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福島原発 東電とゼネコン「鹿島」が主導の「凍らぬ『凍土壁』」責任は? 国費350億円。税金にツケ回し。「直接の責任は経済産業省」との識者の指摘も(東京新聞)
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2016-08-28 22:08:36 一般社団法人環境金融研究機構
福島第一原発の凍土遮水壁(凍土壁)について、東京電力は7月の原子力規制委員会の検討会で、完全な凍結が困難との見解を示した。当初から成否が疑問視されていたが、地下水を遮る効果が見られず、専門家からは「破綻」との指摘がある。凍土壁にはこれまで約350億円が費やされ、国費負担。原子は税金だ。責任の所在が問われている。(木村留美)
「(凍土壁の)遮水能力が高いという主張はほとんど破綻している」
18日に開かれた原子力規制委の検討会で、メンバーの有識者から批判の声が上がった。汚染水対策として福島第一原発の1~4号機を囲むように地中を凍らせる凍土壁。事故で損傷した建屋に流れ込む地下水などが汚染水を増やし、貯蔵用タンクも増え続ける一方だったため、政府は2013年9月、地下水流入を防ぐために設置を決めた。
3月末から凍結が始まったが、いまも1%が凍らない。1%といっても総延長1.5km、高さ25~30mの凍土壁故、巨大な抜け穴になる。地下水は山側から流入し、海側に抜けるが、海側(建屋東側)付近で汲み上げている1日あたりの水量は7月も約350d。これは事業開始当時とほぼ変わっていない。
東電側はなお凍結していない主要な3か所について追加工事を施すことで「しっかり閉められれば、流入量は下がる。破綻していない」と反論している。
だが、東電は先月19日の同会合で、こんな発言もしている。「100%凍らせる、100%水が通らないような状況をつくることを考えているわけではない」。では、どんな状況を想定しているかというと、汲み上げ水量の目標値で1日70d。現状はそれにも遠く及ばない。
世界でも例のない大規模な工事となった凍土壁は、大手ゼネコン鹿島が提案し、東電とともに施工した。計画当初から、全てが凍って壁になるのかなど、実現が疑問視されながらも、汚染水対策の切り札として14年に着工した。東電側は当時「技術的な問題は何もない」と断言していた。
事業費は当初320億円と見積もられていたが、度重なる追加工事で今年3月までに345億円まで膨張。4月以降も追加工事は発生し、完成までの総額は見通せない。ゼネコン側に流れるばかりだ。
政府による東電支援は、現時点で原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じた無利子での貸与総額が約7兆6000億円。これに含まれない、国が実質的に負担する除染費もある。それらに加えて、凍土壁の費用も国が直接、負担している。
貸与の返済の原資は電気料金で、国の負担分は税金と、ツケは国民に回る。天井が見えない事故の収束費用だが、凍土壁の失敗は誰が責任を負うのか。
原子力規制委の田中俊一委員長は、24日の定例記者会見で「国費が出て経済産業省が所掌だが、東電が責任を持つのが基本だ。汚染水問題について、自ら判断する姿勢が欠けている」と発言している。
しかし、慶応大学の金子勝教授(財政学)は「東電は事実上国有化されており、政府に逆らえない立場。凍土壁の決定も含め、政府は東電を矢面に立たせ、あらゆる責任を押し付けている面がある」と指摘する。
「国費を投入している以上、直接の責任は経産省。安倍政権の下、最初から難しいと分かっていた凍土壁の建設を、誰がどうやって決定したのか。責任の所在を明らかにするべきだ」
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