http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/734.html
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ロシアとの連携を強めているイラクで政府軍がラマディを奪還、シリアでもISなど侵略軍は劣勢に
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201512300000/
2015.12.30 16:22:22 櫻井ジャーナル
ファルージャから西へ50キロメートル、バグダッドからは100キロメートルほど西にあるラマディを奪還したとイラク政府は発表した。その際にIS(ISIS、ISIL、ダーイッシュなどとも表記)の「財務大臣」と呼ばれている人物が拘束されたという。モスルでの空爆で、ISを指揮しているとされているアブ・バクル・アル・バグダディの側近が殺され、バグダッドから236キロメートル北にあるキルクークではISの幹部、アブ・オマル・アル・シシャニが拘束されたとする未確認情報もある。
イラクはシリア、イラン、そしてロシアとISに関する情報を共有するため、バグダッドに統合調整本部をすでに設置しているという。シリアでは9月30日にソ連が空爆を始めてからISやアル・ヌスラ(アル・カイダ系武装集団)の敗走が始まり、政府軍はホムズからISを追い出そうとしている。一進一退とは言えない。
シリアでの成功を見て、イラクのハイデル・アル・アバディ首相は同国もロシアに空爆を頼みたいという意思を10月初めに見せたが、当然のことながら、アメリカ政府が立ちはだかる。10月20日にジョセフ・ダンフォード米JCS(統合参謀本部)議長がイラクへ乗り込んだが、そこでロシアへ支援要請をするなと恫喝したと見られている。
http://www.cbsnews.com/news/us-iraq-chose-between-american-and-russian-airstrikes-in-isis-fight/
イラクでロシア軍による直接的な空爆が難しくなったため、イラク議会国家安全保障防衛委員会ハケム・アル・ザメリ委員長によると、シリアからイラクへ向かうISの戦闘員を攻撃することでイラクとロシアは合意、情報の共有を図ることにもしたようだ。
http://en.farsnews.com/newstext.aspx?nn=13940802000125
12月に入り、ロシア政府が自国製の装甲車を含む物資をイラクへ供給したとも伝えられている。こうした連携がラマディ奪還を実現した一因だろう。
本ブログでは何度も指摘しているように、アメリカ支配層はアル・カイダ系武装集団やそこから派生したISを傭兵として使ってきた。その歴史は1970年代に始まる。アメリカ大統領の補佐官だったズビグネフ・ブレジンスキーがソ連軍をアフガニスタンへ引き込んで戦わせるという秘密工作を開始、ソ連軍と戦わせるためにワッハーブ派/サラフ主義者の戦闘集団を編成したのだ。
こうした集団を作り上げるため、アメリカは武器を提供して戦闘員を訓練、サウジアラビアが資金を提供、パキスタンやイスラエルも協力していた。故ロビン・クック元英外相が指摘したように、CIAが訓練した「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイルにすぎない。
http://www.theguardian.com/uk/2005/jul/08/july7.development
アル・カイダとはアラビア語でベースを意味だが、「データベース」の訳語としても使われる。「アル・カイダ」に戦闘集団としての実態はなく、戦闘員の登録リストだということだ。なお、クックはこの指摘をガーディアン紙に書いた翌月、心臓発作で急死した。
ソ連と戦わせている当時、この戦闘集団をアメリカ支配層は「自由の戦士」と呼んでいた。1987年にソ連政府はアフガニスタンからの軍隊を引き揚げると発表、89年2月に撤兵を完了、1991年12月にはソ連が消滅する。「アル・カイダ」が「テロリスト」の象徴として大々的に宣伝され始めるのは2001年9月11日、ニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された後だ。調査が行われる前にジョージ・W・ブッシュ政権は「アル・カイダ」が実行したと宣言、「テロとの戦い」と称して国内ではファシズム化を推進、国外では軍事侵略を本格化させ、2003年3月には「9-11」と関係ないことが明らかだったイラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を倒した。
ソ連が消滅する前、1991年1月にアメリカ軍はクウェートへ軍事侵攻したイラクを攻撃した。その時、ネオコン/シオニストはフセインの排除を臨んでいたのだが、ジョージ・H・W・ブッシュ(父親)政権はフセイン体制を倒さないまま停戦、怒ったポール・ウォルフォウィッツはイラク、イラン、シリアを5年以内に殲滅すると口にしたと1997年から2000年にかけて欧州連合軍最高司令官を務めたウェズリー・クラークは語っている。
https://www.youtube.com/watch?v=TY2DKzastu8
また、9-11から間もなく、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺ではイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランを先制攻撃するともクラークは証言、後にCNNの番組で、アメリカの友好国と同盟国がISを作り上げたとも主張している。
https://www.youtube.com/watch?v=QHLqaSZPe98
ISの誕生はアメリカのイラク攻撃と深く結びついている。2003年にアメリカが倒したフセイン政権はアル・カイダ系武装集団を「人権無視」で取り締まっていた。そのフセイン政権が倒された翌年、イラクではアル・カイダ系武装集団の活動が本格化する。この集団がAQI。2006年にはAQIが中心になってISIなるグループが作られ、活動範囲のシリアへの拡大に伴い、今ではISと呼ばれている。WikiLeaksが公表した文書によると、2006年にアメリカ政府はサウジアラビアやエジプトと手を組み、宗派対立を煽ってシリアを不安定化させる工作を始めたという。
アメリカが体制を転覆させようとしたのはシリアだけでないとするレポートも発表されている。2007年3月5日付けニューヨーカー誌に掲載されたシーモア・ハーシュのレポートでは、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの「三国同盟」がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を開始したと指摘されている。その手先になるのがサラフ主義者/ワッハーブ派系の武装集団だ。
http://www.newyorker.com/magazine/2007/03/05/the-redirection
結局、アメリカ支配層の内部で作成されたプラン通りイラクやリビアの体制は倒され、シリアは攻撃され、ネオコンはイランも攻撃しろと叫んできた。2014年2月にウクライナで実行されたクーデターを指揮していたのもネオコンだ。
9-11の翌年、2002年の春にネオコンはイラクを攻撃したかったようだが、約1年間、開戦は延期された。その大きな理由はJCSで反対する声が強かったからだ。攻撃の理由がなく、作戦も無謀だという理由からだった。
勿論、無謀でも何でも戦争に賛成だという将軍もいる。戦争が利益に結びつくビジネスが目の前に開けている人びとだが、それでも軍内部での抵抗は続き、ISを危険視する軍人も少なくない。そうした中には、JCSの議長だったマーチン・デンプシー大将やDIA(国防情報局)の長官だったマイケル・フリン中将も含まれる。ハーシュは危機感を持ったアメリカ軍がバラク・オバマ大統領の方針を無視してシリア政府と情報を交換してきたと書いているが、これはデンプシー時代だろう。
http://www.lrb.co.uk/v38/n01/seymour-m-hersh/military-to-military
フリン中将が長官だった2012年8月、DIAは反シリア政府軍の主力がサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIで、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとする報告書を作成している。
https://www.judicialwatch.org/wp-content/uploads/2015/05/Pg.-291-Pgs.-287-293-JW-v-DOD-and-State-14-812-DOD-Release-2015-04-10-final-version11.pdf
DIAによると、アル・ヌスラとはAQIがシリアで使っていた名称。つまり、AQIとアル・ヌスラは同じだ。
西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコが支援している武装勢力がシリア東部にサラフ主義者の「国」を作り、イラク西部とトルコを結ぶ状況になることをDIAは警告しているが、バラク・オバマ政権は無視した。
そのオバマはシリアの反政府勢力のうち「穏健派」を支援していると主張してきたが、2012年の段階で反シリア政府軍がサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団だとDIAはオバマ政権に警告していた。(この頃、まだISというタグを付けた集団は現れていない)
それについてアル・ジャジーラのインタビューで聞かれたフリン中将は、それがアメリカ政府の決定だと語っている。ISの勢力拡大はオバマ政権の政策だということになる。
https://www.youtube.com/watch?t=675&v=SG3j8OYKgn4
だからこそ、ロシア軍が本当にアル・カイダ系武装集団やISを攻撃し始めたときにアメリカの好戦派はパニックになり、オバマ政権だけでなく有力メディアもロシアを批判しはじめたわけだ。
「空爆はテロを助長するだけだ」と繰り返し、ロシアとアメリカの空爆を一緒に議論する人もいるが、これは本質的に間違っている。実態を調べていないのか、人びとを誤誘導することが目的なのだろう。アメリカ支配層の内部にテロリストを世界に広めている勢力が存在していることは明白で、アメリカは「テロ帝国」にほかならない。そのアメリカの「同盟国」を自称している日本も「テロ支援国」ということだ。
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