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記紀神話で遊ぼ・・7回目の終了です(その6の4)「天孫族と出雲族の相続人争い」
http://www.asyura2.com/16/bd62/msg/304.html
投稿者 どう思われますか 日時 2017 年 12 月 11 日 09:43:20: Qy4l4lPG05pBg gseCpI52gu2C6oLcgreCqQ
 

★ あらかじめ御断わりしておきますが、私の投稿文は記紀神話をベースにした発想から「とんでも論」を展開していますので、『おかしいのでは』と思われても、『そこは記紀神話の事ですから』ということで御理解ください。

★ また、私の投稿は、記紀神話を学術的に研究するためではなく、記紀神話の二重性とか多重性とか二元論的な反面性などを指摘して、掲示板でオカルト・スピリチュアル的な「お花畑」として遊ぶ事を目的としています。

@ ところで、「天孫族と出雲族の相続人争い」に、ご興味をお持ちでしょうか。実は、天孫族も出雲族も根っこは同じではないか思っています。つまり、権力闘争であり、兄弟喧嘩では無かったのか。


A 天孫族の父親は誰かという問題。

 天孫族というのは、一般に、その直接の祖神をアマテラスとしていますが、天孫族の代表である神武天皇の祖神にあたるところの「天孫降臨」したニニギの父親がオシホミミになります。

 そこで、『オシホミミの母親はアマテラスですが、父親は誰ですか』、と尋ねると皆さん絶句してしまいますが、父親はスサノオなのです。これは「記紀神話」にも書かれてありますが、アマテラスとスサノオが誓約(うけい)をして「八柱の御子神」を産んだことが書かれてあります。

 ところが、対抗する出雲族のルーツにあたる父親もスサノオなのです。ですから大局的に見ると、(スサノオの子供であるところの)異母兄弟たちが相続人争いの権力闘争をして、最後に勝利したのがアマテラスの子孫に過ぎないということになります。


B なぜ、天孫族はスサノオを伏せてしまったのか。

 天孫族が先祖の系図を作るにあたって一番苦心したのがスサノオの存在だと思います。

 スサノオを祖神にすると、天孫族が制圧した出雲族と同族になってしまうし、首都であった出雲を「国譲り神話」で強奪したことも後世の汚点となりますから、何としても「不都合な真実」を隠すために、古代社会の体制であった母系相続制度を利用してアマテラス1人に集約したものと想像します。

 (10月を「神無月」といいますが、出雲地方で「神有月・神在月」と呼んでいるのは、国々の神々が出雲に参集した名残りと言われます)。


C 古代は母系相続だった。

 平安時代までの古代は母系相続であり、親の財産は娘が相続しました。これは、古代の男女差を考えると合理的でした。

 つまり、男は外で働くことが出来ますし、軍人になったり、役人になって収入を得ることが出来ます。
 ところが、女は外で働くことが出来ず、他家の嫁・妾(めかけ)になるか、下働きの下女で住み込みになるか、遊女(売春婦)に売られるかなどの境遇しか与えられませんでした。

 ですから、親の財産(古代は米本位制であり、田畑と薪に利用する里山が財産の主体)は、1人か数人の娘に分配し、残りの娘は外に出るか、家に残って、部屋住みの「飼い殺し」で生涯の独身で一生を終わりました。

 対する男は、有能な者は高級軍人になったり、高級官僚になったりして権力を手に入れ、それでもって各々の家の娘を妻・愛人に持ちました。
 (女のほうも、権力を持つ男の妻や愛人になることで、その保護下に入り、家を守ることが出来ましたから、「ギブ・&・テイク」の関係にあり、合理的でした。
 二人の間に生まれた子供は、基本的に、女の家で育てられましたが、父親にとっては自分の子供を守るためにも女の家を特別扱いをして保護しました)。

 力のない男は、下級の軍人や下級の官吏になったり、有力豪族の使用人になったりしましたが、家の外に出なかった男の子は家を守るために田畑を管理したり、家のガードマンや執事をしたりして、部屋住みの「飼い殺し」の独身で一生を終わりました。

 (ただし、天智天皇や大海人天皇による中央集権化で朝廷政治が確立されるまでは、有力豪族による合議制でしたから、「役人」という概念は無く、軍人は豪族に所属する使用人の地位にあったと思われます)。


D 女酋長の記録。

 記紀神話でも「神武東征」で、和歌山市に「名草戸畔(ナグサトベ)」という女酋長がおり、熊野には「丹敷戸畔(ニシキトベ)」という女酋長がいましたから、全国的に母系相続社会でした。


E 北九州と出雲の女王。

 母系相続の中で代表的な存在として、北九州の女王がアマテラスで、出雲の女王がクシイナダヒメで、その夫たる大王がスサノオでした。

 アマテラスは、やがて「国譲り神話」で出雲を制圧しましたが、その後の何らかの大変動により、孫のニニギは南九州に落ち延びました。「天孫降臨」が霧島だとか高千穂だとか言われ、神武天皇にいたるまで鹿児島・宮崎方面にいたことは歴史的な事実のようです。
(国譲り神話は無かったという説もありますが、まあ、そこは『記紀神話のことですから』ということで御了解ください)。

 (ニニギ・ホホデミ・ウガヤフキアエズを「九州三代」などと言っていますが、古代九州の中心地は大宰府のあった北九州ですから、敗北して南九州に逃走したと考えられます。
 (ちなみに、オシホミミの墓所は、遠賀川上流の福岡県田川郡香春町(かわらちょう)の香春(かわら)神社の「忍骨命」というのが定説です)。

 (注) 出雲はクシイナダヒメの娘のスセリ姫が家督相続しましたが、その「婿殿」には大国主(実はアメノホヒ)が選ばれました。
 大国主は支配地を拡大し、北九州から東海地方にまで勢力を及ぼしましたが、アマテラスとかニニギを神祖とする海人族の希望の星たる大海人天皇には受け容れ難い歴史であり、大国主も含めた出雲王朝を封印してしまいました。


F 妻問婚(つまどいこん)について。

 「源氏物語」にも有りますように、有力な男は何人も妃・妾を持ち、女の家に通って「交友」しましたが、古代は「女系相続」であり、この制度は鎌倉時代まで存続していました。
 (鎌倉御家人の中には女当主もいたことが記録に残っておりますが、戦国時代には無くなり、江戸時代には戸主は男子に限られてしまい、明治に至りました)。


G 家督相続について。

 古代は米本位制であり、農地は細分化するよりも(水の分配の問題もありましたから)地主が大規模に総合的な管理運営を行うほうが合理的でした。
 このため、親の遺産は一人の子供に集中して相続させる「家督相続」が行われました。
 この「家督相続」の制度は、戦後の日本にも受け継がれましたが、戦後の民法の大改正によって、現在のように子供は男女の別無く平等に分配されるようになりました。


H 「宮中八神殿の神」の謎。

 宮中の八神は第1位から、神産日神(カミムスヒ)、高御産日神(タカミムスヒ)、玉積産日神(タマツメムスヒ)、生産日神(イクムスヒ)、足産日神(タルムスヒ)、大宮売神(オオミヤノメ)、御食津神(ミケツ)、事代主神(コトシロヌシ)の順に祭られていると言われています。

ここで、学者の間で問題にされているのが3点ありますが、第1順位にアマテラス寄りのタカミムスヒよりも出雲との関連が強いカミムスヒがあること、アマテラスが無いこと、出雲神と思われる事代主神が祭られていることです。

(注) 高御産日神を(タカミ・ムスヒ)と発音していますが、本当は、高天原の神を産み育てる役目を負った「造化三神」の一人だから、神産日神と同じように「高神産日(タカ・カミ・ムスヒ」と書いたり発音するのが正しいと思います。
 また、高御産日神は(霊界であるところの)高天原の主宰神ですが、逆に、(映し世であるところの)人間世界の主宰神は神産日神ですから、(映し世の中にあるところの)宮中での祭祀の第1位に神産日神が祀られるのは妥当だと思います。


I (話を元に戻しますと)、結局は、「天孫族と出雲族の争い」はスサノオの子孫同士による権力闘争でしたが、これは「伊勢と出雲」、「伊勢と元伊勢」の関係にも当てはまるのではないでしょうか。

 そして、この両陣営の権力闘争は、後世にまで延々と続けられたように感じられます。

 子孫の骨肉あい争う姿を見て、祖神のスサノオの大神は、どちらを応援してよいのやら、さぞかし悩んだことでしょう。


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