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冷凍機のスイッチを押す福島・第一原発の小野所長(写真提供:東京電力)
凍土壁建設、被爆15ミリシーベルトとの闘い 多大な代償を伴い東電の汚染水対策が前進
http://toyokeizai.net/articles/-/112072
2016年04月02日 岡田 広行 :東洋経済 記者
東京電力・福島第一原子力発電所で3月31日、凍土方式の「陸側遮水壁」の凍結運転が始まった。今後、3段階に及ぶ凍結作業を経て原子炉建屋を凍った土で囲うことにより、原子炉建屋への地下水の流入量を現在の日量500〜600トンレベルから、最終的には70トン程度に減らすことができると東電は見込んでいる。
31日午前11時20分に、30台ある冷凍機のうち第1号機のスイッチを福島第一の小野明所長が押すと、関係者から拍手が起こった。東電が汚染水削減のための抜本対策と目してきた設備が当初の計画よりも1年遅れてようやく稼働にこぎつけた瞬間だった。
大手ゼネコンの鹿島が施工した陸側遮水壁の総延長は約1.5キロメートル。1568本もの配管を地下25〜30メートルの深さまで打ち込み、配管内に零下30度の冷却材を流す。総工費は350億円近くにのぼり、経済産業省の「実証事業」として国の予算が投じられた。
■凍土壁の効果を原子力規制委員会は疑問視
原子炉建屋内の汚染水の水位が周辺の地下水の水位よりも高くなって建屋の外に汚染水があふれ出すことを防ぐため、当初は下流部分の海側全面を凍らす一方で、上流の山側は半分程度の凍結にとどめる。その後は水位のコントロールができていることを確認したうえで、山側の凍結を95%まで進めていく。ただ、原子力規制委員会による認可は現時点ではここまでで、陸側遮水壁を完全に閉じるまでの手順についての認可は得られていない。
凍土壁の効果についても見方が分かれている。東電や経済産業省が地下水流入量抑制に大きな効果を期待しているのに対して、原子力規制委員会の田中俊一委員長は「汚染水問題の本質的な解決にはつながらない」との見方を示している。また、凍土壁は地下鉄工事などで用いられてきたものの、今回のような巨大な規模かつ長期にわたる運用実績はないため、効果の発現に未知の部分もある。
2年以上にわたる凍土壁の建設に際しては、延べ27万4000人・日(1日平均約520人)という膨大なマンパワーが投入された。東電や鹿島では作業に伴う放射線被曝を抑えるために、作業箇所の除染や遮蔽、作業時間の短縮などの対策を徹底してきたという。それでも被曝量が大きな値になったことが判明した。
夜を徹しての冷却材の充填作業(写真提供:東京電力)
3月31日の記者会見での鹿島の浅村忠文・福島第一凍土遮水壁工事事務所現場代理人の説明によれば、施工に従事した作業員は約2200人。従事した期間はさまざまだが、1人当たりの平均被ばく量は15.3ミリシーベルトだったという。
法律で定められた被ばく線量の限度は年間50ミリシーベルト、5年間では合計100ミリシーベルトだが、鹿島が管理目標とする年間38ミリシーベルトに達したことで2年間に21人が作業現場からの離脱を余儀なくされた。この中には、放射線管理が適切さを欠いたことで、2年間累計で66ミリシーベルトの被ばくをした作業員もいた。
福島第一では現在の作業員1人当たりの年平均被曝線量は約6ミリシーベルト前後。単純な比較はできないとはいえ、原子炉建屋近くでの凍土壁の建設工事がいかに被曝リスクを伴うものであったかがわかる。
■途方もない年月がかかる廃炉作業
汚染水の発生抑制に一定のメドを付けるとともに、福島第一では今後、使用済み燃料プールからの燃料の取り出し、「燃料デブリ」と呼ばれるメルトダウン(炉心溶融)した燃料の位置や性状の確認など、「廃炉に向けた作業の核心に入っていく」(東電の増田尚宏・常務執行役福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデント)。その際、「被曝との闘いになる」と増田氏は説明する。
被曝量を抑えつつ作業員を確保するためにも、東電では元請け企業に対して複数年の業務量を保証することで、作業員ごとに高線量下での作業とそうでない作業を組み合わせるなどの対策を講じるように働きかけているともいう。構内でのコンビニエンスストアの開店やシャワー室の設置、全面マスク装着エリアの縮小など、職場環境の改善も進みつつある。
ただ、「廃炉作業を山に例えると1合目は何とか越えられたかなというところ」(2月3日の小野所長インタビュー)。40年ともそれ以上とも言われる廃炉作業の行く手には難題が待ち構えている。
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