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「福島県飯舘村 “子ども5人に57億円”の仰天施設に村民の怒り」 (女性自身 2016/10/15)
http://jisin.jp/serial/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84/disaster/25967
「すぐに戻る人はほとんどいねぇ。汚染物が入った黒い袋を見たら、戻りたくなるから」(60代・男性)
「避難指示が解除されたら、90歳の母だけ村に戻るんだ。高齢者は、住み慣れた土地がいちばんいいからね。その孫にあたる息子は、放射能のことが心配だから戻らないって。私も戻りませんが避難先と村を行ったり来たりしないと」(60代・女性)
原発事故の影響を受け、全村避難中の福島県飯舘村。来年3月で避難指示が解除されるが、村民の声を聞くと解除後も、帰村には高いハードルがあるように見える。そんな飯舘村で、12年ぶりとなる村長選挙が10月16日に行われる。飯舘村の人口は約6千人。福島第一原発から約60キロメートル離れているが、事故後たくさんの放射能が降り注ぎ、村は高濃度に汚染された。にもかかわらず避難指示が遅れ、村民は無用な被ばくをさせられたことで注目を集めた。現職で5期目の菅野典雄村長(69)は、この12年間、無投票当選を重ねている。対立候補が立たなかったからだ。原発事故前は、“までいライフ”(手間ひまを惜しまない生活)を掲げ、村民参加型の村づくりを行ってきた菅野村長。村民の信頼も厚かった。
「どんな人でも5期20年も村長を務めたらダメ。村民の声に耳を傾けなくなるから」
と、ある村民が話すように、原発事故後の5年間は、「復興」に邁進するあまり、今年8月には、約8億5千万円も復興関連予算をつぎ込んで、村に公民館を新設。“ハコモノ政治”と批判を呼んだ。9月にもその“ハコモノ政治”に拍車をかけるような驚くべき事実が明らかになった。 '18年4月から、村内で0歳〜15歳までの一環教育を開始するために、幼保一体型「認定こども園」を新設するというのだ。それを含めたスポーツ公園など周辺教育施設の予算総額は、57億円。費用は国に要求するという。
「お金をかけても、その施設が子どものためになればいいが、放射能の不安がある場所に、子供を連れて戻れません。そういう考えの親が多いと施設もムダになってしまいます」
こう話すのは、飯舘村から福島市に避難中の山口桂子さん(仮名・40代)。
村が昨年末に実施した保護者アンケートでは、村内で再開する学校に子供を通わせる意思を示したのはわずか64人。うち、「こども園」への入園年齢に該当するのは、たった5人。しかし、村が建設する予定の「こども園」の収容人数は139人。定員充足率はたったの3%だ。こうした“ハコモノ政治”に待ったをかけようと立ち上がったのが、飯舘村の村議会議員を6期23年間務めた佐藤八郎氏(64)だ。
「年間被ばく量が、一般公衆の限度とされる年間1ミリシーベルト以下になるまで避難指示を解除すべきではありません。子供については、一貫教育はいいが、村に戻すなんて論外です。まずは、生活保障と医療費の無償化を求めていくべき。すべてにおいて村民の声を聞いてそれを生かす村づくりが必要です」
現在、飯舘村では、国の直轄で除染が進められているが、先日、記者が測定すると、地上1メートルで、原発事故前の約30倍に値する毎時1マイクロシーベルト近くあるところも少なくなかった。加えて、飯舘村には現在、除染で出た土や枝などが入った黒い“フレコンバッグ”が約230万個あり、中間貯蔵施設に運び出されるまでに30年かかるとも言われている。
「村がいくら総額57億円をかけて立派な教育施設をつくっても、村に戻って子供を通わせようと言う人は、私のまわりではいません。私も、自分の子供は通わせません」
そう話すのは、飯舘村から福島市に避難中の北村昌也さん(仮名・40代)。
飯舘村には幼稚園がふたつ、小学校が3つ、中学校がひとつあったが、原発事故後は、福島市と川俣町の仮設校舎に分かれて授業を行ってきた。北村さんは現在、小学生の子を川俣町の仮設校舎に通わせているが、村で学校が再開されたら転校させると話す。
「卒業まであと一年だからと、割り切って通わせる保護者はいますが、実際は64人も戻らないでしょうね。やっぱり健康被害が心配ですから」
こう話すのは、前出の山口さん。
「57億円も使えるなら、飯舘村と比べて放射線量が低い川俣町の近くに学校を建てるなどしてほしかった」ともらす。
別の村民は、「帰村したくないと言っている子供を戻すために57億円も使うなら、ひとりで村に戻ることを不安に感じている高齢者が安心して暮らせる集合住宅を建ててほしい」と打ち明けた。村の発表によれば、こども園をはじめとした教育関連施設の維持経費は、年間約2千500万円。いずれ、村の財政を圧迫することになるのでは――。村民が抱く不安や不満について菅野村長を直撃した。
「金額が一人歩きしていますが、もともと村内にあった幼稚園や学校を取り壊して一カ所に集約するので、そこで浮いた維持経費を回します。そもそも、一貫校にするというのは保護者の希望。私が勝手に決めたのではなく、保護者も参加する委員会で、何度も話し合って決めたことです」
菅野村長の説明によると、新設するのは「こども園」だけで、57億円の中には築30〜40年の老朽化した校舎の改築費用、環境省では予算が付かないコンクリートの除染費用などが含まれるという。
「懸命な除染が続いていますから見て行ってください」
村長はそう言うと、窓の外を指さした。
しかし、記者が事前に、除染の責任者の男性に「放射線量は下がりますか?」と尋ねたところ、「下がらないよ! 飯舘村には、(除染でここまで下げるという)目標の数値はないから」という心もとない答えが返ってきた。
「年々、戻りたいという子供が減っていることはたしか。保護者の意見を聞き入れて、あと3〜5年、学校の再開を伸ばしたら、子供は戻ってこなくなります。村民よりも、村が大事なんだろうと言われるが、村のことも村民のことも考えるのがリーダーの役目。村民の言うことだけを聞いていたら、前に進まないし、村は寂れていくばかりです」
村長は、そう述べたうえで、「もし健康被害が起きたら、黙っていません。でも、多くの専門家が、今のところは、放射能の影響は考えられないと言っている」と結んだ。
村長選対抗馬の佐藤氏は、
「国が避難指示解除を急ぐのは、賠償を打ち切って、安く早く原発事故を終わらせたいから。私たちは被害者なのに、なぜ加害者が決めたことに従わないといけないのか。私が村長になったら、村民の声を聞き、国や東電と交渉していく」と反論する。
村で「ゑびす庵」という食堂を長年営んできた高橋義治さん・ちよ子さん夫妻は「帰村派」だ。それでも今の村のあり方に不満を述べる。
「立派な公民館を作ってくれたのはありがたいが、年寄りには使いにくい。それより、地区にひとつでもいいから、食品の放射能測定器を置いてほしい」
震災後に被災地で進む“ハコモノ偏重”と“住民不在の政治”にストップがかけられるのは、村民の一票だ。選挙の行方を見守りたい。
取材・文/和田秀子
----------(引用ここまで)--------------------
どこの国の政治家・役人も愚劣で救いようがありません。
チェルノブイリでも全く同じことが起きています。
「チェルノブイリの犯罪 上巻」 (ヴラディミール・チェルトコフ著 緑風出版 p.64)
------(引用ここから)--------
ザッヘイ
事故後ただちにムラには、新たな学校や幼稚園を建設することが決定されました。さらに少し
行ったところには公共浴場や洗濯場など、その他の施設も建設されました。
この地区にある他の村落やポレスコエ市でも同じことが実行されています。バカバカしい。
190人用の真新しい大きな小学校を建てたのですよ。この村には小学生は50人程度しか残っていないのに。
幼稚園は50人向けにつくられました。でも村には幼稚園児は12人も残っていません。
なぜこのような決断が下されるのか問い合わせてみました。すると<前向きに>考えなければいけない
というのが、地元の役人の答えでした。
広い視野を持てと。ポレスコエ市に多くの施設が建てられたのも、二つ目の小学校をまるまる
建て直したのももちろん前向きに考えるためです。
市民を避難させる決定が下っているのにですよ。子供たちはいなくなるんです。住民も。
それなのに建設は続行されているんです。屋内プールを三つも備えた競技場を完全に建て直す
決定もなされました。底なしに資本が投資されているんです。その理由はただひとつ。
「ここは安全だ、ここに住み続けることは可能だ」と住民にアピールするためです。(以下略)
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どんな豪華な施設を造って釣ろうとしても、とても人間が健康に住める環境ではなく、
避難民もそれを良くわかっているのですから、絶対に誰も戻ってきません。
こんな金があるのなら、経済的に困窮している何万人もの避難民を救済すべきでしょう。
(関連情報)
「除染もむなしく放棄されたウクライナ・ポレスコエ市が予言する福島の未来」
(拙稿 2014/8/12)
http://www.asyura2.com/14/genpatu39/msg/700.html
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