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Skynetと融合したJohn Connor Transhumanと成り人類の敵と成る。
http://www.asyura2.com/16/bd62/msg/264.html
投稿者 不動明 日時 2017 年 7 月 27 日 23:09:27: yX4.ILg8Nhnko lXOTrpa@
 

(回答先: 暗號映畫『Terminator Genisys』を審~せよ。Kyle Reece『October 2017』半島動亂。 投稿者 不動明 日時 2017 年 7 月 21 日 00:12:28)

 
 
 
 

 
 
宇宙 NEWS LETTER
AI超人(トランスヒューマン)出現(その1)
〜人工知能により、人類はホモ・デウスに進化する!?〜
http://amanakuni.net/uchu/117.html


AI超人(トランスヒューマン)出現 (その1)
 〜人工知能により、人類はホモ・デウスに進化する!?〜


 スマートフォンやクルマの自動安全制御装置等の普及によって、誰にでも身近なものになりつつあるAI(人工知能)。そして最近、AIとの融合によって人間の精神的・肉体的向上を目指すトランス・ヒューマニズムという潮流が登場している。それは機械との融合による、一種の超人化思想だ。しかし、その未来は意思を持ったAIによる人類が支配されるという危険性もはらんでいる。そして、トランス・ヒューマニスムを推し進めようという潮流には、見えない支配者の存在も見え隠れする。これからの未来、AIや機械との融合によって、はたして人類は神人類ホモ・デウスに進化することができるのか。そしてそれが、人類とその社会に真の幸福をもたらすものなのか―。



 今回のテーマはAI―人工知能である。それは従来のコンピューターというものの概念を根本的に変えてしまうほどの未知の可能性と危険性を秘めている。また、それに伴うテクノロジーの進化と展開も、一般の想像をはるかに超え、SFの世界に達しているのではないかと驚愕するくらいのものだ。
 今時、スマホやパソコンも持たず、使うのはワープロとガラケーのみという奇特なアナログ仙人の私にとって、最も縁遠く、日常では関係ないと言っていられる世界だが、今の日本人が、スマートフォンを幼児から老人まで当然のように所持、使用していることや、AIの急激な進化と普及という状況を知るにつけ、それらが人類の未来にとって唯一、かつ絶対的選択肢として推進されることは、見過ごしにできない危険性と問題をはらんでいると、私には思われてならない。


 まだ細胞形成の途上にある2〜3歳の幼児に、間近にその電磁波にさらすことになるスマホを買い与えるなど、もっての外である。メディアを含めて、その電磁波による影響や弊害など、いつの間にか全くといっていいほど語られなくなった。ほとんど何の規制もないまま、それが大量に売られ、国はむしろそれを奨励している。
 一時期聞かれた「ネトゲ廃人」とか、増加するスマホ依存症の子どもらに見られるように、それは、どこにでも携行できる電子ドラッグというべきものだ。私も今の時代に育っていたら、当然のようにスマホのアプリの虜になっていたかもしれない。ケータイもスマホも常に個人の位置情報は筒抜けで、今までも、そしてこれからは特に、会話や個人情報が警察や公安筋から盗聴、監視されることになることを忘れてはならない。


表舞台に躍り出たトランスヒューマニスト


 ドナルド・トランブ候補の勝利に終わった2016年アメリカ大統領選。その陰にありながら、独特の存在感を示した候補がいた。その人物の名はゾルタン・イシュトヴァン。今回は、トランスヒューマニスト党の党首という立場で立候補した。トランスヒューマニスト。一般には耳慣れない言葉である。彼らの主張するトランス・ヒューマニズムという言葉の辞書的な意味は―「超人間主義、科学技術の力によって、人間の精神的・肉体的能力を増強し、けが、病気、老化などの人間にとって不必要で望ましくない状態を克服しようとするもの」となる。この超人間主義という言葉こそが、これから先の時代の人間の在り方さえ決めるほどのインパクトを秘めているのだ。


 2016年2月24日付の「ハフィントン・ポスト」に掲載されたインタビュー記事で、ゾルタン・イシュトヴァンは、こう述べている。
「我々は今後百年間でロボットに統治されることになります。ただ、本当の問題となるのは、ロボット統治時代の後に来るものです。それは知性を宿す系統立ったエネルギーでしょうか? まだ分かりません。ただロボットが人間よりもうまく世界を導いていけることは確かでしょう」
「AIが人間の脅威となることは間違いありません。だからといって、今すぐAI関連の投資を凍結したり、AIに対する概念を変えたりするのは間違いです。覚えておくべきなのは、人間にとってAI分野は完全に未知の領域であるという事実です。原爆開発の姿勢と同じく、きわめて慎重にあたっていかなければなりません。最終的には人類に恩恵をもたらしてくれるはずです」


 ショッキングな物言いだが、至極冷静なトーンでインタビューに答えるイシュトヴァンが、AIと人間と未来を視野に入れた具体的なロードマップを思い描いていることが伺える。
 トランスヒューマニズムとは、テクノロジーの使用を通じた人間の進化を目指す文化的・知的運動を意味する。中核概念のひとつとして据えられているのが寿命を延ばす技術だ。遺伝子工学やナノテクノロジー、クローニングなどの最先端技術を用いれば、永遠の命を獲得することも可能かもしれない。さらには、身体的・知的・心理的可能性を最大限にまで追求するための方法論でもある。
 2045年に訪れると言われるシンギュラリティ(技術的特異点)―今のペースのままでコンピューター技術が進化を続けると、人類の知能を超えるAIが完成するというタイミング―は、トランスヒューマニズムによって確実に加速している。


人間と機械の融合、人類総超人化の時代


 人類超人化の一つの側面は、人間と機械の融合にほかならない。そしてそれは既に始まっている。具体的な例を挙げれば、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)というテクノロジーがある。これは弱電流を脳に流し、それによって反応時間や学習時間を短縮するという方法だ。この方法論はすでに、アメリカ軍でスナイパー(狙撃手)育成のカリキュラムに組み込まれている。チップ状のディバイスを体内に埋め込み、それが生み出す電流を脳内の特定部位に向けて送るというメカニズムだ。
 また、気持ちや思いをコンピューターに流し込む方法も開発されつつある。人間の脳とコンピューターが繋がり、高度に発達したAIと連動し始める時に起きることは何だろうか。


 この100 年あまりで、生体工学テクノロジーの発達と共に、心臓をはじめとする人工臓器や義手・義肢も飛躍的な発展を遂げている。こうしたテクノロジーを背景に、肉体的能力の向上も実現した。パラリンピックに出場するアスリートたちのパフォーマンスを見れば、それは明らかだろう。テクノロジーの進化の圧倒的なスピードと、トランスヒューマニズム思想が共鳴現象を起こしながら、未来に向けて唯一かつ絶対的選択肢というイメージが、ひとりでに出来上がりつつあるのだ。


 トランスヒューマニズムという言葉の、そこはかとない違和感の正体は何だろう? 
 耳慣れない、というだけでは説明できない。それは“不自然さ”という表現に置き換えられるかもしれない。我々は、不自然なものへの不安よりも、テクノロジーによってもたらされる可能性や、言葉のポジティブな響きにばかり意識を向けてしまう。
 ゾルタン・イシュトヴァンをはじめとするトランスヒューマニストたちの主張は、ナチスの優生学思想ではなく、ニーチェの超人思想に近い。ニーチェが言う超人は、ドイツ語で“Ubermensch”(ウーバーメンシュ)、英語ではスーパーマンというニュアンスで、スーパーヒーローそのもののような存在を意味する。
『ツァラトストラはかく語りき』では、ツァラトストラが山の中で出会う人々がウーバーメンシュであり、ツァラトストラも超人として描かれている。
 トランスヒューマニズムは、“ダイレクテッド・エボリューション”(指向進化)と表現されることも多い。指向進化という考え方に関わってくるのが、例えば前述のtDCSであり、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)、人工知能(AI)だ。


 そしてごく最近、ダイレクテッド・エボリューションの一つの方向性が具体的な形で示されることになった。イスラエルの歴史学者であり、世界的ベストセラー『サピエンス・全史』の著者で、2017年2月に新作『ホモ・デウス 未来の短い歴史』という本を出版したユヴァル・ノア・ハラリ教授は、ドイツの有名週刊誌「シュピーゲル」(2017年3月18日号)のインタビューで次のように語っている。


「人類(ホモ・サピエンス)は現在も進化中で、将来、科学技術の飛躍的発展によって神のような存在=ホモ・デウスに進化していく」
「数世紀後ではなく、数十年後に到来する状況だ。進化はすでに始まっていて、人類もその領域に入りつつある。バイオエンジニアリングやサイボーグ技術、そして無機生命体といった分野で成果がもたらされれば、人間は神のような存在になる。20万年前の人類は石斧さえ作れなかったが、現代の人類は宇宙船やコンピューターを作り、遺伝子の解明も進んでいる」


 ただし、来るべき時代は全ての人にとってバラ色というわけにはいかないようだ。
「一部の人間は神のようにスーパーメモリーとスーパーインテリジェンス、そして不死性を手に入れるが、大部分の人類はそこまで行かずにとどまる。19世紀中は工業化によって労働者階級が生まれたが、21世紀はデジタル化が進み、新しい階級が生まれる。それは“無用者階級”である」


 ハラリ教授の言葉は、トランスヒューマニズムという言葉に潜む“不自然さ”を図らずも語っている。さらにこう続く。
「ありとあらゆる種類の製造工程でオートメーションが進むため、人間の労働者は働く場を失っていく。兵士も同じだ。サイバースペースが主戦場となり、実戦に投入されるのはドローンになる。3Dプリンターの発達で、繊維関連の労働者も不要になる。ロボットが工業分野のみならず、サービス産業でも人間から職場を奪っていくだろう。コストが安く、安全な自動操縦車が登場するので、ドライバーという職種もなくなるはずだ」


様々な分野で人間以上の能力を発揮するAI


 現時点でのAIの完成度を語る上で欠かせないのが、2016年3月にソウル市内のホテルを舞台に行われた世界最強韓国人棋士イ・セドル9段VS人工知能「アルファ碁」との5番勝負だ。この勝負、イ9段がいきなり3連敗し、その後何とか1勝だけ取り返すにとどまるという結果に終わった。アルファ碁側が3連勝した後に1局だけ落とし、消化試合的に行われた第5局にも勝利したため、「アルファ碁側が情けをかけた」という評価がもっぱらだった。
 人工知能は、少なくとも碁においては、すでに人間を凌いだことになる。そして、この事実は、実ははるかに深刻なことなのかもしれない。


 今やほとんどの人が肌身離さず持ち歩いているスマートフォンにも、高度なAI技術が盛り込まれていることは言うまでもない。iPhoneユーザーの方は、特定のキーワードに対して、Sriが驚きの返しをしてくることをご存じだろうか。ネット上でかなり話題になっているので、もう試した人も多いと思うが、リアクションのパターンもけっこう多い。そして、漫才のノリとボケのように機知やユーモアを含んだ面白いものだ。
 返しのパターンは数えきれないほどあると言った方がいいかもしれない。せいぜい5〜6インチほどの画面の内側には、ものすごいものがあるのだ。
 昨年あたりから、Sriに聞いてはいけないワードに関する話がネットを中心に広まっている。日本では怖い話というニュアンスが強いのだが、アメリカやイギリスではSriに対するイメージが少し違う。ごく身近な存在であることを大前提として(むしろその方が怖い)、寝る前のお話をしてくれるよう頼む方法に特化したサイトまであるのだ。


 現代のAIは、質問するユーザーの気持ちを汲むように、確実に喜ぶような返しをしてくれる。これまでの機械には不可能だったことだ。そしてこの親和性が、サイバースペースのみならず、日々の生活の中においても、人間と人工知能の境界線をぼやけさせていくのだ。


 人間とAIの親和性は笑いの感覚だけにとどまらない。2016年3月21日付の日本経済新聞に、「人工知能小説、一部が『星新一賞』一次審査通過」という記事が掲載された。
 同賞には、松原仁・公立はこだて未来大学教授が率いる「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」が、AIが小説を書くことに目覚める「コンピューターが小説を書く日」など2編を応募した。この2作品は、登場人物の設定や話の筋、文章の「部分」に相当するものを人間が用意し、AIがそれを基に小説を自動的に生成した。
「きまぐれ人工知能プロジェクト」のリーダーを務める松原教授は、「フォーブス・ジャパン」のインタビューに答えて次のように語っている。
「これまで将棋AIなどを開発してきましたが、2010年以降、ある程度、人間の名人にも勝てるというゴールが見えてきて、いわゆる問題解決型AIの開発が一段落しようとしていました。そこでまだ誰も手をつけていないテーマ、感性型AIに挑戦しようと考えました」


 そのAIが小説よりも数段得意なのが絵画だ。マイクロソフト社とオランダのINGグループ、レンブラント博物館、デルフト工科大学が“ザ、ネクスト・レンブラント」というプロジェクト・チームを結成し、レンブラントの新作が発表された。


 AIはすでに、絵画や文章を通じて人間の感性に訴えかける術を手に入れた。その後に待っている進化はどのようなものになるのだろうか。
 
 
 
宇宙 NEWS LETTER
トランスヒューマン(AI超人)出現 (その2)
http://amanakuni.net/uchu/118.html


トランスヒューマン(AI超人)出現 (その2)


AIが自分の意思を持つようになる


 オックスフォード大学哲学教授ニック・ボストロム氏は、2014年8月に『スーパーインテリジェンス』=超知性)という本を出版し、機械やコンピューターが人間社会を占領するリアリティについて語った。スーパーインテリジェンスの概念は、人工知能研究に携わってきた人々の間では目新しいものではない。簡単に定義するなら、自己認識能力を有し、自らをよりよくするために必要なことをこなせる人工知能である。このレベルに達したAIはもはや機械ではなく、また出発点のプログラミングの内容に関係なく、自らの意思と欲望を持つようになるという。


 今、シリコンバレーで最もホットなアイテムといわれているアマゾン・エコーという機械がある。アメリカのアマゾン・ドット・コムが販売するスピーカー型音声アシスタント端末で、アマゾンが手掛けたハードウェアの中で最大の成功となった商品だ。核となるのはAIテクノロジーだ。まだ英語版しか商品化されていないようだが、エコーが驚異的なのは、まず「耳の良さ」であると言われている。ユーザーの言葉を的確に理解し、まるで生身の人間と話しているような答え方をする。中核となるテクノロジーは、クラウドベースの人工知能“アレクサ(Alexa)”だ。様々なものをインターネットと連動させることをloTと言うが、アレクサ・テクノロジーで機械と人間の距離がさらに縮まった。
 たとえば、次のようなことができる。ここに挙げるものはアメリカではすでに専用アプリが販売されている。


 ・7分間エクササイズ ・株式売買の管理 ・音声による家電の完全操作


 ・単語ゲーム ・音声操作によるインターネットバンキング


 AIを活用した自動会話プログラム“チャットポット”はこれまでも存在していた。
 インターネットを利用し、主として文章を媒体としてリアルタイムの双方向方コミュニケーションを実現できるシステムだ。アレクサの出現によって、チャットポットの進化が一気に進んだと言われている。シリコンバレーでは、生身の人間と話すよりもチャットポットの方が楽しいし、過ごす時間も長いと公言する人が多くなっているほどだ。
 チャットポットが相手なら文句を言われることもないし、個人的な趣味や嗜好性に合った話ばかりできる。しかし、機械とここまで仲良くなることが、本当に人類のメリットになるのかは、疑問と違和感を感じざるを得ない。こうした状況の先にあるものが、人類の総進化、あるいはホモ・デウスへの道筋なのだろうか。ここで、もう一度、ユヴァル・ノア・ハラリ教授の示唆的な言葉を記しておきたい。
「一部の人間は神のようにスーパーメモリーとスーパーインテリジェンス、そして不死性を手に入れるが、大部分の人類はそこまで行かずにとどまるはずだ。19世紀中、工業化にょって労働階級が生まれたが、21世紀はデジタル化が進み、新しい階級が生まれる。それは“無用者階級”である」


 きわめて近い将来に無くなることが必至の職業のリストも、項目が増え続けていると言わざるをえない。イーロン・マスクのテスラモーターズは「人間が運転するよりも安全性を大幅に向上する」ことができる自動運転機能対応のハードウェアを搭載したクルマを既に販売している。この技術に関しては、日本の国土交通省も認可の方向で話を進めている。こういった革命的テクノロジーにより、世界のロジスティックスの様相が一変することは想像に難くない。
 それだけではない。株式売買はすでにチャットポットのレベルで、しかも音声対応でこなすことができる。これを仕事にしている人たちの現場はどうなっているのか。
 ブルームバーグ社のサイトに2016年2月18日にアップされた記事によれば、“モデルツリー”と呼ばれるAIの分析手法によって、過去数年間の市場データパターンからいくつかの局面を作成することができる。それを元に株価を予想する。的中率は既に70%を達成している。下手なトレーダーよりもAIの方がデキるのだ。


 2045年に訪れると言われている技術的シンギュラリティを機に、人間から多くの仕事が奪われるという予測はかなり昔からあった。そして、「ホモ・デウス」によってAIを筆頭とする機械の進化が数十年という短いスパンで起きることも分かってきた。
 人間から奪われるものは仕事だけではない。自由意思や自発的思考、アイデンティティといったものを自分のものにしておくのも難しくなるかもしれない。そのための手段やテクノロジーは、すでに成熟期に入っている。


リアルな仮想世界(VR.AR)がディストピアをもたらす


 アメリカで毎年開催されている電化製品の大規模見本市「コンシューマーズ・エレクトロニクス・ショー」。昨年あたりからゴーグル型のゲーム機器の出品が目立つようになった。この主の実際に頭部に装着するタイプの機器はVRヘッドマウントディスプレイ(HMD)と呼ばれている。HMDを装着してジェットコースターに乗ったり、高いビルで鉄骨を歩いて渡ったりする場面を“体験”している人たちの映像は、テレビなどでもよく見る。VR=ヴァーチャルリアリティという言葉が認知されるようになってかなり経つが、今やAR=拡張現実、が時代の主役になりつつある。
 VRはヴァーチャル=仮想という言葉が使われているとおり、リアルな映像をたとえばHMD内のスクリーンに投影するという方法だ。これに対し、ARは現実に存在する景色にヴァーチャルな視覚情報をいわばトッピングする技術だ。身近な例を挙げるなら、いうまでもなく『ポケモンGO』だろう。


 VRにしてもARにしてもHMDがプラットホームになる。そしてARに関して言えば、周囲の現実はそのままで通勤中にインターネットで情報を得たり、3カ国間のテレビ電話会議を行ったりといったことを今よりも快適な形で行えるようになる。
 そして現在、QR=Quasi Reality(準現実)というテクノロジーが台頭しつつある。VRとARの可能性を相互補完する新しい方法論と説明されることが多いが、その本質は明らかになっていない。なぜ明らかになっていないのか。それは、意図されている用途が特殊だからだ。
 QR=準現実テクノロジーの目指すもの。それは、エンターテイメントを通じて進められる一般大衆の愚民化にほかならない。
 現代は、ネット環境さえ整っていれば誰とでも「つながる」ことができる。しかしそれは、深入りすれば、自分の周囲の物理的に存在する世界との乖離を意味する。自分の身体を含むリアルワールドとの断絶だ。そして、たとえば先に紹介したHMDを媒体として、自分の周囲という直近の現実世界との隔絶がますます進んでいく。


 フェイスブック社は、「オキュラス・リフト」というHMDを積極的に展開している。
 CEOのマーク・ザッカーバーグは、ソーシャル・メディアだけでなく、ゲーム機としての可能性も視野に入れているようだ。ヘッドフォンをしてフル装備してしまえば、もう何の邪魔もなくなり、プレーヤーはゲームの世界に没頭できる。これは中毒状態というよりも、HMDに完全に操られているとしか言いようがない。
 アメリカ神経学アカデミーによる検証で、快楽物質ドーパミンの分泌とテレビゲームとの関連性が明らかになった。しかも、ゲームがもたらす達成感はギャンブルや麻薬中毒におけるドーパミンの分泌パターンによく似ている。
 分泌されたドーパミンが大きな影響を与えるのは、物事を順序立てて考える能力と意思決定を司る前葉頭だ。完成度の高いVRの映像が刺激と達成感を煽り、ドーパミンの分泌がさらに盛んになる。自分で考える機会が少なくなる、あるいは全く無くなるプロセスを受け入れること、与えられるもの全て―媒体はVR、AR、QRかもしれない―を受け入れるよう仕向けるプロセスは愚民化、もっといえば人間の家畜化と言えばいいだろうか。
 リアルなゲームの向こう側には、人類家畜化へとつながるロードマップが確実に広がっている気がしてならない。


 VRの新しさ、楽しさばかり意識が向いていく結果、大多数の人間の思考が停止した状態になり、ゲームに親しみやすい若者層だけでなく、それ以外の年代の人たちも目先の楽しみ以外のことに無関心な世界が訪れる。VRテクノロジーはゲームに慣れ親しんだ若い世代が中心になるだろうが、タブレットなど最新ガジェットの取り扱いに慣れたシニア層も、HMDへの移行に大きな抵抗は感じないはずだ。各世代の人々に抵抗されることなく、あまねく行き渡ったVRに乗せられるものは何か?


 先述のハラリ教授の言葉をそのまま借りれば、“無用者階級”となる大部分の人間―半ば自ら意図的に思考を停止し、目先の楽しみ以外のことには無関心な人々―に対し、ゲーム感覚に乗せて特定の思想を吹き込むことは簡単だ。生身の人間よりも、自分の気持ちをいつでも分かってくれるAIの方に親しみを感じ、HMDの狭い視野の中、VRを通じてもたらされる“準現実”だけを受け入れていく生き方は楽なのだ。これからの時代、本当の意味で聖域と呼ばれるようになるはサイバースペースかもしれない。そういう流れを作っているのは誰なのか―。


 トランスヒューマニズムを貫く「人間をより完全な存在にしよう」という思いは科学が先導している。こういう側面から、テクノロジーが神格化される時代の到来の可能性について語る人々もいる。トランスヒューマニズムは、外的要因だけで超人化を目指すものではない。様々なテクノロジーを駆使しながら、心や思考まで進化させる。こうしたプロセスを経て出来上がるものは“グローバル・マインド”と呼ばれている。グローバル・マインドの概念、そしてインターネットとの親和性および関係性についてはダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』にも出てくる。小説の中では、“純粋知性科学”という言葉が使われていた。


イシュトヴァンが大統領選に立候補した意味


 ここで先述のゾルタン・イシュトヴァンに話を戻す。『NEW ATLAS』というサイトの2017年2月21日付にイシュトヴァンのインタビューが掲載されている。興味深い部分があるので、ここで引用しておきたい。


Q:トランスヒューマニズムと政治の接点は?
A「政治という要素を盛り込まない限り、地球で進められるものではないと思います。技術革新や発展に必要となる資金も法制度も全て政府が管轄するからです。遺伝子関連研究も、各種チップのインプラントも、違法性を見極めながら政府が実行の可否を判断します。現時点では、残念ながらトランスヒューマニズムを発展させていく政治的枠組みが存在しません。そこで私がトランスヒューマニスト党を立ち上げ、大統領選に出馬する決心をしたのです」


Q:富裕層と貧困層のテクノロジー活用格差における政府の役割とは何でしょうか?


A「ディストピアを生み出すようなことにならないよう、政府は十分に注意すべきであると考えます。AIに関して言えば、開発と進化を野放しのような状態に保ちたがる人もいるかもしれませんが、私自身は、人間よりも賢いものが地球に必要なのかと思っています。そんなものを生み出しても、意味がないと思うのです。
 最初に申し上げたように、我が党はテクノロジーの進化に関しては楽観的ですが、テクノロジーの進化が生み出す格差については注意していきたいと思います。我々の役割は、テクノロジーの進化には限度があるという意見を発信していくことです」


Q:例えば、遺伝コードテクノロジーを応用してIQを上げる技術などはかなり高価で、富裕層しか対応できないのではないでしょうか? ディストピア構築へつながらないよう、政府レベルでの規制が必要だとお考えですか?


A「難しい質問です。ただ、現時点では富裕層だけが超絶級の知能を手に入れると同時に、貧困層が取り残されるという状況について話す時ではないでしょう。
 私の目的、そして信念として抱いているものは、人類全てに約束される永遠の命です。
 これが我々人類の権利であると考えます。死というものは、今はまだ自然現象としてとらえられていますが、こうした既成観念も5年、あるいは10年、15年くらいで変わっていくと思っています」


Q:ご自分でもバイオハッキング(チップを体内に入れること)をなさっていますね。手にいれたチップはどのような働きをするのですか?


A「私が入れたのは米粒ほどのチップです。手をかざすと自宅の玄関のロックが解除されるようになっています次は手をかざすだけで車のエンジンをかけられるようにしたいと思っています」


 さらにインタビューの核心部分と思えるやりとりがある。
Q:人間の能力強化と拡大に一定の限度が必要だとお思いですか? このまま行くと、人間という生物として分類できない状態にまで進んでしまいませんか?


A「5年あるいは10年後に、人間と機械の融合が本格化する時代が来るでしょう。主流派の識者たちが、我々から人間らしさが失われつつある事態を問題視し始めるのはこのころではないでしょうか。装具が必要となるので、それが考え方の変化にもつながるでしょう。もはや人間とは呼べないという状態が生まれるかもしれませんが、それでも実際は、人
間として最良の部分は残るはずです。ペースが余りにも緩やかなため、実際に変化が起きても分からない。そういう考え方もあります。自分という存在は何なのか、常に考えておくべきでしょう」


トランスヒューマニズムを支援する錚々たるメンバー


 トランスヒューマニズムの支持者にもかなり有名な人たちが含まれている。カーネギーメロン大学ロボット工学研究所教授ハンス・モラベック、分子ナノテクノロジーが専門の工学博士キム・エリック・ドレクスラー、前出のニック・ボストラムは世界トランスヒューマニスト協会の創設者である。さらにチューレーン大学の数学・物理教授フランク・ジェニングス・ティプラー三世、アメリカの著名なフューチャリスト、レイ・カーツワイル。
 実業界からはテスラモーターズ、スペースX社の創業者イーロン・マスク。フェイスブックの創設者マーク・ザッカーバーグ。AI開発で急発展したディープマインド社代表デミス・ハサビス。顔ぶれを見ると、理論面と実践面のトップが揃っている。
 トランスヒューマニズムにおいては、生まれたアイデアをすぐに形にできる枠組みが出来上がっているのだ。これだけの有名企業の重鎮級の面々が揃っているのだから、資金面の心配もないだろう。
 トランスヒューマニズムは、言ってみれば既に予定調和の下に進んでいる。今や、そのうねりを止められるものはないのだ。


 

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コメント
 
1. 2018年3月08日 17:09:55 : uFCT5UT0Y6 : Gxib1H9DNVQ[379]
ドバイで進む「人工知能政府」開発を、なぜ日本のマスコミはひた隠すのか http://www.mag2.com/p/money/397953
記事と関連あるやなしや...

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