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(回答先: 軍と融和、現実路線鮮明 スー・チーのミャンマー政権発足半年(上) 米制裁解除など実現 投稿者 あっしら 日時 2016 年 10 月 06 日 04:38:17)
スー・チーのミャンマー政権発足半年
(下) 立ち遅れる経済政策 資源依存から転換急ぐ
【ヤンゴン=松井基一】9月20日、ミャンマーで初の長期国債の競争入札があった。政府はインフラ整備や農村開発で膨らむ財政赤字を巡り、民間からの資金調達で今年度の赤字の6割(約1兆8千億チャット=約1400億円)を賄う方針だ。
300万人以上がタイで出稼ぎする(タイ中部サムットサコン県で労働者を激励するスー・チー氏)=浅原敬一郎撮影
今後月1回入札を行う意向だが、初回の売り出しは年間調達目標の1%強にすぎない。海外投資家は「国の格付けさえないミャンマー国債は投資対象にはならない」(邦銀)と冷淡だ。
2011年の民政移管後、外資が一気に流入したミャンマーは、自動車や携帯電話が急速に普及するなど個人消費も拡大し、前テイン・セイン政権時代、年7〜8%台の高成長を遂げたが、17年度に14年度比3倍に増加するとされる財政赤字の抑制が喫緊の課題だ。今回の入札は、7月に公表した経済政策の柱に「健全な歳入拡大」を掲げた、アウン・サン・スー・チー国家顧問が繰り出す最初の財政策だ。
政治では国軍との融和を進め、外交でも米国の経済制裁解除を勝ち取ったスー・チー氏。国内経済政策ではもたつきが目立つ。
計画・財務省は今後5年で毎年60億ドル(約6千億円)の外国投資を受け入れる計画だ。だが16年4〜8月は前年同期の4分の1に減少。政権発足で認可手続きが遅れたのが主因だが、環境負荷の大きい資源開発案件などで認可を絞ったとの見方もある。
「新政権は量より質を重視する」。投資誘致の司令塔、投資企業管理局(DICA)のアウン・ナイン・ウー局長は強調する。前政権時代も外資誘致は順調だったが、14〜15年度でみると5割は石油・ガス開発関連。スー・チー氏は「いずれ資源は枯渇する。人材を残すため雇用創出が最優先だ」と号令をかけ、資源依存から製造業へ産業構造の転換にカジを切る。
背景には人口の6%に当たる300万人以上が隣国タイで出稼ぎする現実がある。資源産業は働き手を吸収する力が弱い上、商品安で投資が冷え込む。縫製や食品など労働集約型の産業誘致に期待がかかる。
投資誘致の障害がインフラ不足だ。ミャンマーの電力普及率はわずか3割。停電が頻発し進出外資は割高な自家発電に頼り、安い人件費の強みを生かせない。
新政権は30年までに電力普及率を100%に引き上げる方針だが、スー・チー氏は「環境との調和」を重視し、前政権が計画した石炭火力の増設は見直す意向。液化天然ガス(LNG)などが代替電源に挙がるが、300億ドルとされる開発費の調達も含め道筋は見えない。
アジア開発銀行(ADB)は16年もインフラ投資などで、年8%台の成長を予測するが、最大都市ヤンゴンでは民政移管後、投資ブームに沸いた不動産市場に変調が起きている。ピーク時の14年末に1平方メートル当たり月額70ドルを超えた平均オフィス賃料は今年6月には54ドルに低下。分譲マンションは供給過剰で「資金繰りに窮し工事が中断するケースも多い」(不動産大手)。
ミャンマー経済が新しい局面に移りつつある今、スー・チー氏には変化を踏まえた迅速な政策決定が求められる。
[日経新聞10月5日朝刊P.6]
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