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【ワシントン和田浩明】国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は20日、イラク北部のクルド自治政府の治安部隊などが、過激派組織「イスラム国」(IS)から奪還した村で、アラブ系住民の住居数千軒を「敵に協力した」との理由で破壊していると発表した。
IS掃討作戦の一環としてクルド自治政府を支援する米国のトナー国務省副報道官は20日、「極めて深刻に受け止めている」と述べ、内容を精査していることを明らかにした。IS支配地が解放された際に犯罪行為や仕返しが行われないよう、「全ての民間人の安全が保障されるべきだ」との考えも示し、間接的にクルド自治政府に対して自制を求めた。
イラクやシリアでは、ISの活動やその掃討作戦などによって、約1500万人が難民として国外へ脱出したり、国内避難民として故郷を離れたりしている。
アムネスティによると、住居破壊が行われているのはイラク北部ニナワ、キルクーク、中部ディヤラの各県のうち、2014年9月から15年3月までにクルド部隊がISから取り戻した13の村。ディヤラ県ジャラウラは14年6月にISに襲撃され、住民が避難。1年後にクルド部隊がISを排除したが、家が破壊されたため住民は帰還できなかったと話しているという。
アムネスティは「クルド自治政府は、住居を破壊することでアラブ人を強制的に排除しているようだ」と指摘。「治安上の措置」などと主張する自治政府に対し、軍事的に正当な根拠がなければ戦争犯罪にあたる可能性があると指弾している。
http://mainichi.jp/articles/20160123/k00/00m/030/054000c
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