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中国の行方、期待と不安 安定成長へ構造改革
政府、消費主導へ転換
中国は10月1日、共産党が中華人民共和国の建国を宣言してから67年を迎える。建国から第5世代に当たる習近平指導部が発足してから約4年。世界2位の経済大国で厚みを増した中間層が旺盛な購買力を見せつける一方、経済全体の成長力は鈍り、製造業の設備過剰など構造的な矛盾も目立つ。世界は期待と不安を抱きながら、中国経済の行方を見つめている。
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中国の消費社会は多様な広がりを見せている。所得水準の向上とともに大都市だけでなく中小都市でも中間層が育ち、旅行など余暇への消費が増えている。越境EC(電子商取引)やコンビニエンスストアなど消費者がお金を使う場の裾野も広がる。経済成長にかつての勢いはないが、中国政府も投資主導から消費主導へと経済モデルの転換をめざしている。
中国東北部、遼寧省鞍山。8月下旬、駅前の繁華街にある百貨店「パークソン」は、平日にもかかわらず多くの客でにぎわっていた。なかでも、フランスの自然派化粧品ブランド、ロクシタン・インターナショナルの店頭では、女性客がパックやボディーケア商品などを熱心に見定める姿が目立つ。
鞍山は古くから鉄鋼の街として栄え、人口は約360万人。それでも中国では「三線都市」と呼ばれる中小都市に位置づけられる。インフラ需要の低迷を受け、主要産業の鉄鋼は減産を強いられ、街の景気は減速感が強い。そんな状況下で繁華街に人があふれる光景は、中国の消費の現状を映し出している。
中国はかつて安い労働力をテコに海外から投資を呼び込み、「世界の工場」と呼ばれる製造大国に成長した。世界第2位の経済大国になるまでの高速成長を実現し、上海など沿岸部の大都市を中心に所得水準が向上した。
2015年には1人当たり国内総生産(GDP)が約8千ドルに達し、世界銀行が定義した中所得国の上位層に仲間入りした。だが足元では経済の伸びが鈍り、労働コストの上昇などで中国への投資も減速している。高所得国の入り口とされる1人当たりGDP1万2千ドルの水準には開きがあり、このままでは高所得国になる前に経済が長期低迷する「中所得国のわな」に陥るリスクをはらむ。
そこで、中国政府は日本や米国のような消費がけん引する経済構造への転換にかじを切りつつある。沿岸部と内陸の経済格差の是正に向けたインフラ投資を進めるとともに、所得水準の向上に力を入れた結果、中間層は大都市だけにとどまらず、中小都市でも厚みを増し始めた。
16年1〜8月の社会消費品小売総額(小売市場を指す)は前年同期比10.3%増の約21兆元(約321兆円)と2桁成長を保つ。
中間層の拡大と消費者の成熟化が進み、高級ブランド品など高額品一辺倒だった消費スタイルにも変化が生まれてきた。個人の趣味や嗜好に合った消費を楽しむようになり、旅行や映画、スポーツといった娯楽産業、サービス産業が好調だ。
一方で、鉄鋼など過剰設備を抱える製造業の非効率という問題は解消できていない。製造業のリストラ圧力が強まれば消費を下支えしてきた雇用や所得への悪影響も懸念される。過去の高速成長の負の遺産を清算し、持続可能な消費主導の成長モデルを実現できるか。中国経済は大きな曲がり角を迎えている。
[日経新聞9月29日朝刊P.35]
- 生産能力の削減 景気と両立狙う あっしら 2016/10/05 18:13:15
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