私は天木もこの副島も他の扇情的で私情を挟んだ記事の一切は、安易な対立軸から生まれた過剰な反応のみとみて、それらを幾らかき寄せて積み上げたところでなんのまとまりもみることはなく、まとめて海に捨ててもバクテリアの餌にもならないと思っている。 下記に載せているが、「GPIFは130兆円規模の資金運用のうち5%まで海外インフラに投資可能」 >>○ 運用体制の整備に伴い管理・運用されるオルタナティブ資産(インフラストラクチャー、プライベートエクイティ、不動産その他運用委員会の議を経て決定するもの)については、リスク・リターン特性に応じて、 国内債券、国内株式、外国債券、外国株式に区分し、資産全体の5%を上限と規定。 >>平成27年12月末現在、 オルタナティブ資産の 積立金全体に占める割合は、0.04% ということから、大体7兆円規模までの投資はもともとできるものとされている。しかしその7.28倍の投資額となる51兆円という額、これが国民からどう評価されるか。つまりそこから差し引き「44兆円が横流し金額」として問題視される部分ではないかということ。資金運用額全体の半分に迫る金が投資される事に関して世論がどう反応するかということになる。 ともかく政治と呼べるまともなものはこの国にはない。その前提で、国政とするものをハイリスクでスリリングな社交界の嗜みでもあるかのように取り扱って論じる人間が居る。のらりくらりとした男が評価される部分はこうした世界でのみであり、それはけして政治的に高度な事を成し遂げている訳でもなんでもない。単一的な方向にのみ、人々が蹂躙されてそれで良い訳はない。そこを何ら問題視する事無く、高度に政治的だとする論じ方でそれら一切を無視できるわけでもない。政治とはそんなものではない。だが、現時点でこの国はそうしたもののみに縋る他もないということになっているのである。 多分にこれにも疑義ありと過剰に反応して煽られるものがでても、しばらくすれば鎮火していく。 だとすると初めからもう少し冷静に先を見ていく必要がある。 ともかく、現状、金融も、政治もその他の生産企業活動全般、この国は壊滅的であることは間違いの無い事だ。 もはや年金積み立ての株式投資に拠る出鱈目は機能しないから他の道を探る他ないのであって、選挙に響くとする反発を避けて、水面下で進めておきたかったということだろう。 何も考えなしにしている事ではないとは言えるが、彼らにはもうこの様な手だてしかないのである。 ***↓***** 首相 インフラ投資などでアメリカに雇用生み出す | NHKニュース www3.nhk.or.jp/news/html/20170203/k10010863861000.html 2017年2月3日 ... 一方、GPIFの高橋理事長は公的年金の積立金の運用によるアメリカへのインフラ投資について、「インフラなどに投資する場合には欧米の先進国が中心であり、理屈のうえでは、結果としてアメリカのインフラへ向かうということもありうる」と ... ***↑上の記事はすでに消えている。そして↓****** http://kaigolab.com/column/20300 【追記:2017年2月5日】この報道に関して、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の煖エ則広理事長による否定のコメントが出されました(PDF)。ただ、この報道は、安倍首相によるコメントとして出た内容が記事にされたものであり、なにが事実なのか、現在のところ混乱しています。今後の動きに注目していく必要がありそうです。 私たちの年金が、アメリカのインフラに投資される? 日本の公的年金は、ただでさえ、将来の支払いが懸念されています。そんな公的年金のための資金を、アメリカのインフラに投資されるというニュースが入ってきました。本当に、大丈夫でしょうか。以下、日本経済新聞の記事(2017年2月2日)より、一部引用します。 政府が10日に米ワシントンで開く日米首脳会談で提案する経済協力の原案が1日、明らかになった。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が米国のインフラ事業に投資することなどを通じ、米で数十万人の雇用創出につなげる。対米投資などで米成長に貢献できる考えを伝え、トランプ政権との関係強化につなげる。(中略) 安倍晋三首相は1日の衆院予算委員会で日米首脳会談では「米産業界全体の生産性向上や競争力強化に貢献していくか、インフラ整備への協力も含め大きな枠組みで議論したい」と述べた。政府はトランプ氏が重視する米国内での雇用創出に力点を置く包括的な「日米成長雇用イニシアチブ」(仮称)の策定に着手した。(中略) インフラ分野では、米企業などがインフラ整備の資金調達のために発行する債券をGPIFが購入することが柱だ。GPIFは130兆円規模の資金運用のうち5%まで海外インフラに投資可能。現時点で数百億円にとどまっており拡大の余地が大きい。テキサス州やカリフォルニア州での高速鉄道の整備プロジェクトには国際協力銀行(JBIC)などを通じて長期融資する。 研究開発分野では医療や介護向けロボットの共同開発を目指す。米国ではインフラの老朽化が深刻。ロボットを活用して点検作業を効率化する。原子炉の廃炉に向けた共同研究も検討課題とする。(後略) 大騒ぎする前に、まずは、これが投資であるという認識が必要です。投資ですから、使うお金よりも、大きなリターンが返ってくれば、経済的には問題ありません。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)もプロの資産運用団体ですから、そうしたリターンの計算もしながら、プロジェクトを進めるはずです。 機会費用(opportunity cost)は正しく計算されているのか? ただ、どうしても気になるのは、この動きは、トランプの強硬な政治姿勢に対して、日本が屈したということを意味するのではないか、ということです。その場合は、リターンの計算において、経済合理性が最優先されず「政治的な意味」という、金銭では測定できない不明確なものが優先されてしまう可能性があります。 本来の投資であれば、機会費用(opportunity cost)が計算されます。ここで機会費用とは「特定の投資を選択した結果としてあきらめることになった、別の投資から得られたはずのリターン(利益)のうち、最大のもの」です。 ゲーム機を買ってしまったことで、英会話学校に通うための費用がなくなったとします。この場合、ゲーム機から得られる満足(リターン)を選択した結果として、英会話学校に通うことで得られた年収アップをあきらめた、ということになります。 このとき、英会話力向上による年収アップが、ゲーム機を購入することの機会費用になります(英会話力以上によい投資があれば、そちらが機会費用になります)。私たちは、人生の様々な場面で、特定の行動を選択することで、必ずなんらかの機会費用を支払っているということになります。 これから、様々なところで「どうしてアメリカのインフラ投資なんだ!」という声があがり、それに対して政府は「投資ですから、きちんとプラスになります」という回答をするでしょう。このとき、機会費用はどうなっているのか、それを分析したのか、その結果を公開してほしいという方向に議論が向かわないとなりません。 ニュースでは、医療や介護向けロボットの共同開発など、耳障りのよいことが述べられています。しかし、それと公的年金の投資は、別の問題です。まずは投資として成立するのか、そして、機会費用はどうなっているのかを確認しないとなりません。 国内の雇用創出の機会費用を計算する場合 今回のニュースは、アメリカでの雇用創出につながることが述べられています。雇用創出は、結果として、納税者を増やし、税収の増加にもつながります。政治的には、その政権の支持者も増やすことになります。トランプを勢いづかせることになるのです。日本企業としては、それによる不利益も増えるでしょう。 逆に、アメリカのインフラに投資されるお金を、国内のベンチャーに投資すれば、どうなるでしょう。納税者が増え、企業からの法人税も高まります。上場するベンチャーが増えてくれば、社会変革も加速できるでしょう。日本が元気になります。 こうした、直接投資の周辺で発生する間接的なリターンについても、機会費用の計算に入れないとなりません。もちろん、投資は分散しておかないと危険という面もありますから、外国に対して投資をすることが悪いというつもりはありません。ただ、社会福祉の倒壊を目前とした今の日本に、その余裕があるのかというと、疑問なのです。 日本は金持ちだと誤解されていますが、現実には、中流層が消滅し、もはや満足に子供ももてない社会なのです。そろそろ、日本の現実を理解し、できることとできないことを整理しないとならない時期にきているのではないでしょうか。 次は、日本に駐留しているアメリカ軍を引き上げると脅され、機会費用の計算されない投資をさせられるのではないかと、心配です。公開されていないだけで、実はすでに、そうした環境にあるのかもしれません。私たちは、本当に恐ろしい時代に生きています。 ※参考文献 ・日本経済新聞, 『公的年金、米インフラに投資 首脳会談で提案へ』, 2017年2月2日 ・酒井 穣, 『機会費用(Opportunity Cost)』, 2006年5月27日 ******↑ここまで↓そしてまたもうひとつの見方↓******** 日経新聞によると、GPIFが、JBICを通じてアメリカのインフラへ投資を行うということでした。しかし、それが「安倍首相の指示により、運用内容を変更する」という点は否定されました。 www.afpbb.com これは、GPIFからも正式なリリースが出ています。 http://www.gpif.go.jp/topics/2016/pdf/0202_news.pdf >>GPIF は、インフラ投資を含め、専ら被保険者の利益のため、年金積立金を長期的な観点 から運用して >>おり、今後とも、その方針に変わりはありません。 >>なお、政府からの指示によりその運用内容を変更することはありません。 しかし、GPIFの煖エ則広理事長は、米インフラ投資をやらない、とは言いませんでした。(確実にやる、とも言っていませんが。) +++ 年金をトランプに GPIF理事長が米インフラ投資否定せず | 日刊ゲンダイDIGITAL +++ 一方、GPIFの高橋則広理事長は「(積立金約140兆円のうち)7兆円前後は投資可能と考えている。米国のインフラに向かうこともあり得る」と対米投資を否定せず。 煖エ則広理事長はなぜこのようなことを言ったのでしょうか? GPIFで、元々どのような方針で運用が決まっていたのかを見て見ましょう。 これは、GPIFが正式な資料を公開しています。 >GPIFにおけるオルタナティブ資産への 投資手法の追加(LPSへの出資)について 厚生労働省年金局 平成28年7月25日 http://www.gpif.go.jp/operation/committee/pdf/kanri02iinkai1093.pdf ○ 運用体制の整備に伴い管理・運用されるオルタナティブ資産(インフラストラクチャー、プライベートエクイティ、不動産その他運用委員会の議を経て決定するもの)については、リスク・リターン特性に応じて、 国内債券、国内株式、外国債券、外国株式に区分し、資産全体の5%を上限と規定。 平成27年12月末現在、 オルタナティブ資産の 積立金全体に占める割合は、0.04% === これが、GPIF煖エ則広理事長が米インフラ投資を否定しなかった根拠ですね。可能性を否定してしまったら「嘘つき」になってしまいます。できることになっているから、そう答えた、そういうことですね。 また、オルタナティブ資産が出てきた理由は、運用のポートフォリオを増やし、リスク分散をするためです。 5%まで投資可能となっており、現状が0.04%なのであれば、560億しか投資していないということです。140兆円の5%は7兆円なので、GPIF煖エ則広理事長の発言はGPIFの元々の運用方針通り、何も変わっていない、ということになります。 では、JBICを通じたインフラ投資、というのは、どういうリターンが期待できるものなのでしょうか? +++ 標準的融資条件 | JBIC 国際協力銀行 +++ JBICも融資条件を決めています。 *** 輸出金融の際の標準金利 融資承諾時金利固定(円CIRR) 0.85%(償還期間 5年以下) 0.92%(償還期間 5年超8.5年以下) 0.96%(償還期間 8.5年超) 輸出契約成約前における金利固定 上記金利に0.2%上乗せ 国際協力銀行による輸出金融とは、日本で生産された船舶やプラントなど、金額が大きく、回収までに長期間を要するような輸出について、国際協力銀行が融資する制度です。 輸入・投資・事業開発等(資源・国際競争力) 円貨 0.385% 外貨 LIBOR+0.6875% 事業開発等金融とは、開発途上国等による事業および当該国の輸入に必要な資金、もしくは当該国の国際収支の均衡、もしくは ... 均衡、もしくは通貨の安定を図るために必要な資金を供与するものです(日本企業からの投資や資機材の購入を条件としません)。 *** 現在の日本国債の長期金利が0.04%ほどだそうです。非常に利回りの良い安定的な投資になることが予想されます。 日本国債の10年利回りがどれだけ低いかは、証券会社の情報をご覧ください。 さて、これは何が悪いのか、だんだんわからなくなってきました。 ちなみに、日本生命をはじめとした生命保険会社も、国債金利の低下を理由に海外インフラファンドを創設するなどの動きを強めています。 === www.bloomberg.co.jp 日本生命の佐藤和夫財務企画部長は22日の記者説明会で、マイナス金利は「生保にとって大変厳しい環境だ。国債は運用対象として機能しなくなり、ほとんど買えない」と述べ、「20年債や30年債の利回り水準では、とても予定利率を賄えない。償還分は他の資産に投資し、待機させるしかない」と語った。「安定した利回りを確保できる外債に依存せざるを得ない。外債は不可避だ」と言う。 第一生命の山本氏は有望な投資先として、インフラなどの実物資産に基づくファンドやプロジェクトファイナンスといった「ミドルリスク・ミドルリターン」分野だと指摘。伝統的な債券や株式と異なるリスク・リターン特性で分散効果が高まるほか、投資期間が長くキャッシュフローも安定しているため、長期の負債を抱える生保との親和性が高いと説明した。 日本生命は国内外の成長・新規領域に15年度からの3年間で約8000億円、3−5年で約1兆円の投融資を計画。昨年度の実績だけで約4100億円に上った。住友生命は医療・介護や環境・エネルギー、インフラ、企業の海外進出などへの投融資を昨年度に約1000億円実施。今年度も1000億円程度実施する。新たに取り組むインフラファンド投資は海外の案件が中心になる。 平成28年4月のリリースが以下です。 「インフラファンド投資枠の設定について」 〜インフラ投資領域におけるグローバルな投資体制の構築〜 https://www.nissay.co.jp/news/2016/pdf/20160422.pdf ==== さて、トランプ政権は、アメリカ国内のインフラ再建を行うと、公言しています。であれば、その投資先として、アメリカが上がることは、自然な流れでしょう。 まとめ GPIFがインフラ投資をすることは、年金の運用を安定させるリスク分散の観点からはむしろ自然なこと。 生命保険も同様に海外インフラ投資ファンドを、日本国債では補えない収益源として重要視している。 感情的な煽りがありますが、事実を確認することは大事そうです。 ***以上**** ただしそれが5%という枠組みをゆうに越えた51兆円という金額をどう思うかはまた別の話。
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