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軍と融和、現実路線鮮明
スー・チーのミャンマー政権発足半年
(上) 米制裁解除など実現
【ヤンゴン=松井基一】ミャンマー新政権を主導するアウン・サン・スー・チー国家顧問(71)が現実路線を鮮明にしている。政権発足から9月30日で半年。長く対立した国軍との融和や、米国の経済制裁を大幅な解除に導くといった成果を出した。インフラ整備や産業誘致など新たな経済政策も打ち出した。アジアの民主化運動の象徴から、名より実をとる冷徹なリアリストに変身しつつある。
ホワイトハウスでオバマ氏(右)と会談するスー・チー氏(9月14日)=ロイター
20日、米マイクロソフトが最大都市ヤンゴンにミャンマー初の駐在員事務所開設を発表した。従来、地場企業と連携してきたが初の現地代表を置く。同社は「成長市場への期待」としか語らないが、決断を後押ししたとみられるのは、直前の14日、米政府が発表した対ミャンマー制裁の解除だ。
企業進出に期待
1988年に発足した軍事政権が民主化運動への弾圧を強めると、スー・チー氏は軍政への経済制裁を国際社会に呼びかけた。米国は自国企業のミャンマー投資などを凍結。2011年に民政移管すると、段階的に緩和してきたが、民主化後退を防ぐため旧軍政と関係の深い約100の個人・企業と米国企業との取引を禁じる制裁は残した。
オバマ政権は麻薬取引などに関わる数社を除き、制裁を解除する。マイクロソフトに続く米企業の進出が加速しそうだ。
「父が創設した国軍には深い親近感がある。国軍を国民から尊敬される存在にしたい」。14日、ワシントンでオバマ大統領と会談したスー・チー氏は独立運動の英雄である実父アウン・サン将軍の名を出し、国軍に秋波を送った。昨秋の総選挙でスー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)が大勝した直後、国軍との関係は緊張した。
当面は改憲せず
スー・チー氏は外国籍の息子がいる自身の大統領資格を認めない現行憲法の改正を探ったが、国軍の反対で頓挫。側近のティン・チョー氏を大統領に据えるとともに「大統領を超える存在」と称する国家顧問職を新設して自ら就任するという“ウルトラC”を繰り出し、国軍の反発を呼んだ。
だがその後、スー・チー氏は現実路線を走り出す。3月末の政権交代後、最初の国民向け演説で「内政を混乱させる方法で改憲は目指さない」と明言した。7月には国軍トップのミン・アウン・フライン総司令官を私邸に招き懇談。民族問題解決に向け自ら旗を振る8月の国軍と少数民族武装勢力の和平協議でも「過去を水に流さなければ前進できない」と語った。
国軍も歩み寄りを見せる。9月、ラオスで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議にスー・チー氏はティン・チョー大統領を差し置き事実上の国家元首として参加したが、国軍系メディアは沈黙を保ち現状を追認した。9月にスー・チー氏が米英訪問で約2週間も国を留守にしたことも、政権基盤に対する自信の表れだ。
国軍に気を使いながらスー・チー氏が仕切る現体制に大きな反対は出ていない。京都大学東南アジア研究所の中西嘉宏准教授は「国民に圧倒的人気を持つスー・チー氏と協調する重要性を国軍も熟知しており、国軍と全面対決を避けたいスー・チー氏との間では当面均衡状態が続く」と新政権の安定を予想する。
[日経新聞10月1日朝刊P.6]
- スー・チーのミャンマー政権発足半年(下) 立ち遅れる経済政策 資源依存から転換急ぐ あっしら 2016/10/06 04:39:44
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