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志賀原発1号機「活断層と解釈が合理的」規制委に報告書
朝日新聞デジタル 4月27日(水)11時21分配信
原子力規制委員会は27日、北陸電力志賀(しか)原発1号機(石川県)の原子炉建屋直下の断層について、「活断層と解釈するのが合理的」とした有識者会合の報告を受理した。規制委は「重要な知見」として扱う。新規制基準は活断層の上に重要施設の設置を認めていない。北陸電は活断層でないと主張しているが、結論を覆せなければ1号機は廃炉を迫られる。
有識者会合は規制委の石渡明委員と活断層に詳しい外部専門家4人からなる。別の専門家の検証も踏まえて、「活断層の可能性は否定できない」とした昨夏の報告書案の表現を修正して結論をまとめた。活断層かどうかは、規制委が新基準に基づく審査の場で最終的に判断する。原子炉建屋直下の活断層の可能性を認める報告が受理されたのは、日本原子力発電敦賀2号機(福井県)に次いで2例目。
有識者会合で焦点になったのは、敷地内を通る8本の断層のうち3本。1号機の原子炉建屋直下の「S―1」断層は、建設時の詳細な地層のスケッチなどから活断層と解釈するのが合理的と判断した。1、2号機の冷却用配管など重要施設の直下を横切る「S―2」「S―6」も活断層の可能性を指摘した。1号機は結論を覆せなければ新基準に適合せず、再稼働できない。2号機も大規模な耐震工事などが必要となる。
北陸電は「事実誤認がある」などとして否定しており、すでに再稼働に向けた審査を申請している2号機の審査の場で争う考え。1号機も申請をめざすという。規制委は、敷地内のボーリング調査や周辺の断層の調査など追加データの提出を求め、最終的に判断する。(北林晃治)
■敦賀原発2号機、活断層と結論
一方、日本原子力発電の敦賀原発2号機について有識者会合は、2013年5月に原子炉建屋直下の断層を活断層と結論づけた。日本原電は追加調査を行い、再評価を求めたが、15年3月、「活断層の可能性がある」と改めて認定した有識者会合の報告書を、規制委が受理した。日本原電は同年11月に活断層ではないとして2号機の再稼働を目指して規制委に審査を申請。審査が続いている。
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《志賀原発》 北陸電力唯一の原発。福島第一と同じ沸騰水型炉の1号機(出力54万キロワット、運転開始1993年)と改良型沸騰水型炉の2号機(120万6千キロワット、同2006年)の2基ある。06年に営業運転中の原発として初めて、耐震性をめぐり、2号機の運転差し止めを命じる判決が金沢地裁で出たが、上級審で差し止めを求めた原告側の敗訴が確定した。
朝日新聞社
最終更新:4月27日(水)13時19分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160427-00000021-asahi-soci
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志賀原発1号機の断層「動く可能性否定できず」
4月27日 17時27分
石川県にある志賀原子力発電所1号機の下を通る断層について、原子力規制委員会の専門家会合は「将来動く可能性は否定できない」とする評価書を規制委員会に報告しました。結論が覆らないかぎり1号機は再稼働できず、廃炉になる可能性があり、今後、北陸電力の申請を受けて行われる再稼働に必要な審査での議論が焦点になります。
志賀原発1号機の下を通る断層を巡っては、北陸電力が「活動性はない」と主張していますが、規制委員会の専門家会合は去年7月に続き、先月も「将来動く可能性は否定できない」という見解をまとめ、27日に正式な評価書として規制委員会に報告しました。
評価書では、この断層の1号機の周辺部分について「12万年から13万年前の後期更新世以降に活動したと解釈するのが合理的と判断する」としています。
一方で、今回の評価が建設当時の断層のスケッチなど限られたデータに基づいていて、断層の延長線上にある1号機の南東側の調査では後期更新世以降の活動の形跡は見られないことから、より正確な評価をするにはさらに詳しい分析やデータが必要だとも指摘しています。
新しい規制基準では将来動く可能性のある断層の上に原子炉建屋など重要な施設の設置を認めておらず、結論が覆らないかぎり1号機は再稼働できず、廃炉になる可能性があります。
北陸電力は今後、1号機の再稼働に必要な審査を申請する方針で、この審査で新たに出されるデータや議論が焦点になります。
一方、1号機と2号機の原子炉につながる冷却用の配管の下にある別の断層については「将来地盤を変形させる可能性がある」としており、設備の移設や補強など大がかりな変更が必要になる可能性があります。
最大の根拠は地層のスケッチ
志賀原発1号機の下を走る「S−1」と呼ばれる断層について、専門家会合が「活動性が否定できない」とした最大の根拠は、建設当時、原子炉建屋のすぐ脇を掘って現れた地層のスケッチでした。地下の岩盤にはっきりとした亀裂があり、これを境に段差が出来ています。北陸電力は浸食によるものだと主張しましたが、専門家会合は、スケッチに書かれた周辺の地層の状態などから、12万年から13万年前の後期更新世以降に変位した可能性が否定できない、つまり「将来動く可能性が否定できない」としています。
しかし、スケッチに書かれた場所は地表付近がすでに工事で削られて、今、地層を観察することはできません。新たに行われた1号機周辺の調査では、スケッチで書かれた断層の活動性と整合するデータもありましたが、断層の南東方向の延長線上では活動の形跡はなく、スケッチ以上に決定的なデータは得られていません。このため評価書では「評価は限られた資料やデータに基づいて行われている」として、この断層の1号機の周辺部分の評価についても「後期更新世以降に活動したと解釈するのが合理的と判断する」として、現時点の解釈だという表現にしています。そのうえで、建設当時に得られた別のスケッチや写真、断層部分に含まれる鉱物のより詳しい分析など、より正確な評価をするにはさらなるデータが必要だと指摘しています。
現在、志賀原発について、北陸電力は2号機の再稼働を目指して規制委員会の審査を受けていて、1号機についても今後審査を申請する方針で、この審査で1号機の下を通る断層の議論が続けられることになります。今のところ北陸電力は断層周辺の新たな写真やスケッチは見つかっていないとしていて、結論を覆すデータを示すのは難しいのが現状です。
今後は、北陸電力が「S−1」の活動性を否定する新たなデータを提出するかどうかや、審査会合で規制委員会がどのような判断を示すかが焦点になります。
規制委 委員長「現状データでは評価書尊重」
原子力規制委員会の田中俊一委員長は、「今後の審査でも、現状のままのデータだと、専門家会合の評価書が尊重されると思う」と述べ、新たなデータが示されないかぎり、結論は変わらないという見通しを示しました。そのうえで、「建設当時の新たな写真など6項目でデータの拡充を求めたが、北陸電力がそうしたデータをそろえるのは、てこずるかもしれない」と述べました。
北陸電力「審査でしっかりと主張」
北陸電力の金井豊社長は、今回の評価書について、「断層には活動性がないことをしっかりと説明してきたつもりだが、われわれの調査結果が十分に反映されなかった。今後の規制委員会の審査でもしっかりと主張を行い、それでも不十分であれば追加調査を実施することも考えたい」と話しています。
石川県と志賀町は
石川県の谷本知事は「今回の評価書は一つの手続きであり、志賀原発の安全性は原子力規制委員会で最終的に判断される。今後はデータを拡充したうえで、住民や電力会社も納得できるようなしっかりとした根拠を示して判断してほしい」と話しています。
志賀原発が立地する石川県志賀町の小泉町長は「今後の規制委員会の審査ではより正確に、確実な評価を行うためのデータが拡充され、科学的根拠に基づいた議論が行われると考えている。北陸電力はデータを丁寧に説明し、国も十分な議論を行い、住民の理解と納得が得られるよう説明責任をしっかりと果たしてほしい」とコメントしています。
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