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5年前の福島第一原発 (c)朝日新聞社
「半殺しにされている」除染4割なのに次々と避難指示を解除する国〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160310-00000000-sasahi-soci
週刊朝日 2016年3月18日号より抜粋
まもなく東日本大震災から丸5年が経つが、避難生活を続ける福島県民はまだ10万人近くいる。国は昨年9月、楢葉町の避難指示を解除したのに続き、南相馬市の一部の解除を目指すなど、粛々と手続きを進める。だが、住民から「解除はまだ早い」と批判が相次いでいる。
来年3月までの帰村を目指す飯舘村でも住民から不満の声が聞こえてくる。
飯舘村では、村の半分にあたる3千人を超える住民が、原発事故で生活基盤を破壊されたとして賠償の増額を原子力損害賠償紛争解決センターに求めている。その「飯舘村民救済申立団」の団長を務める長谷川健一氏が言う。
「村の除染は計画全体から見ればまだ4割程度しか終わらず、空間線量も高い。それなのに避難指示を解除しようとしています。現在、避難先の福島市や川俣町の仮設校舎に通っている子供たちも、来年4月から飯舘村の学校に戻すという。帰村しない子らにはスクールバスで送迎するというからあきれています。村は子供の健康をどう考えているのでしょうか」
長谷川氏は「避難指示区域解除ありきで進んでいる」と国や村の動きに危機感を募らせる。
実際のところ、5年の歳月を経て放射能汚染はどこまで改善されたのか。
避難指示区域の一つに当たる特定避難勧奨地点の解除を巡り、国を相手取り裁判を起こした「南相馬・避難勧奨地域の会」の小澤洋一氏(60)はこう言う。
「空間線量は原発事故直後より下がったものの、ひどい汚染はまだある。除染が終わった小高区の民家の庭の土や石を測定したところ、1平方メートル当たり2千万ベクレル近い放射能が検出されました。農地の土も汚染されているので、農作物や、畑仕事をする人の被曝も心配です」
汚染とは、放射性物質がモノや食べ物などに付着している状態を指す。原発事故前の土や石などの汚染は1平方メートルあたり千ベクレル程度だった。原子炉建屋の水素爆発による放射能雲が飛ばなかった地域では、いまでもこの水準だ。つまり、福島はいまでもその2万倍も汚染されている場所があることになる。
食の汚染に関しても同様だ。日本では口に入れる物の基準値は、1キログラム当たり食品100ベクレル、乳児用食品50ベクレル、牛乳50ベクレル、飲料水10ベクレルだ。
全量検査をしている福島の15年のコメからは、この基準を上回ったものは出ていない。しかし、1月には本宮市で採取されたフキノトウから110ベクレルが検出され、県は出荷自粛を要請した。昨年9月には福島、伊達、桑折、国見の4市町のあんぽ柿や干し柿から最高値では270ベクレルが検出された。さらに昨年12月に福島県が実施した自家消費野菜などの検査では、全体の6%を超える376検体から50ベクレルを超える放射性セシウムが検出された。基準値以下の数値だが、県は「精密検査をすれば100ベクレルを超えている可能性もある」という。
風評被害は起こしてはいけないが、地元に配慮するあまり、こうした放射能汚染の実態はあまり報道されなくなった。住民からはこんな不安が漏れる。
「食べ物、水だけでなく土なども細かく測定し、ここは安全、ここは危険とすれば自分で判断できる。住民を戻すならそれくらいはしてほしい。でも現状は、空間線量が下がったから何もかも『安心』と言われるので、かえって不安になるのは当たり前です」
町や村に戻りたくない一方、長引く避難先での仮設住宅暮らしに苦痛を感じる人たちも大勢いる。
南相馬市原町区の仮設に入居する林マキ子さん(67)は、市内の特定避難勧奨地点にある大谷(おおがい)地区から避難してきた。
「仮設は壁が薄く、隣家にも気を使わなくてはいけない。ここでの生活はもう疲れました。でも、大谷の家は特定避難勧奨地点はすでに解除されているとはいえ、何より被曝生活は嫌なので帰りたくありません。とはいえ年金生活の身にとって、仮設と家で二重の光熱費支払いをしなくてはいけないことは家計を圧迫します。東電からの補償も不十分。これではまるで半殺しにされているようです」
林さんは仮設住宅の自治会長をしながら、4畳半2部屋で40代の息子と20代の孫との3人暮らしを続ける。だが、家財道具が溢れて部屋が狭いことから、息子だけ夜は大谷の家に寝に帰るという。
避難指示が解除されれば、住民への精神的賠償や住宅支援もいずれ打ち切られる。となると、生活苦に陥る住民も増え、家に帰りたくなくても戻らざるを得ない人が出てくるだろう。
復興が名ばかりにならないため、国は慎重に避難指示の解除を進めるべきだ。(ジャーナリスト・桐島 瞬)
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