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イスラーム諸国からの入国を期限付きで制限する大統領令にサインしたことで、アメリカ国内の反トランプ運動は益々、大きくなってきた。
アメリカの大統領が大統領令にサインしたからと言って、アメリカの法律以上の効力を発揮するというのは間違った認識だ。議会が反発し反対の法案を提出するか最高裁判所が違憲判断を下せば、大統領令は破棄される。トランプもその程度の知識は持っているだろうから、大統領令の乱発は自分の支持者への猿芝居くらいに思っていた方がいい。事実、トランプが会社を作ったり不動産収入を得ている国は、この七か国には入っていない。
日に日に熱気を帯びる反トランプ運動を扇動するのは、CNN、NYTといった反トランプメディアで、CNNなどツイッターやインスタグラム、フェイスブックを使ってほぼ24時間、ライブ中継を行っている。
NYTは、大統領選挙で結果が出て以後、ほぼ現在に至るまでトランプ大統領という呼称を記事の中で使用していない。Mr.Trumpと書き続けている。つまり、あなたを大統領として認めませんよ、という明確な意思表示だ。
アメリカ国内のリベラルは日本のリベラルとは素性も本質も異なる。CNNやNYTは正に正統なリベラルメディアの典型であるが、その姿勢を継続できるのは、経営権と編集権が異なっている米メディアならではだからだ。民主党の思想的主体であるところのリベラルは、「アメリカこそが移民国家であり、この国は移民と奴隷によって作られてきた」とのベースから「だからこそ国民の平等と民主主義は守られなければならない」と感じている。CNNやNYTは正にこの編集思想に裏打ちされている報道を行っていて、それに反してFOXは共和党の言う「イギリスのような植民地支配の拡大による覇権主義から、自由主義を主としより開放された国家の建設を目指そう」を拡大解釈し、イラク戦争を肯定した報道を行ってきた。本来、FOXはトランプの味方である筈が、トランプが嚙みついたお陰でFOXは猛反発を行った。
では、それらリベラル系メディアが一貫して反トランプ姿勢を崩さない本質はどこにあるのだろうか?
アメリカに移民が流入し続ける理由は、アメリカが世界一の国家であるという最早イデオロギーとさえなった国家論に起因すると共に、アメリカ社会のヒエラルキーにさえその考え方は根付いているからだ。
何故、アメリカが世界一の国家であり続けられるかは、国民に「世界一の国家だ」という信念があるからだ。
何だ、そんなことか?という問いは無意味であって、我が国を顧みればよく分かる。戦後一貫して、日本人は世界一の国家観を否定され続けてきた。正に日本のヒエラルキー構造の中にその自虐史観が根付いている。
アメリカは自由な国で誰でもがアメリカンドリームをつかみ取ることが出来るというのは誤解で、アメリカンドリームを目指す人々がアメリカンドリームを作り出しているに過ぎないのだが、同時に「世界一の国家である」という意識に、更にはそれら国民のアメリカ国内における自由と平等の相克によって、国民の意識に国家観を定着させていることを知らなければいけないだろう。ハリウッド女優になる女性の下には10000人以上の女の子がウェイトレス、キャバレーのダンサー、クラブのシンガーをしながらその夢を追っている。ウェイトレスであっても、ニューヨークのど真ん中のカフェなら、生活に困らない程度の給料は十分に貰える。
また、アメリカ国民は自らの信条と善意に則って、時々の国のリーダーを選ぶ権利を有している。だから、誰に聞いてもはっきりと民主党支持者だ、とか共和党支持者だと公言し、大統領候補者についても具体的な名前を挙げて支持を表明する。国民一人一人が正しいアメリカという世界一の国家の在り様を見据えているのだ。
現在、マイケル・ムーアやアレック・ボールドウィン、ジョニー・デップといった著名人がトランプをバカにする、或いはCNNやNYTが徹底してトランプ批判を続けるのは、アメリカ社会を作ってきたイデオロギーの外側にいるトランプのような人物が世界一の国家のリーダーになることが、そのままアメリカの国家観の否定に繋がるという危機感からだ。
実際に、彼らが私服で全く個人の立場で発言している中身はYouTubeでもツイッターでもフェイスブックでも見ることが出来るが、彼らは本心からアメリカの危機を叫んでいる。
確かにトランプは、白人低所得者層の票を集めたドイツ移民の子ではあるが、彼はマイノリティの代弁者ではない。以前の記事にも書いたかも知れないが、全米で70%いる白人層を抑圧しているのが、マイノリティであるエスニック系やイスラーム系の移民であるという詭弁は正しい意味でのアメリカを象徴してはいない。トランプの選挙戦は彼が出演していたプロレスそのままで、意図的に作られた善と悪の間違った二元論そのままであって、その辺りをマイケル・ムーアは痛烈に批判しているではないか。だから、メキシコとの間に万里の長城を作るなどと、おとぎ話をするのである。
メキシコから流入する麻薬の撲滅に物凄いおカネをかけているのは、アメリカではなくメキシコである。
メキシコに工場を作ってアメリカに輸入しているのはアメリカ企業である。決済通貨はドルである。
中国に工場を作りアメリカに安い商品を輸入しているのはアメリカの企業である。決済通貨はドルである。
アメリカで売られている日本車の80%はアメリカ、メキシコ、カナダで作られている。決済通貨はドルである。
ドル高なのに何故、アメリカの企業が莫大な収益を出せるかは、決済通貨がドルだからである。
世界一の債務国なのに、軍事費に年間100兆円近くかけられるのは、基軸通貨がドルだからである。
日本は対米黒字を出しているが、黒字分はアメリカ国債を買っているからチャラである。しかも、決済通貨はドルだから、アメリカは痛くもかゆくもない。
ウォール街のサイバー空間に動いているドルの総額は、プライム、サブプライムを含め100京ドル以上である。
それらは全て、アメリカが世界一であることの理由であり、事実である。
トランプが言っていることは、それを全てひっくり返すと言っているのだ。どう考えても、トランプはこれらの事実を知らないとしか思えない。無知なんじゃないか?
せっかく儲かっているのに、その儲けをいらないと言っているのだ。
カルト板住人が好きな副島大先生は、人民元とドルのスワップで人民元高を習近平と交渉すればいい、ととぼけた話をするが、そもそもドル決済なんだから人民元が高かろうが安かろうが関係ない。仮に人民元高になったら、一斉に中国に進出しているアメリカ企業はミャンマーかベトナムかインドネシアに工場を移転するだろう。そうなったらまた副島大先生は通貨交渉しろというのだろうか?あほらしい。
トランプが様々なメディアでバカにされ続けているのは、私も好意的に見て政党間の争いと思っていたが、大統領になって以後も、全く同じ主張と口調でいることに呆れかえった。
本当に何も知らないんだ、と思ったのである。
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