トランプとプーチンが実は握っている可能性
トランプ大統領は貿易赤字と南シナ海を取引しかねない
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/230078/040700082/?P=1

（副島隆彦）今回のトランプ政権の獲得目標は、北朝鮮から核兵器を取り上げることだ。これだけを達成して、極東に安定と平和を維持できればいい。　私は、このキッシンジャーが決断して実行して、トランプ政権に教えている、この態度を支持する。

[天声人語：深代惇郎]
キッシンジャー流
『第二次世界大戦前夜』(岩波新書)を読むと、当時の英・独・ソ連の三極構造のなかで秘術をつくすヨーロッパ外交の手練手管が分かりやすく書かれている。主役はスターリンとヒトラーとチェンバレンだが、スターリンの深謀遠慮とヒトラーの大ばくちが独ソ不可侵条約を生み、誇り高い英国外交が「二百年来の大黒星」になるというのが著者の結論である。ドイツのファシズムのほこ先を、英国はソ連に向けさせようとし、ソ連はそれをかわそうとする。ヒトラーは東西の二正面作戦はなんとしても避けたい。その虚実の問に外交が展開される。「ルーマニアが侵略されたらどうするか」と英国がソ連に打診したり、ヒトラーがスターリンにサインを送ってポーランド占領に暗黙の了解を得ようとしたりする。

三十五年前の歴史を思い出したのは、十七日付英サンデータイムス紙の外交記事を読んだからだ。それによると、中国の�ｹ小平副首相は「中国はこれまで一度ならず米国から、ソ連の奇襲がありうるとの警告を受けた」と語ったそうだ。米ワシントン・ポスト紙も「米国は今年の春から夏にかけ、ソ連の中国攻撃が迫っていると中国に三回警告した」というニュースを出している。もしそうならば、米国の偵察衛星がソ連軍の動きをキャッチして中国に伝えたものだろうが、ごていねいに米国はソ連にも「中国にそう言いましたよ」と通告しているという。中ソ衝突を未然に防ぎながら、三極の中で主導権を離すまいという、いかにもキッシンジャー好みの外交に思えた。

街の焼き鳥屋にA君を誘って「B君は君をとばそうと考えているらしいな」と耳打ちする。つぎにB君とおでん屋で一杯やりながら「A君は君を恨んでいるよ」と、情報を流す。そういう情報操作によって、自分はその二人よりつねに優位を保つ。キッシンジャー流に、そんなサラリーマン風景を思い出した。
(昭和49年11月28日)