http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/880.html
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原子力は、中流(原子力発電)と下流(核廃棄物処理)ばかりが話題になるが、
実は、上流のウラン採鉱・精錬も大変な問題を抱えている。
まずはこちらを見ていただきたい。
「『少しの燃料で大きなパワー』というけれど ーちいさなウラン燃料が出来るまでー」
(よくわかる原子力)
http://www.nuketext.org/uranium.html
「劣化ウラン及び劣化ウラン兵器」 (同)
http://www.nuketext.org/du.html
「通の大きさの原発(100万kW時)を一年間運転するのに必要なウラン燃料は30トンです。
燃料ペレットは燃えるウラン(核分裂を起こしてエネルギーを出すウラン)であるウラン235、
約3%と燃えない(核分裂しない)ウラン238、約97%からなっています。
天然のウラン鉱石中の、ウラン235とウラン238の割合は0.7%と99.3%です。
そのため燃料ペレットを作るには、ウラン235の濃度を高くしなければなりません。
これを濃縮といいます。
30トンの燃料を作るために、ウラン残土が約240万トン、鉱滓(低レベル放射性廃棄物)が
13万トンでると計算されています(劣化ウラン弾の項参照)。 」
何と30トンのウラン燃料を作るのに、ウラン残土・鉱滓が253万トン、実に8万倍以上出るのだ。
わずか1グラムの燃料を得るのに80キロも掘り出さなくてはならない。
とんでもない効率の悪さである。
しかも残土・鉱滓は放射能を帯びており全く利用価値がないから、ボタ山にして積み上げておくしかない。
ここで、ヨアヒム・チルナー監督の映画「イエロー・ケーキ」(ダイジェスト版)を見て欲しい。
(イエロー・ケーキは酸化ウランの粉末で、これから原子炉用のウラン燃料を作られる)
「イエロー・ケーキ クリーンなエネルギーという嘘」
(YouTube LunaticEclipRokkasyo 13分半)
https://www.youtube.com/watch?v=3mnFS0XXsa4
この映像は旧東ドイツ南部ヴィスムート社のウラン鉱山のもので、現在は採掘を止め、
廃棄物処理場になっている。
巨大なボタ山の急斜面を後ろ向きに登るブルドーザーに圧倒される。
こんな大きなボタ山が何と1000以上あるという。
気絶しそうな莫大な量であるが、必要な燃料の8万倍もの量を採掘しなければならない
非効率を知れば納得がいく。
輸送のため巨大なダンプカーが何十台も行き来しており、ガソリンも大量に消費されている。
莫大な量のウラン残土はウラン鉱山共通の問題である。
残土にはウランだけでなくトリウム、ラジウムなどの放射性物質も含まれており非常に危険だ。
風に吹かれたり、川に流れ込み環境汚染が広がる。
ウラン鉱山周辺のまわりは、どこでも弱い立場の貧しい住民、とくに先住民が住んでおり、
その健康被害は深刻である。
日本でも岡山県人形峠に大量のウラン残土が放置されて汚染を引き起こしているのは御存知の通り。
人形峠付近には、「入っちゃならん 掘っちゃならん いじくったりしたら祟りがある」という先祖からの
言い伝えがあるが、世界のウラン鉱山周辺にも同様の戒めが残っているそうだ。
おそらくウラン鉱石を掘り出してひどい被ばく被害が出て、それを祟りだと思ったのだろう。
先祖からの言い伝えを迷信だと馬鹿にしてはいけない。
のちのち科学的に裏づけられ正しかったことが証明されることがままあるのだ。
地下にそのまま眠らせておけばよかったのに、わざわざ掘り出したからとんでもない
取り返しのつかない災禍が起きてしまった。
われわれは、まさにパンドラの匣を開けてしまったのだ。
いったい、これからこの莫大な量の放射性残土をどうするつもりか。
使用済み核燃料の最終処分とともに大変頭の痛い問題である。
原子力産業は次のような原子力のメリットを挙げるが、上流であるウラン鉱山の悲惨な状況からだけでも、
すべてデタラメであることがわかる。
(1) 原子力は場所を取らないコンパクトな資源である
ウラン燃料30トンが100万トン超の天然ガスや石油に匹敵するというが、採掘で240万トンもの膨大な残土を
出すのだから、とてもコンパクトだとは言えない。まやかしである。
(2) 原子力は二酸化炭素を放出しない
ウソである。採掘、精錬、運搬に石油を大量に使うので、莫大な量の二酸化炭素を排出している。
(3) 原子力により脱石油依存できる
石油がなくなればウラン採掘・精錬もできないから原発も止まる。脱石油依存にはならない。
また化石燃料にくらべウランの埋蔵量ははるかに乏しく、価格変動も大きく、全く頼りにならない。
世界中でより多くの原発を稼働し始めたら、あっという間に枯渇するだろう。
(4) 原子力はクリーンなエネルギーである
採掘で生じたボタ山は放射性物質を多く含み環境汚染を引き起こし、周辺住民に深刻な健康被害が
生じている。とてもクリーンとは言えない。
(5) 原子力はコストがかからない
上流だけ見ても、ボタ山の処理、無毒化、環境汚染防止対策費用など莫大な費用がかかるが、
それらは一切考慮されていない。全部を加算すれば、他のどの発電方式よりも高くなるだろう。
原子力の上流は日本にいてはよくわからない。
しかし原発を稼働することにより、ウラン鉱山による環境汚染を拡げ、周辺住民に深刻な健康被害を
引き起こしていることを片時も忘れてはならない。
(関連情報)
「映画「イエロー・ケーキ」のチルナー監督/原発リスク 負うのは社会/
世界のウラン採掘現場取材 被ばく実態など描く」 (阿修羅・gataro 2012/1/30)
http://www.asyura2.com/12/genpatu20/msg/590.html
「原発産業のモラルとお金の問題を挑発したかった」 (WebDice 2012/1/17)
http://www.webdice.jp/dice/detail/3390/
「”日本語を話すムシケラ”「使い捨て」にされた日本人とウラン鉱床と*人形峠から福島見れば
(ニックネーム:げんぱつ )」 (阿修羅・石井広国 2012/3/9)
http://www.asyura2.com/12/genpatu21/msg/682.html
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