会社に
米国の軽水炉を導入するという密約を米国と結んだに違いない。
日本に米国軽水炉を何十基も導入させることで、米国は莫大な利益を上げた。
そしてさらに日本にプルトニウムを生産させ、その上前をはねて大儲けしてきたのだ。
英国は使用済み燃料の再処理でこれまた莫大な利益を上げた。
重要な点は、原子力の平和利用という原発キャンペーンは大嘘であり、最初から兵器用プルトニウム生産が
目的だったということだ。
発電はいわば暴力団のフロント企業の表稼業のようなもので、裏の本業はプルトニウムの生産だったのだ。
これが原子力産業の正体である。
茨城県東海村に原子力施設を誘致、兵器用プルトニウム生産のメッカにしたのも正力である。
そしてその作業中に起きたのが、あのJCO臨界事故である。
それにしても当時の出来事を調べていると、正力松太郎のメチャクチャな横暴ぶりにあきれる。
特高警察あがりの正力は科学者でも技術者でもない。原子力の知識は皆無である。
1955年の原子力平和利用博覧会で、原子炉の模型を指差してあれを自宅用に1台手配しろと言った
という逸話が残っているぐらいだ[6]。
そんなド素人が原子力委員会の初代委員長になって、科学的な議論も検討もなく、金儲けを最優先に
何でも好き勝手に決めていったのだから恐れ入谷の鬼子母神である。
ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士は正力の要請で原子力委員になったが、
慎重な科学的議論なしに性急に原発の輸入と建設を進める正力に激怒して委員を辞任したのは
有名な話である。
金儲け最優先、一番大切な科学的な検証・検討は二の次三の次、不都合な科学的真実は
御用科学者に隠ぺいさせる、というとんでもない悪しき伝統は、彼が産み出したものである。
そのメチャクチャな原発行政が今日まで尾を引いており、福島原発事故を引き起こしたことは
言うまでもない。
正力は「原子力の父」と言われるが、原子力技術に対してはド素人であったから、
そう呼ぶのは不適切である。
核武装の父、デタラメ原発推進の父、原発事故の父、そして日本崩壊の父と呼ぶべきだろう。
正力松太郎は子分の中曽根康弘とともに、原発を爆発させ日本を崩壊させた超A級戦犯として
歴史に名を残し、何世代も先までくそみそに罵られることになるだろう。
(関連情報)
[1] 「原発即時ゼロで失われるものー電力、外交カード、そして」 (ポリタス 有馬哲夫 2015/6/11)
http://politas.jp/features/6/article/386
[2] 「コールダーホール原子力発電所」 (ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80
[3] 「マグノックス炉」 (ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%83%8E%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E7%82%89
[4]「東海発電所」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%B5%B7%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80
[5] 「巨怪伝」 (第12-13章、佐野眞一・著 文春文庫)
[6] 「1955年 原子力平和利用博覧会 正力松太郎は展示の小型原子炉を見て自宅用に1台手配しろと言った」
(拙稿 2015/1/17)
http://www.asyura2.com/14/genpatu41/msg/644.html
[7] 「柏崎刈羽原発は田中角栄が土地買占めでボロ儲けするために誘致された 旧油田地帯で地盤は最悪
即廃炉にせよ」 (拙稿 2016/4/29)
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/590.html
[8] 「地質調査は全くせず、政治家の"ご都合"で原発建設地が決まる大地震国ニッポン」 (拙稿 2014/9/8)
http://www.asyura2.com/14/genpatu40/msg/246.html
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