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原発事故で病院から避難中死亡 東電に賠償命じる判決[NHK]
4月27日 13時31分
福島第一原発の事故で福島県大熊町の双葉病院から避難する最中に亡くなった2人の患者の遺族が起こした裁判で、東京地方裁判所は、東京電力に対して合わせておよそ3100万円を賠償するよう命じる判決を言い渡しました。
福島第一原発から4キロ余り離れた福島県大熊町の双葉病院では、原発事故で多くの入院患者が避難を余儀なくされ、その最中に亡くなった98歳と73歳の男性患者の遺族が東京電力に賠償を求める裁判を起こしました。
東京電力は責任の一部を認めたうえで、「2人が死亡した原因はほかにも考えられる」などとして、賠償の額を争っていました。
27日の判決で、東京地方裁判所の中吉徹郎裁判長は「2人は地震によって病院が停電したため低体温症に陥り、バスで避難する間に低体温症や持病などが悪化して死亡したと認められる」と指摘しました。
そのうえで、2人が死亡したのは原発事故のほか、地震や本人の持病の影響もあったとして、東京電力に対して2人の遺族に合わせておよそ3100万円を賠償するよう命じました。
双葉病院からの避難を巡っては、遺族が東京や福島、千葉の裁判所に訴えを起こしていて、一部は和解が成立していますが、判決が言い渡されるのは初めてです。
原告の1人で、亡くなった当時73歳の男性の義理の姉は「原発事故さえなければ、弟は今でも生きていられたはずで、助けてあげられなかったことが本当に悔しいです。判決は一つの区切りですが、寂しさはずっと消えません。弟の墓参りに行って、判決について報告したいです」と話しています。
東京電力は「判決の内容を確認したうえで引き続き真摯(しんし)に対応します」とコメントしています。
双葉病院の避難では死者相次ぐ
双葉病院は福島第一原発から南西に4キロ余りの場所にあり、原発事故の当時、330人余りが入院していました。
裁判の資料などによりますと、原発事故の翌日に10キロ圏内の住民に避難指示が出されたため、自分で歩くことのできる人など200人余りが避難しましたが、寝たきりの患者などが病院に残されました。
患者は事故の5日後までに自衛隊に救出されましたが、バスで長距離の避難を余儀なくされ、その最中に亡くなる人が相次ぎました。
福島県によりますと、避難を余儀なくされた双葉病院の入院患者と近くにある系列の介護施設の入所者のうち、事故の翌月までに亡くなった人は51人に上りました。
双葉病院の入院患者などが死亡したことを巡っては、東京電力の元会長など旧経営陣3人が、検察審査会の議決を受けて業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴されていて、今後、裁判で刑事責任が争われる見通しです。
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