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[Asia300]テンセント経済圏膨張 利用者7億人目前
中国SNS最大手、「対話」を入り口にゲーム・配車も
中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)の勢いが止まらない。主力のスマートフォン(スマホ)向け対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の利用者数は2015年末時点で中国全人口の過半の7億人に迫り、15年12月期も最高益を更新した。もっとも微信は単なる利用者の「誘導口」。ゲームを軸にタクシー配車や動画配信などの有料サービスで収益を上げる。対話アプリの枠を超えたスマホ経済圏づくりを主導してさらなる成長を目指す。
「微信が無いと、もう僕は生きられません」。広東省広州の小売店で販売員を務める陳阡陌さん(22)はこう言い切る。陳さんのスマホの中にある対話アプリ「微信」には現在363人の友人が登録されている。それを使って友人らと日本で普及する対話アプリ「LINE」と同じ感覚で会話を楽しんでいる。
中国で11年に提供を始めた微信はすぐにメッセージを送れる手軽さで、国土の広い中国の若者の心をつかんだ。
1998年に改革開放の先進地として知られる広東省深圳で創業したテンセント。スマホ向けの微信につながるサービスとして、同社の知名度を先に高めたのがパソコン向けの「QQ」と名付けた交流サイト(SNS)だ。パソコン上でチャットを楽しめるのが受けて利用者が急増。そのユーザーにゲームを提供して成長の足がかりをつかんだ。
スマホ時代をにらんで開発したのが微信。無料でアプリを提供する代わりに、微信を介した有料サービスで利益を上げるビジネスモデルだ。最大の稼ぎ頭はゲーム。内部関係者は顧客ターゲットは「平均月収3000元(5万円強)の男性。平均年齢は20〜25歳」と明かす。微信利用者の約半分はゲームユーザーで「毎月平均200元(3000円強)を確実に消費する」からテンセントの収益基盤も固い。
そんなテンセントは米マイクロソフトやソニーにも勝る世界最大のゲーム会社という顔を持つ。ゲームだけで全売上高の過半を占め、年間約1兆円を稼ぎ出す。
サービスの幅も広げる。独自の決済サービスを確立し、スマホの微信の画面上から生活に欠かせない様々なサービスを提供する。それも自前というわけではない。ネットサービスを手掛ける中国企業に次々に出資。15年だけでも80社近くに資金を投じた。経営トップの馬化騰・最高経営責任者(CEO)は「出資に徹する」と自前主義にこだわらない姿勢を見せる。
時価総額がともに20兆円を超え、中国国内でライバルと目されるのが電子商取引のアリババ集団だ。だが、馬CEOは「ライバルと思っていない」と意に介さない。
アリババはオンライン決済「支付宝(アリペイ)」という決済サービスを手掛けながら、ネット通販事業で成長してきた。一方のテンセントは微信などSNSを基盤に利用者を呼び込む。
SNSの最大の強みは友達との会話のために、頻繁にスマホやパソコンに触れることにある。接触回数が増える分、有料サービスを利用する確率も上がる。ネット通販サイトを「入り口」とするアリババとの最大の違いはここにある。
馬CEOは海外展開にも興味を示さない。世界では米フェイスブック傘下の「ワッツアップ」など対話アプリの競合がひしめくが、中国ならネット業界に対する外資規制が厳しく、世界のSNSサイト大手も参入を果たせていない。あえて海外に踏み出さなくても国内でほぼ独占する対話アプリ市場で既存の微信ユーザーに新サービスを提供する方が事業効率上、得策と判断している。
微信を入り口にしながら、今後も多種多様なスマホサービスで中国中を覆い尽くす――。これぞテンセントがつくる新世界、テンセント・ワールドだ。
「Asia300」は中国・香港、韓国、台湾、インド、東南アジアの上場企業から、時価総額や成長性などに基づき選びました。
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馬CEO、技術に妥協なし
騰訊控股(テンセント)の馬化騰最高経営責任者(CEO、44)は多くの華僑・華人を輩出してきた広東省東部の貧しい街で生まれた。この地域の出身者には香港の複合企業、長江和記実業(CKハチソンホールディングス)を率いる華人最大の富豪、李嘉誠氏(87)もいるが、馬氏はその李氏に次ぐ成功者といわれる。
表に出て目立つことが大嫌いだ。ライバルと目されるアリババ集団の馬雲(ジャック・マー)会長(51)がメディアに度々登場するのとは対照的。自らの会社は「技術の会社」と言い切る。営業のアリババ、技術のテンセントといわれるゆえんだ。
そんなテンセントの馬氏のことを、ある経営幹部は「彼は良い意味での二重人格者」と評する。社内会議では皆で談笑し、会議中でも周囲にタバコを配って回る気遣いを見せる馬氏だが、幹部が新製品の技術的説明が滞った途端、「突然顔を赤らめて怒り出した」。技術に妥協を許さない馬氏を物語るエピソードだ。
だがその実直さに社員の多くが慕う。好業績にも裏付けされ、馬氏に対する経営手腕の社内外の信頼は今や絶大だ。
香港=中村裕
[日経新聞3月19日朝刊P.9]
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