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中国、ゾンビ企業の整理急ぐ 金融機関の不良債権急増
2016/3/23 19:28
【上海=小高航】中国で金融機関の不良債権が急増している。2015年末の残高は1兆2744億元(約22兆円)と2年間で倍に膨らんだ。景気減速で、鉄鋼やセメント産業向けの融資が大量にこげ付いている。政府は不採算なのに生き残る「ゾンビ企業」の整理を急ぐ方針だ。銀行融資の圧縮で企業の投資や雇用が細れば、景気をさらに下押ししかねない。
中国の銀行業監督管理委員会(銀監会)によると、13年末に5900億元だった銀行の不良債権残高は14年末に4割増の8400億元になり、15年末にはさらに5割増えた。総与信額に占める不良債権の比率も13年末の1%から15年末に1.67%に上昇した。
不良債権比率は15年3月末に約1.2%だった日本の大手銀に比べやや高い程度で、すぐに銀行経営が揺らぐ水準ではない。ただ、貸出債権を不良債権に分類するかどうかは経営陣や監督当局の裁量に左右されやすく、「中国の銀行が抱える実際の不良債権はもっと多い」との見方が根強い。
不良債権が増えた背景には、融資先企業の財務の悪化がある。例えばセメント産業では主要企業の経常利益の合計額は15年に前年比で半減した。中国国内の需要を5割上回る過剰な生産能力を抱え、賃金や電気代を払えず休眠状態に陥る企業も少なくない。
ネット通販が好調なアリババ集団(浙江省)や海外旅行の需要を取り込む春秋航空(上海市)など、サービス業を中心に業績を伸ばす企業もある。その一方で、鉄鋼や造船、板ガラスなどはセメントと同様に軒並み財務が悪化している。こうした重厚長大型の企業に向けた融資の一部が不良債権と化している。
中国では赤字続きでも地方政府から補助金などを受け取り、事業を続けている企業が目立つ。李克強首相は構造改革を進めるために、こうした「ゾンビ企業」の淘汰を訴えている。重慶市や広東省はすでに不採算企業を大規模に整理、淘汰する方針を打ち出した。
今年2月には上場する国有造船大手として初めて、江蘇舜天船舶(江蘇省)が企業破産法の適用を受けた。不採算企業に対する政府の姿勢は「救済」から「淘汰」に転換しており、それに伴って破綻懸念先に分類される企業が増えれば銀行の不良債権残高は増える可能性が高い。
李首相は全国人民代表大会(全人代)が閉幕した16日の記者会見で金融機関の不良債権増加について、自己資本や引き当ては十分だとして「リスクを制御する能力がある」と強調した。
ただ、金融機関が企業への融資を絞り込めば、企業の投資や雇用など経済活動のさらなる停滞を招く恐れがある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM17H3A_T20C16A3FF1000/?dg=1
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