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中国、スマホ下克上
新興勢が台頭、「1年天下」で首位交代 消費者移り気、決め手欠く
世界最大のスマートフォン(スマホ)市場である中国で異変が起きている。世界首位の韓国サムスン電子、同2位の米アップルのほか、絶大な人気を誇った中国の小米(シャオミ)までもが下位に追いやられている。代わって上位に浮上しているのは、まだ無名の中国ブランドの新興メーカー。シェア首位がほぼ1年で交代する中国は、下克上とも言うべき市場だ。
「今はOPPO(オッポ)かvivo(ビボ)でしょ。小米とかはもう古い。飽きたし、あんな安物は持っているだけでちょっと恥ずかしいよ」
広東省広州市内の有名電気街「崗頂」――。電気店が密集する街の一等地に陣取る中国新興スマホメーカー「OPPO」の店内で、客の20代の男性会社員、黄秀峰さんは、こう言って笑った。
その「OPPO」と隣り合わせに店を構えるのは、同じく中国新興メーカーの「vivo」。販売担当者の男性は自信たっぷりだ。「来客する方の大半は小米やサムスンからの買い替え希望者で、本当にうれしく思いますね」
中国は今や世界のスマホ市場の3割を占め、ここでの出来不出来がそのまま世界ランキングに跳ね返る。だからこそ世界の大手メーカーは中国に心血を注ぐ。
サムスン失速
その中国市場で衝撃が走ったのは今年5月だ。米調査会社IDCが発表した、今年の行方を占う1〜3月期の販売データ。昨年、年間首位の小米が5位に転落し、米アップルも4位に下落したのだ。世界首位のサムスン電子に至っては、上位5位圏外に消えた。
それだけでは収まらない。8月中旬に公表された4〜6月期の最新データが3社にさらなる追い打ちをかけた。中国販売全体は5%増と伸びたのに、小米は38%減、アップルも32%減となった。サムスンはまたも上位5位圏外に置かれた。
代わって台頭してきたのは、新製品の販売を手堅く世界で広げる中国の華為技術(ファーウェイ)のほか、OPPOとvivoの新興勢力だ。特にOPPOは前年同期比2.3倍の2位、vivoも75%増の3位と急速に販売を伸ばし、1〜3月期に続き2位と3位をキープ。躍進を印象づけた。
両社は今やその勢いを駆って世界販売ランクでも4位と5位につける。まだまだ無名の「OPPO」や「vivo」とは一体何者なのか。
実はこの両社、“出自”は同じだ。中国南部の「世界の工場」といわれる広東省東莞市に本社を置く電機メーカー「歩歩高」がルーツ。DVDなど音響技術に強い同社の出身者が設立した両社のスマホはサウンドに定評があり、スマホゲーム好きの中国人の間でじわじわと口コミで広がって今年一気にブレークした。
小米の失敗教訓
小米の失敗を教訓にしていることも両社に共通する。小米は時代の潮流に乗り、ネット販売に力を入れた。だが、この手法だけでは販売台数が大きく伸びなくなり、店舗にも販路を広げた。ただ一気に店舗販売を解禁したため、質の悪い店が増殖し、小米のブランドを傷付けてしまった。
そこでOPPOやvivoは参入当初から店舗販売を重視。「お店での顧客対応など丁寧な販売を心がけ、質の高い商品と合わせ、一気にブランド力を上げた」(香港在住の携帯電話ジャーナリスト、山根康宏氏)
OPPOとvivoは、中国では価格を4万〜6万円とあえて高めに設定。今や「安物メーカー」といわれる小米など“中国スマホ”とは一線を画す戦略がひとまず成功しているようだ。
「この高級感がたまらないんですよね〜」。広州の電気街「崗頂」の店内で、OPPOの新スマホをなでながら、黄さんはこう話した。だが、これは初めて小米やアップルなどを手にした時、多くの中国人が持った感想と変わらない。
新興勢力が出ては消え、消えては出てを繰り返し、生き馬の目を抜くかのごとくトップが目まぐるしく代わってきた中国スマホ市場。世界では長きにわたり一貫して、首位サムスン電子、2位アップルという盤石のランキングが築かれているのに比べると、移り気な中国の消費者に決め手を欠くメーカーが苦心する構図が浮かび上がる。
果たしてこの先、中国で真の勝者など生まれるのだろうか。
深圳=中村裕
[日経新聞8月30日朝刊P.9]
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