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[ビジネスTODAY]関電、5月値下げ撤回
高浜3、4号機運転差し止め 自由化対策に打撃
関西電力は11日、5月からの電気料金引き下げを見送ると発表した。高浜原子力発電所3、4号機(福井県)の運転差し止めを認めた大津地裁の仮処分決定を受け、原発再稼働を前提とする発電コスト削減ができなくなったためだ。2月下旬の値下げ表明からわずか2週間での撤回。4月からの電力小売り全面自由化を控え、経営再建の筋書きは崩れた。
「再稼働を見通せず、5月からの値下げ見送りを決めた。ご迷惑をおかけして申し訳ない」。11日、大阪市内にある関電本社で記者会見した岩根茂樹副社長は厳しい表情でこう話した。同時に2016年3月期の無配も発表。無配は13年3月期から4期連続となる。
高浜3、4号機が再稼働すれば、火力発電の燃料費が減り、営業利益の押し上げ効果は年間1千億円を超える。関電は発電コストの削減分を原資に電気料金を下げ、割安な価格で参入する新電力に対抗するという戦略を描いていた。
競争力が低下
値下げ撤回は競争力の低下に直結する。岩根副社長も「値下げできないことで非常に厳しい状況になる」と認める。
東日本大震災以降の原発の長期停止で代替の火力燃料費が膨らみ、関電は13年と15年に料金を引き上げた。家庭料金の上げ幅は合計18%、企業や自治体など大口需要家では28%に達する。すでに自由化している大口需要家向けでは電力販売量に占める新電力の割合が1割を超え、今も流出が止まらない。
4月以降は家庭向けでも同じことが起きかねない。4月の一般家庭向け電気料金は7698円。全国で最も高い水準にある。「5月から値下げを準備しています」と記したチラシを配り、新電力への変更を迷う「離脱予備軍」を引き留める営業を続けてきた。それも実現不可能になった。
原発の再稼働に待ったがかかり、業績の先行きを見通すことも難しくなった。関電の16年3月期の連結最終損益は値上げと原油安の効果で1500億円の黒字と5期ぶりに黒字転換する見通し。岩根副社長は「今期の業績予想は今のところ修正しないが、来期は現時点で何ともいえない」と含みを持たせる。
高浜3、4号機を動かせなければ、1日当たり3億円の損失が出続けることになる。値下げの延期で家庭の契約流出が増えれば、収入面でも厳しくなる。
関電が5月からの値下げを公表したのは2月26日、記者会見で八木誠社長が表明した。高浜3号機が試運転から営業運転に移行し、4号機が原子炉を起動した日だ。この時点で大津地裁の審尋は終わり、3月に決定が出るといわれていた。「多分大丈夫でしょう」。複数の関電幹部はみな、楽観論を口にしていた。
「信頼がた落ち」
それから12日後の3月9日、事態は一変する。大津地裁の決定が出た午後3時半すぎから、関電本社は一気に騒がしくなる。「どうなっているんですか」。携帯電話で連絡を取り合う中堅の社員は「全く想定外。1年前に戻ってしまった」と落胆を隠せないでいた。
関電の森詳介会長が事態の急転を知ったのはインドネシアのスカルノ・ハッタ空港。関西経済連合会会長として、インドネシアと台湾を訪問する旅の途中だった。差し止めの一報に「えっ」という表情を浮かべたまま言葉を失った。日程を切り上げ、10日に急きょ帰国した。
「大津地裁の決定後に値下げの是非を判断すればよかった。信頼はがた落ちだ」。関電の有力OBは現経営陣の見通しの甘さをこう評する。全国で最も高い料金水準への危機感が焦りとなり、見切り発車の値下げ表明につながった。電力大競争時代は20日後に幕を開ける。関電の難局は終わらない。
(鈴木大祐、越川智瑛)
[日経新聞3月12日朝刊P.11]
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