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「目に見える形で廃炉の進展を示せた」と語る増田氏
<福島第1>汚染水 希釈し海洋放出も
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201603/20160304_63011.html
2016年03月04日 河北新報
東京電力福島第1原発事故から5年を前に、東電福島第1廃炉推進カンパニーの増田尚宏最高責任者(CEO)は河北新報社の取材に答えた。課題となるトリチウムを含んだ汚染水の処理について「希釈して海洋放出することも選択肢の一つ」と説明。その上で「風評被害の問題もある。科学的な観点だけでなく、地元の皆さんと議論して進めていく」と強調した。(聞き手は福島総局・大友庸一)
−汚染水対策はこのところ大きく前進した。
「事故後の3年間は、野戦病院で火の粉を振り払いながら仕事をしているような状況だった。昨年は海側トレンチ(配管)からの汚染水抜き取りが完了。(建屋への地下水流入を減らす)サブドレンが稼働するなど、少しは前を向いて仕事ができるようになった」
「設備面での進展もかなりあった。大型休憩所が完成し、温かい食事を提供できるようになった。全面マスクを使用しなくていいエリアも広がり、『普通の現場』に近づいている」
−使用済み燃料取り出し準備や溶融燃料の状態を把握する作業が本格化する。
「作業員の被ばくをいかに少なくするかが課題になる。原発リスクを下げるための廃炉だが、燃料取り出しなどで作業員のリスクが逆に上がることがある。対策を取るため、作業が遅れることを許容してもらう場面も出てくるかもしれない。溶融燃料に関しては、2016年度中に溶け落ちた場所を見極められれば、21年の取り出し開始は維持できると考える」
−1日7000人に上る作業員を今後も確保できるか。
「計画的に雇用してもらうため、元請けには数年先まで高線量と低線量の業務を組み合わせた作業内容を示している。少なくとも今後10年は1日6000〜7000人が必要。作業環境をさらに改善できれば、5割程度の地元雇用割合も上がっていくのではないか」
−多核種除去設備「ALPS」でも取り除けないトリチウムを含んだ水がタンクにたまり続けている。
「国のタスクフォースが3月中に出す処理案に基づき、新年度から国などと議論することになる。希釈して放出することも選択肢の一つであるとは認識している。科学的な点だけで決めるのは駄目で、地元の皆さんから意見を頂き、合意した上で仕事を進めたい」
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